人事には"手順"がある
トップが全力を尽くさなければ
組織そのものへの敬意を損なう
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「人事に関する手順は、多くはない。しかも簡単である。仕事の内容を考える、候補者を複数用意する、実績から強みを知る、一緒に働いたことのある者に聞く、仕事の内容を理解させる」(『プロフェッショナルの原点』)
第一は、仕事の内容を徹底的に検討することである。仕事の求めるものが明らかでなくては、人事は失敗して当然である。しかも、同じポストでも、要求される仕事は、時とともに変わっていく。仕事が変われば、求められる人材も異なるものとなる。
第二は、候補者を複数用意することである。人事において重要なことは、適材適所である。ありがたいことに、人間は多種多様である。したがって、適所に適材を持ってくるには、候補者は複数用意しておかなければならない。異なる仕事は異なる人材を要求する。
第三は、候補者それぞれの強みを知ることである。それぞれの強みをそれぞれの実績から知らなければならない。その強みは、仕事が求めているものであるかをチェックする。何事かを成し遂げられるのは、強みによってである。
第四は、一緒に働いたことのある者から、直接話を聞くことである。しかも数人から聞かなければならない。人は人の評価において客観的にはなれないことを知らなければならない。それぞれの人が、それぞれの人に、それぞれの印象を持つ。
第五は、このようにして人事に万全を尽くした後において行なうべきことである。すなわち、本人に仕事の内容を理解させることである。仕事の内容を理解したことを確認することなく、人事の失敗を本人のせいにしてはならない。
具体的には、何が求められていると思うかを聞く。3ヵ月後にはそれを書き出させる。新しいポストの要求するものを考えさせないことが、昇進人事の最大の失敗の原因である。ドラッカーは、「新しい仕事が新しいやり方を要求しているということは、ほとんどの者にとって、自明の理ではない」という。
「追従や立ち回りのうまい者が昇進するのであれば、組織そのものが業績のあがらない追従の世界となる。人事に全力を尽くさないトップは、業績を損なうリスクを冒すだけでなく、組織そのものへの敬意を損なう」(『プロフェッショナルの原点』)
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