ハウステンボス「猫も狂犬病ワクチンを」の仰天見解、獣医師が実名批判する深い理由
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新型コロナウイルスワクチンの接種率が高まり、少なくとも国内は自由に移動できる状況になってきた。冬が来る前に愛犬を連れて旅行に出ようという飼い主もいるだろう。そんな中、テーマパーク大手のハウステンボスのペット対応に対して、獣医師が「異議あり」と声を上げた。特集『動物病院の最前線』(全10回)の#9はハウステンボスで明るみに出た、ペットのワクチン問題を伝える。(ダイヤモンド編集部副編集長 杉本りうこ)
愛犬を連れてテーマパークへ
飼い主の計画にワクチンの壁
「先生、ワクチンを打っていないとこの子は連れて行けないみたい」。東京都目黒区の開業獣医師、安田英巳氏(安田獣医科医院院長)がある飼い主からこう相談されたのは、10月のことだ。
その飼い主は愛犬を連れて長崎県のテーマパーク、ハウステンボスを訪ねようと計画していた。ところが入園するには、狂犬病ワクチンと混合ワクチンの接種が義務付けられている。狂犬病ワクチンについては、全ての犬への年1回の接種が狂犬病予防法によって義務付けられているため、この飼い主にとっても問題はなかった。ネックとなったのは、混合ワクチンだ。
ハウステンボスに限らず、犬を同伴できる行楽施設やドッグランの多くは、1年以内に混合ワクチンを打ったという接種証明書を示すよう、犬の飼い主に求めている。だが実はこの「1年以内の接種」は必要がないことが、近年の研究で明らかになっている。
世界小動物獣医師会(WSAVA)のガイドラインは、3種(犬ジステンパーウイルス、犬アデノウイルス、犬パルボウイルス)のワクチンを犬のコアワクチンとした上で、「1歳までに適切に接種すれば、強い免疫が何年も続く」「成犬後の接種は3年かそれ以上間を空けるのがよい」としている。
人間の新型コロナウイルスワクチンと同様、犬の混合ワクチンも強い副反応を起こす可能性がある。接種回数は必要最小限とするのが望ましいのだ。
安田獣医師はこのガイドラインなどを踏まえ、飼い主に対しては抗体検査を行った上で必要がある場合のみ接種するよう推奨している。また飼い主が行楽施設などから接種証明書を求められた場合は、安田獣医師自ら施設側にガイドラインの内容などを説明し、抗体検査結果の提示で利用できるよう交渉をしてきた。
今回もハウステンボスに対して、安田獣医師は同様に事情を説明した。ところが電話での何度かのやりとりの末、ハウステンボスが示した見解は仰天するものだった。
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