「バイデントレード」はいつまで続く?解せない米金利上昇・ドル安の逆相関
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株高・金利高・ドル安期待の
解せないバイデントレード
いよいよ米国大統領選挙が目前に迫ってきた。金融市場ではバイデン大統領誕生を既定路線として各種資産価格の形成が進んでいるが、4年前想定されていた値動き(トランプ大統領誕生で超リスクオフに見舞われ、円高・株安・金利低下)がことごとく現実と反した記憶は新しく、予断は許さない。
とりわけ10月に入ってからの金融市場の動きには、疑問もある。本稿執筆時点の金融市場は「(1)バイデン大統領誕生→(2)民主党政権ゆえの拡張財政路線→(3)米景気浮揚→(4)米株価上昇・金利上昇→(5)リスクオフで買われてきたドルは売り戻し」というロジックを、バイデントレードとして進めている。結果、バイデン大統領への期待は「株高・債券安(金利高)・ドル安」として結実している。
だが、これは正しいのか。確かに、(1)から(2)までの発想は分からなくはない。しかし、(2)から(4)までの発想は議論があろう。そもそもバイデン候補は、他の民主党候補に比較すれば穏健ないし中道と形容されてきたが、基本的には左派色の強い人物という下馬評だったはずだ。所得税、法人税、そして株式売却に係るキャピタルゲイン課税などは軒並み引き上げるというのが同氏の主張であり、それゆえに金融界にとってはトランプ大統領再任の方が望ましいシナリオだと言われてきた。
たとえば、超富裕層の長期保有(1年超)に係るキャピタルゲインの税率は20%から39.6%と倍になると言われている。合理的な投資家であれば、これが施行される前に株を手放すことを検討するだろう。こうした懸念は今のところ払拭されていないが、それでも拡張財政があるから株高なのだろうか。
また、(4)と(5)が併存することに対する疑問も小さくない。「リスクオフのドル買い」の裏返しだから「リスクオンのドル売り」なのだという解説は一見して正しそうだが、これだけはっきり米金利が上昇している中で、どこまでドル売り優勢のムードが持続するのだろうか。経験則に倣えば、「リスクオンのドル売り」という局面はもちろんあったが、それは「リスクオンの円売り」よりは勢いが弱く、ドル/円相場は上昇するケースの方が多かった。「リスクオンでの最弱通貨が円、リスクオフでの最強通貨が円」というのが為替市場で定番の値動きだろう。
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