日米欧の中銀が有効な緩和策を失った今、「次の注目点」は何か

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パウエル議長パウエル議長が率いるFRBは、金融緩和策の「カード」をもったいないかたちで使い切った Photo:Samuel Corum/gettyimages

3月12〜16日に欧州中央銀行(ECB)、米連邦準備制度理事会(FRB)、日本銀行が次々と追加の金融緩和策を決定した。ECBと日銀は発動余地がほとんどないところを、乾いた雑巾を絞るようにして、辛うじて幾つかの緩和メニューを示した。

3月初めにFRBには1.5%の利下げ余地があった。それを使い切ったら、「真打ち登場」といった演出でQE(量的緩和)を再登板させれば、一時的には市場に安心感を与えられたと思われる。しかし、FRBはあぜんとするほどもったいないかたちでそれらを使い果たした。ドナルド・トランプ米大統領がヒステリックに「議長を解任するぞ」と罵倒し続ける中、FRBは間が悪いタイミングで動き、かえって市場の不安をあおる格好となった。

今や日米欧3極の中央銀行は、有効な追加策をほとんど持っていないという点で、米ハーバード大学のローレンス・サマーズ教授が言う「金融政策のブラックホール」にそろって陥ってしまっている。今後は財政政策の適切な活用が重要となってくる。

ところで、ドイツ最大の金庫メーカー、バーグ・ベヒターはここ5年余り売り上げが好調だという。ECBが2014年以降マイナス金利政策を続けているからだ。

ドイツでは大半の銀行が企業の預金口座にマイナス金利を課しており、個人の口座にも適用が広がっている。このため、銀行から現金を引き出して金庫に退蔵したがる人が増えているのである。

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