「タンス預金」のグレー資金をあぶり出すのに効く英国式とは
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先日、英国に出張した際、同地の銀行が猛烈なスピードで支店を削減しているという話を聞いた。
確かに英消費者団体「Which?」の資料によると、2015年初めから19年8月にかけて、全体でなんと3300店舗、33%も減っている。支店数が多い大手行の店舗削減率は特に高く、HSBCは42%減、ナットウェストは47%減、RBSは74%減だ。
キャッシュレス化やオンラインバンキング化の下、銀行経営者はコストカットのために競い合うように支店を減らしている。英国では、もともと企業が容易に従業員を解雇できることも背景にある。
こうした急激な変化によって地方では銀行が消滅し、「キャッシュ砂漠」なる現象が起き始めている。高齢者などのデジタル弱者は窮状を訴えており、英国会でもこの問題への対策が活発に議論される状況にすらなっている。
英国でキャッシュレス化をけん引しているのは非接触式デビットカードだ。英ロンドンでは地下鉄やバスにも使えるので、東京なら交通系電子マネー「Suica」とデビットカードが融合したイメージである。
その影響はポンド札の流通額に表れている。16年末の流通額前年比は9.5%増だったが、17年末に1.4%増へ急落した。同カードが普及し始めた頃だ。その後、18年末は1%増、19年末は0.2%減となっている。
この先は市中流通額の減少が徐々に顕著になってくるだろう。しかしながら英中央銀行のイングランド銀行は、お札を新バージョンに切り替え続けている。この2月20日には新しい20ポンド札が流通開始となる。さらに来年末までに新50ポンド札が登場する(いずれも紙ではなくポリマー製)。切り替えの根拠は、耐久性向上に加え、最新の偽札防止技術の採用にある。
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