年収7000万円を捨てた元金融マンが「トマト作り」でアジアを魅了するまで
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地元で完売する「おいしいトマト」
農業法人の意外な生い立ちとは
山梨県北杜市、南アルプスの麓に栽培面積3ヘクタールもの広大なトマト農園がある。温度、湿度、日射しなどによって自動的に天窓やカーテンが制御され、最適な栽培環境を生み出す大規模なグリーンハウスの中で、おいしいトマトがすくすくと育つ。
「農業の新しいカタチを創る」という志の下、農業法人サラダボウルを立ち上げた社長の田中進(46歳)が自信を持ってつくり上げたグループ会社アグリビジョンの農園だ。
同社は露地物野菜など年間約30品目を栽培するサラダボウルを中心として、傘下にアグリビジョン、兵庫ネクストファーム(兵庫県)、アグリサイト(山梨県)、いわて銀河農園(岩手県)、東北アグリヒト(宮城県)という5社の子会社を持つ。サラダボウル以外は全てトマトに特化した大規模なハウス栽培で、アグリサイト、いわて銀河農園、東北アグリヒトは現在、稼働に向けて準備中だ。
主力商品は「天然水トマト」を筆頭に、「スプラッシュ」という糖度の高いミニトマト、グルタミン酸とリコピンを豊富に含み料理に合う「ごちそうトマト」などを栽培、スーパーや一部外食産業に供給している。
「現在、4品種を扱い、生産したトマトは全て完売する人気になっています。リピートしてくれる消費者も多いですね。単価は決して高いわけではなく、お客様が買い続けたいものをつくるために生産・品質管理に力を入れています」と、田中は語る。
国内売上げが現在12億円ほどだが、準備中の3社が稼働すると、来年度には25億円ほどに達する見込みだ。
田中は国内で培ってきた生産・管理技術と経営手法を活かして、2016年からベトナムのラムドン省ダラット高原にグリーンハウスを建設し、花卉や野菜の栽培を開始した。日本の農業をアジアから世界に広げる第一歩だ。ダラットはベトナム中南部に位置し、高原のため年間を通じて涼しく、避暑地として開発されて、現在は観光地になりつつある。
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