■しかく食品摂取頻度・摂取量法と7日間秤量記録法の比較
目的
被調査者の負担を軽減し、連続した1週間の
秤量記録法と同程度に日頃の食生活を把握することを目的とした食品摂取頻度・摂取量法を考案し、主にその
妥当性を検討する。
方法
食物栄養学専攻の女子大学生20名を対象者として、食品摂取頻度・摂取量調査を1週間間隔で2回実施した(頻度・量調査I、II)。本法は、主に11食品・食品群と3種の料理の摂取回数(/週)及び1回の摂取量(5区分)を朝、昼、夕食別に、また3食品・食品群の摂取回数と1日の摂取量、及び調味料等の摂取状況を尋ねるものである。頻度・量調査IIの終了後、調査IIと対応する7日間についての秤量記録調査(本研究における比較の基準)を実施し、頻度・量法の再現性、妥当性を検討した。なお、頻度・量法による栄養素等摂取量の推定には、重回帰法を用いた。
方法
補足解説
(補足)重回帰法を用いる場合、「摂取している食品が予測式に含まれない」あるいは「摂取していない食品が予測式に含まれる」可能性は当然起こりうるが、本法では、主に「食品群」レベルでの摂取頻度、摂取量を把握しており、もとより「単一の食品」単位での摂取状況を正確に把握することを目指しているものではない。つまり、本法で把握される「個人差」は、「食品群」レベルでの摂取の「個人差」であり、その「食品群」の中で、どのような食品を選択したかを把握することは本法の意図するところではない。「食品群」単位での把握は、被調査者の負担の軽減に貢献すると考えられる。本法の目的に添った栄養素摂取量の推定に際しては、重回帰法は十分に機能すると考えられる。
結果
- 2回の頻度・量調査間の順位相関係数は、摂取回数では41食品中28食品で、摂取量では41食品中19食品で0.4以上の値を示した。
- 一般に、頻度・量調査の1回(または1日)摂取量で摂取量が多い区分を選択した人は、秤量記録法による実際の摂取量も多かった。
- 頻度・量法による推定栄養素等摂取量の平均値の多くは、秤量記録法による栄養素等摂取量の平均値の±10%以内と良く推定された。また、両調査法間における栄養素等摂取量の相関係数は、カルシウム
、ビタミンC 、レチノール 、糖質、 ビタミンB2で0.70以上と高い値を示したが、エネルギー、蛋白質、脂質等では比較的低かった(→表1)。
結論
日頃の食生活を把握する際に、食品摂取頻度・摂取量法が有用である可能性が示された。本法が疫学研究等に際して一般の集団へどこまで応用できるかついては、さらに検討を要する。
出典
日本公衆衛生雑誌 1994;41(8):682-692 A COMPARISON
BETWEEN A FOOD FREQUENCY AND AMOUNT QUESTIONNAIRE AND 7-DAY DIET RECORD
WITH WEIGHING Japanese Journal of Public Health 1994;41(8):682-692
著者、
所属
中村美詠子 青木伸雄 那須恵子 近藤今子 日本公衆衛生雑誌 1994;41(8):682-692
〔要約作成者:中村美詠子〕