インバウンド対応に直面する博物館における建築技術教育プログラムの構築
1.普及事業の名称 |
インバウンド対応に直面する博物館における建築技術教育プログラムの構築 |
2.事業の概要 (実施期間/会場/講師等) |
「民家をたのしむ! 民家をつたえる!」をテ-マに、下記の4事業を実施した。 (1)シンポジウム 題目/英国くらしの博物館 vs 大阪くらしの今昔館 日時/2017年11月26日(日曜)10:00〜12:30 開催 会場/大阪市立住まい情報センタ-・ホ-ル 講演タイトルと講師/ 「体験することはわかること」 Mattin Purslow(CEO of Weald and Downland Living Museum) 「大阪くらしの今昔館の町家建築物語」 谷 直樹(大阪くらしの今昔館・館長) 意見交換/ Mattin Purslow(CEO of Weald and Downland Living Museum) 谷 直樹(大阪くらしの今昔館・館長) 松本裕一(大工棟梁、ミニ削ろう会in今昔館・代表) (2)大工体験! 匠の技(大工技術の実演と体験 第1回) 日時/2017年11月26日(日曜)14:00〜16:30 会場/大阪くらしの今昔館展示室(匠の技の実演) 大阪市立住まい情報センタ-ホ-ル(匠に技の体験など) 講師/ミニ削ろう会in今昔館の大工棟梁6名 左海晃志(大阪工業技術専門学校) 概要/大工棟梁の指導で、台鉋、槍鉋などを体験。鉋の削り花を使った「かんなフラワ-」づくり、お箸づくりのワ-クショップ (3)大阪くらしの今昔館の町家 特別見学 日時/2017年11月26日(14:00〜16:0) 会場/大阪くらしの今昔館・9階展示室の町家(薬屋) 講師/谷 直樹ほか大阪くらしの今昔館ボランティア 概要/通常は一般公開していない展示室の町家の二階を見学してもらい、町家の木構造を解説 (4)大工技術の実演と体験ワ-クショップ(第二回) 日時/2018年2月10日(土曜)11:00〜13:00 会場/大阪くらしの今昔館9階展示室ほか 講師/左海晃志・大阪くらしの今昔館ボランティア 概要/今昔館・9階展示室内で鉋削りの体験、およびワ-クショップコ-ナ-で鉋の削り花を使った「かんなフラワ-」づくり体験を実施 |
3.事業の成果・効果 (対象者/参加者数/成果物等) |
(1)シンポジム 一般市民を対象とし、参加者数は100名強であった。 (2)大工体験! 匠の技(大工技術の実演と体験 第1回) 外国人を含む一般来館者対象、参加者数 1,598名(内外国人約1,000名) (3)大阪くらしの今昔館の町家 特別見学 外国人を含む一般来館者対象、参加者数86名 (4)大工技術の実演と体験ワ-クショップ(第二回) 外国人を含む一般来館者対象 2,938名(内外国人約1,800名) なお、(1)〜(4)は大阪くらしの今昔館のホ-ムペ-ジ上で案内したほか、チラシを大阪市の各機関、大阪市営地下鉄構内に配架した。 (1)のシンポジウムでは、英国の民家の建築様式と民家と大阪くらしの今昔館の町家には、同じ木造建築の技法がみられるなど共通性があることなどが紹介された。英国の民家園では、一般の大人向けの民家保全に関わる学習プロフラムのほか、大学院の教育とタイアップした専門教育プログラムもあり、示唆に富む内容であった。(2)匠の技の実演では、大工棟梁による槍鉋、大鋸などの実演が今昔館の江戸時代の町並み展示の中で行なわれ、外国人来館者の関心を惹くことができた。大阪市立住まい情報センタ-ホ-ルで開催した匠の技の体験には、外国人留学生や一般外国人来館者も多数参加した。匠の技を見て、自身で体験してもらう機会を提供できた点に大きな意義がある。木材の香を感じ、木材に触れる、大工道具に触れること自体が来館者には日常はできない経験となっており、子どもの参加者も多かった。(2)の大工技術の実演や体験、(3)の町家の見学には、午前のシンポジュムに引き続き参加する者も多く、シンポジウムとの相乗効果がみられた。 (2)の実演と大工体験はプロの大工棟梁によるものであるが、(4)のワ-クショップは技術的な内容をやさしくし、大阪くらしの今昔館のボランティアが来館者に指導した。これは、今回の匠の技の体験イベントを一過性のものに終わらせず、これからも引き続き大阪くらしの今昔館でボランティアの手で実施できるようにすることを意図した。 成果物としては、(1)のシンポジウムの内容を中心に報告書を作成し、近隣博物館等に送付することで、本事業の内容の普及・啓発につなげた。 |
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