[サルはなぜ、ヒトになったのか。そして、なぜヒトになれなかったサルがいるのか。この、永遠の謎に対する史上初めての鮮やかな回答が、本書である。著者は、「心」こそ人類進化の源であると言う。そして、その心に刺激を与えたのは、ストレス、悩みなのだ。人類史の先兵として華々しく登場しながら、ついに主役たりえなかったネアンデルタール。彼らは悩みを知らなかった。それこそが、悩みのタネだったのである。 ]
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これは、進化心理学という学問分野からの視点で人類誕生の謎に迫った本であって、これによってその謎の解明がなされたとは云えない。本格的な学術書ではなく、軽い読み物である。オレはこれを暇つぶしに(潰すべき暇が多すぎて困るのだが)流し読みしただけである。読みだしたら止まらないというほどではないので△しろさんかくで。
人類の進化は闘争によるというより、「協力」によるという考えは意外であった。道具を使いこなす能力には、現代人と大した違いはないというネアンデルタール人なのに、何故かの人々は歴史から消えたのかと云えば、「相互関係を基本とした社会構造」を築けなかったためだという。この複雑な他者との相互関係こそが、人類の脳の肥大化をもたらしたとみるのが、進化心理学だそうだ。
道具を使うことでも、二足歩行でもなく(決定的な理由でない)複雑な人間関係を処理していくことによって互いの腹を探り合い、互いを「社交場の道具」とし、give-and-takeで社会を進歩させていったということなのだと。
お人よしが勝つなんていうあたり、現代人の、特に複雑な国家関係に於いてどこまで参考になるか疑問ではあるが... 4万年前に突然訪れた爆発的といってよい人類の進化に、もっと興味は沸いてきた。