ウィルソンズ・ワイルドライフ・ソリューションズのオリエンテーション
評価: +15

クレジット

タイトル: ウィルソンズ・ワイルドライフ・ソリューションズのオリエンテーション
翻訳責任者: C-Dives C-Dives
翻訳年: 2024
著作権者: Uncle Nicolini Uncle Nicolini
原題: Wilson's Wildlife Solutions Orientation
作成年: 2022
初訳時参照リビジョン: 11
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ハロー。私の名前はフェオウィン・ウィルソン、でもここにいる人たちはもう私のことを知っていると思う。私たちのささやかなセンターへようこそ。

知っての通り、ウィルソン・センターは動物に関わる仕事をしている。主な役割は野生動物のリハビリテーション・センターだ... その動物たちが平凡でも幻想的でもね。そう、幻想的な動物だ。いや、なぜそうなのかは分からない。私たちに分かるのは、ただ彼らがそうだということだけだ。外の看板にあるように、ここではあらゆる生き物が歓迎される。つまり、君たちは恐らく、ボランティアシップのある時点で、電撃を発したり、完全に透明になったりできる怯えた動物にも対処することになる。

"ボランティアシップ"って単語はあったかな? 無いか。いや、話を戻そう。

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うん、君たちが何を考えているか分かるよ。かなり危険な業務のように思えるだろう? そう、その通りだ。採用に先んじて免責同意書に署名してもらうのにはそれなりの理由がある。でも、あまり心配しないでほしい。こちらのオールド・アルが - アル、皆さんに挨拶を「ハロー!」 - 動物の正しい扱い方を一から十まで指導してくれる。このセンターで動物と触れ合うには、適正な安全確保と予防措置が大切だ。

しかし、時には安全対策も十分ではない場合がある。センターの生き物たちと接するつもりなら、仕事中に咬み付かれたり、切り傷を負ったり、その他の怪我をする可能性があることを念頭に置いてほしい。そんなわけで、センターには訓練を受けた看護師のリスボンさんが雇われているんだ。皆さんに挨拶を、リスボンさん。「どうも!」君たちの怪我は全て彼女が手当てしてくれる。きっと君たちの中でも年配の人は、この町が雪で覆われ、ボランティアの1人が瀕死の重傷を負った、数年前の北極熊事件を覚えているだろう。あれ以来、色々な変化があって、今ではボランティアたちを保護するために、より効率的な安全対策が講じられているので安心してほしい。

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新しい安全対策の話が出たので、君たちにエサウ隊長を紹介しようと思う。皆さんに挨拶を、隊長。「初めまして。」 こちらのエサウ隊長は、ボーリングで発見される生き物たちの捕獲と分類を担当している。ここ数年、彼女のチームが近所で生き物を追いかけているのを見た人もいると思う。彼女が加わる前は、私の父さんと数人のボランティアが網とトラックで動物を捕まえていた。

でも、今は違う。エサウ隊長のチームは大半がプロで編成されているから、君たちが対応班に選ばれることはないだろう。それでも、センターの周辺で彼女や部下たちを見かける機会はあるはずだ。動物の受け入れ業務に携わるボランティアなら特にそうだね。私たちと協力してはいるけれど、エサウ隊長のチームは、厳密にはウィルソンズ・ワイルドライフ・ソリューションズの一員ではない。"監督者たち"からの出向チームだ。

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では、監督者たちについて話そう。センターで私たちとしばらく一緒に過ごせば、ある特定の人たちが、普通はヘリコプターや大型トラックで出入りしているのに気付くと思う。それが監督者たちだ。監督者たちはここの業務にとって非常に重要な存在だ。私たちの財源確保を支援し、エサウ隊長やリスボンさんのような専門家を紹介して、私たちの仕事を円滑にしてくれる。誰が監督者なのかは、今スクリーンに表示されているロゴを見ればすぐに分かる。

ところで、監督者たちと接するにあたって1つアドバイスしておく - 質問してはいけない。彼らは答えないだけでなく、君たちを嫌な目つきで見たり、酷く腹を立てたりするかもしれない。監督者たちは全員、無愛想な態度やよそよそしい性格のせいで威圧的な印象を与えるだろうけれど、彼らとやり取りするのは君たちではなく、私の仕事だ。だから、彼らがその場に居ないような振りをしてやり過ごしてほしい。

念のために言っておくと、監督者たちが呼び出されるのは、事態が収拾できなくなったり、際立って危険な生き物が発見された時だけだ。最初の例については、二度と起こらないことを願っている。君たちの中にも、数ヶ月前に町で頻発した地震を覚えている人がいるね? あれは私たちが保護したカンガルー、リンゴの仕業だ。彼は最終的に、地震発生能力のせいで収容できなくなってしまった。

とにかく、二番目のシナリオはいつの日か起こるかもしれない。もしそうなったら、その時は監督者たちに関わらず、彼らに仕事を任せておけばいい。万が一、監督者たちの誰かが話しかけてきたら、彼らの指示を聞き、できる限り従うこと。改めて言う、そういうことが起こる可能性はあまり高くない。でも、転ばぬ先の杖という言葉もあるからね。

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さて、外部の人だと恐らくあまり耳にする機会がない話をしたいと思う。君たちはこれから劣悪な体調の動物を目にする。頭のてっぺんから爪先まで疥癬まみれになった動物を目にする。虐待された動物を目にする。動物が死ぬのを目にする。私たちがSNSや生き物プロフィールで共有する諸々の心温まるお話の裏には、ただただ胸が痛み、怒りを覚え、動揺させられる事例が同じくらい沢山あるんだ。

サンダーホーンを例に挙げよう。サンダーホーンは水棲センターに昨年保護されたイッカクで、角から放電する能力があった。なかなか面白そうな話に聞こえるかな? 残念ながら、サンダーホーンはとても意地悪な性格で、世話役を誰一人として気に入らず、いつも彼らを電気ショックで攻撃していた。あまりにも気難しいので、プールの中で自分に電気を浴びせ始めたほどだ。サンダーホーンには放電能力があったけれど、感電耐性は無かった。悲しいことに、サンダーホーンは最後には自分自身を焼き殺してしまった。

助けを望んでいる生き物ばかりじゃないし、中には敵意を剥き出しにする生き物だっている。明らかに苦しんでいて、君たちに助ける力があったとしてもだよ。諺にもある通り、馬を水辺に連れていくことはできても、水を飲ませることはできない。

もし、この話が苦痛なら、今この時点で帰ることをお勧めする。これが動物救護活動の厳しい現実だ。

全員、ここに残るんだね。良いことだ。誰もが動物救護の仕事に必要なものを備えているわけじゃない。でも私としては、醜悪な真実を聞いても尚、ここに留まることを選んだ君たちを称えたい。父さんがかつて言っていたように、"これは美しい仕事じゃないが、立派な仕事だ"。

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そして、私は父さんが正しかったと信じたい。動物救護は、私がこれまでに経験した中で、一番やりがいのある活動の一つだ。これは別に私一人だけの感想じゃないよ。他のボランティアたちにも遠慮なく聞いてみてほしい、彼らもそう言うだろう。ここで一度ボランティアをした人の大半が、また改めて戻ってくる傾向が強いのには理由がある。単に良いことをしたという気持ちだけでなく、動物たちや同僚たちとの間に築いた結び付きもあるからこそ、みんな戻ってくるんだ。少し大げさで過剰に感傷的に聞こえるかもしれないけれど、ここには沢山の愛がある。何しろ、ここは父さんの自然への愛から生まれ、その情熱を分かち合う君たちのような人々によって生かされているんだからね。

ともあれ、私からの話はこれで終了。後ろのドーナツとコーヒーをご自由にどうぞ。少し休憩を挟んでから施設見学に移ろう。オールド・アルが生き物たちのお世話の仕方を教えてくれるよ。




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公開年: 2018

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公開年: 14 January 2006

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公開年: 2019

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著作権者: Jade Skylar Jade Skylar
公開年: 2018

ページリビジョン: 1, 最終更新: 08 Sep 2024 15:50
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