solvexの提言II
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クレジット

タイトル: solvexの提言II - 箱庭は誰のものか
著者: ©︎solvex solvex
作成年: 2019

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アイテム番号: SCP-001-JP

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: SCP-001-JPに対する措置はそれ自身とSCP-001-JPによる派生事案の隠蔽に集中します。

SCP-001-JP自体の一般社会への露呈を防止するべく、民間人に対しては以下の措置がとられます。

  • 領海・領空外への渡航の禁止。
  • 領土内に設けられた侵入禁止区域の存在。
  • SCP-001-JP及び派生事案の原因解明のための行動の禁止。

SCP-001-JPの派生事案による正常性の崩壊を防止するべく、物資不足等を解決する目的での異常存在の使用が許可されています。生産された資産は適切な媒体を介して一般社会へ支給されます。

これら事案に対しては適宜カバーストーリーが適用されます。SCP-001-JPの規模から多数のカバーストーリーを行使する都合上、それらに矛盾が生じないよう一括で管理されます。

SCP-001-JPの原因解明、無力化には財団が行使可能な資産、組織を利用することが日本支部理事会により許可されています。

衛星写真001-JP.jpg

SCP-001-JP発生後の日本国周辺の衛星写真

説明: SCP-001-JPは日本国の領土、領海内を除いて発生したK-クラスシナリオ事象です。以下はその概要です。

  • 陸地の海水への置換。
  • 人を含める生物の消失。
  • 物品、構造体の消失。
  • 概念を含める異常存在の消失。

SCP-001-JPの発生要因については環境の変化もあり調査は困難です。

発見経緯: 財団がSCP-001-JPに起因する事象で最初に確認したものは事案531441-1です。事案531441-1は財団のアノマリーデータベースへのアクセスがいかなる端末からも出来なくなるというものであり、これは財団本部のサーバーもSCP-001-JPにより消失してしまったことに由来する事案でした。

財団は当初これを大規模な機器の不具合、もしくは要注意団体による攻撃と想定していました。しかしその後日本国全体で様々な事案が発生していることを認識し、後の調査でそれらがすべてSCP-001-JPに起因する事象であることが判明しました。以下はそれらの中でも特筆すべき事象を抜粋したリストです。完全版のリストはを参照してください。

事案531441-3


確認地点: 全国

概要: インターネット上の日本国外から提供されている各種サービス、システムがほぼ同時刻にアクセス、使用が不可能になる。また類似の案件として諸外国への通信がすべて不可能になる事案が概ね同時期に発生した。

対応: 本事案は民間人の大多数への影響があったために隠蔽自体が不可能と判断された。よってカバーストーリーを適用させ長期間においてこれらのシステムが使用不可能であることを周知させた。

追記: 財団で発生した事案531441-1と類似する案件であり、またその原因も同様に機器の不具合や人為的な攻撃ではないことが後の調査で判明した。



事案531441-81


確認地点: 長崎県、対馬

概要: 同島内の韓国展望所等から朝鮮半島が視認不可能になった。本来ならば概ね釜山広域市付近が視認可能である。簡易調査により認識災害や反ミーム等の異常性は否定された。

対応: 本事案は地元住民や観光客の多くに認知されたものの、各種SNS等が使用不可能であったため爆発的な拡散はされなかった。よって関係者への記憶処理と情報の削除で十分対応は可能であった。また上記の地点は侵入禁止区域に設定した。

追記: 後に機動部隊ろ-12("海鳥船団")の調査により釜山広域市が存在するとされる地点周辺に陸地が存在しないことが判明した。また追調査により少なくとも同地点から半径50km圏内は同様に陸地が存在しないことが確認された。



事案531441-729


確認地点: 東京都、気象庁

概要: 気象衛星ひまわりから送信された衛星写真に、日本国以外の陸地が存在しなかった。データや送受信機器に異常性は確認されなかった。

対応: 気象予報を続行しながら記憶処理やカバーストーリーでの対処は極めて困難であったため、関係者に対して限定的な情報開示を行った。それに加えて箝口令をしくことにより対処した。

追記: 事案531441-81等の日本国周辺の陸地の消失案件から、データ上ではなく実際に世界中の陸地が消失している可能性が考えられた。またその場合は他の事案の合理的な説明ができるため、財団はこれに焦点を当てて調査することにした。

財団は上記の事案を経て"世界規模の陸地消失現象"という仮説を検証する目的の調査を開始しました。財団は日本国近海区域への有人探査船による調査、そして世界全域への無人探査船による調査を経て前述の仮説が高確率で正しいことを確認しました。その後の追調査によりEE-531441を仮説の通りの事案として結論づけました。

問題点: SCP-001-JPは財団が日本国において定めていた正常性のラインの維持を極めて困難にさせます。

一般社会

  • 地形や気候の変動は民間人にとって最も分かりやすい異常です。これらは永続的かつ現在の財団の有する資産では元に戻すことは不可能です。
  • 輸入というものそのものが完全に途絶えたことにより全国で慢性的な資源、資材不足に陥っています。異常な手段でのこれら資源の生産は可能なものの、最大でも平常時の7%の生産量までしか賄うことができません。
  • 諸外国の情報や、日本国外でしか生産できない物品などに関しては、本項目執筆時にはカバーストーリーを適用させて供給が無いことに対応しています。しかしこのカバーストーリーは平常時からは大幅に逸脱したものであり、10年以内に対応しきれず破綻する可能性は極めて高くなっています。

財団

  • アノマリー等の正式な文書はすべて本部のサーバーに保存されており、それに対するアクセスが不可能となっています。そのため日本国内のデータを再度編纂している最中にあります。
  • 記憶処理剤等の財団の運用に必要な物資のほとんどは本部からの支給でした。日本国内における生産量は極めて少なく、在庫も含めても最大で5年程度で需要が供給を上回るとされています。代替品の開発はいまだに目途はたっていません。
  • 日本国内では死刑囚がごく少数しか存在しないため、Dクラス職員の雇用が事実上不可能になっています。危険を伴うアノマリーの調査、実験に割ける人員の調達が困難になっているためこれらの速度は正常時を大幅に下回ります。

上記の懸案事項により、正常な財団の活動は最大でも3年を目安に破綻してしまうことが予測されています。

補遺: サイト-8100の管理者宛てにマーシャル・カーター&ダーク株式会社の社員と称する存在から手紙及び多数の要注意団体による署名のリストが送付されました。以下はその手紙の内容です。

SCP財団サイト-8100管理者様

急啓 貴団体にはますますご発展の由、拝察いたします。

さっそくですが折り入ってこの世界規模で起こった未曾有の事態の件でご相談があります。率直に申し上げますと、我々はあなた方に協力させていただきたいというものになります。

当然ながら、あなた方には多くの疑問があることでしょう。しかし我々は慈善団体ではなくともその前に人の子であり、多くの方が明日の世界すらも信じることの出来ない現状に対し、非常に心を痛めている次第です。それに加え我々の活動は顧客ありきのもの故、これは我々の利益にも繋がるというのが正直なところではあります。

あなた方がこの国の正常を維持するべく日々奮闘されていることは重々承知しております。しかし現実的な観点から申し上げますとそれには限界があるのではないでしょうか。日に日に食事の品数が減り、仕事は取れず、費やせる趣味も無くなる、それが今の日本の現状です。

我々は農作物の生産量を倍にする術を持っています。契約の機会を増やせる市場に出来ます。良質なコンテンツを提供できます。それは我々自身の力だけではなく、数多の契約した企業による賜物です。

現状でも生存だけならば可能かもしれません。しかしそれは果たして正常の維持と言えるのでしょうか。あなた方の目指す正常というのは民間人に異常存在が晒されなければどれほど疲弊しても構わないものなのでしょうか。今、この時だからこそ改めて考える必要があるのではないでしょうか。

ご多用中とは存じますが、ご返事をいただければ幸いです。

草々


上記の文書が送付された後にMC&Dから多数の要注意団体の要人を含めた会合を打診されました。財団は現状の打開を最優先事項と判断し、これに参加しました。会合そのものの記録は制限されたため、以下に各会合での結論とそれに対する財団の判断を掲載します。

議題: 財団は表立った要注意団体の活動を容認する。異常技術を一般流通させることで事態の収束を図る。

投票結果: 反対

理由: 異常存在を露呈させることは正常性の維持の観点から容認できるものではなく、また要注意団体の管理自体も広範囲に渡れば非常に困難なものとなるため。


議題: 各要注意団体から一部人員を出向させ、財団の運営に関与させる。財団は各人員を通じて各要注意団体の活動をコントロールする。

投票結果: 反対

理由: 要注意団体が運営にかかわることは、将来的な財団の乗っ取りも視野に入れた上で考慮する必要があり、そうなった場合は前回の案を上回る被害の可能性が考えられるため。


議題: 要注意団体は財団の活動に必要な物資を提供する。財団は要注意団体が継続的な活動が可能な程度の行動を容認する。

投票結果: 賛成

理由: 正常性の維持という観点から見て、これが最大の譲歩のラインである。



財団と各要注意団体は上記の会合を経て、プロトコル・チェインドを締結しました。

プロトコル・チェインド:

プロトコル・チェインド概要


プロトコル・チェインドはEE-531441、そしてそれに付随する異常現象の隠蔽並びにその運用を円滑にするための組織編制を目的とした統合計画です。本プロトコルは大まかに以下の2点により構成されます。


1. 要注意団体に対しての財団の対応

  • 各要注意団体は財団の活動に必要な資産を販売、提供するようにします。これには財団内で使用される物資や日本国の正常性の維持を目的としたものが含まれます。各要注意団体はこれらの生産、施行を優先的に行い、財団はこれに対して指示をすることが可能です。
  • 財団は各要注意団体の活動を限定的に容認します。これは上記の活動が安定して行える範囲であり、正常性の維持を困難にさせる、または民間人に対して直接的な接触を行う等はこの範囲には含まれません。
  • 財団は世界オカルト連合極東支部に対してその活動を抑制するように働きかけます。GOCは本プロトコルへの参加を辞退しており、その活動は本プロトコルの施行に対して負の影響を及ぼす可能性は極めて高いと考えられます。

2. 財団の活動

  • 財団は日本国内に残存する有効な資産を再構成し、SCP財団日本支部として改めて設立します。これは以下のものを中心としたものになります。
    • サイト管理者、上級研究員等から選定した人員で、最高意思決定機関である日本支部理事会を発足します。
    • 本プロトコル施行時に財団の管理下にあるアノマリーを、データの再編と同時にアイテム番号の後に識別子「JP」をつけて再分類します。これは今後確保されるアノマリーに対しても適用されます。
    • 上記に付随するものとしてEE-531441を最重要案件としてSCP-001-JPに再分類します。
  • 財団は以下2つの目的に対して、各要注意団体の協力の下尽力します。
    • 民間人に適用させているカバーストーリー「世界規模の自然、生物災害のため諸外国との交流の完全な停止」に基づいた正常性の維持をします。
    • SCP-001-JPの根源的な解決を果たします。これには利用可能なあらゆる資産が用いられます。

諸君らなら今のこの状況を痛いほど理解しているであろう。率直に言って我々、財団が立たされている状況はあまりにも困難ばかりである。いくら諸君らが聡明であっても、増え続けるアノマリーと乏しい資産、そしていつ綻びが出てもおかしくない正常性の前ではあまりに無力だ。

しかしそれはあくまでいままでの財団のみならばという話である。

我々は今、かつて敵対していた要注意団体と手を組みこの日本を護ろうとしている。これは我々にとって非常に大きな一歩であろう。そしてこの一歩は各団体、そして日本国にとっても同様であると思う。彼らとて日本国を護りたいという意思は変わらないのだ。

その始まりの一歩として、日本生類創研製の記憶処理剤が提供された。財団の活動にとっても非常に重要な物資だが、これをかつて敵対していた団体のものを使う。まさに一蓮托生、共に同じ方向を向いていると言えよう。

そして我々はSCP財団日本支部を新たに立ち上げた。ここで何故日本"支部"であるかに首を傾げる者もいるであろう。これには我々のもう1つの目的に対する表明が含まれているのだ。

我々はSCP-001-JPを解明し、世界を元に戻すという目的を掲げている。これはそれがあるべき正常であり、我々が取り戻さねばならない日常である。無論そこには各国の財団も含まれる。我々が支部の名を掲げるのは財団は我々だけでなく、いつの日か戻る財団という組織の中の1つであるという意志表明なのだ。

これから我々の前に立ちふさがる壁は高く険しいものばかりであろう。しかし新たなスタートをきった我々には決して不可能なことではあるまい。現状の打破が成し遂げられるまで、我々は決して歩みを止めてはならないのだ。

財団日本支部理事"獅子"

脚注
. SCP-001-JPが目視で確認できる範囲。
. 平均的な海抜から200m下までが対象となった。
. 日本国近海での調査等を中心とする機動部隊。直近の任務はSCP-83430の無力化。
. 日本国において発生した異常物品の収容施設の中で最大規模の施設。
. すべてが日本生類創研や東弊重工等の日本国内で活動する団体であった。












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ページリビジョン: 10, 最終更新: 10 Jan 2021 17:42
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