SCP-CN-642
評価: +17

アイテム番号: SCP-CN-642

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: ×ばつ4mの収容室内に収容されています。収容室内部には上演に用いられる舞台およびその他必要な演出設備を設置します。

収容違反インシデントの発生を阻止するため、収容室では専門の訓練を受けたDクラス職員が、財団の指定した演目をSCP-CN-642に対して常に上演しなければなりません。原則的に、上演する演目は6ヶ月内で重複することが認められません。室内の人員は不定期で引き継ぐことが可能ですが、引き継ぎの間隔が30分未満になってはなりません。

SCP-CN-642の収容支援に用いたDクラス職員は適当な条件下で月例終了を免除し、クラスB記憶処理を施した後で、SCP-CN-642の収容担当に復帰させることが可能です。

収容室内にはSCP-CN-642を監視するためのハイスピードカメラが複数台設置されます。撮影された映像はレベル2以上の職員のみが確認できます。

説明: SCP-CN-642は201█年に生産された1台のハイセンス® H50E3Aテレビです。電源および外部信号無しで正常に動作可能であり、常に起動状態を保持しています。

通常の場合、SCP-CN-642に表示されているのはアジア系夫婦(SCP-CN-642-1およびSCP-CN-642-2と区別して指定)が客間のソファで画面の外を見ているというものです。SCP-CN-642-1とSCP-CN-642-2は単独で現れることもあれば、一緒に現れることもあります。手配した演目の違いにより、彼らのどちらが現れるかが決まります。更に記録によれば、SCP-CN-642-1とSCP-CN-642-2以外の人物が出現することがあります(詳細は補遺1を見てください)。

SCP-CN-642の最も顕著な異常性は異常な空間移動能力です。収容室内で上演する者がいないとき、SCP-CN-642は人が活動している別の場所へとランダムに瞬間移動し、収容違反を引き起こします。瞬間移動の発生時、SCP-CN-642内のいずれかの人物がリモコンと思われる物体を手に取り、"チャンネルを変える"操作を行います。この瞬間移動での目的地は室内外を問わず、一般的な意味での"上演"を周囲の人間が行っているかにも依りません。

SCP-CN-642はあらゆる物理的手段による移動および破壊が不可能であるため、収容違反が発生してからSCP-CN-642を直接的に再収容することは不可能です。唯一の再収容方法は、収容室内の上演を再開するとともに、SCP-CN-642付近の人間を追い払い、SCP-CN-642が自発的に収容室内へと瞬間移動することです。このことはSCP-CN-642が感知能力と知能を有する証拠であると現在考えられています。

"チャンネルを変える"操作の他に、SCP-CN-642の中の人物は"電源を切る"と呼ばれる操作を行います。"チャンネルを変える"操作と同様に、"電源を切る"操作を行う際に、SCP-CN-642の人物は"リモコン"を手に取ります。その一方で"チャンネルを変える"操作と異なり、"電源を切る"操作はSCP-CN-642の異常な瞬間移動を引き起こしませんが、画面内で未来への時間移動を即座に引き起こします。画面内のデジタル時計表示に基づくと、1回の時間移動で経過する時間は数時間から数ヶ月まで様々です。

SCP-CN-642は音声を発することができませんが、研究員が読唇術により画面内にいる人物の対話の一部を特定しました。(詳細は補遺2を見てください。閲覧にはクリアランスレベル4が必要です)

補遺1:

財団はSCP-CN-642の観察を続けています。新しい人物が現れた場合は、表を同期更新する必要があります。

番号 生理的特徴 対応する演目
SCP-CN-642-1 40歳付近、男 テレビドラマ、コント、現代劇、学術講座 学術講座を上演すると単独で出現する
SCP-CN-642-2 35歳付近、女 バラエティ番組、テレビドラマ、コント、メイク メイク系の演目を上演すると単独で出現する
SCP-CN-642-3 70歳付近、女 伝統的演劇類と高名な現代劇 通常はSCP-CN-642-1と共に出現する
SCP-CN-642-4 10歳付近、男 アニメ、コメディとゲーム類、但し収容手順はSCP-CN-642-4に対する収容能力が低い 出現時には警戒が必要。全ての手順が正常な状況下で突如"チャンネルを変え"収容違反を引き起こした記録がある
SCP-CN-642-5 40歳付近、女 不明 SCP-CN-642-1、SCP-CN-642-2、SCP-CN-642-6と共に一度のみ出現
SCP-CN-642-6 15歳付近、女 不明 SCP-CN-642-1、SCP-CN-642-2、SCP-CN-642-5と共に一度のみ出現

補遺2:

財団職員はSCP-CN-642の監視ならびに研究/解読を続けています。新しい重要な異常現象が起きた場合は、ここに記録されます。

インシデント番号 要因 インシデント内容 研究員メモ 付記
CN-642-3 班の引き継ぎが遅れ、手順の規定から5分遅れた SCP-CN-642-2が"リモコン"を取り"チャンネルを変える"操作を行い、収容違反を引き起こした。読唇術による解読の結果、SCP-CN-642-2は"チャンネルを変える"前に「CMがこんなに長いことある?」と話していた。 当然だな、私だってこれほど長くは待たない。——████博士 本インシデント以降、班の引き継ぎ手順はより厳格に実行された。
CN-642-8 班の引き継ぎが頻繁で、約10分毎に引き継がれた SCP-CN-642-1が"リモコン"を取り"チャンネルを変え"、収容違反を引き起こした。映像によると、SCP-CN-642-1は"チャンネルを変える"前、演目の内容に非常に落胆しているようであった。 班引き継ぎの間隔を伸ばすよう提案する。テレビを見ていて毎回邪魔されるのが好きな奴はいない。——████博士 本インシデント以降、SCP-CN-642の収容プロトコルは引き継ぎの間隔を30分以上空けるように規定された。
CN-642-14 不明 SCP-CN-642-4が一切の予兆なく突如"チャンネルを変え"、収容違反を引き起こした。SCP-CN-642は付近の収容室内に転移し、中で行われていたSCP-CN-███の実験を緊急で中断することになった。インシデント発生の具体的な原因は現在も不明である。 SCP-CN-642-4の行動に警戒した上で、彼の出現を極力避けるよう提案する。——████博士 インシデント発生後、財団はSCP-CN-642収容室内でのSCP-CN-642-4の出現を招きうる全ての演目を取り止めた。
CN-642-20 内部の管理にミスが存在した可能性があるものの、更なる研究が求められる SCP-CN-642-4の出現を招きうる全ての演目を取り止めた状況下で、関連した演目の予期せぬ誤放映をもたらすインシデントが数回発生した。これらのインシデントは例外なくSCP-CN-642-4の出現を招いた。 財団の業務水準に基づくと、これは正常でない。これらのインシデントはSCP-CN-642の影響で発生した可能性がある。より深い調査を提案する。——サイト-CN-17セキュリティ部門エージェント █ 提案に従い、財団ミーム部門、認識災害部門、演繹部門がSCP-CN-642の調査に介入した。
CN-642-29 不明 正常な手順の実行段階において、SCP-CN-642-2が突如SCP-CN-642-1に対して「テレビが小さすぎる、変えるべきだと思う」と示したが、この頼みはSCP-CN-642-1に拒否される。 [要レベル5クリアランス]——財団演繹部門研究員██博士 財団演繹部門がSCP-CN-642に関する全ての収容業務を引き継ぐ。特別収容プロトコルとオブジェクトクラスは近い将来変更される可能性がある。

本ファイルへのアクセスの継続にはレベル5クリアランスが必要です

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ようこそ、O5-9、ファイルを開きました

SCP-CN-642の研究は、一言では言い表せないものです。

演繹部門に加わったあの日から、元より自由意志に関するあらゆる幻想など既に上手いこと捨てたものだと思っていましたが、揺るがぬ事実にしかと直面して、今もなお茫然としています。

間違いなく、SCP-CN-642は私達が管理するべきです。何故ならあれはテレビなどではなく、上層物語が我々を覗き見る窓だからです。そして、我々がSCP-CN-642を収容できるのは、かの者が我々を選んだからであり、我々の演じる道化芝居を見たいからだということです。我々は演目を変えることで、"テレビ"の中に現れる人を変えることが可能なようです。実際にはどうでしょう?かの者が何かを見たくて、我々に演じさせているだけです。そして同時に我々にこう考えさせるのです、選択権は己が手中にあると。

これも後にあの奇怪なインシデントが起きた原因です。あれは既に定まっていた運命だったのです。最後に発生したインシデントCN-642-29、あれは我々にとって未曾有の危機でした。ひとたびSCP-CN-642が上層物語によって永遠に切られたならば、本物語はRK-クラス"物語崩壊"インシデントで完全に消失するかもしれません。

ですがこう思うこともあります。事は実際それほど悲観することでしょうか?違うかもしれません。彼らは物語をより素晴らしいものに変えたいと思っている、ならば我々はこの演劇に全力を以て協力するべき——それが我々の存在する意義です。我々はどこから来たのか、我々は何者か、我々はどこへ行くのか、それは我々の方が彼らよりも知っています。結末がどう記されようとも、少なくとも我々にはその道中で最大限努力する権利があります。

少々書きすぎました。なので、私の書いたこの不満を根気よく読んでくださったことに感謝いたします。これから端的に言いましょう。

SCP-CN-642の解決策について、2つのプランがあります。第1のプラン、それは諦めることです。サイト-CN-17に対してサイト規模の広範囲記憶処理を行い、その後SCP-CN-642に関するあらゆる資料を削除し、最後にSCP-CN-642を解放する必要があります——これまで何も起こっていなかったかのように。ええ、分かっています。こうすることで、終末を何も知らずに迎えることができますが、記された結末を変えることはできません。こうした状況においては、心配性の賢者でいるよりも、幸せに満ちた愚者でいる方が、我々には利点が多いのです。ただ実のところ、こんなものは好きではありません。

第2のプランは冒険であり、過激ですが、結末を変えられるかもしれません。研究中の"物語もつれ"技術を使うリスクを冒して、本物語と上層物語を絡み合わせます。そうすれば、ひとたび本物語にRK-クラス"物語崩壊"インシデントが起こると、上層物語も同時に滅びます。この恐怖の均衡を利用して、上層物語に我々の存在についてもう一度考えさせるのです。但しリスクは技術自体の信頼性の不足だけに限らず、上層物語の未だ知れぬ態度にもあります。ご存知の通り、我々の一挙一動は上層物語の一文章一思考に過ぎません。彼らを傷つけたいと思ういかなる考えも、私たちが持つことを彼らは絶対に容認しないでしょう。最初から禁止されている、つまり元よりこんな考えが出ることもないということです。ですが我々は考え出した上に、彼らを傷つけられる技術も開発しました。これは招待状で、全てが滅びる演劇への共演を誘っている、ということなのでしょうか?舞台に上がって、自分も演者になれば物語をもっと素晴らしいものにできる、そう彼らは考えているのでしょうか?それとも、これが罠で、我々が踏むのを待っているのか......ですが、いずれにせよ試す価値があると考えています。

しかし、財団の最高権力は貴方の手に握られています、私ではなく。故に現在、O5評議会の返答をお待ちしております。貴方達の決定が如何であれ、私達は完全に従います。

——財団演繹部門研究員██博士







██博士の提案に対するO5評議会の採決



O5-1: プラン1 O5-2: プラン1

O5-3: プラン2 O5-4: プラン1

O5-5: プラン1 O5-6: プラン2

O5-7: プラン2 O5-8: プラン2

O5-10: プラン2 O5-11: プラン1

O5-12: プラン1 O5-13: プラン2

O5-9(貴方): 投票待ち

貴方の決定は:

プラン1 プラン2
ページリビジョン: 2, 最終更新: 13 Aug 2025 09:06
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