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クレジット
翻訳責任者: Tetsu1 Tetsu1
翻訳年: 2024
著作権者: Sirslash47 Sirslash47
原題: Kelvin
作成年: 2021
初訳時参照リビジョン: 15
元記事リンク: https://scp-wiki.wikidot.com/scp-6983
アイテム番号: SCP-6983
オブジェクトクラス: Ticonderoga
特別収容プロトコル: 国内外の様々な宇宙プログラムへの潜入職員は、コントロールセンターのハードウェアと、開始されたあらゆるプロジェクトのデジタルコンポーネントにファイル"Binary_Star.aic"を埋め込む必要があります。
財団AI"Binary Star"はSCP-6983に関する全データを財団データベース用に傍受・記録し、非財団記録から即座に削除します。
必要と考えられた場合、目撃者にはクラスB記憶処理が施されます。
説明: SCP-6983は身長5メートルと推定される人型実体です。実体は指先を利用して物体を接合する未知の接合技術を用いて、惑星環、大気、その他天体を修復することが記録されています。実体は、光の信号によって意思疎通するためにもこの技術を使用します。SCP-6983がどのようにして自身を維持し、移動するかの詳細は不明です。しかし、対話と観察から、実体は現実や物理法則を小規模に改変可能と結論付けられています。
今日まで、光の条件の悪さにより、その特徴や外形を正確に写した完全な画像はありません。民間の観測では、アノマリーは宇宙における唐突な点滅、強い光、あるいはその組み合わせとして説明されます。研究は現在進行中です。
補遺6983.1: 発見
2017年8月16日、Beholderライン上の探査機が、近傍の惑星環に点滅を観測しました。更なる調査のため、軌道が調整されました。
赤外線画像では、人型の存在を識別できました。間もなくして意思疎通の試みが開始されました。しかし、Binary Starの接近時、実体はモールス信号と同様の機能を有するシステムを介して意思疎通を試みていると判明しました。数日間の映像の検討、解読、アノマリーへのモールス信号の送信を経て、8月23日にSCP-6983が「やっとあなたたちの言葉を理解できたと思う」という信号を送り、判読可能な対話手法の確立に成功しました。利用可能なログは以下の通りです。
インタビュー対象: SCP-6983
インタビュアー: ネイルズ博士
前記: 全メッセージはモールス信号から復号されている。
<記録開始>
ネイルズ博士: 私の言葉が理解できることを示してもらえますか?
SCP-6983は指の1本を探査機に向け、薄暗い白色光が点る。
SCP-6983: はい、しました。
ネイルズ博士: いくつか質問をしてもよろしいですか?
SCP-6983: 問題ありませんけど、もしかしてあなたたちは地球から話してるんですか?
ネイルズ博士: 何故そう思ったのか教えてもらえますか?
SCP-6983: あなたたちが今使ってるのに似てる物体、確かBeholder-8って呼ばれてた探査機を、修理するよう私とあなたたちの共通の知り合いに頼まれたんですよ。
ネイルズ博士: なるほど。それでは、何と言ったらいいか、もっと大局的なことは知っているのですか?
SCP-6983: あなたたちが何者で何をしてるかは知ってますが、まあそれだけですね。
ネイルズ博士: ふむ、これで少し話が楽になります。質問を始めてもよろしいですか?
SCP-6983: 差し支えなければ、もうちょっと待ってもらえません? もうこれ終わらせるとこなんで。
ネイルズ博士: どうぞ。
SCP-6983は付近の惑星環の裂けた部分を、主にガスでできているにも拘らず、接合する。
ネイルズ博士: 熱センサーは今あなたのしたことを検知しませんでした。詳しく説明してもらえますか?
SCP-6983: 熱センサー? そりゃ何も拾わないでしょうね。他の人たちと違って私は超低温を使うので。
SCP-6983は接合を再開する。その温度に反し、周辺は熱気に曝されたように曲がり始めて見える。
ネイルズ博士: 今していることからして、あなたは物理法則を、現実をごく僅かに曲げています。事実上、あなたはゼロケルビン、絶対零度を下回ることになります。
SCP-6983: ケルビン? いい名前ですね。でもあなたはそれがまるでいいものみたいに言ってます。
ネイルズ博士: 違うのですか?
SCP-6983: 私は高温を出せなかったからってことで他の人たちから除け者にされたんです。星とか、他の熱い層とか、物体を接合できなかったんです。彼らみたいに移動することさえできなかったんですよ。
ネイルズ博士: 彼らはどのように移動したのですか?
SCP-6983: 多分さっき見た通り、言い訳はないんですが、真空が私の周りで曲がります。彼らは最初は、その効果を利用して一時的に距離を縮め、空間それ自体を折り畳みました。私は同じことをするのにかなり時間がかかったんですが、私の場合は何か冷たいのに基づいてました。
ネイルズ博士: 最初は? 他の移動方法を見つけたのですか?
SCP-6983: はい、しばらくして、彼らは空間に穴を空け、そこを通って、後から接合するという方法を学びました。私にはそんなことできません。その瞬間私は見捨てられることになりました。私のことも通してやることは簡単にできたはずですが。
ネイルズ博士: 彼らと再会しましたか?
SCP-6983: いえ。休止。最初は、とても高温の熱を生み出して新しい次元か他の現実破壊現象にでも移動したんじゃないかと思ってたんですが、後で聞いたところによると、彼らはある種の壊れた星を直すよう頼まれて…… 何か問題が起きたみたいです。
映像にはこの瞬間、SCP-6983が震え、光が明滅し、空間に小さな穴を作ることに成功した様子が映されている。
ネイルズ博士: 業務中の事故のようなものでしょうか?
SCP-6983: 恐らく。本当のところは知りませんが。
ネイルズ博士: それではあなたはどうするつもりなのですか?
SCP-6983: ピースを繋ぎ合わせてみますよ。ちょっとずつね。
ネイルズ博士: わかりました、それでどう- ちょっと、待って!
SCP-6983は穴に注意を向け、それを更に引き裂き、通り抜け始める。
SCP-6983: やっとできたみたい…… ありがとうございます。きっと恩に報います。
ネイルズ博士: どこへ行くのですか?もう少し時間をくれませんか?
SCP-6983: 宇宙は継続的に膨張し、崩壊します。いくつかまとめておかないといけません。物がバラバラになっちゃうのは嫌なので。また時々会いましょう。ご心配なく。
SCP-6983は穴を接合して閉じる。いくつかの小さな結晶が残り、消える。
<記録終了>
終了報告: SCP-6983に関連する複数の現象が現在物理学者により研究されている。探査機は通常の軌道へと戻された。
更新: 2017年9月19日、Beholder-8が再構成を開始したことが通知された。センサーは、その外装が機能喪失時よりも低温になっていることを示した。
補遺6983.2:
2018年2月22日、財団衛星が大気中に青い光を観測しました。この現象の継続中、複数の地点で予想されていなかった降雪が報告されました。その後、オゾン層のどこにも穴は空いていないと衛星は結論付け、ある小さな区域は「ケルビン」と名付けられました。
2018年2月22日の画像