SCP-666-JP
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SCP-666-JPの今の胴体と同じ外見のパジャマ

アイテム番号: SCP-666-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別職員要件: 指定されたSCP-666-JP担当部門に割り当てられる職員は、大前提として、SCP-666-JPの顔写真の確認による試験を継続的にクリアしている人間に限られます。

また、SCP-666-JPに関しては、その収容違反への対策として確保用拘束ボックスと大型トラックを用いた特別再確保・再収容手順が定められており、前述の職員にはその手順に基づく定期訓練への参加も義務付けられています。

特別収容プロトコル: SCP-666-JPの収容コンテナは、サイト-8141の最下階に設けられた地下ユニット内に配置します。SCP-666-JPはコンテナの中で、天井から下りる鎖に両手首を拘束され、宙吊りとなって、足が床から50 cm以上離れた状態で収容されています。

コンテナの床に堆積していくSCP-666-JP-1は定期的な清掃により取り除かなければなりません。

説明: SCP-666-JPは現在は長袖のパジャマ上下一式、白い軍手、黒い革靴に見える外皮を持っており、機械の観測と「大多数の」人間によれば、首にあたる部分から上には何もありません(補遺666-2参照)。

SCP-666-JPは常に、足(靴)の裏からSCP-666-JP-1に指定される半固形物を分泌し続けています。通常時のSCP-666-JP-1は小麦粉、鶏卵、牛乳等を主な構成要素としており、特に害は見られません。しかしSCP-666-JPに「踏まれ」る: SCP-666-JP-1が床、壁、紙面などに一度付着し、その状態から更にSCP-666-JPの足の裏と接触すると、SCP-666-JP-1は赤く変色して凝固します。

「踏まれ」て変質したSCP-666-JP-1に関しては、接触すると非常に多彩な損害および被害(大体は致命的な内容)を発生させ、それから多くの場合は消失する、という事の他には殆ど何も分かっていません。接触した人間は「カチッと鳴った」「光った」等の証言を残す事がありますが、客観的な観測はできていません。分析の試みは常に、観測や検査の機器および研究者の損失により失敗しています。接触時の事例は数多く記録されていますが、もたらされる損害や被害の多様性について、その限界を推測する事はできていません。

SCP-666-JPは野外に存在させ続ける事ができません。詳細な条件は解明されていませんが、SCP-666-JPは建物の外に「そのまま」連れ出されると消失し、翌日の午前0時以降にランダムな家屋の中へ出現します。今のところ日本国外におけるSCP-666-JPの出現や逃亡の事例は確認されていません。先述の特別再確保・再収容手順はこの段落の特性を元に考案され、現在も特に支障なく運用されています。

参考記録666-1: 財団に残された記録によれば、SCP-666-JPは群馬県高崎市内の民家で最初に確認されています。

危険物の保有が確実視されていたその民家へ警察の捜査官6名が突入して間もなく、捜査本部への通信が途絶えたと報告されています。やがてその民家の電話番号から高崎警察署へ、捜査員の1人である武藤巡査を名乗る者からの連絡が入りました。

参考記録666-1-1 - 高崎警察署の通話記録より抜粋

高崎警察署側の応答内容は重要度が低いため割愛します。また、電話の声は非常に聞き取りにくい状態であったため、本報告書では文書へ転写した内容を公開します。

みんな、やられた。
赤い足跡...赤い、足跡には、絶対、触らないで!

ドアを、破った時、ひどい臭いで...それで、足跡...(息切れ)たくさん、沢山の、赤い足跡が見えました。
廊下も、階段も、そこらじゅう、びっしり、赤い、足跡で...

それで氷川さんが踏み込んだら、床が抜けて...氷川さん、落ちて、...いなくなった。...いなかったんだ。

近くの足跡、調べました、でも何もなかった。...本当に、(嗚咽)何も起こらなかったんです! だから藤井さんが、行って、そしたら藤井さん、急に止まって、がくがく震えて、(息継ぎ)それで、それで...(激しいノイズ)

みんな、みんな、逃げようとして、でもドアが、開かなくて...ぶち破ったはずなのに! 4人がかりでも開かなくなって、おまけに無線も...。なのになんで、なんでこの電話は...くそっ、畜生、畜生...(嗚咽)

逃げられなくて、でもあんなところにいたくなくて、進みました、足跡を踏まないで、歩いて、それなのに、気をつけてたのに、音が、(嗚咽)リビングの方で音が鳴って、幹さんが、足を...そしたら、そしたら上から、天井から、(息切れ)何なんだよ、何なんだよあれ! (嗚咽)ふざけてる、馬鹿みたい、本当に、馬鹿みたいだ...

その後...虫! 虫が、飛んできて、服の中...ああ、(嗚咽)痛い、痛いよ、痛いよお、(悲鳴と嗚咽が10秒程度続く)

(息継ぎ)吉野さんも、堤さんも、もう、虫で...お、おれは、身体の自由、効いて、リビング、来れて、電話、かけました...(約2秒沈黙)ああ、赤い足跡、踏んじゃだめだ、絶対、絶対に、赤い足跡は、踏むな! リビングも、赤い足跡、いっぱいです...ああ、(息継ぎ)音、聞こえてきた音、分かりました。テーブル、新聞をたたんで、椅子、引いたんだ、新聞の近くには、雑誌が置いてる。

それで、足跡の、新しいのが、椅子から、続いてます...キッチンに行ってる。くつろいでる、くつろいでるんだよ、俺たちのこと、無視して、畜生、畜生、畜生...(嗚咽)

あ、あっ、戻ってきました、キッチンから戻ってきた...片手鍋を持ってる、お、俺の目の前で、ティーポットにお湯を...えっ、えっ、ティーポット、え、だって、首、首、えっ? (息継ぎ)えっ、てぃ、ティーポットって、そんな、そんな。何だよそれ、(嗚咽)馬鹿みたい、本当に...馬鹿みたいだ。

(以降、音声なし)

財団は警察内部に潜入させている諜報機関よりこの異常な通話内容を入手した後、警察による捜査を中断させるよう手配し、以後の対応を引き継ぎました。

参考記録666-1-2 - 財団による民家の現場検証

玄関を上がってすぐの床に開いていた穴の深さは30 cm程度でした。その少し先で藤井巡査が、上を向き、口から先の尖った竹筒を20-30 cmほど右上へ突き出しながら立ったままの状態で発見されました。足元を調べると、竹筒は藤井巡査の左足の裏の下から伸びていることが分かりました。

入り口の廊下を進んだ突き当たりの近くでは幹巡査が、底部の直径が1 m程もある巨大な金ダライの下敷きになっていました。金ダライは元々、次に述べる「中身」で満たされていたと分析されており、幹巡査はその重さで頭や首の骨を折って即死したと見られています。

屋内で最も多く発見された生物は羽蟻でした。金ダライ内部の分析結果より、羽蟻はその上半分に溜まっていたと考えられています。床の上で動いていたのは主にムカデ、サワガニ、オオグソクムシ等で、これらは羽蟻に飛び掛られた捜査官達が怯んでいる間に金ダライの下半分から拡散し、捜査官達に這い登っていく等を行っていたと推測されます: 回収された虫や甲殻類の全サンプルは、通常の食性にかかわらず生きた人間を優先的に襲おうとしたと記録されています。

金ダライの(入り口から見て)向こう側には、横たわる吉野巡査の身体を中心に、虫などの塊が形成されていました。その近くの様々な場所で、堤巡査のDNAを持つ破片が散見されました: 虫に襲われて倒れこんだ際、他の赤い足跡に触れて「解体」や「加工」を受けたものと思われます。

リビングでは、警察署へ連絡したとされる武藤巡査が電話機のそばで倒れていました。武藤巡査は血と吐瀉物の混ざったものに顔を突っ伏しており、これが通話中の激しいノイズの正体だったと考えられています。電話機の横に置いてあったメモ帳の1ページ目には、屋内で発見された誰とも一致しない筆跡で、こう書かれていました:

ここで見たことを警察に話してみろ。
そうすればようやく死ねるよ。洗いざらいネ。

落ちてきた金ダライの最も近くにいたと解析されている武藤巡査が、なぜ、吉野巡査以上の損傷を受けながら、リビングまで這っていく事ができたのかは不明です。

以上の様相が確認されるまでに、財団の調査員2名が不意に足を「踏み外し」て、犠牲となりました。1人は天井から降りてきた釣り針によって未知のメカニズムで全身の衣服と皮を引き剥がされてショック死しました。もう1人は、踏んだ足跡の中央から噴き出したカスタードクリームを直に口をつけて飲み始め、他の調査員に力ずくでそこから引き離されると、全身を融解させてカスタードクリームへと変えていきました。

そして最後に探索された2階の寝室で、SCP-666-JPは文庫本を片手に寝転んでいました。

民家の家主とその家族の死因については、異常性のない殺傷方法であったため割愛します。民家で発見された死者は全て、表向きは反社会的人物による活動の結果として処理されました。

玄関の穴に落ちたと報告されていた氷川巡査は、50 m以上の高さから叩きつけられたような状態で裏庭から回収されました。


補遺666-1: SCP-666-JPが収容されて2ヶ月が経った頃から、ごく少数ながら、SCP-666-JPの頭部が存在すると主張する者が現れ始めました: 彼らの証言はまちまちで、原則として一致を見せる事はありません。安全のため、特別職員要件が定められ、SCP-666-JPの頭部を見たとする職員によるSCP-666-JP担当業務への関与は禁止されるようになりました。

ページリビジョン: 8, 最終更新: 10 Jan 2021 15:57
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