<人類の古代の祖先である霊長類が Homo sapiens sapiens へと進化してゆくタイムラプス映像。現代人は銃を自分の頭に向けている。>
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クレジット
タイトル: SCP-6549 - 猟奇殺人蝦サイコ・クリラー
翻訳責任者: C-Dives C-Dives
翻訳年: 2024
著作権者: Billith Billith
原題: SCP-6549 - PSYCHO KRILLER
作成年: 2023
初訳時参照リビジョン: 44
元記事リンク: ソース
本記事は、CC BY-SA 4.0ライセンスの下で提供されます。これに加えて、本記事の作成者、著者、翻訳者、または編集者が著作権を有するコンテンツは、別段の定めがない限りCC BY-SA 3.0ライセンスが付与されており、同ライセンスの下で利用することができます。
「コンテンツ」とは、文章、画像、音声、音楽、動画、ソフトウェア、コードその他の情報のことをいいます。
frystavirki frystavirki へのギフトとしてBillithが執筆 :)
若干強めの言葉と、めっちゃキレてる怪しい小動物を含みます。
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アイテム番号: SCP-6549
オブジェクトクラス: SAFE
特別収容プロトコル: SCP-6549は、サイト-184水棲アノマリー収容セクターにある、炭素繊維で補強されたアルミノケイ酸ガラス製の強固な水槽に収容されます。この水槽には環境モニタリング装置と、定期的に栄養分を供給する自動給餌システムが設置されます。
確認されている能力に一貫性が認められないため、職員はSCP-6549への対処に際しては慎重を期すべきです。職員はSCP-6549と近接した状況で発生し得る傷害を軽減するため、保護用アイシールド、パッド入りの手袋、ケブラー繊維ベストを着用する必要があります。いかなる場合も、同席する保安職員が2名以下の状況でSCP-6549を生息域の外に放置すべきではありません。SCP-6549が癇癪を起こした場合は、室内にある任意のカメラを指差してから、優しく「撮影中ですよ」と指摘してください。この対処法は最大80%の確率で攻撃性を一時的に減退させることができます。
説明: SCP-6549は体長約35cmのアノマロカリス・カナデンシス (Anomalocaris canadensis) の一個体の指定名称です。その存在が極端に時代錯誤であることを除けば、化石記録からの予測に基づいて考える限り、SCP-6549は生物学的には非異常です。SCP-6549は360°の視野を有する複眼、キチン質以前の柔らかい外骨格、棘が生えた2本の前部付属肢、移動手段として身体の両側面で同期してうねる一連のヒレを有します。
水上でも長時間生存できる能力などの一部の特性は、発掘された化石から経験的証拠が得られていないため、相対的に異常であるか否かを推論できません。従って、総合的な異常性の有無は、SCP-6549の適切な解剖が行われるまで解明できません。現時点でSCP-6549は老化の兆候を示していませんが、アノマロカリスの平均寿命は判明しておらず、結論を導くための参照枠はほとんど存在しません。
予想される通り、SCP-6549は興奮しやすく、職員が対処する際には概して敵対的に振る舞います。 観察できる限りでは、SCP-6549の主な攻撃手段は棘付きの前部付属肢による殴打であり、より弱い獲物に対しては口中の柔らかい板で打撃を与えます。
しかしながら、過去数週間、SCP-6549が13ヶ国にまたがって25件以上の未解決殺人事件を起こしたことを示す多数の状況証拠が浮上しています。いずれの事件も、追加の異常性が無ければSCP-6549には利用不可能な何らかの道具や技術が関わっていますが、詳細または適切な目撃例が不足しているために、現時点ではこれらの犯行を実行できる能力の有無に関して具体的な推論を行うことができません。テレパシーで接続された共犯者、外部エントロピー的ナノテクノロジー、及び/または反ミーム異次元ハンマースペースが使用された可能性は否定されていません。
伝えられるところによると、SCP-6549はヴィキャンデル=ニード・テクニカル・メディアが制作・放送し、サー・デイヴィッド・アッテンボローがナレーターを務めた海洋生物ドキュメンタリー兼スライス・オブ・ライフ・コメディードラマ、"変化の潮流"タイズ・オブ・チェンジの撮影現場で俳優として働いていました。この番組は第1シーズンの放送開始から間もなく、制作スタッフ間の"創作の方向性の相違"で打ち切りになりました。様々な証言は、番組の後半エピソードにおける登場人物主体の展開がSCP-6549の存在に大きく依存していたため、SCP-6549の解雇が"タイズ・オブ・チェンジ"打ち切りの原因だったことを示しています。
"タイズ・オブ・チェンジ"に対する批評家の評価は概ね好意的なもので、ファンはプラクティカル・エフェクトの使用や、ジャンル・物語媒体として未開拓の方向性を取ったことなどを絶賛しています。一方で、まとまりのない作風、"敗北主義的な"世界観、一部の視聴者が感じた不安感の蔓延などを理由にこの番組を批判する論評もあります。
詳細は以下の補遺を参照してください。
一部抜粋ログ
放送日: 2023年01月14日
注記: "タイズ・オブ・チェンジ" 第1話 - "小銭チェンジをお恵みくだせえ"の録画の一部。
あらすじ: 私たちを取り巻く世界における根本的な変化の必要性について学ぼう! 一方その頃、元受刑者のクリリップ・マカリスターはより良く変化する機会を得るが、この蝦生を好転させたいだけの大エビにとって、それは決して楽な事ではない。
[記録開始]
<カメラ視点は珊瑚礁の鮮やかな広角映像から始まる。色彩も種類も非常に多様な海洋生物が動き回っているのが見える。>
アッテンボロー: この珊瑚礁は何世紀もの間、それこそ皆さんや私には想像もつかないほど昔から存在しています。こんなに小さなタイムスケールの中でさえ、人間の存在は、どういうわけか遥かに取るに足らないように思えてきます。私はデイヴィッド・アッテンボロー。もし皆さんが今、私の声を聞いているとすれば、それはつまり、私の意識がまだヴィキャンデル=ニードのネットワーク放送システムから解放されていないということです。
<カメラ視点が開けた海の一角へとズームインし、濃青色の水中に沈むと、水と泡の音が聞こえる。>
アッテンボロー: 実は、私たちが死ぬ時、私たちの原子はそれまでにないほど強く意識を帯びると言われています。その意識は本当の意味で肉体を離れることは決してなく、夏の朝露のように、薄く広がって周囲を包み込むだけなのです。そう考えると、なかなか美しいことだとは思いませんか?
<サバの群れが協調して泳ぎながら画面を横切る。>
アッテンボロー: あらゆる秩序は無秩序から生まれ、その逆もまた然り。唯一不変なのは変化だけです。私も経験と旅を重ねてきましたが、やはり避けられないという点で、これほど普遍的なものはありますまい。物事は丸く収まり、物事は崩れ去る。
<浅い入り江の水面下から、積み重なった自動車用バッテリーが一斉に腐食する様子が映し出される。>
アッテンボロー: いずれは私たちの身体も機能を停止しますが、私たちは永久にその中で生き続けるのです。
<クジラの死骸が海底で腐敗し、数百匹の生物によって解体される様子のタイムラプス映像。>
アッテンボロー: この情緒に付きまとう悲劇的な皮肉は、私には身体が無いということです。私の肉体は今、魂と一体ではありません。いったい私抜きであいつは何をしているんだろうとよく考えますよ! <含み笑い。>
<カモメが太平洋ゴミベルトからデトリタスを採取する。タコがきらめく透明な水の中を悠然と泳ぐ。>
アッテンボロー: 私たちの原子がこの広大な青い宝石へと広がっていくように、皆さんが摂取している数百万粒のマイクロプラスチックもまた、皆さんの生理機能全体へと広がり、絶えず同化しています。
<四方に広がる開放水域を映す穏やかなパンニングショット。カメラ視点が一時停止し、"タスケテクレ"というテキストが明るい赤色で数秒間表示される。>
アッテンボロー: そして、それらの原子と同じように、皆さんの体内やまだ生まれていない胎児の脳内に忍び込んだ膨大な量の永久化学物質を一つ一つ抽出するというのは、未だに乗り越えられない課題です。
<岩だらけの浜辺と曇り空が映る。人間のカップルが見えるが、裸足で石を踏んでいるために目に見えて不快感を示している。>
アッテンボロー: 万物は地球へと回帰し、その威容と一体になる運命にあります。これらの化学物質も同様に、私たちの本質に溶け込み、ありとあらゆる微細な、壮大な、不可解な変化を私たちの身にもたらす運命にあるのです。
<ウミガメがプラスチック製の6缶パックリングから身を振り解こうとする。>
アッテンボロー: 今はそんなことは一切気にしなくて結構。この仕組みは誰も見ていない時に最高のパフォーマンスを発揮します。
<鮮やかで絵のように美しい別な珊瑚礁へと場面転換する。映像は数秒かけて早回しになり、色彩と動きが目まぐるしく移り変わる。>
アッテンボロー: 数百万年の間に、地球の海洋生物群は数限りない変化と繰り返しに耐えてきました。
<水中で撮影された一連の短いジャンプカット。最初は広大で何も無い海を、その次に緑がかった水中を漂う植物プランクトンが映る。続いて、暗い水中に入り乱れる未知の古代海洋巨大生物。その次は、赤く染まった空と沸騰する海。様々な未知の生物の叫び声が聞こえる。最後の映像は延々と続く穏やかなコンブの森を映す。静寂の中から徐々にホワイトノイズが高まり、唐突に途絶える。>
アッテンボロー: それが世の常だと、私はそう信じています。
<石油プラットフォームが構造上の欠陥によって倒壊し、続いてプラットフォームの各所で一連の爆発が同期して発生する。画面下部に"再現映像です - 適切な安全装備無しでは行わないでください"という小さな断り書きが流れる。>
アッテンボロー: しばしば、これらの変化は人間側の事情によって起こります。
<流出した石油が海面で発火し、炎上しながら、"海洋孤児院"の看板を掲げた浮遊構造物に向かって流れていく。不明な音源からパニックを示す物音が聞こえる。>
アッテンボロー: 時として、それは一瞬のうちに、その美しさを称えるにはあまりにも大規模かつ唐突に起こります。
<隕石が海に落下し、激しい閃光が発せられる。>
アッテンボロー: そうかと思えば、何百年もかけて、やはりあまりにも微妙かつ緩慢に起こる変化もあります。
<数頭のホッキョクグマが、不安定に揺れながら浮遊する海氷の上で身を寄せ合っている。>
アッテンボロー: 生命は進化の過程を経て適応しなければ生き残れません。しかし、世界の他の状況が異なる方向に変化しても、自らのペースを崩さないものもあります。
<人類の古代の祖先である霊長類が Homo sapiens sapiens へと進化してゆくタイムラプス映像。現代人は銃を自分の頭に向けている。>
アッテンボロー: ともかく、インターネットで議論されることがあろうとも、ある者の関心事は他の全ての者たちの関心事です。繰り返される生命の営みが安定していられるのは、それらを結び付ける繋がりがしっかりしているうちだけです。
<先程の珊瑚礁の映像へと戻る。カメラ視点は、一見何の変哲もない死にかけのサンゴへとゆっくりズームインしていく。>
アッテンボロー: さて、この番組はマクロ視点から見た海洋生態系の発展の物語ですが、皆さんは間もなく、特定の関係者たちが、コミュニティの生活において非常に重要な役目を果たしていることを知るでしょう。 <遠くで銃声が聞こえる。> そして、変化に抵抗する者たちにさえ、いずれ変化は訪れます - 大抵は全く予期せぬ形でね。
<画面がさざ波立つようなアマチュア風の場面転換演出があり、ジャズ音楽を伴なって室内セットの映像へと移る。このセットはくり抜かれた巨大なノウサンゴの内部に構築されており、壁はコンクリートに似たブルータリズム様式の明るい灰色である。背景の窓には格子が嵌め込まれている。画面右側から、白黒縞柄の帽子を被り、浮遊する鉄球と鎖を"引きずり"ながら、SCP-6549が登場する。>
アッテンボロー: 彼はクリリップ・マカリスター。元・連続放火犯であり、現在は服役囚です。彼は間もなく元・服役囚になろうとしています、彼にとってはかなり特別な日です。
<SCP-6549はこれから向かうべき方向の指示を探して周囲を見回し、それらしきものをカメラ視点外の左側に見つける。SCP-6549が泳ぎ始めると、カメラ視点がそれを追って移動し、幾つもの受付デスクとドアを映し出す。>
アッテンボロー: クリリップは特に賢いわけでも、この地域で好かれているわけでもありませんが、唯一無二の存在です - 彼の種族のたった1匹の生き残りです。彼はまた、信じられないかもしれませんが、皆さんや私とそれほど違いません。例えば、彼と私はどちらもある種の刑務所にいます。しかし、見たところ、片方はもう一方よりずっと早く釈放されそうですね。
<SCP-6549は受付デスクへの通路を形成する一連の支柱へと泳いでいく。"あなたは家へ帰る必要は無いが、ここに留まることはできない"という大きな看板が見える。映像はSCP-6549を真正面から映す視点に切り替わり、SCP-6549の無表情な目が不満げにカメラを見つめる。映像は再び切り替わり、今度はSCP-6549を背後から映す - SCP-6549は看板の"家"という文字を、ほろ苦い切なさを湛えて見つめていることが暗示されている。>
アッテンボロー: いや、そんなのはおかしい。頼む、私をここから出してくれ。全く冗談じゃないぞ、まだ第1話なのか? 時間 - 時間なんて何の意味も無い! こんなのをあと10話も続けるんだって?
<鞭が空を切るような音が響く。アッテンボローが鋭い叫び声を上げる。>
アッテンボロー: あぅ! 何もそんな時代遅れの - おい! 止めろ! 下がれ。お前らの言う通りにしてやるから - ちょっと待ってくれ。 <深呼吸。> 最後の台詞から。
<合間が空く。SCP-6549はその場に漂うためにヒレを動かし続けているが、それ以外では身動きしていない。>
アッテンボロー: クリリップは、信じられないかもしれませんが、皆さんや私とそれほど違いません。例えば、彼と私はどちらもある種の刑務所にいます。しかし、見たところ、片方はもう一方よりずっと早く釈放されそうですね。
アッテンボロー: そして、皆さんと同じように、彼は現在、ロケ地の至る所に戦略的に設置されたカメラを通して、何百人もの他人に監視されています。
<SCP-6549が受付デスクへと泳いでいくと、デスクの上には刑務官の制服を着たナマコがおり、必死に撮影セットから逃げようとしている。一瞬、何らかの物体が画面左から入り込み、"刑務官"を定位置に押し戻すのが映る。場面が転換し、ナマコの着ぐるみと刑務官の制服を着た人間が、書類に判子を押す様子が映る。場面は先程の視点に戻る。SCP-6549は身をよじって鉄球と鎖を外し、その過程で帽子も脱げる。カメラ視点外から、棒とフックがSCP-6549の私物が入った小さな箱を下ろし、SCP-6549の背中に乗せる。SCP-6549はその後、ドアをくぐって、恐らく未知の可能性を表す眩い白色光の中へと泳いでいき、その途中で危うく箱を落としそうになる。>
アッテンボロー: 誰にとってもそうですが、運命という名の動力は、その造りも行き先も不確かなままです。しかし、この悪賢いクリリップにとって不利な状況なのは確かでしょう。この珊瑚礁の再犯率は予想以上に高く、私たちはただ、この未来の化石くんが矯正機関に入所することが二度とないように願うしかありません。果たして、彼にはその資質があるでしょうか? 彼の新たな旅路がどこへ向かうかは、コマーシャルの後で。応援しているよ、クリリップくん!
<コマーシャルに切り替わる。>
[記録終了]
関連通信ログ
日付: 2023年02月10日、2:29 AM GMT-4
注記: SCP-6549が"タイズ・オブ・チェンジ"を降板させられた背景にいかなる誘因があったかは、正確には判明していない。しかしながら、解雇が行われたとされる翌日の早朝、VKTM広報部連絡責任者のマリ・マクファーソンは、財団が監視していたカナダ国ノバスコシア州ハリファックス近郊の公衆電話から脅迫電話を受けており、その内容からは当日の出来事についてある程度の知見が得られた。SCP-6549はこの通信に関与した疑いがある。書き起こしは次の通り。
[記録開始]
マクファーソン: <眠たげな声で> もしもし?
<水気のあるチャプチャプという音に続いて、荒い息遣いと、キリキリという囀りが聞こえる。>
マクファーソン: 誰なの? <合間。> さては悪戯っ仔Pranklingどもね。もう掛けてこないで! あなたたちはあの呪いが非合法なのを知ってて -
不明人物: <甲高い声だが、非常に真剣な口調で> マリ。俺だ。話がある。
マクファーソン: <合間。> フィル...?
不明人物: <ゴボゴボという音。車両の通行音が聞こえる。>
マクファーソン: <溜め息。> 午前2時半に当たり前みたいに掛けてこないでほしいわね。私たちはもう同僚じゃないし、仕事上でもそれ以外でも、私たち二人の関係はもう存在しないん -
不明人物: <何かに吸い付くような湿った音と同時に、亀裂音が聞こえる。事後の公衆電話の検査では、受話器のカバーが一部潰れていることが確認された。> いや、分かってるとも。俺が理不尽なことしたと思ってんだろ。ただ... 俺の言い分を聞いてくれよ、なあ?
マクファーソン: あなたは昨日、舞台係の大腿骨を粉砕した。誰がどう見たって理不尽に決まってるじゃない。私には目が無いけどそれでも分かるわ。
不明人物: <大きなバンという音。> 理不尽じゃねえよ! どうしてたかがナレーターにハウストレーラーが用意されてるんだ、ええ? それも天下のエアストリームだぜ! 俺だってエアストリームを割り当てられてもいいじゃねえか! アシスタントだっているべきだ。あいつらには俺が必要だ! お前には俺が必要だ!
マクファーソン: ま、プロデューサー陣のその辺の意見は違ったみたいじゃない? それとね、デイヴィッドの宿泊施設は物理実体が無い、文字通りというより比喩的なもの。私たちが彼のトレーラーを"気流"エアストリームって呼ぶのは触れないからなのよ! 彼にギャラを支払わないことを考慮しても、経費はほんの -
不明人物: 番組のポスターに載ってたのは俺の顔だったよな、マリ。俺の才能があの番組を有名にしたんだ、マリ。何だよ、まさか全部あのアップロボローとかいうヘボ司会者のおかげだとでも -
マクファーソン: アッテンボロー。
不明人物: あいつの名前なんかどうだっていい! もう一度チャンスをくれ。お前から誰かに口利きしてくれよ、さもないと厄介なことになるぞ。 <大きなガサガサという音。>
マクファーソン: 今の態度こそが問題の一部なんだけどね、フィル。 <あくび。> あなたは別に最高傑作を成功に導こうとしてるライアン・ゴズリングじゃない。毎週せいぜい500人程度の視聴者しかいない自然ドキュメンタリーのサブプロットに登場する、エンドロールに名前すら出ない大昔の節足動物でしかないの。ぶっちゃけるとね、あれの視聴率は近年のVKTM番組の中でも最低 -
不明人物: <冷淡に> 今なんつった?
マクファーソン: ちょっとやめてよね、あなただってドキュメンタリーの人気が近頃低迷してることぐらい知って -
不明人物: 違う - 俺を"タイズ・オブ・チェンジ"のサブプロット呼ばわりしたか?
マクファーソン: サブプロットの登場人物の1人。
不明人物: でも - 俺てっきり -
マクファーソン: フィル、あなた、あの番組を見た? つまり、一度でも実際に視聴した?
不明人物: <不明瞭なパシャパシャという水音。> おう、ざっと目を通したよ。ドキュメンタリーの部分は退屈だった。それとな、俺は忙しかったんだ。撮影の準備とか。台詞を暗記したり -
マクファーソン: あなたの台詞は無かったでしょ、フィル!
不明人物: ああ、そういうことか。全部ゲス野郎のトニーの仕業だな。どうせあの経理屋が大した予算をよこさなかったんだろ。撮影班がいい感じのストック映像とあのジジイに全部つぎ込んじまって、俺の生活空間に充てる分が十分じゃなくなるように、わざとそうしたんだろ? 奴はいつも俺に嫉妬して、俺のキャリアに傷を付けようと...
マクファーソン: "キャリア"って何? 馬鹿馬鹿しい。あなたはいい加減吹っ切れて先に進むべきよ。プロジェクトからも - この関係からも。
不明人物: おま - お前、俺を - <合間が空き、続いて深呼吸が聞こえる。声が不自然に穏やかになる。> まあそうかもな、お前の言う通りだよ、マリ。お前はいつも正しい。
マクファーソン: その通りよ。私、もう寝るから。おやすみなさい、フィル。
不明人物: おやすみ。悪かった -
<マクファーソンの側で通話が切断される。>
不明人物: - 悪いと思ってなくて悪かった! 俺は悪くねえ! 見てくればっかり気取った霊長類のくせしやがって。 <嘲るような口調で> 'ねえ見て、私ったら直立歩行ができるの! 進化した指節骨があるから道具を握ったり、安定した姿勢でクソッたれの木の上でクソバカ野郎みたいに寝ることができるの!' 何が進化だ、ふざけんな。 <合間。> 今に見てやがれよ。
公衆電話: ご利用なさる場合は、いったん受話器を戻してからもう一度お掛け直しください。お困りの場合は、いったん受話器を戻してからオペレーターにお掛けください。ありがとうございました!
不明人物: <大声で> お前もお前の種族も全員くたばっちまえ!
<不明人物が唸り声をあげ、続いて大きな衝突音が複数回聞こえる - 通話を終了するため、受話器をフックに投げ付けていると推測される。通話はその後間もなく切断される。>
[記録終了]
SCP-6549 受け入れ時記録 書き起こし
日時: 2023年06月23日
注記: SCP-6549は同日早朝に捕獲され、財団によって取得された。以下は、SCP-6549と、サイト-184水棲アノマリー部門の副部門長 エリーゼ・ボーシェンヌの最初のインタビューの簡潔な書き起こしであり、一部の交流には保安職員1名が同席している。
[記録開始]
<ラべリアマイクのスイッチが入る。監視カメラに映っているボーシェンヌは椅子を後ろに引いて、目の前にある金属製のテーブルへと着席し、上の空で溜め息を吐く。約30秒後、部屋のドアがノックされる。>
ボーシェンヌ: ああMouais。 中へどうぞ。テーブルに置いてください。
<1人の保安職員が入室し、唸りながら重い物体をテーブルの固い表面に置く。>
職員: 下がってください。 <合間が空き、続いてボーシェンヌが脚で椅子を後ろへ押しやる擦過音が聞こえる。> そのぐらいで大丈夫です。まず、ご自分でコンテナを開けるのはお勧めしません。あー、あと3人ぐらい呼んだ方が良いでしょう。全員しっかりとパッド入りの服を着てくださいね、何しろこいつときたら回収時にも何度か俺たちを仕留めそうになったんです。第二に -
ボーシェンヌ: あの、"仕留める"とは、具体的にどうやって?
職員: いいですか、後から俺が警告しなかったなんて言われても困りますよ。こいつは遊歩道沿いの出店で母ちゃんが買ってくれるヤドカリとは違うんですから。 <合間。> 失礼ながら。
ボーシェンヌ: 質問に答えてませんね。
職員: いや、実は -
<コンテナが動き、内側からくぐもった大きな叩打音が発せられる。>
職員: <咳払い。> 実はよく分からないんです。と言うより、何を見たかの意見が一致しません。俺はこいつがひょろ長い脚を使って突き刺そうとしたに違いないと思うんですが、ヒギンズは飛び出しナイフを抜くのを確かに見たと -
ボーシェンヌ: 飛び出しナイフ?
職員: 俺も同じことを言いましたが、報告書に目を通していれば、かなり信憑性のある説明だとお分かりでしょう。報告書は読みましたよね? それが2つ目です。
ボーシェンヌ: いえ。小型犬サイズの怒り狂った5億年前のエビを捕獲したと聞いたのは、つい30分ほど前です。生憎、収容エリアの手配に手一杯で、事前知識を仕入れる暇がありませんでした。
職員: 成程。ええとですね、国際諜報機関が一連の殺人事件を追跡していたんです。どれも明らかに激情に駆られての犯行です。ここ最近の数件は手口が同じでした。頭部を貫通する銃創、発砲はゼロ距離から、弾道は下向き、等々。暗殺形式、実にクリーンなやり口。で、当局は掴んでないんですが、被害者は全員VKTMとの繋がりがありましてね。
職員: <身振りでコンテナを指す。> 報告書を読めば分かるでしょうが、こいつにはかなり有力な動機があるんです。怒りを抑制できず、わがままが過ぎてクビになり、ブチ切れてスタッフを攻撃し、面目を失ったVKTMの元俳優ですよ。ところが、どの犯行もこの種の生き物には実行できるはずがないんです。まだ確認されてない異常性が無い限りはね。俺たちの測定・診断の結果は正常でした。
ボーシェンヌ: 奇妙ですね。
職員: ああ、ここからもっと話がこじれますよ。今朝早く、アナハイムの地元警察が銃声の通報を受けて駆け付けた時、このワルを見つけたんですがね。あー、なんかのドキュメンタリーシリーズの制作総指揮者の死体の隣で見つかったそうです。近くには海水溜まりがあって、その中に銃が落ちてました。アノマリーには勿論、親指がありませんが、鑑識はそれが凶器だと確認したので、このチビ助はどうも今回は油断したようです。
<コンテナが激しく揺れ、大きなゴボゴボという音が続く。>
ボーシェンヌ: 今のは何?!Qu'est-ce que c'est?! 蒸留した怒りをチーズクロスで漉したみたいな... どのぐらい頻繁にこういうえげつない音を立てるんです?
職員: しょっちゅうです。絶え間なく。こいつは英語を話せるはずだという奴もいますが、サツに捕まってからは一言も発してません。長い目で見れば黙秘が何かの役に立つと思っているのかもしれない。もしかしたら通訳待ちかもしれないし。 <コンテナの頑丈な鋼鉄を拳で軽く何度か叩く。内部からの音は更に激しくなる。>
ボーシェンヌ: <溜め息。> まあ、この... これの収容体制が既に整っていたのは何よりでした。自動給餌装置はもうすぐ追加できますから、絶対に必要な時以外は誰も近寄らなくて済みます。もしかしたら収容室を防音処理すべきかもしれませんね。いや、それは警戒しすぎでしょうか?
職員: お好きにどうぞ、俺は合衆国ステーツに帰るんで。ただね、警告はしましたよ。あと、ちゃんと書類読んどいてください。
ボーシェンヌ: ん。それではさようなら。
職員: さよなら。
<保安職員が退室する。ドアが閉まる音に反応して、コンテナからくぐもった唸り声が発せられる。>
ボーシェンヌ: さて、あなたをどう扱ったものか...
<湿ったカチカチ、キリキリという囀り。ボーシェンヌは携帯電話で資料に目を通す。>
ボーシェンヌ: ふん。その手には乗りませんよ。あなたは話せるだけでなく、話せないのが苦痛なのでしょう。あなたは有名人ですよね? 有名人はみんな自分の名声に酔っているものでしょう? 誰もが自分の話を聞きたがると思っている。世界は自分を中心に回っているとね。そして、誰の得にもならない、見当違いの独りよがりな行為を繰り返して何もかも失う。
<コンテナが揺れる。叩打音が中から聞こえるが、コンテナは影響を受けていない。>
ボーシェンヌ: 図星ですか? 気に障りました? きっとあなたは人間関係も含めて、全てを失ったに違いありませんね。
<一連の叩打音が発せられる。監視カメラ映像はコンテナが無傷であることを示すが、数ヶ所が外向きに膨らんでいる。>
ボーシェンヌ: どうやらあなたは随分と -
<ボーシェンヌはそっとコンテナに顔を寄せる。>
ボーシェンヌ: <囁き声で> -わがまま セルフィッシュ な甲殻類 シェルフィッシュ のようですねぇ?
SCP-6549: <叫び声。コンテナは内部の荒々しい動きによって音を立てて動く。> クソ女! 言いやがったな! ぶっ殺してやるよ! 俺の存在をダジャレに貶めようってのか? 脚が生えてるのを後悔させてやる! ここから出せ!
<SCP-6549はコンテナの中で暴れ続け、やがて大きな叩打音と共に側面に体当たりして、コンテナをテーブルの上からコンクリートの床に落とす。落下の際、開放ハッチを固定している2個の蝶番のうち1つが床にぶつかり、片方がコンテナから外れ、もう片方が歪む。>
ボーシェンヌ: <立ち上がり、椅子の背もたれから落ちた上着を踏んで後ろに倒れ込む。> ううっ。ち - 畜生。自分が正しい時はろくなことが無い。
<SCP-6549が含み笑いしながらハッチをこじ開け、易々と宙に浮かび上がる。両目は白く発光している。>
SCP-6549: 遂に俺がこの世界の主人公になる時が訪れた。そうすればあいつらは俺を呼び戻す。彼女も俺を呼び戻そうとするはずだ。
ボーシェンヌ: <這って後ずさりし、SCP-6549から距離を取りつつ、出口へ向かおうとする。> こんなことをする必要は -
SCP-6549: ステップ1、全ての競争相手を排除する。まずはお前からだ。
ボーシェンヌ: やめっ...! <身構え、近付いてくる付属肢から顔を覆う。>
<沈黙。数秒後、ボーシェンヌは手を下ろし、SCP-6549が部屋の天井隅で点滅する赤色光に注意を奪われていることに気付く。>
SCP-6549: おい、まさかずっと撮ってたのか?! 合図を見逃したかな。
ボーシェンヌ: え、ええ? そうです! 生放送ですよ。わざわざ運転手に迎えに行かせたのはなぜだと思います? あなたは主人公役に選ばれたんです。これはあなたにとって真のスターダムへの昇格です。
SCP-6549: <歓喜してゴボゴボと音を立てる。> 心のどこかでずっと分かってたんだ。サブプロットじゃないだろ?
ボーシェンヌ: いいえ。この番組にサブプロットは必要ありません。筋が多すぎます。
SCP-6549: <キリキリという囀り。> よっしゃ、乗った!
ボーシェンヌ: あなたの到着を見込んで、個人用の宿舎を用意しました。あなたはこのプロジェクトと密に関わることになるので、サイト内で - いえ、セット内で生活していただきます。
<SCP-6549がカメラから目を逸らす。>
SCP-6549: えっ? 俺自身のトレーラーだって... やっと夢が叶った... ありがとう。
ボーシェンヌ: ゆっくり寛いでくださいね。
簡潔にまとめるため、これ以降の会話は本文書からは省略されている。妄想にふけっている間のSCP-6549は概ね受動的かつ協調的である。この手法の他の応用について研究が進められている。
[記録終了]
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公開年: 2023
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公開年: 19 November 2017