アイテム番号: SCP-555-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-555-JPは性質上、物理的な収容ができません。関連する記録媒体は研究用を除いて全て破壊します。プロトコル"モチモチサメのぷるぷるダンス"に従い、インターネットとテレビを通じて定期的に対立ミームの拡散を行って下さい。SCP-555-JP-aに対する記憶処理は原則として不要です。
説明:SCP-555-JPは"レスキューヒーローズ"と呼ばれる体操と、それに付随する曲と歌詞です。振付は運動生理学に基づいており、柔軟性および平衡感覚の向上に統計上有為な効果があることが財団によって確認されています。
まもれいのちを レスキューヒーローズ
まちにほのおがもえるとき ぼくらはかけつける
けすな いのちを けすんだ ほのおを
ひっさつ フレイムキャンセラー
ぼくらはレスキュー レスキューヒーローズ ゴーゴーゴーすくえいのちを レスキューヒーローズ
たおれたひとがいるかぎり ぼくらはたたかうぞ
おこせ いのちを おこすな あらそい
ひっさつ レクイエムナイン
ぼくらはレスキュー レスキューヒーローズ ゴーゴーゴー(※(注記)以下5番まで存在しますが省略します)
SCP-555-JPの全部あるいは一部を認識した人物は、非常に高い確率でSCP-555-JP-aになります。SCP-555-JP-aには"超電救助隊HERO"と呼ばれる架空の特撮番組を幼少時に見たという記憶が発生します。"超電救助隊HERO"というテレビ番組は存在しませんが、同名の組織が1980年代から非合法な活動をしているのが確認されています。
SCP-555-JP-aはSCP-555-JPを完全にマスターし、健康維持などを目的として、ときおり実行します。これにより、新しいSCP-555-JP-aが発生します。音声記録555を参照して下さい。
音声記録555 - 日付20██/██/██
付記: この会話はサイト-8181内で偶然記録されました。
<録音開始>
SCP-555-JP-a: 必殺うぅ! レクイエムナイン〜!
███研究員: 何してんのよ、エージェント███。
SCP-555-JP-a: ああ、えーと......███さんだっけ? 見ての通り、ちょっとストレッチをね。
███研究員: ストレッチって、今の変なダンスが?
SCP-555-JP-a: あれ、知らない? 超電救助隊HEROの"レスキューヒーローズ"って体操なんだけど。ほら、小学校の運動会とかで見なかった?
███研究員: 聞いたこともないわ。だいたい......いえ......あっ!?
SCP-555-JP-a: どうかしたの?
███研究員: 思い出した、あったあった! 98年ぐらいかしら、日曜日の朝にやってたヤツでしょ! クラスの男子が大騒ぎしてたわ。うわー懐かしい......。
SCP-555-JP-a: この体操、ストレッチにちょうど良くてさ。いやあ、女の子も観てたんだな、超電救助隊HERO。
███研究員: こう見えても結構好きなのよ、ああいうの。完全に忘れてたけどね。
SCP-555-JP-a: ███さんもやらない? 凝りが取れるよ。
███研究員: それもいいけど、せっかくだからお昼にしない? 超電救助隊の話もしたいし。
SCP-555-JP-a: おっ、いいねえ。俺はポリスチームのことなら、何でも知ってるぜ。
███研究員: 私はレスキューチームのことなら、何でも知ってるわ。
SCP-555-JP-a: それなら今度、俺んち来ないか? トリアージBLACKのフィギュアが再販されたんだけど、見せびらかす相手がいなくてさ。
███研究員: あら、悪くないわね。 お邪魔しちゃおうかな?
SCP-555-JP-a: どうぞどうぞ。しかしお堅い博士だと思ってたあんたに、こんな話題が通じるなんて意外だよ。
███研究員: 財団職員なら誰でも一度ぐらい、ヒーローに憧れたことがあるんじゃない?
SCP-555-JP-a: なるほど、それもそうだな。<録音終了>
終了報告書: SCP-555-JP-aと███研究員は極めて不仲であったにも関わらず、この一件以来急速に親密になりました。結婚式の余興による大規模なミーム災害の後、関係者は全員クラスB記憶処理を受けました。現在はSCP-555-JPおよび"超電救助隊HERO"の記憶を失っており、ミーム災害の影響下にありません。SCP-555-JP-aのアパートからは、関連する物品が多数回収されました。これらに特異性はありませんでした。分析: SCP-555-JP-aだったエージェント・███と███研究員の婚姻関係は現在も円滑に継続しているため、ミーム災害によって変化した人間関係は変わらないものと考えられます。このミーム災害による広範な社会的混乱が予想されます。
SCP-555-JP-aとなった人物同士は、立場や価値観などのあらゆる違いを乗り越えて互いに親近感を覚えます。場合によっては所属する組織を裏切るなど、破滅的な事態をもたらす行動にも躊躇しなくなります。その行動原理は"超電救助隊HEROの素晴らしさを多くの人に知らしめる"ことで一貫しています。SCP-555-JP-aの総数は不明ですが、社会的影響力のある人物が多数含まれていることが確認されています。
僕が脚本家を志したのは、ガキの頃にモノクロブラウン管の中で"超電救助隊HERO"っていう最高にカッコイイ奴らと出会ったからだ。ヒーローなんて嘘っぱちだ、自分の人生にも命にも価値なんてない。そう思ってた僕の魂を激しく揺さぶったんだ。
SCP-555-JPは2000年代前半に、ごく一部の映像記録媒体を通じてのみ拡散されていましたが、現在は財団によって全媒体が回収されています。上記の書籍および著者は適切に処理されましたが、より大きな脅威となった事例が確認されています。
20██年、████震災後に超党派の国会議員連盟が誕生しました。救助組織への支援などを目的として掲げていましたが、財団の調査によって関係者全員がSCP-555-JP-aとなっていたことを確認しました。████党幹事長と████党首を含む全議員が離党を準備し、新党"緋色の党"を結党しようとしたため、財団が介入。適切な処置によって混乱は最小限に留まりましたが、超党派議員連盟は現在も存続しています。監視は継続中です。
補遺1: 財団による実験の結果、SCP-555-JPの特異性を容易に予防・消失できることが判明しました。財団フロント企業がSCP-555-JPに異なる歌詞と曲をつけ、"マオろうしのカンフーたいそう"として放送したところ、視聴したSCP-555-JP-aの全員が特異性を喪失し、"超電救助隊HERO"に関する記憶を失っていました。またSCP-555-JPのミーム災害への耐性が確認されました。
補遺2: エージェント・███と███研究員の2歳の長男がSCP-555-JP-aであることが判明しました。ミーム災害を受けた時期は不明ですが、遺伝的あるいは社会的な感染ルートが現在も存在すると考えられます。これにより特別収容プロトコルが改訂され、より強力な対立ミームを定期的に拡散することが決定されました。