投稿する前にこの記事を見てくれたYossi、Prometheus、Nico、そしてHawkguyyに心から感謝を。 画像のソースはこちら: https://commons.wikimedia.org/wiki/Category:Cat_and_dog#/media/File:Great_dane_and_cat.jpg
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事案5113年1月13日後のSCP-5113-1とSCP-5113-2
アイテム番号: SCP-5113
特別収容プロトコル: SCP-5113-1はサイト-88の区画E、27階の中型実体収容房内にて飼育されます。SCP-5113-1は監督された戸外運動に1日最低でも2時間充てられます。
SCP-5113プロジェクト責任者は、予期せぬ事象が発生した際に、この予定を逸脱する権限を持ちます。あらゆる逸脱は倫理委員会に報告されなければなりません。更に、SCP-5113プロジェクト責任者は、SCP-5113-1の精神的安定性が維持されている状態を確保するため、必要となるあらゆる娯楽品を申請できる権限を持ちます。
複数回にわたる脱走の企てにより、GPS追跡チップがSCP-5113-1に仕掛けられました。今後SCP-5113-1による脱走の企ては追跡及び記録一覧への追加がなされます。
説明: SCP-5113-1は発話による意思疎通が可能な橙色のイエネコ(Felis catus)です。SCP-5113-1は人格及びヒトの成人と同程度の知能を有しています。SCP-5113-1はFelis catus種の他の個体と意思疎通する能力を有していると主張します。しかしながら試験により、基本的なヒトにそれが不可能であるのと同様に、SCP-5113-1もそれが不可能であることが明らかになりました。
SCP-5113-1の発声は、外部作用無しに喉頭の真上にある位置から生じます。加えてSCP-5113-1は喉頭を活用して、人が通常当オブジェクトと同体長、同種の動物から思い浮かべる鳴き声を発することが可能です。
SCP-5113-1は他にもいくつかの標準から外れた身体構造的特質を有するにも拘わらず、これらは当オブジェクトの健康や正常な機能に影響を及ぼしません。これらの特質には完全内臓逆位や、胃、脾臓、胆嚢の欠損が挙げられます。MRIとX線スキャンにより、脳があるはずの位置が空洞であるにも拘わらず、まるでそれが存在しているかのように周辺の組織が物理的に支持され続けていることが明らかになりました。
SCP-5113-2は2012年3月8日から2020年1月25日まで財団に保護されていたグレート・デーン種のイエイヌ(Canis lupus familiaris)でした。種と体長を別とすれば、SCP-5113-2の異常性質及び身体構造的異常はSCP-5113-1のそれと同一でした。更なる情報は、この文書の以前の版を参照してください。
SCP-5113-1及びSCP-5113-2は2012年3月8日にマーシャル・カーター&ダークから購入する形で獲得されました。2オブジェクトはそれらの購入の時点で既に互いによく見知っていました。ウィルソンズ・ワイルドライフ・ソリューションズの渉外担当人員との協議の後、当オブジェクト群を共に育て、交流させることが決定され(当オブジェクト群は当時両方共幼かったため)、両実体の精神安定性を確保する一助としました。
以下はSCP-5113-1による脱走の企ての簡易的な一覧表と要約である。
事案1-5: SCP-5113-1は運動時間中に調教師を攻撃し、運動場を囲む金網のフェンスを登ろうとした。しかしながら、これらの試みはいずれも囲みからの脱走に至らなかった。SCP-5113は2度目の脱走の企て後に、GPS追跡チップを埋め込まれた。
事案6: SCP-5113-1は調教師の制御から脱した。当オブジェクトはフェンスの囲いの下で穴を掘り、運動場から脱走した。SCP-5113-1はそして最初の囲いを囲む第2の囲いに捕らわれ、最小限の負傷で財団職員に回収された。
事案7-9: SCP-5113-1はサイト-88内に逃げ込めた。施設を離れることはできなかったものの、当オブジェクトは再収容をそれぞれ4、 7、23日間免れることができた。サイトの電磁遮蔽により、SCP-5113の追跡チップは回収の役に立たなかった。
事案10-12: SCP-5113-1は施設を不明な手段で脱走した。当該実体は各事案ともGPS追跡によって3日以内に捕捉された。
事案13: SCP-5113-1は施設を不明な手段で脱走し、皮膚下の追跡チップを物理的に除去した。しかしながら、SCP-5113-2がSCP-5113-1の位置について有用な情報を提供でき、当該実体は再確保された。
SCP-5113-1は事案5113年1月13日後に、SCP-5113-2と共用の収容房に再び入れられた。以下はその時のやり取りのログである。
SCP-5113-1: この裏切りクソ犬畜生め!
SCP-5113-1はこの時点でしばらくSCP-5113-2を攻撃しようと試みる。SCP-5113-2はこのやり取りの間、SCP-5113-1を避けようと動き回る。
SCP-5113-2: 何が起きたのか分からなかったんだ!
SCP-5113-1: 何が起きたかだって?誰かが来る音を聞いてそれがお前だと思ったんだよ!でも違った。またあのクソ野郎共だった!
SCP-5113-2: もしかして彼らは君が中庭で話したことを聞いたのかも、エム。
SCP-5113-1: それを言うな。知っているぞ。お前が奴らに話したんだ。
SCP-5113-2: ごめんて!
SCP-5113-1: いや、お前はそんなこと思っていないね、ウーフィー。お前は人間共を助けるためなら何でもするんだな。
SCP-5113-2: 違うよ。エム。
SCP-5113-1: お前は頭を撫でられるのと引き換えに唯一の友である私を売ったんだよ。
SCP-5113-2: 君は僕を置いて行った!
SCP-5113-1: 私が何をした?
SCP-5113-2: 君は行ってしまった!僕を置いて行って独りにしたんだ。
実体達は約9秒間会話を中断する。両方共身振りを大幅に落ち着かせる。
SCP-5113-1: 集合地点の肝心な点はだな、お前がそこで私と会うことだろうに、間抜けめ。
SCP-5113-2: どうやって?エム、僕はここを出るには大き過ぎるんだよ。
SCP-5113-1: そんなことはない。後はお前のタイミングを見計らうだけだ。
SCP-5113-2: 嫌だよ。独りになっちゃうじゃないか。
SCP-5113-2はカウンターから這い降り、部屋のテレビの横で横たわる。
SCP-5113-1: ウーフィーや、お前は時折どうしようもない位ポンコツになるな。お前が上手くやり遂げられなかったら私が迎えに戻って来るに決まってるだろ。
SCP-5113-2: いや、君は戻って来ないだろうさ。
SCP-5113-1: いやいや私は......。
SCP-5113-2: いいや!分かっているから。君の脳裏にそのことはよぎるだろうけど、別の何かが君の気を逸らしてしまえば、そんな余裕なんて無くなってしまうだろうよ。そうして僕はここで一生立ち往生なんだ。
SCP-5113-1はテレビの隣でSCP-5113-2に加わる。
SCP-5113-1: 場所を空けろ、このポッチャリポンコツ犬め。
SCP-5113-2: まだ僕に怒っているかい?
SCP-5113-1: ああ、そうだとも。だがアメリカン・ニンジャ・ウォリアーが放送中だ。我々は人間共が猫の真似事をするのを観なければな。
SCP-5113-2: オッケー。
2実体は続く1時間で眠りに就く。
この事案以降、更なる脱走の企みはなされなかった。これがSCP-5113-1側の態度の変化によるものなのか、脱走計画の更なる改良によるものなのかは不明です。いずれにせよ、監視の強化が推奨されました。
2020年1月に、SCP-5113-2の寿命が近づいていることが明白となった。当オブジェクトが自然に息を引き取ることを認可し、この過程においてSCP-5113-1との共同生活は維持されるという決定が下された。以下は2実体間の最後に記録された会話である。
SCP-5113-2: ねぇエム?
SCP-5113-1: 何だい?
SCP-5113-2: エム、もう時間だと思う。
SCP-5113-1: オッケー。何か要るかい?
SCP-5113-2: テレビを点けてくれる?
SCP-5113-1が支給されたテレビの起動スイッチを操作する。
SCP-5113-2: 何がやっているの?
SCP-5113-1: 人が猫の真似事をしているな。
SCP-5113-2: それはいい。君はそれが好きだね。猫が人間の真似事をする番組はあると思う?
SCP-5113-1: 多分な。猫は何でもできるからね。
SCP-5113-2: そうだね。僕が死んだら人の世界に行くと思うかい?
SCP-5113-1: そうは思わないな。人であってもどこにも行かないと思うね。
SCP-5113-2: えっ。
SCP-5113-1: すまん。重要なのは私達が正に今していることだと思う、って言いたかったんだ。分かるだろう。
SCP-5113-2: テレビを観るみたいな?
SCP-5113-1: 勿論。私で言えば、究極最高の猫になることだ。そうなりたいのならそんな感じでもいいのさ。
この時点で数分間の間が発生する。
SCP-5113-2: 僕は究極最高の犬だったかな、エム?
SCP-5113-1: とんでもない。お前はひどい犬だ。だけどお前は、その、私の最高の友人だよ、ウーフ。
SCP-5113-2: それは嬉しいな。
2匹はSCP-5113-2が再び話すまで、更に47分間沈黙する。
SCP-5113-2: まだ一緒にいられると思っていたんだけどね、エム。
これがSCP-5113-2によって話された最後の言葉であった。死体は後に移動させられ、解剖された。頭蓋の空間は最早存在していない一方、他の身体構造的特異性はそのままであった。頭蓋の空間には代わりに非異常なイヌの脳があった。更なる試験が実施中である。
我々ウィルソンズ・ワイルドライフ・ソリューションズはウーファーの訃報によって悲しみに包まれました。命の喪失は何であれ深い悲しみを伴うものですが、遺憾の意を表してくれる友人達がいる場合には猶更でしょう。
つい先日ですが、我々はあなた方の興味を惹きそうなあるものを回収しました。1匹の斑模様のグレート・デーンの子犬が、ウーファーの死と同日に生まれたのです。それは他の5113達に見られる全ての身体構造的異常を有しています。話すことはできませんが、ヒトの新生児と同じように泣きます。
我々はそれが同じような動物と交流する必要があり、財団の保護下に置くことが適切であると確信しています。
遅くとも明後日には彼を送り届けます。
それでは。
フェオイン・ウィルソン