SCP-4890
評価: +15

アイテム番号: SCP-4890

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-4890はサイト-13の保管ロッカー-23内に収められています。実験はレベル3職員の承認の下、実験チャンバー17にて実施されます。

説明: SCP-4890は『ワンダーテインメント博士の歴史ガイド』と題されたハードカバー装丁の、子供向けの飛び出す絵本であり、表紙の中心部には様式化されたWが描かれています。本の裏表紙にはSCP-4890-1を収納するポケットが貼り付けられています。SCP-4890-1は身長0.147m、紫のスーツを纏い、蝶ネクタイを付け、杖と帽子を携えた人物を象った折り紙です。胸部の箇所には小さく様式化されたWが描かれています。

SCP-4890の異常性は室内にて知性体が対象の頁を開いた時に発現します。SCP-4890が意図して開かれた部屋は果てがないと思われる紫色の空間らしきものに変化します。いかなる探索も本来の部屋の広さと一致する不可視の障壁により阻まれます。一枚のドアが変化した室内に出現し、出入りが可能になります。この現象が発生すると、SCP-4890-1は巨大な煙の塊に包まれると同時に活性化し、身長が1.4mまで伸びて動き始めます。

SCP-4890-1は知性を備えており、英語での会話が可能です。殆どは熱意に溢れた口調で話し、職員に対しては自らを"ペイパーテインメント博士"と称します。SCP-4890-1は周囲の空間を歴史上の時代やイベントへと変化させる形で無限の空間を改変し、そこで進行中の出来事を解説するガイド役として振舞います。しかしながらはSCP-4890-1が言及する説明は正確性を欠いたり、不合理な点が見られたり、これまで発生したという証拠が存在しない場合もあります。使用者はSCP-4890-1に対して特定の時代を見せるよう要求を出すことが可能ですが、要求がない場合はランダムに一場面を選択します。補遺01並びに補遺02を参照してください。

室内が変化すると、SCP-4890はめくり上がって周囲に映し出されるのと一致する挿絵が載ったページを開きます。また、SCP-4890の総ページ数は不明であり、計測する試みが進行中ですが結論は出ていません。

SCP-4890は7/14/2009、ネブラスカ州リンカーンに位置する図書館にて、無関係の調査を遂行中の財団エージェントにより発見されました。

補遺01: 以下は初期の実験中、ゲイルスバーグ博士が実験チェンバー12内にてSCP-4890-1と交わしたやり取りの記録です。

<ログ開始>
SCP-4890-1: ごきげんよう、ワンダーテインメント博士の歴史ガイドにようこそ。吾輩はペイパーテインメント博士、そして君専属の歴史に知悉したガイド役だ!
ゲイルスバーグ博士: あー、こんにちは。博士のゲイルスバーグです。
SCP-4890-1: おや、先生ときたか!お会いできて光栄だ![帽子を軽く持ち上げる]いつに行きたいとお考えで?
ゲイルスバーグ博士: いつ?
SCP-4890-1: 左様。会いに行きたいのは昔日の騎士たちかね、それともエジプトのファラオ達かな!?君の望むものならなんでも御座れだ!
ゲイルスバーグ博士: ふぅむ、分かりました。でしたら….白亜紀の時代なんてのは?
SCP-4890-1: お任せあれ![杖を回す]
[周囲の光景はジャングルに似たものへと変化し、遠方には火山が確認できる。]
SCP-4890-1: おお、恐竜たちか!この時代ならではだ。この時代について特段説明する事は無いな、ただムッシャシャムッシャムッシャッシャは外せないぞ。さながら古き良きT・レックスだ!
[遠方より咆哮が聞こえてくる。]
ゲイルスバーグ博士: なるほど、私たちは襲われたりしませんよね?
SCP-4890-1: 心配ご無用!とにかく、さっきの話の繰り返しになるが、この時代について話すべき事は何もないんだ。未来にどんな影響を及ぼしたかとなると変わってくるけどね!この時代がなければワンダーテインメント博士のダイナミック恐竜野郎Dynamic Dino Dude、あるいはリトル・ミスターズのミスター・白亜紀は生まれなかった…けれども悲しいかな、彼の作った製品は絶滅してしまったのさ![笑い声をあげる]それはそれとして、君の分を買えるのは忘れないでくれよ?吾輩たちはどこにいるんだ?そうとも、恐竜を見るのは楽しいものさ。一頭見に行ってみよう!
[茂みの奥からトリケラトプス・プロルススが現れ、別の茂みへと分け入っていき姿を消す。]
SCP-4890-1: あー。そう来たか。クールじゃない。期待外れだな。とはいえこの辺りには見るべき名所はたくさんある。カウボーイはお好きかな?
ゲイルスバーグ博士: え….いや。そんな事はないです。なんでまた?
SCP-4890-1: 君はもっとイケてるやつが好みだろうと思ってね。TNTでT・レックスの頭がボーンするのを見た事はあるかな?イケてるさ、されど悲しいかなレクシィよ…。とにかく、直にファンシー・ディーノがここまで来てくれて君に合った注文を聞いてくれる。少しばかりここから見えると思うがね。[上を指差す。]
[小さな眩い光が空に確認できる。]
SCP-4890-1: おお、なんたる素晴らしさかな。
ゲイルスバーグ博士: あれは隕石では?
SCP-4890-1: ご名答、それも格別な奴だ。この頃だと5ドルあれば十分だ。今かね、左を御覧あれ、目の前にいるのがヴェロキベルトルVelocihonktorピエロヌスclownusだ。獲物を狩る時や捕食者から逃げる時には優れたジョークを口ずさんだんだ。
[ピエロのスーツを着こなし、自転車ベルを携えた一頭のヴェロキラプトルが茂みから飛び出すのを確認する。]
ゲイルスバーグ博士: ええと、ありがとうございました。この辺でお開きにしたいと思います。[ドアへ向かうと周囲の風景が消えていく。]
SCP-4890-1: では、またお越しあれ!ここで見せたい光景はたくさんある。次なる機会に!
[ゲイルスバーグ博士が実験チェンバー12から退室する。]
<ログ終了>

補遺02: 実験ログ

イベント内容: ユリウス・カエサルの暗殺
結果: SCP-4890-1はユリウス・カエサルが暗殺されておらず、複数の事業を始めたと主張して光景を見せる。事業にはラスベガスのシーザーズ・パレスとピザチェーンのリトル・シーザーズが含まれている。

イベント内容: ヒンデンブルク号爆発事故
結果: 説明内容は一点を除いて正確。SCP-4890-1は死亡者数を既知の36名ではなく、57名と主張する。実体は増えた分の犠牲者の正体は無賃搭乗を試みて機内に隠れていたピエロ達だったと解説する。

イベント内容: 月面着陸
結果: SCP-4890-1は本題から脱線するや否や陰謀論が事実であるかのように説明を開始。それだけでなく、SCP-4890-1は財団の関与や[データ削除済]に関する自身の見解を述べる。

イベント内容: スターリングラードの戦い
結果: 当初SCP-4890-1は史実を正確に語るも、途中からドイツとソビエト連邦による異常兵器の投入について説明を始める。言及された武器の種類としては次のものがある。

SCP-4890-1は更なる説明が出来なかった。

イベント内容: ギザの三大ピラミッドの建造
結果: SCP-4890-1は石積み技術の様々な方法、エジプト人の手で大規模な遺伝子操作を施された人間の採用を挙げる。SCP-4890-1は「エイリアンの仕業よりもずっと説得力がある、そう思わないかね?」と述べて解説を締めくくる。

イベント内容: アレクサンドリア図書館を襲った災厄
結果: 図書館を焼失させた火災の原因について、とある蛇の手のメンバーが館内で煙草を一服したためと主張する。

イベント内容: 宇宙誕生
結果: 宇宙の誕生の説明から最初から入るのではなく、SCP-4890-1は研究者たちに「多くの宇宙を生み出す実験を教えてあげよう!」とSCP-1696実例を購入するようセールストークを繰り広げる。職員が申し出を断ると、SCP-4890-1は失望した態度を見せ、続けて「恐らくこの手でいけば君達を納得させられるだろう。」と呟きながら室内環境を無の真空空間へと変化させる。その後で、SCP-4890-1がビッグバン理論についての説明をすると、部屋は数秒の間、猛烈な明るさに包まれる。その後、SCP-4890-1が最初の星々と説明する小さな光が、暫くして遠方の銀河が確認できる。
SCP-4890-1はそれから茫然自失の状態にある職員を相手にもう一度、研究者たちがSCP-1696実例を絶対に買わないと決めたかどうかを尋ねる。申し出を承諾すると、SCP-4890-1はワンダーテインメント博士運営の既に閉鎖済みであるWebサイトの情報と宇宙をテーマとする製品の割引コードが載った小さな紙きれを取り出す。

イベント内容: SCP-4890-1の誕生
結果: SCP-4890-1は本題の説明について喜びの気持ちを表明するものの、興味が持てるものでもなく、ポリシーに反するとして拒絶する。

イベント内容: ボストン茶会事件
結果: SCP-4890-1は問題の事件を文字通りの茶会であり、入植者たちがボストン港に茶葉を投棄した結果、居合わせた一頭のクジラが茶を堪能できたと解説する。

補遺03: レベル4クリアランス要求

以下は史上最古の戦争についてSCP-4890-1に質問した際の記録からの抜粋です。周囲には影絵が形成されていました。

むかーしむかし、人間たちは不気味な世界に怯えながら洞窟の中に縮こまっていた。人間が洞窟より外の世界へ出ると、 半端者モフモフのような兄弟たちと共に流浪していたが、本人たちの言葉を借りれば神々と呼ばれる大いなる獣を目にした。獣たちは地球と天空を共に分かち合いたいと毛ほども思わなかった連中だ。あーら大変!
ある日のこと、どでかい戦いの火蓋が切って落とされた。これが史上最古の戦争だ。人間は兄弟たちと共に、才能を武器にし、友好的な神々の手を借り、大いなる悪夢の軍団に立ち向かった。最後は人間と同盟軍は戦争で勝利を収め、悪夢の残党どもは世界の暗闇へと逃げていった。彼らは勝利を喜んだが、一方で多くの仲間との永久の別れを強いられた。泣ける話さ。
お話はここまで!もっと詳しく説明も出来るが、話す事柄があり過ぎて、時間が足りなくなってしまう。それに説明しない方が吾輩は楽になる。君たちみんなも正確に言えば、史上最古の戦争は終結を迎えてなどいない。とにかくだ、他に聞きたいことはあるかね?

要求にもかかわらず、SCP-4890-1は更なる説明を拒絶しました。

ページリビジョン: 5, 最終更新: 21 Feb 2024 12:32
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