クレジット
タイトル: SCP-4815 - 無価値な託宣囚われ予言者の
オリジナル: SCP-4815 - Busted Oracle
原著者: faminepulse faminepulse
翻訳者: DirStarFish DirStarFish
査読者: kagayoh kagayoh
作成年(EN): 2019年
参照リビジョン: rev.10
アイテム番号: SCP-4815
オブジェクトクラス: Neutralized
特別収容プロトコル: SCP-4815の遺体はサイト-12の収容ロッカー4805内に保管されなければなりません。SCP-4815の遺体を対象とする実験は現行の人型生物用倫委プロトコルに従い、禁止されています。
説明: SCP-4815はテレサ・ミラーという名前の、56歳になる老齢の女性です。SCP-4815は将来、人生の過去のある時点の自分自身との心理的交信を可能にしてくれるであろう、時空現象に遭遇すると主張しています。SCP-4815は交信相手の声は85歳であるとも主張しています。問題の声、もしくは未来において存在しているSCP-4815実例はSCP-4815-1と呼称されます。
SCP-4815は体験することになっているイベントの予測が可能です。但しその精度は完全に、SCP-4815-1が伝えた情報に左右されます。SCP-4815はSCP-4815-1が発生するであろうイベントを必ずしも正確に教えてくれるわけではないと証言しています。
SCP-4815はSCP-4815-1の影響力に関係する行動面と感情面での障害を有し、深刻な不安から来る強迫的な行動と思考を体感しています。SCP-4815-1からSCP-4815に伝えられた情報の中には不正確であったり、悪意のあるものも含まれます。更なる情報と本人証言は添付された補遺から閲覧可能です。
SCP-4815は青年期以降、この声を耳にし続けていたと主張しています。それにもかかわらず、SCP-4815はありふれた人生を過ごし、地元の精神衛生センターを受診して、医療スタッフに予知能力を実証して見せて初めて、財団の注意を引きました。[サイト-18職員によって同地域の医療記録は解析され、収容プロトコルが策定されました。]
SCP-4815-1の素性は分かっていません。SCP-4815はSCP-4815-1が昏睡状態に置かれている、もしくは"目覚められない"場所にいると主張しています。
関連資料: テレサ・ミラーの日記から得られた証言
2000年2月25日 年老いた私
幼少期から、あの女の声が聞こえてきた。あの女はお喋りを止めようとしないように思えた。あの女は私が何をするべきか、どこへ行くべきか、これとかあれをどう止めるべきか伝えてきた。私がどうあるべきと考えていたか、分かる?あの女にもし私のやり方でやったのなら、違う結果になるでしょうねと伝えたのだけれど、あの女は既に経験しているから、より良い結果になるって言ってきた。あの女の声に耳を傾ける時間が長ければ長くなるほど、あの女の言葉が本当に正しいと思えなくなっていった。私専用の予言の自己成就だと思った。もしあの女の言うことに耳を傾けていなければ、私はもっと恵まれていたでしょうね、本当に。あの女がやっているのは、人生の追体験よ。
あの女は、ある時点でしくじったんじゃないかな。今の私のじゃない。私自身だとは本気で思えない、絶対に。もしも、あの女がやらなかったことを伝えているのだとしたら、あの女が最初は上手くいかなかったってことになる。そのことには、すぐ気づいた。もし私はそうしたのに、あの女がそうしなかったのなら、あの女は私とは別人ね。
あの女にとって私は二度目のチャンスだと思う。もし今後の人生で、この女と出くわす機会があったのなら、もし本当に85歳になった時には….もし若い頃の私を振り返り始めたら、そしたらその場に突っ伏してお陀仏でしょうね、さもなくば、せめて誰かが安楽死させてくれればいいんだけれど。
2002年3月26日 信用
19の時だった、と思う。バス停から歩いて行った。タイヤがキーっと立てる音を耳にした。どこかのクソッタレがバスを避けて、そのまま真っすぐトラックに激突するところだった。老い耄れテレサから逃げるように言われ、ほんの一瞬の後にあの音が聞こえてきた。そして、あの超大バカが私の傍を通り過ぎて街灯へとぶつかっていった。その車の助手席側のサイドミラーが腕を掠った。
老い耄れテレサがいなければ免れられなかった"ニアミス"を何度も何度も経験した。それで、あの女を本気で信じるようになった。さながら1週間おきに、私の死体が交差点周辺に横たわっていたんじゃないかって感じ。そこまで不幸な人は誰もいないし、この世界ではどこにもそんな風になる場所なんてないし、私だってそうだし、私が育った近所だってこの手の厄介事にそう頻繁に巻き込まれる人なんていやしなかっただろう。
2008年1月15日 作用
誰もが私を傷つけてくるだろう、それを苦手に思ってる人だって実際にいる。
私は両親以上に両親らしい考えを持っていた。基本的なことは独学だった。でも選択肢は限られていた。老い耄れテレサが教えていたのは、両親が教えてこなかったからじゃないかしら。子供の時には、世間で必要とされる大人にならなければいけないという声を耳にした。あの女はそれを心に深く刻み込んでいたのだろう。
問題なのはこれまで一度も、私らしい生き方をしてこなかったということだ。というよりも無理だった。正しいことをしていないと思っていると、老い耄れテレサの小言で頭が溢れかえってしまう。病院を受診した。思考を分類して無駄な考えや選択肢を拾い上げ、精神上のごみ箱に捨てられるようになるテクニックを先生から学んだ。重病に効く術であり、多くの人々は押し潰されてオシマイだ。
けど私の場合…頭の中で婆が喧しくしているの、旋回する音が聞こえてくる蓋のない球頭が首元にはくっついている。その球を捨て去るなんて無理。私が寝ていると、あの女が起こしてくる。現実での出来事と頭の中で関連させちゃっている夢の中で、あの女の声が聞こえてくる。あの阿婆擦れめ。
穿孔手術について聞くのはこれが初めてだったりするんだっけ?受けてみようかな。
2012年12月12日 宝くじが当たらない理由
もし私が老い耄れテレサなら、老い耄れテレサは幸運な人生を送るのに値しない人物だった。
2014年1月29日 大っ嫌い
老い耄れテレサは"私が若い頃には"という声を耳にし、今でも変わらずに、その声を耳にし続けている。さながら、私を虐げる有意義な手を失いつつあるかのように。
もしあの女に会ったら、殺してやるつもりだ。
2016年5月12日
あの女に、もうすぐ会える。
補遺A: SCP-4815は2017年2月15日時点で無力化オブジェクトと見なされました。2016年12月15日朝、SCP-4815は精神病エピソード状態に陥り、自傷行為に及ぼうとし始めました。この時点でSCP-4815は鎮静され、その後老衰により死亡しました。
未来の記録において、SCP-4815は一般市民テレサ・ミラーと呼称されます。
本ページを引用する際の表記:
「SCP-4815」著作権者: faminepulse 出典: SCP財団Wiki http://scp-jp.wikidot.com/scp-4815 ライセンス: CC BY-SA 3.0
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