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特別収容プロトコル
SCP-4421 アーカイブ画像
1983年1月3日現在、財団とLoI-504 ("死想通り"ラ・リュー・マカーブラー)の指導者の間に結ばれた継続的な協定によって、SCP-4421は既に収容下にはありません。SCP-4421を再度収容する必要が生じた場合、LoI-504とその居住者に精通している機動部隊ベータ-2 ("バイユー・ボーイズ")が回収活動を始めるべきです。
ニューオーリンズ及びグレーター・ルイジアナ地域の財団資産は、財団とLoI-504の継続的な"関係"について通達を受け、協定違反行為が行われていないかを監視するべきです。違反が確認された場合、当該職員は直接サイト-93司令部に連絡・報告するべきです。ニューオーリンズ地域、特にフレンチ・クオーターを中心とする異常な交通の出入りは、制約付きの要注意人物やレベル-3要注意団体関係者が移動していないかを監視する必要があります。
SCP-4421には当初GPS追跡装置が取り付けられていましたが、PoI-504-L (パパ・レグバ)への返却後間もなく機能を停止しました。最後に確認された所在地は、ルイジアナ州ニューオーリンズのフレンチ・クオーター地区にあるジャクソン広場でした。SCP-4421は現在もこの地域か、もしくはLoI-504の経路封鎖済ネクサスにあると仮定されます。
SCP-4421は聖遺物サイト-76で標準的な鉛張りの収容ロッカーに保管されます。SCP-4421の性質上、如何なる状況であれ、フードゥー信仰の実践者やヴードゥー教徒は、収容エリア周辺100mの立入禁止区域への入場を認められません。
上記信仰の実践者が立入禁止区域に侵入した場合、現地の保安職員は当該侵入者をSCP-4421-1個体として扱い、あらゆる必要武力を以てSCP-4421の収奪を阻止するべきです。
SCP-4421の研究、または他オブジェクトの研究におけるSCP-4421の運用を希望する研究者は、最大評価値が3である信仰Faith・聖職Ecclesiastic・宗教Religious (FEaR)指標に不合格であることが求められます。
説明
SCP-4421は非常に凝った装飾が施された歩行杖であり、頂点部には数種類の異なる動物のうち1匹の姿が精緻に彫刻されています。柄に沿って彫られた彫刻も変化することが確認されていますが、こちらは多くの場合、大西洋奴隷貿易の様々な情景を描いた図像となります。
杖本体はウェンジに似通った暗色の木材から手作業で彫られたように見えます。SCP-4421が生成する高レベルのアキヴァ放射によって、木材の試験はほとんど決定的な結果を得られなかったため、これはあくまでも有識者による仮説です。
上述したアキヴァ放射特性と、前所有者の性質を踏まえて、SCP-4421はクラス3宗教アーティファクトに分類されています。
発見
SCP-4421は1982年3月3日に回収されました。当時、財団の潜入工作員はルイジアナ地域司令部に対し、世界オカルト連合の排撃班がクラス3異常実体を無力化するためにニューオーリンズに派遣されたと警告しました。対立から予想される事後影響物の収容を支援するため、財団エージェントが動員されました。
MTF ベータ-2 ("バイユー・ボーイズ") アルファ分隊は、この紛争の直接観察に派遣されました。
事案動画ログ書き起こし
日付: 1982年03月03日 @ 21:02
監視担当部隊: MTF ベータ-2 ("バイユー・ボーイズ")
作戦指令: 事案の観察、直接収容試行
部隊長: フランソワ・アルノー少佐、"アルファ"
[記録開始]
アルファ: 全員、警戒を怠るな。まだ混雑は始まったばかりだから、お互いの近くを離れないように。
<アルノー少佐が指揮下の部隊を一瞥したため、映像の視点が移動する。周囲の群衆は騒がしい — マルディグラの祭典が始まったばかりである。>
デルタ: ゴッカーどもGockersはこんな大騒動の中で獲物を追ってるのか? これだけ大勢の民間人を危険に晒すリスクを承知でやってるのなら、よっぽどの大物が相手に違いねぇ。
ベータ: さもなきゃ気にも留めてないのさ。
アルファ: あり得る。今回はあいつらと協力関係だ、忘れるなよ? GOCの手口には賛成できない時もある、だがO5は仲良く遊ぼうと決めたんだ。この作戦は逐一司令部の指示を受けてやっていくから、俺たちが直接えげつない怪物と対面する羽目にはならない。
デルタ: <声を潜めて> 今回だけな。
アルファ: 聞こえたぞ、チャルマース。それに何より、俺たちの発言は記録されてるんだ。
<チームは数分間、群衆の中を移動する。ターゲットの位置を特定しようと試みているため、アルノー少佐の視点は左右に揺れている。数分後、部隊はジャクソン広場に踏み込む。>
ベータ: 発見しました、少佐。服装はデニムのオーバーオールと麦わら帽子、杖を持ってます。広場外周の反対側。あのグランジロック・バンドと話しています。
<アルノー少佐の視点が、説明と一致する服装をした高齢の黒人男性に一瞬だけ留まる。男性は広場外周の脇に控えているストリートミュージシャンの一団と友好的に会話している。>
アルファ: 了解。俺にも見えた。建物を見張ってくれ、GOCチームは大抵そこから-
<銃声が響き、少佐の言葉を遮る。少佐が身を屈めた際に映像の視点が急速にぶれ、セント・ルイス大聖堂の中央尖塔とミュージシャンたちの間を激しく揺れながら往復する。麦わら帽子の男性は倒れており、ミュージシャンたちは2名を除いて散り散りに逃げている。>
アルファ: 狙撃手はセント・ルイス大聖堂だ。ターゲット、ダウン。繰り返す、ターゲット-
ベータ: いや、まだです、少佐。
<アルノー少佐の視点が再びターゲットの老人に戻る — 彼はちょうど立ち上がる途中である。オーバーオールの背中に大きな穴が空いており、映像の視点からは老人の身体を通してミュージシャンの1人をはっきりと視認できる。>
デルタ: 冗談じゃねぇぞ、あの野郎どうやっ-
<老人が横の地面に勢いよく杖を突き、衝突点の敷石が波打つ。老人が伸ばした掌の周囲から黒い煙が溢れ出し、もう1人の男性の青白い姿が煙の中を急速に横切ってセント・ルイス大聖堂の尖塔へ向かうのが見える。>
アルファ: 現実改変者! ボンフェルド-カリッツァBonfeld-Carizzaはヒュームの変動を検出していない、きっとアキヴァだ。
ベータ: 半神ブラックだって? おいふざけるな、ブラックに対処する装備なんか無いぞ。
アルファ: 伏せたまま、民間人をここから逃がせ。司令部! コード・ガンマ-ブラック。繰り返す、コード・ガンマ-ブラック。
<ミュージシャンたちは老人が立ち上がる手助けを終え、さらに数発の銃声が広場に響く。GOC交戦部隊がミュージシャン2名と老人に接近する様子が映る。ミュージシャンの片方、焦げ跡のある汚れたカウボーイ服を着た身長7フィートの男性の姿が突然揺らぎ、炎に包まれる。当該実体は咆哮と共に数発の火球をGOCエージェントたちに投げ付け、うち2名が液状の炎に包み込まれる。>
アルファ: 司令部、ターゲットは反撃を開始した。本格的な対応チームを速やかに派遣してくれ、近場にアルファ・オメガ隊員がいればそれが最善手だ。ジャクソン広場はほぼ無人に-
<大きな爆発音に言葉を遮られ、少佐の視点が再び老人へと戻る。立ち込める黒煙が老人とGOC交戦部隊を包んでいる。銃撃による閃光が視界を遮る煙の中に数回見えた後、何も起こらなくなる。>
ベータ: いったい何だったんだ?
アルファ: 誰かゴッカーがどうなったか見える者は? デルタ、左を探してくれ。ガンマ、大聖堂をチェック。ベータ、俺と一緒に来い。
<アルノー少佐は立ち上がり、消散する煙に向かって移動する。数名のGOCエージェントが敷石の各所に倒れているのが見える — 黒色のボディアーマーが歪み、煙を上げている。>
ベータ: GOCの連中が負けてる側なのを見る機会ってそうそう無いよな。
アルファ: 冗談は抜きだ。ターゲットを見たか?
<少しの間、視界が左右に往復するが、数点の破損した楽器とGOCエージェントの死体以外に映る物は無い。>
デルタ: こっちには居ないな、少佐。
ガンマ: 少佐、教会の上は辺り一面が... 俺はあそこには登りませんからね、少佐。
アルファ: 了解。司令部、状況はどうやら落ち着いたらしい。ターゲット行方不明、GOC隊員が複数名死亡。
ベータ: ちょっと、これ見てください。
<アルノー少佐の視点がベータに戻る。ベータは老人の杖の横にしゃがみ込んでいる。>
アルファ: 分かった。司令部、回収チームを派遣してほしい。アーティファクトはまだ危険かもしれない。
結: 状況を安定させるため、連絡チームと回収チームが数分後に到着した。記憶処理エアロゾルアムネロゾル / Amnerosol噴霧ユニット数基が展開され、カバーストーリー イプシロン・オミクロン6 ("ガス爆発") が地元の報道機関に流布された。SCP-4421はアーティファクト収容チームによって回収され、研究のためにサイト-76へ移送された。
[記録終了]
1982年3月21日、SCP-4421担当の研究責任者に宛てた1通の手紙がサイト-76で回収されました。
La Rue Macabre
トネリエ博士、
こちらでは君が現在、自分の物ではない物品を所持しているのに気付いている。まぁ、私の杖を持ち続けるかどうかは君の一存ではなく、何処か他所の人々が決めているとも理解しているがね。
代わりに、君の上司であるO5諸君への誠意の証として、それについて軽い打ち明け話をしよう。勿論、完璧に利他主義的な理由ではないが、きっと君は分かってくれるはずだ。
その杖は"道"を求める渇望の具現だ。君たち、即ち看守のような連中がやって来るのではという気苦労から解放された自由を、家と呼べる場所を、或いはただ単に在ることを求める大勢の人々が抱いた、数えきれないほどの夢なのだ。200年以上もの間、私は (君たちのエージェントが先日出会った2人のような、立派な人々の助けを借りながら、) 他に行き場の無い者たちに"道"を開いてきた。虐げられ、抑圧され、踏みにじられた者たちのために。
白い悪魔どもが私の民を海の向こう側へ連れ去った時、私とナンシーは彼らに同行した。彼らはこの沼地で私たちの名を呼び、私たちはそれに答えた。やがてコットンやフォンテイン夫妻と出会い、彼らは手を貸してくれた。私たち5人は彼らが新しい土地を、新しい故郷を作り上げるのを助け、逃亡するのを助けた。私たちは地下鉄道を支援し、今でも虐げられる者たちのために駅を切り回している。
その杖は、私が"道"を開き、人々を必要な時に必要な場でラ・リュー・マカーブラーへ出入りさせる際の助けになる。
君はバイユーの出身だろう、フランコ。遠く離れた地へ引っ越した後も、君の身体を流れる血には少しばかりの沼の水が混ざっている。君はヴードゥー男たちや沼地の神々の物語と共に育った。窮屈な臭い小舟に乗って現れ、君の先祖を新たな岸辺へと運んだ"古き者ども"の物語を聞きながらね。財団に加わった君は、それらの神話に大抵の者が信じる以上の真相が眠っているのを知った。
私や仲間たちはどうかと言うと、その手の神話は引き続き神話のままに留めている。彼らは私たちが与える居場所に落ち着く。私たちは彼らを君たちから遠ざけ、安全に保つ。杖は私がそれを行う助けになる、そしてもし杖が無ければ...
例え裏切者たちであろうとも、ニューオーリンズの街路に今より多くの異常が溢れ返るのは望まないはずだ。
敬具
パパ・レグバ
1982年4月21日、O5評議会はニューオーリンズ地域基地-93を、スタンレー・アーサー博士の指揮下で完全なサイトに改修することを命じました。フランコ・トネリエ博士は、SCP-4421の研究継続のため、SCP-4421と共にサイト-93へ移送されました。
補遺
監督委員会より通達
財団とLoI-504 ("ラ・リュー・マカーブラー") の協定は、このファイル以外の場所には保存されないものとします。世界オカルト連合との共同作戦を継続させるために、この協定の機密性を維持するうえで必要なあらゆる努力が行われます。
無許可で開示された本情報は否認され、そのような行為の当事者は終了措置の可能性を含む略式処罰の対象となります。
- O5-█
インタビュー動画ログ書き起こし
日付: 1982年04月10日 @ 11:02
質問者: O5-█
回答者: PoI-504A ("パパ・レグバ")
序: 本インタビューが実施された場所、並びにインタビューに至るまでの経緯に関する詳細情報は削除されている。映像記録から判断する限り、インタビューは非公開地点にある特筆すべき点の無い部屋で行われたように見受けられる。PoI-504Aはくつろいだ様子で座り、カメラの視点外にいる何者かとテーブルを挟んで向かい合っている。
[記録開始]
O5-█: あなたの提案の細部にはメリットがあります、レグバさん。宜しければ、公式な記録として残すためにもう一度初めから話し合いたい。
PoI-504A: 勿論、[データ削除済]。喜んで。
O5-█: 財団とラ・リュー・マカーブラー全体の間に結ばれる暫定的な取り決めについてでしたね。
PoI-504A: その通り。ワシが言いたいのはつまり、ラ・リューをある種の"中立地"にしようっちゅうことだ。君らは確か"フリーポート"と呼んどったかな? ワシらはあそこに集う超常世界の有象無象を君らから引き離して、代わりに君らはワシらの生活に手出しをしない。
O5-█: 我々には数多くの堅牢なサイトがあります、レグバさん。あなたの提案より、我々が介入してあなた方全員を確保するほうが簡単であるように思えますが?
PoI-504A: <含み笑い> そいつは君の予想より遥かに難しかろうよ。それに、相当なリソースをつぎ込まなきゃならんだろう。いやいや、君らが本当に望んどるのは、ワシのような連中から普通の人々を守ることじゃないか。ワシらは一般人が何をしようがそんなに気にも留めんし、交流することにも大して興味は無いのさ。ワシらにはもう居場所があって、そこに腰を据えとるほうが良いんだ。君らは金を使わんで済むし、リソースを無駄遣いしてワシらを一ヶ所に閉じ込める必要も無い。どっちみちワシらはそこに居たいんだから。
O5-█: つまり、実質的には、あなた方が我々に変わって異常存在を収容するのですか?
PoI-504A: ちと正確じゃあないな。そういう連中に居場所を与えて、ニョーリンズN'awlinsにあまり漏れ出さないようにする、っちゅうのが近い。クオーターはもう既に妙な場所だ、忘れたかね[データ削除済]。大抵の者は誰にも気づかれずしっかりとそこに馴染む。ワシらはただその方針を保つだけだ。ワシらのような者たちは、君も気付いとるだろう、もう既に相当な数がラ・リューに住み着いとるんだよ。
O5-█: 成程。いいでしょう、レグバさん。あなたの主張を他の面々に取り次いで、どうなるかはその後の流れ次第です。
PoI-504A: よかろう。
[記録終了]
LoI-504 ("ラ・リュー・マカーブラー") との協定について
是 | 否 | 棄権 |
---|---|---|
O5-1 | ||
O5-2 | ||
O5-3 | ||
O5-4 | ||
O5-5 | ||
O5-6 | ||
O5-7 | ||
O5-8 | ||
O5-9 | ||
O5-10 | ||
O5-11 | ||
O5-12 | ||
O5-13 |
動議は賛成9票、反対2票、棄権2票で可決されました。管理者は協定をO5/4421機密情報に再分類する条件付きでこれを支持しました。
協定について
SCP財団
及び
ラ・リュー・マカーブラー
の合意による
前文
下記署名者、SCP財団O5評議会代表者 O5-1、並びにラ・リュー・マカーブラー非法人集合住宅区域代表者 パパ・レグバは、両主体間に安定した平和的関係を築き、また異常な性質を有する人物らにとっての永続的中立地帯を形成するために、下記条文及び段落に定める休戦の諸条件を受け入れ、それによって拘束され、またそれに従うことを、個々人としても組織としても相互に同意するものとする。これらの諸条件は、ルイジアナ州ニューオーリンズの市内及び周辺地域と、ラ・リュー・マカーブラー・ネクサスにのみ適用されることを意図している。
第一条
境界線と中立地帯
1. 境界線を定め、双方は共に...
[協定本文は参照の簡便化を意図して省略されました。文書の全文は要請に応じて閲覧可能です]
簡潔にまとめると、本協定はその適用領域を概説するものであり、ラ・リュー・マカーブラーを、財団の干渉を受けずに異常な人物や実体が居住可能な"安全地帯"に指定するものである。この交換条件として、ラ・リュー・マカーブラーの指導者層は、ニューオーリンズの市内及び周辺において彼らの能力が及ぶ限りヴェール・プロトコルを維持し、異常能力の公然たる行使をラ・リュー・マカーブラーの区域内のみに制限することに同意する。
加えて、本協定は何を以てその違反と見做すかを概説し、いずれかの当事者がそのような協定違反を是正するための選択肢を示す。
[以降の本文は冗長であるため省略されました]