SCP-3839

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3839_prisoner.jpg

SCP-3839から切除された脳の一部

アイテム番号: SCP-3839

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-3839はサイト-234の低階層にある、BSL-4に従って密閉された拡張強化措置済みの大型生物収容セルに収容します。週に一度、可能であればラードの形で100kgの脂質をSCP-3839に給餌します。SCP-3839との直接的接触を伴うやり取りおよび収容セルのメンテナンスの全てはドローンロボットを介して行われます。研究主任(現在はマラヴィラ博士)とサイト管理官(現在はリープ・アンドリュース博士とシェリー・アンドリュース博士)両名からの直接許可が与えられない限り、職員は収容セルへの立ち入りが禁止されています。

10Mの水酸化ナトリウム水溶液で満たされたスプリンクラーを収容室の天井に設置し、収容違反が差し迫った際に使用します。

説明: SCP-3839は未分化の脂肪細胞で主に構成される、半径約2.5m、重量約60メートルトンを有す不定形の巨大な塊です。SCP-3839は形状と大きさが絶えず変化し、アメーバ運動に類する方法で移動します。

SCP-3839は半径約3m圏内の脂質を自身の制御下に置きます。3m以遠におけるSCP-3839の影響は微弱な引力を発生させるに留まるのみであり、その強さは距離に応じて指数関数的に減衰します。SCP-3839は脂質を多様な形状と構造に再形成する能力を持ち、多くの場合で粗末な手や腕や口を形成します。

静止した状態のSCP-3839はエアロゾル状のタンパク質と脂質から構成される黄色の雲を吐き出します。それらの構成成分の多くは一般的な生物では観測されておらず、吸入または経皮吸収を介して近辺の人間へ異常性を引き起こします。曝露した人間の大半が1分以内に自己防衛本能を喪失し始め、8分以内に恐怖反応の神経回路が完全に遮断されます。回収された被検体の解剖結果から、扁桃体でのスフィンゴミエリン生成が僅かに増加し、神経細胞とグリア細胞を囲うように配置されてそれらを取り込んでいることが明らかになっています。

その後、SCP-3839は影響下にある人間を肢で捕獲しようと試みます。付属肢で人間を捕獲したSCP-3839はすぐさまチューブ型の小さな付属肢を展伸させて、標的に当たるまで粘性の高い懸濁液を発射し続けます。粘液が人間の組織に接触すると、オステオサイト、コンドロサイト、マイオサイト、アディポサイトが間葉幹細胞に脱分化し、通常であれば4分以内に完全に置き換わります。これらの幹細胞は新奇形状の脂肪細胞に分化し、均質な凝塊となって残存する神経細胞を取り込みます。その後、SCP-3839は標的の死骸に向かって前進し、新奇脂肪細胞の塊のみを吸収します。

SCP-3839には36名の人物に由来する遺伝物質が含まれていることが脂肪塊外面の組織生検により判明しています。その内の9名はプロメテウス研究所の元職員と照合し、中でも███博士、████博士、ハビエル・ピネダ博士に合致していることは特筆するに値します。

SCP-3839の中央部に大きな塊が存在することがCTスキャンから判明しており、この塊は37個にクラスター化される1つの緊密な神経回路で構成されると見られています。うち35番までのクラスターは互いの繋がりを保ちながら、中央に位置する36番目の最も大きなクラスターとも直接的に繋がっています。37番目のクラスターは他のクラスター全てから隔離されており、結晶質の殻で覆われています。この殻は結晶質の脂肪から主に構成されており、絶えず外側が分解されながら内側から再構築される均衡状態にあります。クラスターの神経活動はいずれも顕著であり、中央のクラスターと37番目のクラスターの活動が最も活発です。同位体標識を用いた実験により、ヒト被検体の変換と摂取に際して被検体の神経細胞から新たなクラスターが形成されることが示されています。

脳組織の生検により、新奇形状の脳物質、通常のグリア細胞に代替する特殊な脂肪細胞からSCP-3839の各クラスターが構成されることが判明しています。

SCP-3839は時折、1本の付属肢を大きく成長させて先端から結晶状の棘や様々な液体を発生させるエグラEglah状態に移行します。SCP-3839はこの付属肢で自身を攻撃します。いかなる外傷も、脂肪塊を再配置させることで充てがうように即座に修復されるため、エグラ状態のSCP-3839は傷の無い状態で存続します。特にクラスターを保護する大抵の場合において、SCP-3839は高密度に肥厚した脂肪塊を形成します。付属肢が脂肪塊に格納されるか切断されることでこの状態は終了します。

エグライベントの間隔は経時的に増加しており、2000年の初期収容時点で平均2日であった間隔は3週間になっています。しかしながら、10分であった継続時間は直近のイベントでは1時間以上に延びています。

SCP-3839の収容以来、エグライベントの破壊力は継続的に増しています。最近ではSCP-3839の知性が向上した兆候も見え始めています。

補遺3839-A: 特筆すべきエグライベント

明確化のため、敵対的な付属肢をSCP-3839-ALPHAと指定します。

イベント番号 継続時間 メモ
12 13分 3839-ALPHAが2度目の攻撃を仕掛けるために擬死を試みた最初の記録事例。3839-ALPHAは3839の脂肪塊から切り離されて動作を完全に停止し、2分後に再吸収された。
122 15分 3839-ALPHAは先端から滲出させた粘着性物質を使って天井に固着した。その後、3839-ALPHAは3839を持ち上げ、収容セルの床や壁に繰り返し叩きつけようと試みた。7回の叩き付けで3839は重度の鈍的損傷を負い、その時点で3839-ALPHAは構造的な損壊を起こして3839から切離された。3839-ALPHAは天井から取り払われて3839に再吸収された。粘着性物質のサンプルは研究のために首尾よく採取された。
237 22分 3839の付属肢の先端に人間のような手が発生した最初の記録事例。
289 27分 化学兵器、具体的には脂肪細胞のアポトーシス誘導を目的とした有機的化学物質を3839-ALPHAが使用した最初の記録事例。
355 34分 3839が人間の発声を模倣した最初の記録事例。3839が歪んだ女性の声で発音した結果、3839-ALPHAは攻撃を停止した。再吸収されるまで3839-ALPHAは静止した状態を維持した。
381 38分 3839が付属肢を伸展して、3839-ALPHA直上の水酸化ナトリウムスプリンクラーを破壊して中身を撒水させた。3839が自身に有益となるよう収容セルを利用した最初の記録事例。収容レイアウトが更新された。
509 72分 エグライベント中の3839が職員への話しかけを試みた最初の記録事例。3839はより太く歪んだ声で話し、"He was a fool."彼は愚かだったわ。との発言が録音された。
602 88分 最後のエグライベント。3839-ALPHAは粗末な人型を形成し、3839による反撃で負った損傷をも無視して3839に攻撃を繰り返した。3839の中央にあるクラスターに到達する直前、3839-ALPHAは3839本体から強制的に引き剥がされた。3839-ALPHAは床や壁に何度も叩きつけられ、引き裂かれた後に吸収された。吸収の最中、9分に渡って不規則かつ痙攣するような体動を示し、その後に液状に近い状態に崩壊した。3839は2日後に元の姿を取り戻した。

更新 2014/██/██: エグライベントは完全に停止し、SCP-3839はより御しやすい気質となりました。時折、SCP-3839は脂肪塊から一部を切り離して形成を試みるようになりました。これらの形成物はSCP-3839-BETAに指定されました。SCP-3839-BETA実体は通常であれば粗末な人型の形状ですが、脂肪の山へと急速に崩壊する傾向があります。崩壊しなかった実体は最終的にはSCP-3839に再吸収されます。

時間の経過とともにSCP-3839-BETA実体は徐々に精巧になり、崩壊と再吸収に至るまでの時間が長くなっています。

更新 2018/██/██: 新規のSCP-3839-BETA実体全ては死去したピネダ博士と曖昧な類似性を示し、完全な可動性を有しています。これらのSCP-3839-BETA実体は移動と歪んだ発声が可能であり、一般的に収容セル内のカメラや観測ポートに向かっての移動を試みます。

SCP-3839-BETA: そこにいるか?

SCP-3839-BETA: おーい?

SCP-3839-BETA: 誰かいないのか?

SCP-3839-BETA: どうやってこんな所に?

SCP-3839-BETA: 出してくれ!

SCP-3839-BETA: 私はハビエル・イグナシオ・ピネダ博士です。私はハビエル・イグナシオ・ピネダ博士です。あぁ、なんてことだ…

SCP-3839-BETA: そこにいるんだろう?頼むから助けて。

SCP-3839-BETA: 頼むよ。いつまでも待ってられないんだって。

SCP-3839-BETA: こいつを殺すのを手伝ってくれ。

SCP-3839-BETA: 誰だ?誰かいるってわかってるんだぞ。

[注記: ヴェラスケス博士はインシデントSCP-3233-N█を経てSCP-3839に配属されていました。]

SCP-3839-BETA: 君には馴染みを感じる。俺は君を知っているのか?

SCP-3839-BETA: 記憶が。まだここにいる。ナメクジ。

SCP-3839-BETA: モニーク?君か?無事って言ってくれ。

SCP-3839-BETA: こんなことは望んでいなかった。

SCP-3839-BETA: 少なくとももう一度だけは君に会えるんだ。

SCP-3839-BETA: 頼むよ。

Footnotes
. 扁桃体は脳の中心に位置しており、情動条件付けや恐怖条件付け、および長期記憶に主に関連する領域です。
. ミエリンは神経細胞を囲う絶縁性の被膜を構成する脂質性物質です。
. それぞれ、骨細胞、軟骨細胞、筋肉細胞、脂肪細胞。
. このプロセスの正確な機構はSCP-2051に類似しているという仮説が立てられており、現在も研究が続けられています。
. 訳注:エグラ(Eglah)は旧約聖書におけるダビデ王の5番目の妻であり、イテレアム(Ithream)の母親です。しばしばユダヤ教の伝統ではダビデ王の最初の妻であったミカル(Michal)と同一視されます。また、heifer(未経産牛)、chariot(戦闘馬車)、round(円形/期間/試合)を意味するヘブライ語でもあります。(The Self-explanatory Reference Bible: The Holy Bible, Containing the Old and New Testaments(W. Collins, 1880))
. 訳注:ヴェラスケス博士の名(SCP-7559参照)
ページリビジョン: 8, 最終更新: 13 Apr 2025 15:34
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