SCP-3835-JP
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クレジット

タイトル: SCP-3835-JP - 四四四
著者: fish_paste_slice fish_paste_slice
作成年: 2024

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アイテム番号: SCP-3835-JP

オブジェクトクラス: Keter

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SCP-3835-JPの一例

特別収容プロトコル: オブジェクトの完全な収容は実質的に不可能であるため、関連する情報の収集、防止措置及び発生時の無力化に重点が置かれます。

巷説部門の主導により、日本国内の小学校を中心とした児童コミュニティにおいて、SCP-3835-JPに関する怪談・都市伝説等の説話群(以下、説話群と呼称)の収集および精査がなされます。出版物・インターネット・SNS等により情報が拡散される可能性に留意してください。説話群の情報制限措置は、オブジェクトの変質を招く恐れがあることから、最低限度にとどめられます。

オブジェクトの発生防止のため、日本国内の小学校等にてヒューム値の変動を観測してください。SCP-3835-JPの兆候が見られた場合は、現地に潜入したエージェントにより携帯型スクラントン現実錨を起動し、ヒューム値を安定させます。オブジェクトの発生が確認された場合は周辺エリアを封鎖し、児童・一般人との接触を阻止するとともに、多次元通信部門の主導によってSCP-3835-JP-a内部の探索がなされ、探索後は対象の特性に応じて封じ込め措置が取られます。オブジェクト発生時に攻撃的な実体が出現する可能性があることに注意してください。オブジェクトにより出現するポータル/実体はその特性上、多くの場合は時間の経過とともに変質するか消失するため、特筆すべき特性が無ければ収容よりも無力化が推奨されます。発生場所ごとにオブジェクトの特性が大きく異なることに注意してください。

説明: SCP-3835-JPは一般に"四時四四分の怪"等と呼称される説話群が、現実に発生する現象です。これら説話群は日本国内の小学校を中心とした児童コミュニティにおいて拡散され、その内容はコミュニティごとに大きく差異があるものの、"午後四時四四分"に学校内で怪異に遭遇する"という内容が共通しています。また、遭遇する怪異は大別して"異空間に引きずり込まれる"タイプ(以下、異空間型と呼称)と、"怪談実体と遭遇する"タイプ(以下、怪談実体型)に分類されます。拡散された説話群が各コミュニティにおいて現実化する確率は極めて低いものの、その母数の多さにより平均して年間7件、最盛期では年間21件の発生が確認されています。

オブジェクトのうち"異空間型"は、ヒューム素次元コードのゆらぎにより生じたポータルがSCP-3835-JP-aに指定される異常空間と接続することで出現します。"怪談実体型"は、SCP-3835-JP-a内部で現実改変により発生した異常実体が、上記ポータルを経由して基底次元に出現します。これら実体は通常、ポータルが消失すると現実改変の影響を急速に失い、短時間で変質するか基底次元から消失します。注目すべきことに、コミュニティによっては"トイレの花子さん"等の一部の独立した実体の出現事例が確認されていますが、これらが現実改変により生成された疑似的な存在なのか、または何らかの原因で対象が外部からオブジェクト内に転移したのかは判明していません。SCP-3835-JP-aの異常性は異常空間であるSCP-3838-JP-aに依存しているため、当該オブジェクトは多次元通信部門により管轄されます。

3835-a.png

SCP-3835-aのイメージ

SCP-3835-JP-aは、普遍的形而上空間における"異次元"の概念的エレメントが形而下に出現した空間です。この場合の"異次元"とは、学術的根拠や明確な定義付けがなされず、多数の人間がそれぞれ漠然と抱く"この世界ではない空間"のイメージを指します。当該空間に日本国内の児童が無意識下で抱く"異次元"のイメージが集約される結果、いわゆる集団による現実改変現象と類似する効果が生じヒューム値が集中するため、空間内のヒューム値は常に2.8を上回っています。また、このイメージは時間の経過とともに変化し続けているため、その集合的な概念が現実化したSCP-3835-JP-aも同様に、常に内部の法則/環境が緩やかに改編され続けています。また、その性質上、SCP-3835-JP-aはSCP-3835-JPに関する説話群の影響を受けやすく、しばしば説話群に登場する"異次元"の特徴を反映し、またこれに連動する形で"怪談実体"に類似する実体が現実改変効果により出現します。これら実体は基底次元においては存在を維持できず、取得されたサンプルはいずれもポータル消失後は短時間で消失しています。興味深いことに、これら実体はしばしば目撃者に対して敵対的な行動をとりますが、目撃者を負傷させる事例は少なく、かつ、そのほとんどは逃走中の転倒等によるものです。また、実体が目撃者をSCP-3835-JP-aに引き込む素振りを見せる場合がありますが、実際に人間がSCP-3835-JP-a内に連れ去られた事例は確認されていません。探索記録SCP3835JP_2016_1の事例を受け、過去のSCP-SCP-3835-JP発生事例の再調査が進められています。

対アノマリー意見陳述書
SCP-3835-JP-a内で発生した怪談実体群が目撃者に対し攻撃行動を取った場合、たとえ鎌等の武器を所持していても、実際に目撃者が実体により負傷させられる例は極めて少ない。
これは、実体が怪談等の説話群に起源を持つためであると考えられる。
説話群においては、目撃者が自身の体験を他者に伝えるという形式をとる。しかしこれは目撃者が怪異から生還することを前提としている。特に、SCP-3835-JPの説話群の語り手は児童であり、大怪我等の自身の死に直面した体験を持つ者は極めて少ない。このため、説話群で語られる怪異に直面した場合も無意識下において自身が被る具体的な被害をイメージできず、かつ怪異からの生還を確信しているのだろう。
これにより、無意識下の影響を受けるSCP-3835-JPは、目撃者を死傷させたり基底次元から連れ去ったりするには至らないのだろう。

- 常満博士 現実性異常対応部門研究員

SCP-3835-JPは1970年代、小学校等の児童コミュニティにおける異常存在発生の増加を抑制する目的で、財団によって一部の地域で試験的に流布されました。当時はいわゆる集団による現実改変のメカニズムは知られていなかったものの、小学校等に出現する異常存在の多くが、児童コミュニティで語られる説話群の影響を受けて変質する浮動的な存在であることが判明していました。このため、異常存在の出現する条件に"四時四四分""学校内"という発動条件を加えることでアノマリーの出現条件を限定し、児童が異常存在と接触するポイントを限定するとともに収容の効率化を図る試みがなされました。この結果、それ以前は異なる条件で出現していた異常存在の一部が"四時四四分の怪"として統合され、出現時刻・地点を制限することに成功しました。この結果を受け、1990年代の怪談ブームに乗じて"四時四四分の怪"は全国的に拡散されました。
しかし、後にこれら統合された異常存在が同一の異常空間より出現することが確認され、後続調査により、この空間は無意識下と接続しており、無意識下の概念の影響を受け流動的に内部の環境を変化させることが判明しました。これを受け、"四時四四分の怪"に関する説話群、発生する異常存在及びこの異常空間はSCP-3835-JPとして指定されました。

附記: 少子高齢化に伴う児童数の減少や学校の統廃合、校舎の改修による環境整備等により、2000年代中旬より児童コミュニティにおける説話群の拡散状況が徐々に縮小しており、これに連動してSCP-3835-JPを含む怪談実体群の出現頻度もまた、緩やかに低下しています。

注目すべき点として、これまでは独立していた怪談実体群がSCP-3835-JPに統合される事例が確認されるとともに、過去に確認された実体群の行動に変化が見られます。この原因として、語られなくなったことで恐怖心を獲得できなくなり概念が希薄化した怪談実体群が、SCP-3835-JPというより堅牢な概念に融合したという仮説が立てられており、現在検証が進められています。SCP-3835-JPの説話群がさらに衰退した場合、SCP-3835-JPに統合された多数の怪談実体群が更に他の怪談実体と融合または変質すると推測されます。このため、SCP-3835-JPに関する説話群の再拡散措置が検討されています。

補遺1: SCP-3835-JPは、以下のプロセスを経て出現します。

フェーズ1
児童を中心としたコミュニティにおいて、"四時四四分に学校内で怪異に遭遇する"という説話群が拡散される。

フェーズ2
拡散された説話群が、普遍的形而上空間における"四とは死に通じる不吉な数字である""不吉な事象に遭遇すると不幸に見舞われる"という概念的エレメントと結合する。これにより、無意識下におけるオブジェクトの存在性が固定されることで、多数の児童がオブジェクトの存在を無意識的に確信する。

フェーズ3
無意識下における"異次元"のイメージに説話群の内容が反映され、SCP-3835-JP-a内部に説話群の内容が反映される。

フェーズ4
無意識下で対象が異界との接続点であると認識され、"四時四四分"をトリガーとして説話群に含まれる地点のヒューム素次元コードがゆらぐ。これにより、基底現実の一部とSCP-3835-JP-aが重ね合わせ状態となりSCP-3543-JPが発生し、説話群の内容を反映したアノマリーが現実に出現する。

補遺2: SCP-3835-JP-a探索記録
以下は、過去に実施されたSCP-3835-JP-a内部の探索記録抜粋です。

探索記録: SCP3835JP_1995_11
探索日付: 1995年7月22日
位置情報: 栃木県██町立██小学校
探索対象: SCP-3835-JP-a内部
探索方法:ロボットアームを用いてSCP-3835-JP-a内部を探索する。
附記: ██小学校で拡散されていたSCP-3835-JPの内容は下記の通りである。
"四時四四分に旧校舎の四年四組に四人でいると四次元世界に連れていかれる。"
なお、 周辺の児童コミュニティでは異なる内容が拡散されており、その内容は"四時四四分に四年四組に四人でいると四次元ババアが出る"というものだった。


[記録開始]

16:30:00: 研究員チームと機動部隊各2名が待機する。先端にカメラと各種計測器を取り付けたロボットアームが起動する。

16:44:00: 教室中央の床が空間が青白く発光する。発光部からは基底次元より僅かに高いヒューム値が検出され、これが基底次元とSCP-3835-JPを接続するポータルだと判断される。

16:44:15 ロボットアーム先端がポータルを通過する。空間内ヒューム値は2.95を記録するが、光量が強く映像を明瞭に確認することができない。

16:44:20: 光量が調節され、SCP-3835-JP-a内部の映像がモニターに映し出される。██小学校廊下に類似した空間が映し出されるが、すぐさま空間が歪み、教室、便所、保健室といった他の学校施設に連続して置き換わる。空間内には机、黒板、人体模型、和式便器に類似した実体が確認できるが、いずれも時間経過とともに他の実体に置換されていく。特筆すべきことに、空間内には時計の文字盤が多数存在しており、いずれも四時四四分を指している。

16:44:42: 突如、空間内全体に老婆に似た顔が複数出現する。老婆の顔は振動しながら重なり合い、輪郭を変化させ、最終的に空間全体を覆う程に巨大化する。

16:45:00: ポータルが消失する。ロボットアームはポータルの存在した位置で切断され、先端部はポータルとともに消失する。

[記録終了]

探索記録: SCP3835JP_2006_4
探索日付: 2006年8月10日
位置情報: 東京都██市立██小学校
探索対象: SCP-3835-JP-a内部
探索方法: ドローンを用いてSCP-3835-JP-a内部を探索する。
附記: 多次元通信部門により実施された最初のSCP-3835-JP内部探索。
██小学校で拡散されていたSCP-3835-JPの内容は下記の通りである。
"四時四四分に北校舎女子トイレの鏡の前に立つと、姿が映らない。鏡は四次元世界につながっているからだ。"
なお、周辺の児童コミュニティで拡散される説話群では内容が異なり、"鏡に昔トイレで自殺した生徒が映る""鏡の自分の後ろに兵隊が立っている"等とされていた。


[記録開始]

16:03:10: ██小学校北校舎女子トイレ内で、微細なヒューム値の変動が観測される。調査チームが鏡の周辺で待機する。

16:44:00: 三階女子トイレの鏡に、待機した機動部隊員の姿が映らなくなる。ヒューム素次元コードの揺らぎが観測されたことから、鏡がSCP-3835-JPと接続したことが確認される。携帯式オーデンHedc固定装置が起動する。

16:45:00:ポータルが消失しないことが確認される。ドローンがポータル内部に投入され、SCP-3835-JP-aの内部映像が写し出される。空間内部は過去の探索と同様に様々な学校施設に変化し続けている。一部に洋式便器等の新しい設備が確認できるが、一部の設備は老朽化が進行しているように見受けられる。

16:58:10: ドローンは空間内を飛行し続ける。時折、空間内に老婆、女児、旧日本兵に類似する実体が出現するが、ドローンに反応しない。レーダー及び超音波による空間内調査が試みられるが、空間の端は観測されず規模は不明である。また、映像に写る実体の多くは各探知機に検出されず、視覚災害または疑似的な霊的実体であると推測される。

17:25:33: 女児型実体から超音波探知機の反応が得られ、サンプル採取のためドローンが接近する。女児型実体が顔をドローンに向ける。実体の顔は様々な女児の容貌に変化し続け、そのうちの数例は過去に死亡した██小学校の児童と類似する。

17:27:51: 女児型実体がドローンへ接近を開始する。ドローンが実体からの離脱を試みる。以降、16分間に渡り女児型実体がドローンを追跡する。

17:43:32: ドローン周辺の空間に老婆の顔が浮かび上がる。突如、女児型実体が約2倍の大きさになり、頭部が老婆のものに置換される。実体は速度を上げてドローンに接近する。

17:47:27: ドローンが何らかの物体に接触する。直後に実体がドローンに追いつき、機体を掴む。ドローンに搭載された各種計測機器の数字が全て4を示し、ブラックアウトする。ドローンからの全ての信号が途切れる。

18:20:00: 信号は回復せず、ドローンはロストしたとみなされる。携帯式オーデンHedc固定装置が停止され、ポータルが消失する。

[記録終了]


附記: 後の映像解析により、ドローンが接触した物体は過去の実験で空間内に残された、先端にカメラが取り付けられたロボットアームであることが確認された。これにより、SCP-3835-JP-aは同一の空間であり、各SCP-3835-JP事象において基底次元の様々な地点と接続されると推測された。

探索記録: SCP3835JP_2016_1
探索日付: 2016年3月10日
位置情報: 兵庫県██市立██小学校
探索対象: SCP-3835-JP-a内部
探索方法: 多次元通信部門によりSCP-3835-JP-a内部の有人探査を実施する。
附記: 児童がSCP-3835-JP-aに引き込まれかける事例が発生し、オブジェクト変質の調査のため、SCP-3835-JP-a内部の探索が実施された。
██小学校で拡散されていたSCP-3835-JPの内容は下記の通りである。
"四時四四分に四階のトイレの入口から四番目の扉を四回叩くと、よじこさんが「はーい」と返事をする。よじこさんは四時ババアの孫で、四秒以内にその場から逃げないと四次元世界に連れていかれる。"
遭遇した児童の証言によれば、上記行動を実施したところ、実際に個室内から返事があった。児童はただちに逃走したが、背後から黒い手が伸び、トイレ入り口付近で上着を掴まれ、強く後方に引かれた。上着が脱げたことで児童は逃れられたが、上着は腕に引き込まれて個室内に消えた。
この事例は廊下で他の複数の児童と教員が目撃され、廊下に設置された監視カメラにも、トイレから飛び出す児童と黒い腕が記録されていた。
なお、当該小学校では1990年代にも同様の説話群が拡散していたが、当時は返事をするのは"トイレの花子さん"であるとされていた。


[記録開始]

16:44:00: ヒューム素次元コードの揺らぎが観測される。機動部隊員が条件を満たす個室の扉を四回ノックする。直後、個室から女児の声で「はーい」という返答がある。

16:44:16: 個室の扉が開く。個室内は青白く発光しており、SCP-3835-JP-aとの接続が確認される。突如、個室内の空間に二本の腕が出現し、付近の機動部隊員を掴む。腕は児童のものと観察されるが、大きさに比して異常な腕力で機動部隊員を個室内部に引き込もうとする。機動部隊員が抵抗するが、腕に接触することができず脱出することができない。

16:44:32: 携帯式オーデンHedc固定装置、メトカーフ非実体反射力場発生装置及びスクラントン現実錨が起動される。腕力が弱まり、機動部隊員が腕から脱出する。腕はなおも機動部隊員に掴みかかるが、弱体化しており機動部隊員を捕らえることができない。

16:45:00: 腕が消失するが、ポータルは維持される。

16:47:00: 機動部隊員3名がポータルを通過し、SCP-3835-JP-a内に侵入する。装備したカメラにより、SCP-3835-JP-a内部の映像が映し出される。空間内の景色・机等は過去の記録よりも新しいものとして観察されるが、その数は明確に減少している。空間内は基底次元より高いヒューム値を示すが、機動部隊員は携帯型スクラントン現実錨を使用することで影響を免れている。

16:48:30: 機動部隊の前方に、白いワンピースを着用した女児に類似した実体が確認できる。機動部隊が実体への接近を試みるが、実体は機動部隊から一定の距離を保つように移動する。注目すべき点として、過去に出現した実体と異なり、女児型実体の頭部や衣装は変化せず、同一の外観を維持している。以下、9分間にわたり追跡が試みられるが、実体との距離は縮まらない。その間、実体は「はーい」と繰り返し発言する。追跡中、映像には女児型実体の他に旧日本兵、二宮金次郎と思われる銅像、和式便器に絡みつく赤い腕、紫色に発光する鏡、高速移動する巨大な10円硬貨と狐面、頭部から出血しているスーツを着用した高齢男性等、過去の探索では見られなかった実体群が映し出されるが、これらは一定時間で他の実体に置換される。

16:57:33: スクラントン現実錨の出力が高められる。空間内のヒューム値が下がり、周辺の実体が徐々に消失し始める。女児型実体に明確な変化は見られないが、移動速度が低下する。

16:59:17: 機動部隊が実体と接触する。実体は抵抗するものの当初の腕力を発揮できず、容易に拘束される。

17:05:35: カメラの映像外に不明な実体が出現し、強力な光を照射する。照射は軽度のミーム異常効果を有し、機動部隊員に混乱が生じる。暴露した機動部隊員は後のインタビューで"視覚内にデフォルメされた女児と文字が出現した"と証言した。

17:05:56: 実体が映像に映し出される。実体の外観は黒いスウェットスーツを着用した男性に類似するが、頭部が発光するハツカネズミ(Mus musculus)に置換されている。この特徴に一致する説話群は事前に確認されていない。

17:07:49: 発光する実体の周辺に、新たなヒト型実体が出現する。実体は老婆に類似するが、頭部が老婆の他に高齢男性、ベートーベン、女児、頭部から出血する成人女性、ハツカネズミ等に置換される点で過去の記録と異なる。

17:08:11: 老婆型実体が更に7体出現し、同時に背後の空間に巨大な老婆の顔が出現する。実体群が機動部隊に向けて移動を開始する。スクラントン現実錨はミーム異常効果に効力を見せず、機動部隊は撤退を開始する。

17:13:28: 機動部隊はポータルに向かって移動を続けるが、拘束した女児型実体の抵抗を受け、徐々に実体群との距離を縮められる。更に6体の老婆型実体が機動部隊を囲むように出現する。また、実体群の数に比例してミーム異常は徐々に強力になる。撤退を優先し、女児型実体を放棄する決断がなされる。

17:21:47: 機動部隊がポータルに辿り着く。実体群は目測で約15m程の距離に迫っている。

17:22:11: 機動部隊全員がポータルを通過する。ただちに携帯式オーデンHedc固定装置が停止され、ポータルが消失し始めるが、消失の直前に2体の老婆型実体が基底次元に出現する。

17:22:20: ポータルが完全に消失する。老婆型実体は鎌を出現させて攻撃のそぶりを見せるが、スクラントン現実錨により無力化され、急速に消失する。

17:22:35 老婆型実体が完全に消失する。消失後、現場には小動物の脳が残される。

[記録終了]


附記: 現場に残された脳は調査の結果、ハツカネズミのモノであると判明した。また、ヒューム素次元コードを解析したところ基底次元のものと一致したことから、何らかの原因でSCP-3835-JP-a内に転送されたハツカネズミの脳が現実改変の影響を受けて変質したものと推測される。
ハツカネズミの頭部を持つ男性型実体については、後続調査においても該当する説話群は確認されなかった。また、ミーム異常効果を有する光線も、SCP-3835-JPに関する過去のいかなる事例とも類似しないことから、ハツカネズミの脳と同様にSCP-3835-JP-a外部に起源を有する存在であると推測された。対象はSCP-3835-JP-a-1に指定され、その起源とSCP-3835-JPに転移した経緯に関する調査が進められている。特定済み。詳細は補遺を参照。

補遺3: 情報資料
異常発見部門によるGoI-093"PAMWAC"関連レポート中に、SCP-3835-JP-a-1に関すると思われる情報が含まれていました。以下は"PAMWAC"の内部BBSのうち、後続調査により関与が強く認められる書き込みの抜粋です。無関係と見られる書き込みは省略されていることに注意してください。

【なにか】ホラー・アンデッド娘を嫁にしたいスレ part68【妖怪?】

51: 名無しの旅人さん ████/██/██(█) ██:██:██:██ ID:???


四時ババアが使えることに気がついた

54: 名無しの旅人さん ████/██/██(█) ██:██:██:██ ID:???



あー...うん、好みは人それぞれだから...ガンバレ

55: 51 ████/██/██(█) ██:██:██:██ ID:???


俺も別にBBAは趣味じゃない。
まあ、聞いてくれ。

消防の頃、学校の怪談が流行ってな、俺の学校でもいくつかの怪談が噂になったんだが、その中に「四時ババア」って話があったんだ。
四時四四分に四階のトイレにいると、四時ババアが出てくるって内容だった。そのうち、実際に見たって奴が何人も現れて、四階のトイレは皆避けるようになった。

でもな、四時ババアなんて、いるはずがねーんだよ。
だって、四時ババアの噂を流したのは、俺だからな。

56: 名無しの旅人さん ████/██/██(█) ██:██:██:██ ID:???


うちの学校では、四次元ババアって言われてたな

59: 名無しの旅人さん ████/██/██(█) ██:██:██:██ ID:???


どゆこと?
ってか、四時ババアがお前の作り話なら、が四時ババアを呼び出す意味が余計に解らん。

60: 51 ████/██/██(█) ██:██:██:██ ID:???


当時、俺の腹は弱くてな......給食の牛乳を飲むと、ちょうど四時間後に腹が痛くなる体質だったんだ。でも小学生男子にとって、学校でウンコするのは自殺行為だったからな。でも家も遠かったし、昔の田舎だから途中で使えるトイレも無かった。
だから、四時四十分頃に誰もトイレに近づかなくなるよう、四時ババアの噂を流したんだ。四時ババア自体は隣の学校に出るって話があったから、俺の学校でも自然と受け入れられた。それでみんな怖がって、誰も近寄らなくなって、俺は安心して個室を利用できるようになると思った。

最初は上手くいった。怖がって誰もトイレに来なくなったから、安心して個室で用を済ませられた。四時ババアを見たって奴が現れたけど、嘘か見間違いだと思ってた。
でも、三ヶ月くらい経ったころ、学校一番のガキ大将が度胸試しで四時半からトイレに居座りやがった。
取り巻き二人がビビりながらトイレの中に入って、他の男子はトイレ入口で見守っていた。俺も腹が痛いのを我慢しながら、半強制的に見物させられた。
ガキ大将はわざわざ教室から時計を持ってきて、四時四三分になったら、カウントダウンまで開始した。

そうしたら、四時四四分になった途端、マジで四時ババアが出た。
見たこともないほどデカい頭のババアが、トイレの中に立ってこっちを見ていた。男子全員がそれを見た。
ババアは何秒かして消えて、その場にいた全員が悲鳴を上げて逃げ出した。俺も何が起こったか分からず逃げ出した。
ガキ大将が漏らしたらしく、その後、四時ババアのことはタブーになったから、誰も四時四四分にトイレに入らなくなった。俺もビビってトイレが使えなくなって、その後は卒業まで大いに苦労した。

61: 名無しの旅人さん ████/██/██(█) ██:██:██:██ ID:???


しょうもない理由で怪異生み出しててワロタ
いや、たしかに小学生男子にとって学校でウンコすることは、社会的に死ぬか漏らすかの究極の二択も同然だったけどさ

63: 51 ████/██/██(█) ██:██:██:██ ID:???


ここで重要なのは、怪談がマジになったってことなんだ。
語られていたから、四時ババアという怪異が現れた。

そこで考えたんだ。
逆に言えば、少女の怪異が出るって噂が流れれば、少女の怪異が出る筈なんだ。
ならば、うまく怪談を小学校に流せば、理想的な片目隠れ・ジト目・三白眼のアンデット幼女が手に入るんじゃないか?

64: 名無しの旅人さん ████/██/██(█) ██:██:██:██ ID:???


あー...うん、好みは人それぞれだから...ガンバレ

65: 名無しの旅人さん ████/██/██(█) ██:██:██:██ ID:???


うーーーん
理屈は分かったけど、そもそも四時ババアが現実に出てきたのって、噂が流れたのと関係があるのか?
も言ってるけど、俺のいた小学校にも四次元ババアとかいう、似たような噂があったぞ。
たまたま、元からそういうババアの怪異が学校にいた可能性はないのか?

67: だいやまーくYNgd34gdLV ████/██/██(█) ██:██:██:██ ID:???


民俗学を少し齧ったことがある拙者が通りますよ、と。

結論から言えば、噂が現実になることはあり得るでござる。
妖怪は零落した神だという話は、聞いたことはありませぬか?
簡単に説明すると、神は信仰神を食っておりますが、信仰とは上位存在に対する崇拝の念のみならず畏怖や恐れの感情も含まれる。故に、信仰されなくなった神は妖怪化して恐怖されることで食い凌ぐことになるのでござる。
これは、学校の怪談のごとき都市伝説の怪異にも当てはまって、子供に怖がられて存在を維持しているのでござるが、本来存在せぬはずの怪異もまた、語られて子供に恐怖されるうちに、真に存在するようになる。
その理屈は諸説ござるが、信仰パワーが何らかの作用をしているのでござろう。子供は怪談を信じやすく、人数も多い故に、全国展開したような怪談ともなれば、得られる恐怖心も下手なローカル妖怪よりも多くなるのでしょうな。
の場合、完全オリジナルじゃなくて四時ババアでござるからな。四時ババアや四次元ババアは全国の学校で広まっておりますし、噂が広がれば、現実に出てきてもおかしくはござらぬ。

しかし、それなりの多人数が長時間信仰せねばそんなことは起こらぬし、ゼロから噂を流してアンデット幼女を現実に出すのは、まず無理でござろう。

68: 51 ████/██/██(█) ██:██:██:██ ID:???


民俗学を齧ったニキ、トンクス
それなら、四時ババアとセットで出すのはどうだろう。
例えば、口裂け女が持ってる武器も、噂によっては鎌とかハサミとか包丁とか、色々と違ってるらしいだろ。
過去スレ見たけど、実際に口裂け女に遭遇した連中の話だと、彼女の持ち物は毎回違うみたいだし、四時ババアは子供を連れてるって噂にすれば、持ち物として付与されないか?

70: 名無しの旅人さん ████/██/██(█) ██:██:██:██ ID:???


それなら、いっそ四時ババアの孫ってことにしろよ。
俺の通ってた小学校だと、トイレの花子さんの妹のやみ子さんって噂があったぞ。
それにほら、最近は孫の漫画が流行ってるからな。ぬらりひょんに孫がいるなら四時ババアに孫がいてもおかしくはないし、そういう噂が子供に浸透する下地はできてると思う。

71: 名無しの旅人さん ████/██/██(█) ██:██:██:██ ID:???


そういえば、俺の通ってた小学校だとトイレの花子さんが四時ババアの孫だって噂があったな。

72: だいやまーくYNgd34gdLV ████/██/██(█) ██:██:██:██ ID:???


うむ、既に存在する怪異の付属品としてなら、幼女も出せるやもしれませぬ。
恐怖による信仰自体は四時ババアが得ておりますから、あとは「四時ババアと一緒に幼女が出る」という概念が広がれば、四時ババアの一部が付属品としてアンデット幼女に変質する可能性は十分にあるでござる。
まあ、それでも、付属品から怪異として存在が確立するには、最低でも十年はかかるでしょうな。
それまでは、幼女は四時ババアの服や持ち物と同じカテゴリーに入る故に、呼び出せたとしても自我なんぞ無く、恐らくは何かに反応して返事したり動いたりするだけでござろう。
コミュニケーションがとりたいのなら、Pepperくんの方がまだマシではござりませぬかな。

73: 51 ████/██/██(█) ██:██:██:██ ID:???


アンデット娘なら、むしろそれが正解では?

74: 名無しの旅人さん ████/██/██(█) ██:██:██:██ ID:???


あー...うん、好みは人それぞれだから...ガンバレ

77: 51 ████/██/██(█) ██:██:██:██ ID:???


よしよし、光明が射して来た。
とりあえず、近所の小学校に四時ババアの孫のよじこさんの噂流してくるわ。

78: 名無しの旅人さん ████/██/██(█) ██:██:██:██ ID:???



ただの不審者乙
流石に通報した

80: 51 ████/██/██(█) ██:██:██:██ ID:???


流石に知らん小学生に話しかけたりはしないぞ。
親戚の子供が近所に住んでるから、よじこちゃんの噂を吹き込んで広めてもらう。
あと、よじこちゃんが俺の性癖に合うように、通学路にミーム照射器を仕込んでおくわ。

ちょっと書いてみた。
噂を聞いた小学生がこんな感じのをイメージするようにする。
yoziko.png

82: デオ=ドメスティック泉ピン子 ████/██/██(█) ██:██:██:██ ID:???


あんまり強力なミーム使うと、正義マンに目をつけられるからな。
薄いミームを何日もかけて、サブリミナル的に深層心理に植え付ける方が良い。
暗いところで噂を思い出して、イメージを無意識に思い浮かべる、それくらいじゃないとマジで通報されるぞ。

84: 名無しの旅人さん ████/██/██(█) ██:██:██:██ ID:???


あー...うん、好みは人それぞれだから...ガンバレ

85: だいやまーくNMQZ542Z0 ████/██/██(█) ██:██:██:██ ID:???


信仰じゃなくて概念とはいっても、変えるには流石に小学校ひとつの児童数じゃ足りないんじゃ?

87: 名無しの旅人さん ████/██/██(█) ██:██:██:██ ID:???


ニッソの製品に、マウスの脳を100個並列で繋げて特定の思考だけをさせるってキットがあったはず。ミーム治療薬とかの実験で使う奴な。
それに「四時ババアの孫のよじこさん」の概念を考えさせ続けろ。意味は理解できなくとも特定の文字とイメージの記憶を繰り返し情報処理するだけなら、マウスの脳でもできるだろ。
1000個くらい使えば、妖怪を局地的に概念的変質させるにも十分な数だと思う。

89: 名無しの旅人さん ████/██/██(█) ██:██:██:██ ID:???


それなら、の家がその小学校だって概念も組み込んだ方が良い。こういうのは、学校で語られるってのも重要だと思うんだ。
それに、上手くいけば、の家が小学校だと判定されて、家によじこさんが出るかもしれん。

90: 51 ████/██/██(█) ██:██:██:██ ID:???


みんな、マジで色々とアドバイスしてくれてサンキュー
とりあえずニッソのマウス脳探して試してみるわ!

91: 名無しの旅人さん ████/██/██(█) ██:██:██:██ ID:???


いい結果が出ることを期待しているよ。
でもまあ......幼女を呼び出したとしても精神がペッパーくん以下だからな...


218: 名無しの旅人さん ████/██/██(█) ██:██:██:██ ID:???


そういえば、がその後何も言ってこないな
失敗したんかな

220: 名無しの旅人さん ████/██/██(█) ██:██:██:██ ID:???


なあ、思ったんだが......
四時ババアの孫がよじこさんになるとして、よじこさんの親はどうなるんだ?

223: だいやまーくNMQZ542Z0 ████/██/██(█) ██:██:██:██ ID:???


あー......
下手したら、嫁にするどころか、よじこちゃんのパパにされてるかもな......


上記の書き込みは、探索記録: SCP3835JP_2016_1事例の7か月前に行われていました。この内容から██市立██小学校周辺を調査したところ、ミーム異常影響効果のある照射装置が街灯等の水銀灯に偽装され、複数個所の通学路上に設置されていました。このミームはごく軽微ながらも、探索記録:SCP3835JP_2016_1事例で機動部隊員が受けたものと同一の効果を有しており、繰り返し暴露することで、暗所で女児のイメージと文字を思い浮かべるようになりました。
周辺防犯カメラの解析により、これら装置を設置した人物が、市内在住の"加島 令太"であるとされました。財団が加島宅を捜索したところ、内部は無人でしたが異常技術を用いた複数の機器が存在し、押収されたPC等の記録から加島が"PAMWAC"の構成員であり、上記書き込みを行ったことが判明しました。

加島宅の地下室には破損した不明な装置群が存在しており、装置内部にはハツカネズミの脳が収められた小型培養液槽が多数存在していました。装置群はガレージ中央を区切る形で直線状に切断されており、切断面は探索記録: SCP3835JP_1995_11のロボットアームと類似していました。このことから、加島が上記書き込みの内容を実行した結果、ガレージ内がSCP-3835-JP-aと接続され、装置群の一部と共にSCP-3835-JP-a内に引き込まれ、空間内の高いヒュームに晒された結果、SCP-3835-JP-a-1に変質したと考えられます。

附記: 加島が作成した装置について財団が再現を試みたところ、SCP-3835-JPの発生に成功したものの著しく安定性に欠けており、探索に用いることは不可能であると判断されました。

附記: 探索記録: SCP3835JP_2016_1以降、SCP-3835-JP-内部の探索時に老婆型実体及び女児型実体の目撃件数が増加しており、また、説話群の流布は縮小傾向にあるにも関わらずSCP-3835-JPの発生件数も徐々に増加しています。この現象に関して、SCP-3835-JP-a内部に取り込まれた加島とハツカネズミの脳が"四時ババアの孫のよじこ"という概念を想起し続けることで、両存在の増加をもたらしていると推測されています。

Footnotes
. 説話群においては多くの場合"四次元世界""異次元空間""あの世"等と呼称される。
. "トイレの花子さん""四時ババア""動くベートーベンの肖像""死んだ生徒の幽霊"等、恐怖心を糧として存在を維持する存在。信仰を糧とするピステファージ実体の一種と考えられる。
. 人類を含むあらゆる生物の無意識下と接続した概念的空間であり、生物の記憶や想像がシャドウとして反映される。
. 本記事を執筆時点で、推定600万人超
. ヒューム素次元コードがゆらいだ状態で固定する装置。
. いずれも病気、交通事故等、非異常性の原因による死亡。
. 後続調査により、これら実体は過去に近隣小学校にて類似する説話群が存在していたことが確認されたが、いずれも"四時四四分の怪"とは異なる怪異として語られていた。
ページリビジョン: 5, 最終更新: 29 Jan 2024 15:12
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