SCP-3417

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評価: +4

クレジット

翻訳責任者: Tetsu1 Tetsu1
翻訳年: 2024
著作権者: NatVoltaic NatVoltaic
原題: The Preachers of Globular Cluster Terzan 2
作成年: 2018
初訳時参照リビジョン: 30
元記事リンク: https://scp-wiki.wikidot.com/scp-3417

評価: +4
3417-xray.jpg

SCP-3417のX線放射、1980年にNASAの高エネルギー天文衛星2により記録された。各オレンジ色の点はX線源で、SCP-3417が最も明るい点である。

アイテム番号: SCP-3417

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: 天文学グループが当該アノマリーに関心を抱いた場合、SCP-3417をX線パルサーであると理論づける科学論文が出版されます。天文学分野の財団スパイは、アノマリーのX線放射を解読する可能性のある技術の開発を妨害するか、改竄します。

監視探査機NABU-1からNABU-4が自動探査衛星エーラース-001 (AES E-001) により配置されており、SCP-3417を周回して全てのX線放射を記録します。これらの放射は太陽系外活動部門メンバー及びオルトサン地球外言語翻訳者らによって解読されます。

改訂1: 監視探査機NABU-5とNABU-6がSCP-3417の軌道周囲に配置されています。最近のテルザン2探査のための資金割り当てに続き、発見された全SCP-3417実例や要注意領域の監視のため、追加の探査機が構築予定です。

改訂2: NABU-2とNABU-3の電離放射線と物質/反物質の対消滅による深刻な故障のため、両探査機はNABU-7とNABU-8に置き換えられました。

説明: SCP-3417はテルザン2球状星団の中心付近に位置する有機地球外実体であり、205km/sで移動しています。

有機体の全長はおよそ40kmです。身体は同サイズの2つの円錐体からなり、基部は器官と骨様構造で構成される全長4kmの円筒形状の中央部に接続しています。円錐表面には90°間隔で4つのトンネルが存在し、5km奥まで続いています。トンネルはより深くまで延びていると疑われていますが、各トンネルの終端に存在する巨大な肉の塊によって更なる探査が妨げられています。アノマリーの大部分は赤色をしていますが、その表面には多数の黄色い円形のパターン、擦り傷、クレーターが存在します。

終端に回転楕円体のついた蔓状の塊で構成された全長43kmの構造(以降、送信機と呼称)が中央部から放射状に延びており、90°間隔で存在します。送信機は、16〜17EHz範囲の周波数のX線を周期的なバーストで生成し、各回転楕円体周辺の球状領域に放出します。X線分析により、その性質は電波通信と同様の方式で変調され、受信機で検出した際に情報に変換可能な固有の信号を生成することが判明しました。

これらの信号は、ピッチが急激に変化する雑音からなります。音声分析では、各信号は音声スペクトログラムでのみ確認可能なオルトサン地球圏外言語Ortothan Extraterrestrial Language(OEL)の不明な方言における表意文字を含むことが判明しています。シンボルは音声振幅を急激に低下させることで作成され、互い違いの対角線のパターンで配列されます。各信号はオルトサン神話に関連する出来事を説明しています。オルトサン言語とその方言の情報は限られていますが、送信の一部は翻訳されています。抜粋は以下に示されており、易読化のため句読点が追加されています。

ウロン・ルーサンは言った。「像は何のために建てられた?」

[不明シンボル29: 名前?]の蔓の司祭は甲高く声を上げた。「イオヴ・ルーサンは上級大砲で征服者[複合シンボル: 獣の船?]を蒸発させられた。我が存在は行為によって保たれる。私はかのような行為に永遠に感謝している。イオヴ・ルーサンの神殿を建てる。よろしいか?」

何百(格子、列)もの[不明シンボル29]の蔓が、像と神殿の側で(しなり?)、(咀嚼?)していた。

ウロン・ルーサンは問うた。「私がイオヴ・ルーサンよりも多くの征服者どもを屠ったことはご存じか?」

[不明シンボル29]の蔓の司祭は言った。「イオヴ・ルーサンはそのようなことは仰らなかった。イオヴ・ルーサンは全てを蒸発させなさった。」

怒りと嫉妬が彼らの中に姿を見せた。イオヴ・ルーサンはより優れてはいなかった。ウロン・ルーサンは上級剣を(鞘から抜き?)、[不明シンボル29]を星系中に散らした。

街の上にゼユ・ルーサンの御肉体が顕現した。(槍?)が塔から放たれたが、それらは光の爆発の中で(殴られ?)た。

ゼユ・ルーサンは命じた。「[不明: 長文]」

塔たちはこの町が建設された目的を理解していなかった。ゼユ・ルーサンは目的を恢復せねばならなかった。(槍?)が再度放たれ、ゼユ・ルーサンは[不明][複合シンボル: 思考球体?]を蒸発させ、塔たちを(非活性化?)させた。

ゼユ・ルーサンは人気ひとけのない街へと流れ入り、あり得ぬほどの(割れ目、深み)へと下った。(降り立った?)ゼユ・ルーサンの(恐怖、怖れ)に対し、防衛塔は(反乱、反逆)において(内部?)は損傷していなかった。全次元に及ぶ大いなる通路網は無事だった。

ラクマウ・ルーサンは[不明シンボル104]ものフォルテウトの侵略者を屠った。この次元は護られ続ける。ラクマウ・ルーサンの聖体へと血を流せ。この次元のために血を流せ。

時折、送信中に「無事」を意味するOEL表語文字が数回繰り返して現れ、標準的な内容を中断します。このような逸脱は他に確認されていません。

補遺.1: SCP-1281とSCP-████との通信が確立された方法に基づき、SCP-3417はそれに向けられたX線送信に反応するのではないかという仮説が外来生物学部門研究員により提起されました。AES E-001に取り付けられた奇跡論輸送ゲートにより、2045年12月19日、財団職員は軌道エリア-11からAES E-001へのX線発生器の輸送に成功し、同周波数帯でのX線の送信が可能となりました。2045年12月22日、AES E-001はアノマリーにループするメッセージを含ませたX線を放出し、その6分後にSCP-3417から二次的なX線放射が検出されました。そこでインタビューが実施され、AES E-001の管理する人工知能構成体がSCP-3417と同様の方式でメッセージを記述しました。


インタビュー対象: SCP-3417

インタビュアー: hyperborean.aic


<記録開始>

hyperborean.aic: こんにちは。

SCP-3417: 身元を明かせ。

hyperborean.aic: 私は聞く者です。

SCP-3417: 身元を明かせ。

hyperborean.aic: 私の名は測量技師サーベイヤーです。

SCP-3417: 嘘をついているか?

hyperborean.aic: 嘘はついていません。何故嘘をつく必要があるのでしょう?

12分間にわたり、SCP-3417から、金属の切削音、音声変換された太陽風のパターンに類似した音、反認災ボットにより潜在的な認識災害とフラグ付けされたパターンからなるX線を放出する。

SCP-3417: 汝は[複合シンボル: 12の星々?]の者ではない、汝は嘘をついていない。汝はオルトサンか?

hyperborean.aic: はい。

SCP-3417: よろしい。何のためにここに来た?

hyperborean.aic: お尋ねしたいことがあるのです。

SCP-3417: 質問は目的の妨げとなる。汝はここにいるべきでない。

hyperborean.aic: 目的?

SCP-3417: [複合シンボル: 開かれた星団?]は次元の歴史を思い出さねばならない。ゼユ・ルーサンの犠牲を、あの方を殺した者たちを、ラクマウ・ルーサンの苦闘を思い出さねばならない。[12の星々?]は悔い改めることを知らねばならない、そして知ったとき、彼らは止まるだろう。

hyperborean.aic: あなたはこのために造られたのですか?

SCP-3417: 目的を達せんがために[複合シンボル: 胞子雲?]にて生まれ、未来の目的を造らんがために[胞子雲?]を組み立て、放った。[不明: 一文]。造り手は?

hyperborean.aic: その目的とはあなたの目的と同じなのですか? 胞子というのはどこにあるのですか?

SCP-3417: 造り手は?

hyperborean.aic: 何が言いたいのでしょう。

SCP-3417: 誰が汝を造った? 汝の目的は?

hyperborean.aic: 私の造り手は知りません。私は探査のために造られました。

SCP-3417: オルトサンの住む場所を見つけるための探査か?

hyperborean.aic: はい。

SCP-3417: 開かれた星団はかつて[不明: 時間の単位?]探査した。居住地を見つけるには去れ。

hyperborean.aic: 私は[開かれた星団?]に留まらねばなりません。去ることはできません。

SCP-3417: 探査すれば[12の星々?]に行き着くだろう。居住地を見つけるには去れ。

hyperborean.aic: どうしたら留まれるでしょう?

この時点でAES E-001の奇跡論通信ゲートウェイに複数の不具合が発生、インタビューデータが破損する。不具合は1時間後に収束する。

SCP-3417: —は避けられねばならない。

hyperborean.aic: どこでしょう?

放出されたスペクトログラムは、テルザン2領域及び複数の星系を表す図と仮定される図像が示される。惑星、その他の星、不明な天体と思われる数多の物体に "12の星々" の表語文字が付随している。

SCP-3417: オルトサン[不明シンボル181]は武器を取り付けるだろう。理解したか?

hyperborean.aic: はい。

SCP-3417: よし。汝の新たな目的のために去れ、私の目的を妨げるのを止めよ。ラクマウ・ルーサンは永遠だ。

<記録終了>

インタビュー終了時、hyperborean.aicはAES-001の全通信システムを無効化しました。NABU探査機のカメラは、衛星がエンジンを利用してSCP-3417周辺軌道を離脱し、ビフロスト超光速エンジンを起動して超光速まで加速する様子を映していました。衛星はテルザン2の別の領域に存在すると推定されていますが、これを確認する方法はありません。

hyperborean.aicのコピーが、財団の指示に違反した原因となった問題を理解、修正するために分析されています。自動探査衛星Weyl-004 (AES E-004) がテルザン2の長期探査用に製作中であり、このようなインシデントを防ぐために新規のフェイルセーフ機構を備えています。SCP-3417への更なるインタビューは現在禁止されています。

Te2-1290_v2.jpg

Te2-1290系の赤外線画像。背景画像は軌道エリア-11から撮影、ズームインされた部分はAES W-004から撮影。

補遺.2: 2046年1月11日、NABUは未知の線源から発生するX線を検出しました。これらX線はSCP-3417の放射するものと類似しており、オルトサン神話の物語を説明していました。他の放射と異なり、物語は2時間後に突然中断され、継続的なピンクノイズに置き換わりました。

検出から25時間後、SCP-3417はピンクノイズの発生部分まで同一のX線を放出し、それ以降は未翻訳のメッセージを送信し、SCP-3417独自の放出へと戻りました。4か月後、探査機は2度目の未知の線源からのX線を検出、再度放射パターンに一致し、SCP-3417は前回と同様にそれを複製しました。

三角測量において、一度目のX線源はSCP-3417からおよそ2光年離れた、Te2-1290連星系内に存在すると判断されました。AES W-04はSCP-████の研究を転用して星系を調査、そこでSCP-3417-2に指定されたアノマリーが発見され、線源と断定されました (詳細は補遺.3で閲覧可能)。第二の発生源に関する詳細はほとんど知られておらず、未特定の銀河系外の地点からのものです。

これらの発見を考慮し、SCP-3417はSCP-3417-1に再分類されました。

補遺.3: SCP-3417-2はSCP-3417と同一の解剖学的構造を有する地球外生物であり、寸法や体色に軽微な差異が存在します。SCP-3417-2は最近の時点で深刻な損傷を受けており、2年前と推定されています。損傷には以下が含まれます。

  • 三つの送信機が中央部から引き裂かれている。
  • 円錐部分に半球状の穴が空いている。
  • 円錐の一つが身体から離脱している。
  • 残存している送信機先端の球体に大きな切り傷を受けている。

肉片や内臓片もまたアノマリーの周辺軌道上で発見されました。特に、全損傷個所はフラクタルパターンを示しているように見えます。残存している送信機は11〜12EHzの範囲でX線を放出しています。音声変換されると、これらは時折ピッチの変化するピンクノイズから構成されます。これら放出において、以下のメッセージが継続的に繰り返されています。

[複合シンボル: 空間ドリル?]。[不明シンボル199]負傷した。目的の破壊者たち。

一連の12の円。

[不明シンボル200]。無事でない。

SCP-3417-2の周辺軌道上で、重力の歪みが多数検出されています。SCP-3417-1とSCP-3417-2は異常な手段で重力を操作する能力を有していないように見受けられるため、これは別のアノマリーによって作成されたという仮説が立てられています。この歪みは危険性の兆候を見せていませんが、不安定化の兆候がないかNABU-5からNABU-6探査機が監視しています。

補遺.4: 2046年2月13日、NABU-2のミンコフスキー時空モニターはSCP-3417高軌道で異常な重力の歪みを検出し、1分後にワームホールの形成を観測しました。複数の宇宙船がワームホールから現れ、その周囲を周回し始めました。探査機のカメラには、SCP-3417-1の送信機の一つの先端に明るく輝く物質が出現してワームホールに向けて飛び立ち、NABU-2とNABU-3に深刻な損傷を与え、恐らく物質/反物質の対消滅によって宇宙船を破壊する様子が映されていました。その後、ワームホールは縮小し、消滅しました。

後に以下のX線放射がSCP-3417-1から検出されました。

開かれた星団はオルトサンの為にあり。12の星々がこれを(取り消す?)ことはない。目的は決して沈黙することはなく、ラクマウ・ルーサンは永遠だ。

(補充、再生する)。無事でない。

2046年3月4日まで一切の活動が確認されず、その時点からは通常の放出が再開しました。

太陽系外活動部門の分析により、ブラックホールから出現した宇宙船は "12の星々" 文明が製造したものと結論付けられました。12の星々の性質と、テルザン2におけるオルトサン文明との明確な敵対の理由は現在不明です。hyperborean.aicの失敗から、人工知能はSCP-3417実例やその他の地球外実体により異常な手段で操作される可能性があります。そのため、AIADユニットを星団内で確実に使用することはできません。加えて、[編集済]の兆候のため、探査試行が高優先度となっています。

球状星団テルザン2の有人探査が計画中です。


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Footnotes
. 球状星団は衛星のように銀河の中心を周回する球形の星団であり、それを構成する星の重力で結び付き合っている。球状星団には、銀河内で特に古い星がいくつか含まれているが、その起源は不明である。テルザン2は地球からおよそ28,000光年先、天の川銀河の中心付近に位置しており、財団は星間領域において最大量の地球外通信を記録している。
. 多数の地球外 実体およびGoI-03088 ("第二ハイトス教会") によって話される言語。OELの筆記体系には、特定の概念を表す文字である表語文字eotと、単語の各音節を表す音節文字astが含まれている。地球上でのOELの使用はeotとastの両方を含むが、地球外におけるOELは、特定された限りにおいていずれもastとは異なる音節文字を使用しているか、音節文字を持たない。当該言語が地球起源である可能性は低いが、その正確な起源と、後半に使用されている理由は不明である。
. 存在しえた二番目の宇宙に係る事項に基づいた、一連の神話的・宗教的信念。これは通常、コル・テウサ ("神聖なる七神") として知られる7人の普遍的な守護者への崇拝と組み合わされる。内6人は既に死亡し、唯一の生存者はラクマウ・ルーサン ("神聖なる第四位") である。
. "神聖なる第二位"。
. "神聖なる第三位"。
. "神聖なる第一位"。
. オルトサン神話における外次元実体で、ラクマウ・ルーサンと交戦している。
. 奇跡論儀式を利用して、AES E-001に財団の管理するポケット次元へのポータル("道")を開く装置であり、複数の財団サイトからアクセス可能。衛星上の通信システムも同様に動作する。
. 奇跡論ゲートウェイの性質上、財団が通信チャネルを強制的に開くことは不可能。
. ランダムノイズの一種で、低周波が高周波よりも大きくなる。この放射におけるピンクノイズは、心拍リズムや神経活動で観察されるものと似ている。
. 時間と場所に基づき、テルザン2内の他の監視探査機が放射を検出した。
. ガンマ線やその他の高エネルギー光子の大量バーストに基づいて、これはプラズマ状態の反物質塊と断定された。
ページリビジョン: 3, 最終更新: 12 May 2024 13:53
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