クレジット
アイテム番号: SCP-2813-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: その性質上SCP-2813-JPは収容不可能であると判断されています。現在、SCP-2813-JPの所在は各要注意団体に潜入中の財団エージェントによって捜索されています。SCP-2813-JPが発見された場合、外部要因による実体の行動に対する妨害が可能な限り発生しないように監視を行って下さい。
説明: SCP-2813-JPは転移能力を持つ人型実体です。外見的特徴の細部は出現毎に異なりますが、眼鏡を掛けた三十代前半のアジア系男性である点は共通しています。収容当時、SCP-2813-JPの身長は███cm、体重は██kgでした。
SCP-2813-JPは一定以上の規模を持つ組織内に出現し、自身の外見や能力値、及び肉体に関連する全ての測定値を出現先の組織内において「平均的」「普通」と見做される物へと改変します。出現した団体の性質によってはSCP-2813-JPの肉体に中~重度の改造が施されていた事例も存在しますが、それらは実体の再転移に伴って完全に消失する事が判明しています。
出現したSCP-2813-JPは関係者に違和感を抱かせず「以前から所属していた構成員」として振る舞い、多くの場合組織内において重要度が低い作業に従事します。この際、実体の振る舞いは「極めて普通」「淡々としている」等と称されるものの、他の構成員や組織その物に対して何らかの悪影響や不利益を与えていた事例は確認されていません。
SCP-2813-JPはGoI-2722"鉄錆の果実教団"神奈川支部への襲撃時に発見されました。発見当時SCP-2813-JPは当該団体の構成員として勤務しており、エージェントに対して攻撃を試みた直後に突如消失した事で財団の注意を引きました。後の事情聴取によって、確保された他の構成員達が共通してSCP-2813-JPが教団に加入した正確な時期を把握しておらず、関連資料も発見されなかったにも関わらずその事に不審感を抱いていなかった事が発覚した為、実体は異常存在に指定されました。
以下は確保された"鉄錆の果実教団"構成員に対するインタビューです。
対象: 倉岡 孝雄氏(元GoI-2722 "鉄錆の果実教団"幹部)
インタビュアー: 米徒博士付記: 倉岡氏は教団内にて、信者の勧誘及び管理を担当していた。また、GoI-2722内にてSCP-2813-JPは「佐藤 █」と名乗っていた。
<録音開始>
米徒博士: さて、これから貴方には教団の構成員についての質問を行いますが、よろしいですね?
倉岡氏: ああ、もう何でも好きに聞いてくれよ。どうせ教団には戻れやしねぇんだしさ。
米徒博士: それでは、教団内におけるこの人物の役職を教えて下さい。[SCP-2813-JPの顔写真を提示する]
倉岡氏: [数秒沈黙]...え?コイツの事を話せば良いの?あの時逃げやがった他の幹部連中についてとかじゃなく?
米徒博士: 質問に答えて下さい。
倉岡氏: わかってるよ。ソイツは「佐藤 █」っていう事務作業を担当させてた奴だ。でも、佐藤について話す事なんて特に無いぜ?俺や他の奴等が話し掛けた時も無難な事しか答えねぇし、特に問題も起こしてないけど何か貢献した訳でもないし。まあ影の薄い、典型的な下っ端信者だったな。って言うか、お前らは既に佐藤を捕まえてるんじゃないのか?
米徒博士: その質問には答えかねます。
倉岡氏: そうかい。でも、もし捕まってないならとっくに死んでると思うぜ?アイツ非常事態じゃ何の役にも立たないから。お前らの足止めするように命令した時だって、役職がどうこう言ってる場合じゃないのに「事務員の私が戦うなんて、そんなの普通じゃない」とか言って渋りやがったんだぜ?
米徒博士: ...そうですか。では次の質問に移ります。彼が教団に加入した時期を教えていただけますか?
倉岡氏: あぁ、良いぜ。佐藤が入って来たのは......[沈黙]
米徒博士: どうしました?
倉岡氏: あれ?アイツ、いつから教団に居たんだ?本部からの出向でも無いし、新人紹介の時に顔を見た覚えも無いし...あれ?そもそも誰がアイツを勧誘してたんだ?
米徒博士: ご存知ないのですか?
倉岡氏: [困惑した表情を浮かべる]いや、信者を管理してた俺が知らないなんて事はあり得ない筈なんだよ。え?何で気付かなかったんだ?そう言えば俺も他の連中も全然気にしてなかったけど、これってかなりヤバい事だよな?あれ?
米徒博士: ...分かりました。インタビューを一時中断しますので、少し落ち着いて下さい。
<記録終了>
上記の初出現以降、財団はSCP-2813-JPと思われる実体を計█回発見していますが、いずれの場合も職員と遭遇した直後に消失している為確保には失敗しています。また、この際拘留された他の構成員は例外なくSCP-2813-JPを「取り立てて特徴の無い平凡な奴だった」と評しており、詳細な情報は獲得出来ていません。SCP-2813-JPの捜索は現在も継続されています補遺1を参照。
補遺1: 202█/4/██、日本支部にて行われた職員への身辺調査の際、有効なミーム抵抗値を持つ職員の1人が人事部に保管されていた資料の内容に異常な点が多数存在する事を訴えた為、事実確認の後に調査が行われました。その結果、およそ半年前から財団フロント企業にてSCP-2813-JPが清掃員として勤務していた事が発覚した為、即座に同職員の確保が行われました。以下は収容後に行われたインタビューの一部を抜粋した物です。
対象: SCP-2813-JP
インタビュアー: 米徒博士
付記: インタビュー前に行われた身辺調査の結果、SCP-2813-JPと当該実体が過去に所属していた計██の要注意団体との留意・警戒すべき繋がりは存在しない事が判明している。
<記録開始>
米徒博士: それでは、貴方の経歴について覚えている事を全て私に教えて下さい。
SCP-2813-JP: はあ、そこまで詳しくは覚えてないけど。最初に気付いた時は自室で1人暮らしをしてた。その自室ってのはこの部屋より少し狭くて、机に幾らかの金と何か変なメモ、あと求人のビラが1枚置いてあったのは記憶に残ってる。初めは何だかよく分からなかったけど、まあ暮らすのに困る事も無かったし、その内気にならなくなったよ。
米徒博士: その事に気付いた時期と、以降はどの様に過ごしていたかを教えて下さい。
SCP-2813-JP: 確か7年ほど前の春くらいだったかな。あと、それからの事なんだけど、数日位で所持金は全部無くなっちまった。だから仕事を探さなきゃって思って、ビラに書いてあった場所まで行ってみたんだ。そしたらそこに居た連中が俺に仕事をくれたんで、貰った仕事をこなして給料を稼いでた。後はずっとそれを繰り返してたな。
米徒博士: その間に誰か不審な連絡や、人物の接触があったりは?
SCP-2813-JP: いや、全然。ここに来た後も普通に清掃員してたし、あんた達に捕まるまでは何も無かった。
米徒博士: そうですか。ところで、以前の仕事や場所がどのような物だったのかは思い出せませんか?
SCP-2813-JP: うーん、殆ど覚えて無いなあ。色々な所を渡り歩きはしたけど、どこに行っても普通に過ごしたから何も印象に残って無いんだ。経歴なんて聞かれた事も無かったし、貰った仕事さえしてれば給料は貰えてたから、別に気にした事も無いし。
米徒博士: そうですか。ところで、貴方が自分の異常性を自覚したのはいつでしたか?
SCP-2813-JP: 異常性?何だそれ。俺は何も特別な所の無い、普通の人間だよ。確かに仕事はよく変えてるけど、最近はそういう奴も増えてるだろ?
米徒博士: は、はあ。では、貴方が職場を変える手段に関しても、何か違和感を持った事は無いのですか?周りの反応を見て奇妙に感じた事は?
SCP-2813-JP: 別に無いな。周りの奴は俺が急に現れた事を気にしてなかったし、そもそも俺に対して何の興味も持ってないみたいだった。俺は何処に行っても平凡な奴として扱われて、今みたいに注目された事なんて一度も無かったんだ。だからまあ、自分は普通の人間なんだろうなって。
米徒博士: [数秒沈黙]...そうですか、分かりました。
SCP-2813-JP: ところで、俺はいつまでここに居れば良いんだ?掃除の途中に連れて来られたから、早いとこ会社に戻りたいんだけど。
米徒博士: いえ、貴方には当分ここに居てもらう事になりますので、清掃員の仕事はもうしなくても結構です。
SCP-2813-JP: え?じゃあ俺、クビになったって事?
米徒博士: いえ、そういう訳ではありませんよ。強いて言うならば、ここに住んでもらう事が新しい仕事とでも言いましょうか。
SCP-2813-JP: あー、そっか。なる程ね。ああ、じゃあ1つ頼んでも良いっすかね?
米徒博士: 何でしょうか?
SCP-2813-JP: あのー、滞在してる間もここで清掃作業をさせて貰う事って出来ますかね?
米徒博士: それは上に尋ねてみないと分かりませんが...。何故です?
SCP-2813-JP: いやぁ、最近やっと清掃員としての生活に慣れた所だったから、なるべくその生活パターンを崩さないようにしたくてさ。ほら、今まで普通だった事が変わるのって落ち着かないし怖いしさ、なるべく普通のまま維持したいんだよ。アンタも分かる?この気持ち。
米徒博士: ...ええ、よく分かりますとも。
<記録終了>
終了報告書:インタビューにおける発言内容から、SCP-2813-JPは自身が異常存在である事を自覚していないと推測される。協議の結果、SCP-2813-JPの要求は却下された。
以下はインタビュー開始前にSCP-2813-JPが提出したメモ用紙の内容です。
ホーリー・ヘック! あなたはまさにあなた自身のミスター・リスペクトありすぎをゲーマーズ・アゲインスト・ウィードによって見つけました!我々はどこでも「普通」な事をリスペクトする彼の在り方を見習うべきです。
Dr.ワンダーテインメントいう異常者は誰ですか?全部見つけて、ミスター・ゲーマーになりなさい。
21. ミスター・ネグレクト
22. ミスター・キリ番
23. ミスター・中国からやってくる
24. ミスター・小悪魔系女子
25. ミスター・納税
26. ミスター・生い茂る草
27. ミスター・非検閲
28. ミスター・いじめ(生産中止)
29. ミスター・ああああ
30. ミスター・偽装結婚
31. ミズ・パリピ
32. ミスター・リスペクトありすぎとミスター・リスペクトなさすぎ ✔
33. ミスター・犀賀六巳
34. ミスター・証明
35. ミスター・わすれっぽい(GAWリミックス)
補遺2: 収容開始から2週間が経過した202█/5/██、SCP-2813-JPの収容違反が発生しました。特筆すべき点として、SCP-2813-JPは数日前から精神状態の悪化を主張しており、職員との定期的な交流を行っていました。以下は収容違反時に行われていた会話記録です。
対象: SCP-2813-JP
インタビュアー: 米徒博士
<記録開始>
米徒博士: こんにちは。今はどのような気分ですか?
SCP-2813-JP: あまり良くないな。ここ最近、自分が自分で無くなっていくみたいな気分なんだ。
米徒博士: 原因に心当たりは?
SCP-2813-JP: ああ。きっと、今俺が居るこの環境、[沈黙]いや、俺自身に問題があるんだと思う。
米徒博士: どういう事か聞かせて下さい、SCP-2813-JP。
SCP-2813-JP: ああ、今のそれだよ、それ。その番号で呼ばれるのが不味いんだ。いや、あんた達にとってはこう呼ぶのが普通の事だってのは知ってるさ。でも、俺はそいつが根本的に合わないんだよ。
米徒博士: 合わない、とは?
SCP-2813-JP: あんた達にとっては、世界から見て「異常」なモンはここに集めて管理するのが普通の事だ。そして、SCPってのはこの場所で管理されてる物の呼び方なわけだろ?
米徒博士: その話と貴方の不調に何か関係が?
SCP-2813-JP: 大有りだよ。つまり、この場所で「SCP」って呼ばれてる奴は異常でなきゃあならないのさ。それが普通の事なんだからな。
米徒博士: [沈黙]
SCP-2813-JP: でも、俺はそう呼ばれてるのに、ごく普通の人間でしかないんだよ。超能力も魔法も使えないし、頭が魚になってるみたいな見て分かる異常な所があるわけでもない。これが一番駄目な所なんだよ。
米徒博士: 何故です?
SCP-2813-JP: 何故って、あんた達は俺の事を異常な存在として扱ってる筈なのに、俺は同じ様に扱われてる他の奴等と違って普通でいる事しか出来ないんだぜ?
SCP-2813-JP: これって、すごく異常な事なんじゃ[SCP-2813-JPが突如消失する。]
<記録終了>
この記録以降SCP-2813-JPは未収容状態となり、現在もエージェントによる捜索が行われています。また、SCP-2813-JPの消失と同時に以下のメモ用紙が現場に出現しました。
ホーリー・「ミスター・リスペクトなさすぎ」! あなたはまさにあなたの中にあるミスター・リスペクトなさすぎをゲーマーズ・アゲインスト・ウィードあなた自身の手によって見つけました!他人の「普通」をムリヤリ「特別」に当て嵌めるのはリスペクトなさすぎな行為です。
Dr.ワンダーテインメントいう異常者は誰ですか?全部見つけて、ミスター・ゲーマーになりなさい。まずは、「普通」を尊重する気持ちを身に付けるのが先だけどね。
21. ミスター・ネグレクト
22. ミスター・キリ番
23. ミスター・中国からやってくる
24. ミスター・小悪魔系女子
25. ミスター・納税
26. ミスター・生い茂る草
27. ミスター・非検閲
28. ミスター・いじめ(生産中止)
29. ミスター・ああああ
30. ミスター・偽装結婚
31. ミズ・パリピ
32. ミスター・リスペクトありすぎとミスター・リスペクトなさすぎ ✔
33. ミスター・犀賀六巳
34. ミスター・証明
35. ミスター・わすれっぽい(GAWリミックス)