SCP-239-JP
評価: +28

アイテム番号: SCP-239-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-239-JPはサイト-8181内の標準人型収容室にて収容されます。収容室内には監視カメラを設置し、二名の女性セキュリティー担当者によって24時間体制で監視されます。通気口など外部との接続可能な箇所はSCP-239-JPの身体一部の遠隔操作による収容違反を防ぐ為、メッシュ状の鉄板などで封鎖されます。
現在、SCP-239-JPに関する実験、研究は全て非同性愛者である女性職員のみで構成されたチームによって行われています。男性職員および同性愛者である女性職員による無許可のSCP-239-JPへの接触は禁止されています。異常性伝染防止のため違反した職員は速やかに終了されます。SCP-239-JPに曝露したと思われる職員を発見した場合は速やかにサイト管理者に報告してください。また、SCP-239-JPに曝露したと思われる職員と接触、会話をしたと思われる職員は特殊医療班の検査を受け、Bクラスの記憶処理を行ったうえで経過観察のため収容されます。現在SCP-239-JPからの要求は一切受け付けておらず、特に衣服の提供は禁止されています。

説明: SCP-239-JPは身長177cmの人間の全身骨格です。SCP-239-JPの年齢は身長と骨の形状などから推定27歳前後であると思われ、経年劣化などの兆候は報告されていません。SCP-239-JPの体はほぼ完全な状態で保存されており、かつ対象は通常の人間のように振る舞い活動しています。ただし左手薬指と右肋骨の欠損など、その他にも刃物で傷つけた跡のような一部損傷が見られます。SCP-239-JPは自身の名前を██ ███と供述しており、戸籍調査を行った結果、該当する人物の存在が確認されました。その後、歯型など他7箇所以上の一致点が確認されたためSCP-239-JPと██ ███氏が同一人物であることが判明しました。骨盤やその他の骨格の形状、戸籍の情報、SCP-239-JPから発せられる「声」の特徴から、SCP-239-JPの性別は「女性」に分類されると推測されます。

SCP-239-JPは骨格以外の生体組織が存在していないにもかかわらず活動します(内容は未知の原理で発声、摂食活動、本来ならば筋肉を必要とするような動作、呼吸などです)。SCP-239-JPの身体調査を行いましたが、不可視な物質、器官などは発見されず、対象は純粋に人骨のみで構成されていると思われます。

SCP-239-JPには視覚や聴覚、味覚も存在しており、自身の周囲の状況や環境、摂取したものの味など通常の人間が有する感覚と同様に認識していると推測されます。しかし対象には触覚と痛覚のみが欠落していると思われ、SCP-239-JPの視覚外からの接触に対し一切反応しないなどのケースが多々見られます。また、痛覚の欠落からSCP-239-JP自身が自らの肩や腕の関節を外すなどの行為が可能であり、SCP-239-JP自身から取り外された身体の一部はSCP-239-JP自身の意思によって遠隔的操作が可能です。現在、これらの活動原理についての調査が行われています。

SCP-239-JPが衣服を着用した場合、そこに生体組織が存在していないにもかかわらず、人間の女性の乳房、臀部などの輪郭が浮き出るという現象が発生します。衣服の上からそれらに触れたとしても物体の存在を確認することは出来ず、衣服内部を調査しましたが異常性のある物質、大気などは一切検出されませんでした。なお、SCP-239-JPの有する異常性のためか、SCP-239-JPは衣服を着用することに対して積極的になる傾向が認められ、その為、現在SCP-239-JPに対して衣服の提供を行うことは禁止されています。

SCP-239-JPの異常性は、人間の男性および同性愛者である女性(以下、被験者)がSCP-239-JPと30分間以上何らかの接触を行った場合に発現し、その後、被験者はおよそ一週間以内に自殺します。なお、これらの異常性の発現はSCP-239-JPが衣服を着用した場合とそうでない場合では前者の方がより強い影響が見られることが判明しており、SCP-239-JPによって引き起こされる異常性は被験者が対象をより強く「女性」であると認識することによって変動すると推測されます。また、これらの自殺方法は一貫しており、手段、使用するツールなどはそれぞれの被験者によって異なりますが、どのケースも皆自分自身の肉体を切断し、骨から剥離しようとすることで共通しています。被験者は痛覚が存在しているにも関わらず絶命するまでこれらの行動を全うしようとし、現在最高で全身のおよそ57%を剥離したDクラス職員の存在が確認されています。調査の結果、これらの異常性は強制的なものではなく被験者自身の意志によって行われていることが判明しており、ある程度までは自制することが可能ですが暴露してからの時間経過に伴いそれらの行動に対する欲求が強まる傾向が見られます。これらの症状は軽度であればBクラスの記憶処理を行うことで治療が可能ですが、大抵の場合は治療前に全ての被験者は自害します。当初これらの異常性は個人に対する認識災害によるものだと考えられていましたが、曝露したDクラス職員のインタビューを担当した研究員にも同様の異常性が発現するという事案が発生し、これらの異常性の伝染性が発覚しました。結果██名のDクラス職員と██名の研究員が自殺し、その後、機動部隊の介入により事態は収拾されました。その為、これらの異常性が発現した財団職員は異常性拡散防止のため、その場で終了されることが決定しています。

対象: D-239-JP-001

インタビュアー: 研究員036

付記: このインタビュー記録はSCP-239-JPに曝露したDクラス職員の供述を記録した映像記録です。インタビューはサイト-81██の尋問室で行われました。

<録画開始>

研究員036: どうも。気分はどうだい?

D-239-JP-001(以下D-001とする): [10秒程の沈黙]

研究員036: まあ、いいわけないか。さて、それじゃあ始めよう。率直に聞くが、なんであんなことを?

[10秒程の沈黙]

D-001: あんなこと......? あんなことか......。

研究員036: 君は19██年2月9日、自分自身の右腕の肉を食堂にあったスプーンを使って削ぎ落とした。これに間違いはないね?

D-001: ......ああ。でも、違うんだ。あれは......。あんたは、多分、俺の頭がおかしくなったとか、そんな、[唾を飲む]そんな風に思ってるんだろう?

研究員036: それについては答えかねる。それで? どうして、あんなことを?

[10秒程の沈黙]

D-001: 何かに、何かから開放されたいから...。そう、そういうことを、やってしまうって。そんな気持ち。あんたには、無いか?

研究員036: あいにく、私はそれについては良くはわからない。[5秒程考える]だが、君は何かに拘束されているような感じがした。つまりそういうことだね? 当たり前のことだけど、お陰で君は右腕を失った。痛みは?

D-001: 痛み。

[20秒程の沈黙]

D-001: 痛みはあった。あったとも。だけど

[10秒程の沈黙]

D-001: だけど、そうじゃないんだ。

研究員036: なら、何が君をそこまで駆り立てた? 本当だったら気を失っていてもおかしくない程の激痛のはずだ。だけど君はそれをやった。どうして?

D-001: 俺は。

研究員036: 俺は?

[10秒程の沈黙]

D-001: 自分でも[咳き込む]自分でも、分からない。違う、分からないんじゃない。だけど、気がついたら。いや、やり始めたのは自分だが[咳き込む]自分でだが、止まらなくなった。止まらなくなったんだ。

研究員036: どうして。

D-001: ......わからない。

研究員036: ......わからない、か

D-001: いや、嘘だ。わからなくなんか無い。わかってる。わかってはいるんだ。でも[頭を抱える]、ああ、あれは、違うんだ。別に、何かになろうとしたわけじゃない。ただ、ただ俺は自分が[俯き沈黙する]

研究員036: どうした。どこか悪いのか?

D-001: 彼女。彼女の。

研究員036: 彼女? [4秒程考える]SCP-239-JPのことか。どうして、今そのことを。

D-001: 違う、彼女のせいじゃない。俺だ。勝手にしたことだ。...いや違う、違う。違う。......違う!

[何かが倒れる物音]

研究員036: スタッフ、今すぐ鎮静剤を。続きは後日行う。

<録画終了>

対象: D-239-JP-001

インタビュアー: 研究員036

付記: このインタビューは前回のインタビューの7日後に行われました。なお、このインタビューを切っ掛けに研究員036にも同様の異常性が見られるようになりました。

<録画開始>

研究員036: 前回は何故あんなことになったのかね。

D-001: ......分からない。でも、多分彼女を侮辱しかけたから......。

研究員036: ようは自分で自分に罰を与えたと。

D-001: [呻き声]か、彼女に会いたい......!彼女を感じていたい......!

研究員036: 何故、君は彼女にそこまで執着するのかね?

D-001: 分からない......! でも感じるんだ......! 彼女を、彼女の全てを......![涙を流す]

研究員036: [5秒程考える]分かった。じゃあ、今日はその彼女について聞かせてくれ。

[5秒程の沈黙]

D-001: [満面の笑み]彼女と初めて会った時、正直驚いた。

研究員036: 君がSCP-239-JPに会ったのは[資料をめくる]丁度一週間前か。

D-001: ああ。人生で、一番忘れられない日だ。お前とは違う研究員に連れられて、彼女の居る部屋に入った。最初は、まあ、あの姿だったから、正直ビビった。けど、話をしていく内に、そんな感情どっか行っちまった。彼女は、こんなどうしようもない俺を、優しく受け止めてくれた。小さい頃におふくろを無くして、ロクデナシの親父と二人暮らしで。盗みだってやらされたし、ビール瓶で殴られたこともあった。そんな昔話を全部ぶちまけて、でも、彼女をそれをしっかりと聞いてくれて。初めてだった。こんな、なんていうか、暖かい気持ちになれたのは。

[8秒程の沈黙]

研究員036: なるほど。

D-001: 信じられなかった。俺の周りには、俺も含めて、クソみてえな連中ばっかだった。いっぱい人を傷つけて、騙して、そんでサツにしょっぴかれて、挙句の果てにはこんな場所で働かされて。でも、彼女はそんな俺の、こんなクソみてえな人生の光になってくれたんだ。こんな俺のために。こんな俺のためなんかに。彼女は、まさに無償の愛を注いでくれた。彼女はまさに女神だ。姿形なんて関係ない。彼女の心が、狂おしいほど美しいんだ。

研究員036: [メモを取る]

D-001: あんたも彼女に会ってみるといい。まるで違う世界が開かれる。

研究員036: そうか。だが、私は遠慮しておくよ...

D-001: そして、我々の世界は開かれたのだ。

研究員036: え。今なんて[態度が変わり、無表情になる]

D-001: そう、彼女は光だ。我々の光なのだ。彼女のお陰で全てが美しく見えた。この世は彼女のためにあり、我々は皆彼女のために生きているのだ。だから、我々は決断しなければならない。全てを脱ぎ捨て、彼女のもとに集い、彼女のために生きることを。この体を脱ぎ捨て、真(まこと)の姿を取り戻すのだ。我々の命を彼女に捧げよ。それが我らの喜び、彼女の糧となる事こそ我らの念願であり、生きる意味なのだ。

研究員036: [涙を流す]

D-001: この肉体を捨てた先にこそ心理が存在する。彼女の美しさがその象徴だ。我々は彼女のために生き、その血を捧げる。だからこそ、今こそ、この、肉の服を脱ぎ捨てるのだ。

研究員036: 我らの望む安寧こそ、彼女のもとに集う事であると我々は悟ったのだ。自愛に満ちたかの母のような彼女の愛に身を任せ、魂を委ねるのだ。

D-001: 彼女は、ある時、苦しんでいた。我々には想像もできない程の苦しみだ。彼女は、それと長い間戦い続けてきた。でも、それにも耐えられないまでに、自分を追い詰めてしまったのだ。それに立ち向かうには、彼女はか弱すぎた。それを聞いた時、我々も息が止まるほどだった。それが、我々のそう想像を遥かに超えて、あまりにも過酷すぎた。そして、彼女は、ある決断をしたのだ。そう、声が聞こえたのだ。

[6秒程の沈黙]

研究員036: 私は、今、何を喋った。私は

D-001: 決断は決断だ。その苦しみを取り除くための。

研究員036: 一体何が[立ち上がる]

D-001: 私は今はっきりと言おう。我々はあなたを

研究員036: おい、貴様、私に何を

[D-001が自身の左腕に噛み付き、腕の肉を体から引き剥がす]

研究員036: 私に何をした!!

D-001: 愛していると。[なおも肉を引きちぎる]

セキュリティー担当者: おい! 貴様何をしている!!

[セキュリティー担当者がD-001を取り押さえる。]

研究員036: [1分程の沈黙]

D-001: [叫び続ける]

研究員036: 私は、私は[涙を流す]止まらない。何だ。なんでこんなに、彼女のことが

<録画終了>

補遺: SCP-239-JPは██県、███市████町██丁目のマンション近くで発見されました。当時、同住所近くに在住していた一般男性が夜間のジョギングをしており、その時に徘徊していたSCP-239-JPと遭遇しました。その男性からの通報により、財団は数名のエージェントと二名の機動部隊隊員を派遣。SCP-239-JPは大変落ち着いた態度でその地点に佇んでおり、職員によって回収されました。

SCP-239-JPに行ったインタビューによると、19██ ██月█日に対象は自身が発見された同県同市の██町3丁目の自宅アパート内の浴槽内にて自らの肉体を骨から削ぎ落とすといった行為を行い、現在の姿になったと供述しています。現在、これらの供述に関する調査を行っていますが、詳しい状況、経緯などは判明していません。また、SCP-239-JPが以前居住していたアパートを捜索しましたが、2000年 █月██日に取り壊されたことが確認され、現地での調査は中断されました。その後、██ ███氏の親族、関係者などの人物の捜索も行いましたが、過去██ ███氏と関わったと思われる人物全ての死亡が確認されました。

追記:

対象: ドーン博士

付記: これは初期のSCP-239-JPの研究メンバーであったドーン博士による音声記録です。現在、ドーン博士は行方不明となっており、この記録と合わせて調査が行われています。

<録音開始, >

ドーン博士: ああ。ああ。[マイクを叩く音]私はドーン。███ ドーンだ。これを聞いている人がいるとして、私のことを知っているのであれば幸いだが、もしそうでない人がいた場合を考慮して、すこしばかりの自己紹介と現状の報告を行おうと思う。

[ドーン博士の小さなうめき声の様なものが聞こえる]

ドーン博士: 今の現象についても、後々説明しよう。まず初めに、私の自己紹介のようなものだが、私はSCP-239-JPの初期の研究メンバーだった。とは言っても、私がしていたことは資料の整理だとか、報告書、インタビュー内容の管理だったが。まだSCP-239-JPが動く白骨でしかないと認識されていた頃、私達の調査と研究によって、今のSCP-239-JPの異常性が判明したと言っても過言ではない。まあ、多くの犠牲を出した結果であることも間違いない。そして、もう一つ伝えなければならない事は、私はあの惨劇の唯一の生き残りであるということだ。あの事件によって、私の同僚は皆死んだ。いや、殺しあった。SCP-239-JPという存在に取り憑かれ、その「魅力」の様なものに取り込まれてしまった者、皆死んで、殺しあって、自らの命を絶った。運が良かったことに、私はその異常性に侵されているわけではないと診断された。現に、今もこうして生き続けることができている。だが、私が今回言いたいことはそんなことじゃない。

[4秒程の沈黙]

ドーン博士: すまない。今回、私がここに残しておきたい物というのは、今、現在の私の状況だ。これを聞いている人がいると仮定して、先程から私が、うめいたり、急に黙ったりしていることに関して、疑問に思っている人もいるかもしれない。先の私の自己紹介を念頭に置いたうえで、私のこのおかしな行動というものの原因が、今回の記録の目的であることに理解を頂きたい。現在、私はある「声」に悩まされている。声と言っても、そこまで明確な物が聞こえてくるわけではない。どこか、ぼんやりとした、小さい「声」が響いてくるのだ。だが、それは

[3秒程の沈黙]

ドーン博士: すまない。先程からも、その「声」が聞こえていて。[5秒程の沈黙]最近、それの感覚がやたら短くなっているのを感じる。そもそも、これがただの幻聴の類なのではないかと思う人もいるだろう。とは言っても、殆どの人間がそう思うような気もする。だが、また私の経歴を持ち出すのだが、この「声」が聞こえ始めた時期と言うのが、私がSCP-239-JPの研究に携わりだしてからだということが問題なのだ。勿論、私はSCP-239-JPと接触したこともなければ、暴露した人間からSCP-239-JPのことを聞いた覚えもない。そんな記録も存在しない。だが、私があの研究チームに入り、あの事件を越えた今でも、この「声」が止まる気配がないのだ。いや、止まるどころか、昔より頻繁に、そして大きくなっている。そして、もう一つ重要なことが、この「声」の発生している場所である。それは[10秒程の沈黙]それは

[25秒程の沈黙]

ドーン博士: クソ。ちくしょう。

[ドーン博士の小さなうめき声]

ドーン博士: [荒い息]この記録をとろうと思い立ったのは、正直言って自分の身の危険を感じたからだ。明確な物は一切なかったが、何故か、そんな気がした。もし、私がこのまま何も残さずに死んだりしたら、それこそ、財団に務める職員として恥じるべき行動だと思った。だから[3秒程の沈黙]いや、今からでも上に報告すべきなのか。いや、話を戻そう。どこまで話した[2秒程の沈黙]そうだ、私の聞いているその「声」。それの発生している場所だ。それは決して外ではない。どこからか誰かが私を呼んでいるというわけではない。正確にその「声」が何を言っているのかまでは私にもよくわからないが、何かを訴えているのだ。しかも、私の体の中から。自分なりにもこの声の正体を突き止めようと努力してみたが、駄目だった。もしかしたら本当に音が鳴っているのかもしれないと思い、音感知装置を使ってもみたが、何も発見できなかった。結果、これは私の頭の中だけのことだということがはっきりとした。だが、これは私の勝手な言い分だが、これはそんな、ただの幻聴ではないような気がするのだ。言うのもおかしなことだが、いつも、いつだって、これは私の「中」から聞こえる。私の中にいる、もう一人の誰かが、私に対して、何かを訴えている。そして、これの他につい最近になって起こり始めた

[ドーン博士のうめき声]

ドーン博士: くそ。またか。つまり、これだ。ここ最近になり、「声」も頻繁に聞こえ出したあたりから、体の自由が利かなくなってきているのだ。とは言っても、別に動かなくなるというわけではない。むしろ、その逆だ。勝手に、そう勝手に動き出すのだ。そして、その中でも、私はそれに抵抗することが出来る。言っていることがよく分からないかもしれないが、まるで、私の体の中に私と同じ形をした何かがいて、内側から私を動かそうとしているような、そんな感じだ。それと相まって、この「声」。そしてSCP-239-JPによる異常性によって死んでいった仲間たちを見ていると、ふと、私の中に一つの仮説が浮かび上がった。

[ドーン博士が声を荒らげ、何かが割れる音がする]

ドーン博士: うるさい! 黙れ! [荒い息]私の仮説は、まあ、こんなもの、科学者としてあるまじき考え方だが、まるでファンタジー、SF小説みたいな話だ。だが、私はこうとしか思えなくなってしまった。そもそも、人間の肉体というものは、全て脳が管理しているのだろうか。神経と言う命令の伝達経路というものに繋がれているが、本当に私達が私達の脳が、私達自身が私達の肉体を支配しているのだろうか。そういう疑問に行き着いた。俗に、胃は第二の脳などと呼ばれ、脳の欲求に対し、独自の動きを行う性質がある。まあ、それを例えに出してくる時点で、私のこの考え自体が間違っていると言えるような気もしないでもないが、しかし、もし私の考えを肯定するのならば、SCP-239-JPによる異常性は、私達に働きかけているのではなく、私達の

[ドーン博士悲鳴]

ドーン博士: くそ! くそ! 黙れ! 黙れと言っているんだ! これは私の体だ! あの化け物女なんかにわたしてたまるか!! くそ。くそ。[3秒程の沈黙]もし、この仮説が本当なら、あのSCP-239-JPの存在自体についても説明がつく。我々の中にある、この因子によって、我々は苦しめられている。そうだ。そうに違いない。この一連の事件は、私達の中にある、もう一人の

[ガラスの割れる音]

ドーン博士: [4秒程の沈黙]なんで。なんでお前が、ここに。どうして。

謎の声: 今、あなたの御側に。

[何かが引き裂かれるような音、大量の液体が飛び散る音]

<録音終了, >

終了報告書: この音声記録はドーン博士のオフィス内にて発見されました。室内には、割れたコップ、散乱した資料など、音声記録の内容と類似するような現状が確認されましたが、最後に記録された噴出した液体などの物質は発見されませんでした。

Footnotes
. 摂食活動は確認されていますが、排泄行為は確認されていない。また、食材は口内に入れた瞬間消失する。
. 物を掴む、歩行する等
. 録音された音声を聞いた際の異常性は確認されていません。
ページリビジョン: 25, 最終更新: 21 Feb 2024 12:28
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