アイテム番号: SCP-2238
オブジェクトクラス: Safe Keter
特別収容プロトコル: 財団職員は常時、全てのローカルテレビ放送を監視します。SCP-2238-A実例の発生が報告された場合、財団職員は記録保持の目的で前記実例を記録しなければなりません。加えて、関わった全ての民間人は財団職員によって拘留し、SCP-2238現象に関与していないことが判明した場合はクラスA記憶処理を施して解放します。
SCP-2238-A-14のスクリーンショット
説明: SCP-2238は主にアメリカ合衆国南部のテレビ放送局に影響を及ぼしている異常現象の公式指定名称であり、影響されたエリア内において、一連の歴史ドキュメンタリー番組として出現します。この現象は、現在未知の手法によってローカルTV送信機を"ハイジャック"することにより、影響された地域の特定タイムスロットに干渉します。
主な放送干渉は、歴史ドキュメンタリーの放映中に発生します。SCP-2238が影響するタイプのドキュメンタリーは概ね欧米の映画制作者が手掛けたものであり、特に第一次〜第二次世界大戦期に焦点を当てたものですが、SCP-2238はこのカテゴリに当てはまらない番組にも影響を及ぼした事例が報告されています。
干渉中、SCP-2238は中断されたものと同じドキュメンタリーを放送します。現在SCP-2238-Aと指定されているこのドキュメンタリーには、異なる出来事、異なる歴史家、登場する俳優などの点で、オリジナル版から幾つかの逸脱が生じています。オリジナルからの逸脱率は各SCP-2238-A実例間で異なります。現在、22本のSCP-2238-A実例が確認されています。
最初に報告されたSCP-2238事象は1992年05月12日、アラバマ州[編集済]で放送されたドキュメンタリー"ナポレオン: 権力の男"の不正確な描写について民間人からローカル放送局に通知が入った時のものです。このドキュメンタリーは、ナポレオン・ボナパルトによってロシアおよびユーラシア大陸の大部分が併合されたことについて論じる内容でした。
補遺-2238.1
財団の科学者と分析官たちは、全22本のSCP-2238-A実例で言及された出来事の完全な時系列を纏め上げました。
1946年以降のこの世界については殆ど判明していません。
補遺-2238.2
2000年01月23日、SCP-2238はルイジアナ州[編集済]市に影響を及ぼし、"暗闇に身を潜めて"と題されたドキュメンタリーを放送しました。この番組は、1991年12月21日に発生したある出来事を巡る財団と世界オカルト連合の間の緊張の高まりをきっかけに発生したとされるX-クラス"暴かれた虚構"シナリオについて詳述し、当該事案に財団がどのように適応したかに焦点を当てていました。
ビナー・パターン認識システムが起こしたエラーにより、当該時間軸の財団は誤ってGOCの基地を攻撃し、3,000人を超えるGOC職員の死を招きました。この事案は財団=GOC間の緊張状態を高め、以後3年間に及ぶ"GOC財団戦争"と呼ばれる出来事を引き起こしました。
ドキュメンタリーの内容には、一部の異常物品/実体を発見・捕獲・収容する財団エージェントの映像や、O5-12を始めとする財団職員や収容下の知的実体に対するインタビューが含まれています。ドキュメンタリー中で言及された事案・オブジェクト・職員・要注意団体構成員らの不完全版リストは以下の通りです。
- SCP-1892 (収容)
- SCP-1938 (収容)
- SCP-044 (回収)
- SCP-2453 (収容)
- [編集済] (インタビュー)
- マン博士 (インタビュー)
- D-2134122 (インタビュー)
- O5-12 (インタビュー)
- SCP-2273 (インタビュー)
- GoI-5869の構成員 (インタビュー)
- "SCP-████"とされるオブジェクト (収容)
- 事案083-D/コンドラキ (映像記録)
- 最初の会合におけるO5-1、O5-2、O5-6、O5-7、O5-12 (1912年頃の映像)
- SCP-████
この事案に続き、5日間にわたる[編集済]郡全域へのクラスA記憶処理、SCP-2238-A-23の全記録の抹消、オリジナル版ドキュメンタリーの製作に関与したスタッフ█,███名以上の拘留が実行されました。"暗闇に身を潜めて"に関与した全ての財団職員は、当該ドキュメンタリーへの関与を否定しています。
補遺-2238.3
以下はドキュメンタリー、"暗闇に身を潜めて"からの転写の一覧です。
「最初に砲撃の音を聞いたのは朝早くだったよ。あの当時はまさか砲弾だなんて思わなかった、なんだか五月蠅ぇ騒ぎが起こってるなと思ったぐらいだ。起きて、窓から見ようとした。そしたら遠くで、俺が職場に行く途中にいつも通り過ぎていく建物が燃え落ちてたんだ。いつも兵舎か研究所だろうとばかり思ってたが、まさかね...」
「男たちが何人か来て、俺と娘を家から引っ張り出した。そいつらは人類の安全を保つための"連合"という勢力から来たと言って、一番近い民間のセーフゾーンへ向かうためのバスに乗るよう伝えてきた。連中は俺たちを一纏めにした後、15歳以上、50歳以下の男と女だけをより分けて一緒に連れて行ったんだ。あれ以来、娘の顔を見たことはねぇよ。」 — サイト-43襲撃の生存者
「私たちの仕事は、市民をセーフゾーンへ移動させることでした。大半の者たちは何が起きているか全く分かっておらず、分かっている者たちは、安全を保てる場所など何処にも存在しないことを知っていました。いつも思い出すのは、パリの境界線近くに住んでいた老人のことです。彼は家を離れることを拒みました。第二次世界大戦の間、共産主義者とイギリス人が攻めてくる前から住み続けてきたのだと。私たちは遂に彼を退去させることができませんでした。連合の攻撃が始まった時、家は破壊され、死体は見つかりませんでした。」 — フランス、パリの民間人保護区にて
「戦時中、我々は記憶処理薬を戦術的な目的で使用しました。記憶処理薬の入った缶を、敵の戦闘員が詰めている一室に投げ込み、10秒か20秒間、自分が何者なのかを全員に忘れさせる。その間にM16で薙ぎ倒すのです。全く以てシンプルなやり口でした。」 — 財団所属、ケネディ将軍
「奴らは人殺しだってのが俺の率直な意見だ。用務員ども、あいつらは全員イカれた獣だ。それまで俺は、あいつらはある種のブギーマンみたいなもんで、インターネット上のパンピーや負け犬を怖がらせるためだけのものだと考えてた。違うんだ。モスクワは、[沈黙] モスクワは俺の故郷だった。東ヨーロッパにたった一つ残ってた安全な場所だったんだ。他は全部戦闘で破壊された、核とかその手の兵器でな。あの化け物を俺たちに向けて投下してくるような度胸があるとは思ってなかった。野郎はあのバカデカい鎌で、俺たちを虫ケラか何かみたいに殺して回った。[沈黙] 通りのあちこちに死体が転がってた。男も、女も、[沈黙] 子供も。勿論、連合には選択肢が無かったんだろうさ。これまであいつらに他の選択肢なんてあった試しがあったか?」 — ゲーマーズ・アゲインスト・ウィード構成員、モスクワ爆撃の生存者
「ヨーロッパは最初の数ヶ月で完全な地獄に変わった。かつて文句の付けようもなかった牧草地は、爆弾や砲弾が落ちてできた数百もの大穴に覆われていた。一番大きかった穴は、私たちが彼らの基地に核を投下した時のものだったよ。空気中に放射線を感じることすらできたほどだ。何人かは毒気に当てられて気を失い、飛行機を墜落させた。」 — 財団空軍所属、上等兵
「僕たちに行き渡る食事が十分だったことなんて、一度もありませんでしたよ。連合はセーフゾーンを取り巻く農場での労働を強制して、1シーズン辺りに生産しなければならないノルマを割り当てた。どのグループも9か月間に、与えられた9種類の作物からそれぞれ10ポンドずつ生産高を上げる必要があったんです。生産が思わしくなければ、ヨーロッパかアメリカの最前線で9ヶ月過ごすことになります。恐ろしい話を聞いていました。[沈黙] 爆撃とか、人死にとか。僕の寮仲間だったある男は、所属グループが十分な食料を生産していないと告げられました。[ティッシュを目に当てる] 僕たちは彼をトイレで発見しました。剃刀で喉を切り裂いた後のことだった。」 — セーフゾーン・ブラジルの住民
「勿論、彼らを始末する必要はありました。彼らは全ての規則と規制を守りながら途方に暮れているばかりでした。我々にはそれらの兵器が必要だった、何しろ連合はイギリスとメキシコ湾に既に進出していたのです。しかし、彼らはその選択肢を余りにも"非倫理的"だと言う。彼らは進歩の途上にいた者たちであって、私たちには他に選択肢は無かったのですよ。彼らを殺すために"連合のスパイ"を送り込みました。え? ええ、彼らは余りにも多く知り過ぎました。ある種の情報漏洩を見逃すことは出来ませんでしたから。」 — O5-14、倫理委員会の解散についての談話
「最初はDクラスを用いていた。奴らは人殺しの怪物であって、誰も同情はしない。だが我々は敗北を重ねるにつれて、他の供給源を探し始めた。連合の捕虜、民間人、そういった連中をだ。あのプロジェクトは人命よりずっと重要なものだった。うん? 無論だ! そうだ、やったとも! 感染者を奴らのサイトに投下し、ヨーロッパ中に広めた! 他に打つ手は無かったのだから。」 — マン博士、生物兵器としてのSCP-008運用についての談話
「奴らを殺した。戦時中における、より良き善のためにな。そんなことをする羽目にならなきゃいいと思ってたが、俺たちはやったんだ。フリークども、グリーン、ブルー、レッド、見たところ異常だと思われる物は駆り集め、外に引きずり出した。そして大きな穴を一つ掘るように言った。連中の殆どは40歳より年上じゃ無かった。穴を掘り終えると、俺たちはサイトで見つけたオブジェクトを全てその中に投げ入れて、奴らに穴に向かい合って立つように伝えた。[沈黙] 俺は...引き金を引かなきゃならなかったのが、俺じゃなかったことを嬉しく思う。」 — 連合の兵士、サイト-19襲撃戦の退役軍人