SCP-054-IT
評価: +3

クレジット

タイトル: SCP-054-IT - ミクロコスモス
翻訳責任者: oplax-counterpoint oplax-counterpoint
翻訳年: 2025

原題: SCP-054-IT - Microcosmo
著者: DrGraph DrGraph
作成年: 2020

初訳時参照リビジョン: 14
元記事リンク: http://fondazionescp.wikidot.com/scp-054-it

評価: +3

アイテム番号: SCP-054-IT

オブジェクトクラス: Keter

特別収容手続: 2013年以降、SCP-054-ITはエリア-54-INTに指定されている軌道観測モジュールOC2-Aが収容を管轄しています。OC2-Aはガンマ線および太陽風に対する防壁と、3つの研究室、職員の宿舎、およびマイクログラヴィティ生成装置を備えています。

SCP-054-ITに割り当てられた職員は年ごとに交替し、またOC2-Aに送られる前に標準的な宇宙飛行士訓練を義務付けられます。SCP-054-ITが存在している領域への探査、ロケットや探査機の打ち上げ、および領域の通過は妨害され中止されます。

説明: SCP-054-ITはガスと塵からなる、直径18〜24kmのおおまかに球形をした雲状実体です。対象は高度およそ30,000kmで地表に対して静止した軌道に位置しており、その中心はピエモンテ州の北緯██度██分██秒、東経██度██分██秒付近の上空に位置しているため、サイト-ウラーノの望遠鏡によって容易に観察が可能です。分光分析によると、SCP-054-ITは水素とヘリウムを主体として、少量の炭素、酸素および微量の他の元素から構成されていることが判明しています。

時折、SCP-054-ITは崩壊して核融合反応を引き起こし、必要な圧力と温度を満たさないにも関わらず、小さな星のような見た目を取ることがあります。これは総称してSCP-054-IT-1に指定されています。SCP-054-IT-1実例は様々な色、形状、寿命、温度の形態を取る、通常の星の小型版と言えるものです。財団はこれまでに4,500個以上のSCP-054-IT-1実例を観察し、以下に示すハーバード分類に類似した分類方法でカタログ化しています。

分類 質量 半径 温度 平均寿命 出現頻度
O > 10 t > 25 m > 30, 000 K ~ 300 日 > 1 %
B 1 t - 10 t 18 m - 25 m 青白 10, 000 K - 30, 000 K 8か月 2 %
A 500 kg - 1 t 13 m - 18 m 7500 K - 10, 000 K 12か月 3 %
F 100 kg - 500 kg 8 m - 13 m 黄白 6000 K - 7500 K 18か月 5 %
G 70 kg - 100 kg 5 m - 8 m 5000 K - 6000 K 3年 7 %
K 30 kg - 70 kg 2 m - 5 m 3000 K - 5000 K 6年 12 %
M 10 kg - 30 kg 0.5 m - 2 m < 3000 K 8年 70 %

SCP-054-IT-1実例はそのサイズに依存してそれぞれ異なる方法で消失します。最も小さいものは数か月を経る間に半径、質量、輝度を増していき、その後1〜10年をかけて冷却しながら質量を失います。他方、最も大きいものは、乱流となって数週間にわたり高速で物質を噴きだし、その後SNイベントによって爆発して、残留物として非常に高寿命な中性子星 (-Nに指定される) を残します。理論的にはSCP-054-ITがブラックホールを形成することが考えられますが、記事の最新版時点では、そのような実例はまだ観測されていません。

以下はSCP-054-ITで検出された特記すべき天体のリストです。

凡例

指定: 実例はSCP-054-ITの後に分類と指示番号を付けて指定されます。(例: 054-M001)

発見日: 最初に観測された日付。

失活日: 消失あるいはSNイベントを発生させた日付。そのイベントと(あれば)残留物も共に記述される。

詳細: 発生したイベントについての簡単な説明。


指定: 054-A044

発見日: 1991年12月03日

失活日: 1992年05月12日、消失

詳細: 1992年3月23日、実例は突如としてサイズと輝度を増加させ、付近に位置していた054-M112を巻き込んで不安定化しました。1992年7月5日までの間、周辺領域へ非常に高温の物質が頻繁に噴出している様子が観測されました。その5日後までに実例は完全に消失しました。

指定: 054-N001

発見日: 1978年09月18日

失活日: 1993年04月01日

詳細: SCP-054-IT内で観測された最初の中性子星です。2009年3月に消失した054-F251と同年の1月に崩壊した054-G276とで三体系を形成していました。

指定: 054-O013

発見日: 2002年09月01日

失活日: 2002年11月08日、SNイベント。その後、054-O013-Nに指定されるオブジェクトが残されました。

詳細: SNイベントが観測された最初の例です。それ以前において、054-O013はSCP-054-IT内で最も明るく大きなオブジェクトであり、直径は34.6 m に到達していました。

指定: 054-K093

発見日: 2011年07月08日

失活日: 2013年11月01日、偶発的な破壊

詳細: 1基の通信衛星が衛星保護アレイから離脱し、SCP-054-ITに進入しました。2時間後、衛星は054-K093に衝突して不安定化させ、最終的には爆発を引き起こしました。衛星の質量はそのような爆発を引き起こすのに十分なものではなかったため、何かしらの異常な変化を示していると言う点でこのイベントは重要視されています。

指定: 054-M2402

発見日: 2014年01月17日

失活日: N/A

詳細: 2016年4月21日、その安定性および安定的なエネルギー生産を理由として、太陽光発電システムが054-M2402の周囲に建設されることが承認されました。2017年5月には完成し、現在もエリア-54-INTの電力需要を満たすために使用されています。

指定: 054-G1130

発見日: 2018年10月10日

失活日: N/A

詳細: 定期観測中に、054-G1130の周囲にデブリ円盤の存在が観測されました。それに続く観測によって、3つの岩石型惑星と4つの大型ガス惑星、および2つのアステロイド環からなる天体系が徐々に形成されつつあることが確認されました。これはSCP-054-IT内部で確認された最初の天体系であり、そのためS5監督部は自然な進化を妨げうるあらゆる種類の能動的観測を禁止しました。

発見: SCP-054-ITは1990年2月に、ピエモンテ北部の空に「新しい星」が出現したことを受けて、初めて観測されました。その異常な性質が確認された後、機動部隊-Iは積極的な偽情報作戦を展開し、当該地域で試験中の新型軍事兵器に関するニュースの漏洩に関する記事を拡散し、機密を侵害する可能性のある情報を検閲しました。S5監督部はO5評議会に対し、SCP-054-ITを隠匿するための遮蔽システム設置を要求しました。評議会はそれを承認し、マクロアレイ衛星 (MArSat) の建設に着手しました。MArSatは8基の衛星が12ノルティアの現実変形場を投射できる強化金属合金グリッドを支える構造になっており、これにより地球方向への物体の運動を阻止し、同時に、財団の関与していない望遠鏡による直接観測を妨害します。

このシステムは1991年10月に稼働を開始しました。その後、研究施設および支援施設が拡張され、通常は観測できないほど巨大であるような天体現象の観測を可能にするというSCP-054-ITの特異的な存在状況のために、2013年には国際研究エリアとして宣言されることになりました。

2018年05月17日更新: 2015年に、MArSatによる現実変形の正確な観察と、それがSCP-054-ITおよびSCP-054-IT-1群に与える効果の測定のために、既存のものよりもより精密な現実変形センサーがエリア-54-INTに設置されました。予想外にも、SCP-003-ITから放出されているものと同様の、しかし非常に弱い強度の背景信号が新たに検出されました。SCP-054-ITにその発生源が存在するのか、あるいはSCP-054-ITに完全に浸透しているのかはいずれも不明ですが、これはSCP-054-ITの異常性に関連するものであると考えられています。

インシデント054-A091: 2017年7月12日16時07分、半径 23.4 m、質量 8.1 t、平均温度 23, 200 Kである054-A091実例の近くを054-N005が通過し、重力の変動の結果として054-A091は元の位置から地球の方向へ弾き飛ばされました。エリア-054-INT職員は防衛システムを起動して進路を阻止しようと試みましたが、その速度を 650 m/s (およそ 2340 km/h) に抑えるに留まりました。

16時15分、S5監督部は状況を報告され、地表への衝突位置とその結果をシミュレートするよう命じました。6時間の作業の後に得られたデータは、衝突イベントが5か月以内にイスキア島から 130 km 離れたティレニア海で発生し、その威力は5キロトンから10キロトンであると示していました。監督部は情報をO5評議会と他の管理部署に通達しました。さらに監督部は、イベントの隠蔽と被害の最小化のための緊急時対応策の準備を命じました。

054-A091は2017年12月15日に大気圏に突入し、その質量の1/3を失いながら、海岸から 150 km の沖合に墜落し、およそ6.7キロトンのエネルギーを放出しました。機動部隊-II ("アトランティスの軍勢")Legio Atlantidis は現場に赴き、054-A091が完全に消滅していることを確認しました。第1海上部隊は実験と観測のための拠点として2018年2月まで現地に駐留し、調査研究部隊-I ("黄金の知識")Aureæ Notitiæ は事件の検閲に注力しました。このインシデントの後、O5協議会は強化防衛システムの配備を承認し、これは██00万ドルをかけて2018年8月に完成しました。

脚注
. 異常天体観測装置 (Osservatore Corpi Celesti Anomali)
. 20██年にイーサン・マクスウェル博士率いる国際チームによって開発され、現在では財団の全ての軌道上・地球外ステーションで利用されている技術です。
. 発する電磁波のスペクトルに基づいた恒星の分類法。電磁波のスペクトルは恒星の化学的な構成、温度、大きさなどが影響して変化します。
. この記事の最終更新日である2020年01月21日時点で、8個の中性子星が観察され、うち3つは形成から消失まで15〜20年を経ています。

本ページを引用する際の表記:

SCP-054-IT」著作権者: DrGraph 出典: SCP財団Wiki http://scp-jp.wikidot.com/scp-054-it ライセンス: CC BY-SA 3.0

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ページリビジョン: 6, 最終更新: 26 Aug 2025 15:52
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