skip to main | skip to sidebar

2015年5月5日火曜日

ゲームサウンド研究の成立

新世代のゲーム研究: ゲームサウンド編

2010年代前半のゲーム研究でもっとも成長したのはどの領域だろうか.数年前には学問として成立していなかったのに,いまでは数多くの研究論文が生み出される分野もある.その代表として,ゲームサウンド研究をあげることができる.
 当ブログで2014年の研究シーンを振り返る「2014年アカデミックレビュー: 新世代のゲーム研究(前編)」を書いた時に,後編ではゲームデザインの「ナラティブ」,そしてゲーム音楽の「ダイジェティック」をとりあげると予告していた.このうちナラティブについては昨年に起こった用語の輸入が国内に混乱をもたらしたため,独立して「ゲームナラティブ教育の過去・現在・未来」として,ナラティブはバズワードではなく体系的なゲーム開発者教育の中核(必修科目)に位置づけられること,数年前から世界各地の学生がナラティブ分析を競ってきたことを紹介した.本稿では,残りのダイジェティックについてゲームサウンド研究の成長とともに考えてみたい.

2015年3月14日土曜日

ゲームナラティブ教育の過去・現在・未来

ゲームのナラティブ(物語)についての議論が盛りあがりを見せている(追記: ナラティブの元々の意味はストーリーテリングだが,実際には幅広い意味で使われている.松永「ゲーム研究と「ナラティブ」」参照).ただしバズワード化しているためにナラティブ論を敬遠している人も少なくないようだ.本記事ではゲーム教育の立場から,なぜナラティブ教育を避けて通れないのかを考えてみたい.

ナラティブは最近の流行ではない

まず,ゲーム開発においてナラティブは最近の流行語ではない点を確認したい.オンラインで英語のGDD(ゲームデザインドキュメント)を検索してみると,ゲームデザインの説明でナラティブについて当たり前のように説明されている.つまりナラティブはゲーム研究者だけが使う学術用語でも最新作のゲームデザインでもなく,ゲーム開発で広く使われている一般用語である.そして,この用語がゲームの学校教育や社内研修で教えられるようになったのは最近のことではなく,10年ほど昔のことだ.

2015年2月19日木曜日

GDC15 アカデミック・プレビュー

世界最大のゲーム開発者の国際会議,GDC(Game Developers Conference)が今年は3月第1週に開催される. 我々IGDA日本も告知協力を行っており,さらに本記事ではアカデミック関係(教育・研究)の観点からプログラムを紹介したい.

産学交流の場として

GDCはゲーム産業における産学連携の場として重要な役割を果たしてきた.特にGDC2002で開かれた「IGDA Academic Summit」はその後のIGDAカリキュラムフレームワークやEducation SIGの立ち上げだけでなく,IGDA日本の立ち上げに大きな影響を与えている(新清士「ゲーム産業と学術研究機関の関係」参照).
その後,ヨーロッパ発祥のDiGRA世界大会, 小規模会場での開催にこだわるGDCSE(のちのFDG),あるいは人工知能のAIIDESIGGRAPHのように分科会から発展した専門性の高い国際会議など,特色ある 学術会議の種類も増えてきた.GDCはそれらの国際学会のように専門家が最先端の発表を競う場ではないが,その一方で,それらの専門分野ごとの集まりでは出会えない業界を越えた交流の場所としてGDCは機能している.


2015年1月1日木曜日

2014年アカデミックレビュー: 新世代のゲーム研究(前編)

本稿では2014年の国内外でのゲーム研究(体系的な学問としてのゲーム学)をふりかえりたい.(あくまで個人的な観測にもとづくものなので、数年前から続いていたものでようやく筆者の目にとまったものも含まれている.)

ゲーム教育番組の高度化

2014年11月17日月曜日

Global Game Jam 2015 参加募集開始 (新会場追記)

アカデミック・ブログ主筆の山根です.毎年恒例のGGJのお知らせです.
 IGDAが毎年1月末に開催する世界同時多発ゲーム開発イベント,「Global Game Jam」の参加登録受付がはじまりました.

2014年9月29日月曜日

大学講義のオープン化とゲーム開発者教育

大学でのゲーム講義の発展

2010年に「「大学のゲーム講義をダウンロード」と題して、大学や職業大学院で行われているゲーム学・ゲーム研究の講義がオンラインで視聴できることを紹介した。あれから数年を経て、大学発のゲーム講義はさらに新たな段階に入っている。
 この数年で起こったもっとも大きな変化は、MOOCs(Massive Open Online Courses)ビジネスだ。世界のトップ大学の最新講義や名物講義を集め、さらに世界中から受講者を集めることで大学教育に大きなインパクトを与えた。それまでは講義資料をインターネット公開するのは物好きな教員がすることだったが、いまでは大物教授が自慢の科目をオンライン化したいと希望するようになり、講義動画にも特殊効果が入り教授もカメラ目線で語りかけてくるようになった(もちろんビジネスなので、有名教授でも面白い授業でなければ提供されない)。

MOOCsとゲーム開発

特にゲーム関係の科目はMOOCsでもドル箱だ。たとえば2014年秋だけでも、以下のMOOC科目がインターネット上で開講されている。

登録: 投稿 (Atom)
 

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /