2013年5月
田植えの時期に思うこと
2013年05月27日 | 固定リンク
GWも過ぎ、そろそろ5月も終わりに近づいています。
もう、そろそろ梅雨ですね。
私達の暮らしには、洗濯ものが乾かなかったりして面倒な季節ですが...
さて、自分の住んでいる地域の田んぼでは、田植えが終わり、あたり一面きれいな田園風景が拡がっています!
そんな風景を見ていて、ふと『緑の革命』について考えてみました。
緑の革命(英: Green Revolution)とは、1940年代から1960年代にかけて高収量品種の導入や化学肥料の大量投入などにより穀物の生産性が向上し、稲を含めた穀物の大量増産が可能になったことです。
皆さんは収穫期の稲というと、1m未満の大きさを思い描くかも知れませんが、本来、熱帯地方の稲はもっと大きく、倒れやすいのが普通です。
『緑の革命』の最も重要なポイントは、熱帯地方のこの大きい稲を、品種改良により小さくしたことです。これにより、肥料を大量に与え、稲穂がたくさんついても倒れにくくなり、また台風にも強く、劇的な収量の増加が可能になりました。
この驚異的な増産率の上昇が、『革命』といわれる理由です!
この品種改良に大きな貢献を果たした、アメリカの学者であるノーマン・ボーローグさんは何と『ノーベル平和賞』を受賞しました。
学者であるボーログさんが、平和賞というのも、ちょっとおもしろいですが、多くの人命を救ったのも事実なので、納得です。
そろそろ面倒な梅雨が近づいて来ますが、皆さんが毎日食べているお米や野菜の生育には、絶対に必要なものです。
そう考えると、毎日の気分も良いとは思いませんか?
来須
2013年5月19日(日)のオープンキャンパス
2013年05月14日 | 固定リンク
2013年5月19日(日)に行われる応用生物学部のオープンキャンパスの内容です。
1.模擬講義
1 健康長寿を実現する(バイオテクノロジーコース/山本教授)
昨年、横浜野毛山動物園のラクダのツガルさんが長寿世界新記録を達成しました。その秘密を明らかにします。
2 生物の多様性と系統(環境生物コース/浦瀬教授)
生物の多様性を系統という考え方で捉えると、クジラとカバが極めて近い関係とされる理由がわかるかも・・。
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2.研究紹介
★バイオテクノロジーコース
1 コエンザイムQ10(山本教授・森内助教)
一度は聞いたことがあると思いますが、健康長寿に役立つ理由は? 配合クリームも自作しましょう。
2 GFPやいろいろな物の蛍光を観察しよう!(加藤准教授・森内助教)
大腸菌の中で発現させた蛍光タンパク質や紙幣に使われている蛍光インク、いろんなものの蛍光を観察してみよう。
★環境生物コース
3 固定化微生物を作ってみよう!(斉木教授・鈴木助教)
微生物を利用した環境浄化の研究をしています。環境浄化に活躍する固定化微生物を作ってみよう!
4 ナノろ過によるよう素の除去(浦瀬教授)
原発事故の初期に水道水から放射性よう素が検出され問題になりました。よう素の除去と測定を体験します。(本実験では被曝しません)
★先端食品コース
5 牛乳と豆乳を固めてみよう(山下教授)
どちらも白い液体だけれど、動物由来と植物由来の牛乳と豆乳。子牛に豆乳を飲ませたらどうなるでしょうか?
★先端化粧品コース
6 角層細胞の声を聴く(正木教授)
皮膚のもっとも外側にある角層細胞をセロテープで採集し、自分自身の皮膚状態を観察します。
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3.全体スケジュールはこちらを参照してください。
http://www.teu.ac.jp/entrance/open/hachi.html
GWと五月病
2013年05月02日 | 固定リンク
こんにちは。
新学期が始まってもうすぐで1ヶ月が経とうとしています。この春、本学に入学した新入生の皆さんは講義の受け方や履修の仕方など、これまでと違う環境に最初は戸惑っていましたが、徐々に慣れてきているようです。
そんなタイミングでやってきたGW。受験生の皆さんにとってGWは息抜きをしたり模試を受けたりといろいろあるかと思います。研究室に所属している4年生で就職を希望している学生さんも就活の合間に訪れた休みを取っています。
しかし、ここで気を付けなければいけないのはいわゆる五月病にならないようにすること。五月病は新しい環境に適応しきれないことが主な原因であると考えられています。GWにより緊張の糸が切れてしまうと無気力感や不安などに見舞われ、更には不眠症などを発症するようです。また、こういう時に気合を入れてしまうと、かえって自分の気持ちを追い込んでしまい、逆効果になってしまうようです。五月病を予防・改善するためには規則正しい生活を行うことはもちろんですが、日頃から精神的な負担を軽くしてあげることが必要と言われています。ここでのポイントは気軽に「とりあえず」と考えるということだそうです。
例えば、
「(勉強のために)とりあえず参考書を開いてみる。」
「とりあえず何問か解いてみる」
「とりあえず○しろまる○しろまるページまでやってみる」
といったところでしょうか。
こういった精神的なものはバランスを取るのが難しいのですが、まずは出来る範囲から進めていくと良いかと思います。受験生の皆さんはここで折れてしまわないように気軽に受験勉強を乗り切ってください。
津久井
発酵について
2013年05月01日 | 固定リンク
私の研究室では、お酒を作ることができます。ビール製造キットなどが市販されていますので、お酒は材料さえ揃えれば誰でも作れると思うかもしれませんが違います。実は、アルコール分が1%を超える飲み物を作るには免許が必要になります。
ビールと第3のビールの値段の差の半分は、税金額の差だと知ると、誰がどれだけビールや第3のビールを作ったかを管理すべき事に思い及びます。実際、ビール、発泡酒、第3のビール、ワイン、清酒、焼酎、ウイスキーなど、それぞれのお酒の種類ごとに製造免許が必要なのです。
これらのうち、東京工科大学では米を原料とする「清酒」と芋などを原料とする「その他の醸造酒」を醸すことができます。どちらも醸造酒ですので、残念ながら蒸留酒である焼酎を作ることはできません。
数十年以上も昔、清酒には品質よりも量を求められた時代がありました。その頃の、混ぜ物が入っていて不味いという風聞が根強く残り、消費量は減少の一途を辿って来ましたが、がんばれ東北キャンペーンで少し回復しました。それもそのはずで、続々と導入される新しい酵母など醸造業界の技術革新は著しく、世の中は高品質で香り高い特定名称酒の時代になっているのです。秋田を初めとする東北各県は勿論、全国の蔵に規模の大小を問わず、間違いなく美味しいお酒を作るためのノウハウが行き渡っています。その、伝統と新規技術に支えられた清酒醸造を学び、たとえば「軽めで切れの良い」味の酒を作るにはどうするのか、を工夫してもらうことが私たちの研究課題の一つです。
お酒以外の発酵と言えば、日本では味噌・醤油があげられますが、西洋ではヨーグルトその他の発酵乳になります。ヨーグルトやチーズの製造も歴史が古く、製造技術は確立されていると言えるのですが、それでも、使用する微生物を変えたり、特殊な加工をした原料を用いたりして、カスピ海ヨーグルト・ギリシャヨーグルトのような目新しいものがでることがあります。私のところでは、乳製品に対していろいろ工夫すると共に、豆乳などの植物性原料からヨーグルトやチーズの食感を持つ食品ができないかという研究も行っています。豆乳と生姜プロテアーゼという植物由来原料の組合せでカード(凝固物)を作ることはできていますので、今後は植物由来の乳酸菌などの効果も見て行きたいと思います。
余談になりますが、高校生のためのオープンキャンパスでは、面談で色々なご質問にお答えすることが有ります。ある年、花酵母による清酒造りについて熱心にお尋ねになる方がいました。概略をお話し、興味を持ち続けてくれることを祈りながら、その分野の研究では某大学が有名ですとご紹介しました。ところが、今年の新入生にその時の高校生がいて、驚き、また、ちょっぴり嬉しくなりました。実は、この人の他にもお酒を造れるなら入学したいという方々がいました。そういう人達の胸の中で発酵しつつある夢がかなえられる、応用生物であり続けて欲しいと思います。
山下 隆