所有権の登記名義人による法人識別事項(会社法人等番号等)の申出について
はじめに
この改正の経過措置として、令和6年4月1日において既に所有権の登記名義人であった法人であって、その法人識別事項が登記されていないものは、申出(以下「法人識別事項の申出」といいます。)により、登記官の職権で法人識別事項を登記してもらうことができる旨の規定が設けられました(改正法附則第5条第5項、不動産登記規則等の一部を改正する省令(令和6年法務省令第7号。以下「改正省令」といいます。)附則第2条)。
このページは、法人識別事項の申出の手続などを掲載しています。
なお、関係法令について、詳細は、後記第3をご確認ください。
第1 法人識別事項の申出制度の趣旨
加えて、令和8年4月1日からは、所有権の登記名義人が会社法人等番号を有する法人であって、その会社法人等番号が所有権の登記に記録されているときは、会社法人等番号を検索キーとして、商業・法人登記システムの情報に基づき、登記官が職権で法人の名称又は住所の変更の登記をすることが想定されています(会社法人等番号を有しない法人は、対象ではありません。)。
これらを踏まえ、令和6年4月1日において既に所有権の登記名義人であった法人について、その法人識別事項を追加する登記に係る手続的な負担を軽減する観点から、当該法人による簡易な申出により、登記官の職権で法人識別事項を登記してもらうことができる旨の規定が設けられたものです。
第2 申出手続
令和6年4月1日において所有権の登記名義人として記録されている法人のみが申出をすることができます。ただし、所有権の登記名義人の法人識別事項が既に登記されているときは、申出をすることはできません。
(1)会社法人等番号を有する法人・・・会社法人等番号
(2)会社法人等番号を有しない外国法人・・・設立準拠法国
(3)会社法人等番号を有しない(2)以外の法人・・・設立根拠法
※(注記) いずれも申出時点のものをいいます。
手続の基本的な流れは権利に関する登記の申請と同様ですが、以下のような特徴があります。
○しろまる 申出手続(オンラインでも可)において、押印・電子署名は不要
○しろまる 非課税
法人識別事項の申出をする場合には、次に掲げる事項を明らかにする必要があります(改正省令附則第2条第2項、第4項)。
(1) 申出人の名称及び住所
(2) 申出人の代表者の氏名
(3) 代理人によって申出をするときは、当該代理人の氏名又は名称及び住所並びに代理人が法人であるときはその代表者の氏名
(4) 申出の目的
(5) 所有権の登記名義人の法人識別事項
(6) 申出に係る不動産の不動産所在事項
(7) 申出人又は代理人の電話番号その他の連絡先
(8) 法人識別事項申出添付情報(後記6に掲げる情報をいいます。以下同じ。)の表示
(9) 申出の年月日
(10) 登記所の表示
※(注記) 法人識別事項申出情報((1)から(10)までの事項を記載した申出書又は当該事項を記録した情報をいいます。以下同じ。)は、一の不動産及び所有権の登記名義人ごとに作成して提供する必要があります。ただし、同一の登記所の管轄区域内にある二以上の不動産についての法人識別事項の申出が同一の所有権の登記名義人についてのものであるときは、一の申出情報によって申出をすることができます(改正省令附則第2条第6項)。
※(注記) (4)の申出の目的は、「何番所有権変更」の例により、甲区(その不動産について所有権に関する登記の登記事項が記録される部分です。)何番の所有権の登記名義人(所有者)の法人識別事項の申出をするのかを表示してください。
※(注記) 不動産番号を法人識別事項申出情報の内容としたときは、 (6)の事項を明らかにする必要はありません(改正省令附則第2条第3項)。
法人識別事項の申出は、法人識別事項申出書(前記4に掲げる事項を記載した書面をいいます。以下同じ。)を管轄登記所に提出(送付又は持参)する方法か、オンラインで前記4に掲げる事項を記録した情報を送信する方法により行うことができます(登記・供託オンライン申請システムのホームページ参照)
※(注記) 法人識別事項申出書又は法人識別事項申出添付書面(後記6に掲げる情報を記載した書面をいいます。以下同じ。)を送付するときは、書留郵便等によって送付してください。また、これらの書面を入れた封筒の表面に法人識別事項申出書又は法人識別事項申出添付書面が在中している旨を明記してください(改正省令附則第2条第12項において準用する規則第158条の11)。
法人識別事項の申出をする場合には、次に掲げる情報(法人識別事項申出添付情報)を法人識別事項申出情報と併せて登記所に提供する必要があります(改正省令附則第2条第7項)。
(1) 代理人によって申出をするときは、当該代理人の権限を証する情報
(2) 申出人が会社法人等番号を有する法人以外の法人であるときは、当該法人の代表者の資格を証する情報
(3) 所有権の登記名義人の法人識別事項を証する情報(会社法人等番号(所有権の登記名義人に係るものであることを登記官が確認することができるものに限る。)を法人識別事項申出情報の内容としたときを除く。)(後記7を参照してください。)
※(注記) 法人である代理人によって法人識別事項の申出をする場合に、当該代理人の会社法人等番号を提供したときは、当該代理人の代表者の資格を証する情報を提供する必要はありません(改正省令附則第2条第8項において準用する規則第37条の2)。
申出人が会社法人等番号を有する法人である場合において、現在の会社法人等番号によって、所有権の登記がされた日(その後に登記名義人の名称又は住所についての変更の登記がされている場合はその登記がされた日。以下「所有権の登記等がされた日」といいます。)以降の商業登記簿上の商号・本店の変更(移転)の経緯を登記所において確認することができないときは、その経緯を証する閉鎖事項証明書等を提供する必要があります。
閉鎖事項証明書等の提供の要否は、各法人の商号・本店の変更の経緯や所有権の登記等がされた日等によって異なりますが、所有権の登記等がされた日が平成24年5月21日(外国会社にあっては平成27年3月2日)以降であれば、一般的に、閉鎖事項証明書等の提供は不要となります。
※(注記) 平成24年5月20日(外国会社にあっては平成27年3月1日)以前の法人の登記においては、組織変更や他の登記所の管轄区域内への本店の移転の登記等をする場合には、会社法人等番号が変更されていました。この変更前の会社法人等番号が記録された登記記録の確認が必要な場合においては、これを確認することができる閉鎖事項証明書等を提供する必要があります。
※(注記) 申出人が会社法人等番号を有しない法人である場合の取扱いについては、民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(所有権の登記の登記事項の追加関係)(令和6年3月22日付け法務省民二第551号通達)第2部第6の(6)エ又はオを参照願います。
法人識別事項申出添付書面を提出した申出人は、法人識別事項申出添付書面の原本の還付を請求することができます(申出のためにのみ作成された委任状その他の書面については、原本の還付を請求することはできません。)。
この場合には、原本の還付を請求する申出人は、原本と相違ない旨を記載した謄本を提出する必要があります(改正省令附則第2条第12項において準用する規則第55条)。
次に掲げる場合には、法人識別事項の申出は却下されます(改正省令附則第2条第14項)。
※(注記) 申出の不備が補正することができるものである場合において、登記官が定めた相当の期間内に申出人がこれを補正したときは、この限りではありません。
(1) 申出に係る不動産の所在地が当該申出を受けた登記所の管轄に属しないとき。
(2) 申出に係る登記が既に登記されているとき。
(3) 申出の権限を有しない者の申出によるとき。
(4) 法人識別事項申出情報又はその提供の方法が改正省令附則第2条により定められた方式に適合しないとき。
(5) 法人識別事項申出情報の内容である不動産が登記記録と合致しないとき。
(6) 法人識別事項申出情報の内容が法人識別事項申出添付情報の内容と合致しないとき。
(7) 法人識別事項申出添付情報が提供されないとき。
法人識別事項の申出がされた場合の登記の記録例は以下のとおりです。
第3 関係法令
・ 法律[PDF:319KB]
・ 新旧対照条文[PDF:523KB]
○しろまる 不動産登記規則等の一部を改正する省令(令和6年法務省令第7号)(令和6年3月1日公布)
・ 省令[PDF:662KB]
○しろまる 民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(所有権の登記の登記事項の追加関係)(令和6年3月22日付け法務省民二第551号通達)
・ 通達[PDF:392KB]
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