日本の主要な原油輸入先であるサウジアラビア、UAE及びクウェートの各国営石油会社に対して日本国内の原油タンクを貸与し、原油を蔵置する産油国共同備蓄事業を行っています。
備蓄された原油は、平常時には各国営石油会社のアジア向けの供給・備蓄拠点として商業的に活用される一方、緊急時にはタンク内の原油を日本の石油会社が優先的に購入できることとなっており、本事業は産油国との関係強化とともに日本のエネルギー安全保障の向上に寄与するものとなっています。
概要(2023年11月時点)
産油国 |
サウジアラビア王国 |
アラブ首長国連邦 |
クウエート国 |
国営石油会社 |
サウジアラムコ |
ADNOC |
KPC |
貯蔵基地 |
沖縄石油基地 |
ENEOS喜入基地 |
ENEOS喜入基地 |
タンク容量 |
約130万キロリットル |
約130万キロリットル |
約50万キロリットル |
国別輸入シェア 2022年度 |
39.2% |
38.5% |
8.5% |
開始時期 |
2010年 |
2009年 |
2020年 |
JOGMECでは、諸外国との協議・会議による情報収集と、アジア諸国からの研修生受入れによる人材育成・知見共有などの国際協力活動に取組んでいます。
- 国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)各種会合への参画
国際エネルギー機関における緊急時問題常設作業部会(Standing Group on Emergency Questions)及び石油市場常設作業部会(Standing Group on Oil Market)へ参加し、各国の備蓄政策や石油市場の動向などについて情報収集を行っています。
- 米国エネルギー省(Department of Energy:DOE)との協議
米国エネルギー省と石油備蓄政策や国際協力、石油備蓄基地の操業等の技術的意見交換などを目的として、毎年度日米両国で交互に協議を実施しています。
- 韓国石油公社(Korea National Oil Corporation:KNOC)との協議
韓国石油公社と両国の備蓄制度や国際協力、カーボンニュートラルに関する動向などの意見交換を目的として、協議を実施しています。
- 世界備蓄機関年次会合(Annual Coordinating Meeting of Entity Stockholders:ACOMES)総会及び分科会への参加
世界の備蓄機関が集い、各国の備蓄の現状や技術的意見交換の行う世界備蓄機関年次会合総会及び分科会へ参加し、情報収集及びネットワーク強化に寄与しています。
ASEANエネルギーセキュリティ構築支援研修
2008年からASEAN Centre for Energy(ACE) との共同事務局として、石油備蓄ワーキンググループにて「ASEAN+3 石油備蓄ロードマップ (Oil Stockpiling Roadmap:OSRM )」の策定を開始し、2010 年 ASEAN +3エネルギー大臣会合にてOSRMが承認されました。そのOSRMの具体化に向けて、様々な形で ASEAN 諸国の石油備蓄体制整備に対して協力、働きかけを行っています。
その一環として、ASEANエネルギーセキュリティ構築支援研修を開催しています。ASEAN各国より備蓄政策担当者を日本に招聘し、JOGMECの備蓄事業経験・知見を共有するのみならず、本研修を通じた人材育成により各国の備蓄事業具体化推進を支援し、ASEAN各国の備蓄政策担当者との人脈構築、ネットワーク強化に寄与しています。