2013年12月24日
風船発見情報47,48
風船発見情報
47
連絡12/16 11時 発見12/8
武雄市北方町大字芦原
かなりぐちゃぐちゃ。「一番遠くはどこまで?」と聞かれたので「今回は阿蘇市、過去は奈良までとびました」と答えると「かなり遠くまで飛ぶんですね。こわいですね」と話していました。
48
連絡12/24 12:16 発見1週間ほど前
熊本県菊池市豊間
メッセージなし
47
連絡12/16 11時 発見12/8
武雄市北方町大字芦原
かなりぐちゃぐちゃ。「一番遠くはどこまで?」と聞かれたので「今回は阿蘇市、過去は奈良までとびました」と答えると「かなり遠くまで飛ぶんですね。こわいですね」と話していました。
48
連絡12/24 12:16 発見1週間ほど前
熊本県菊池市豊間
メッセージなし
posted by 後藤富和 at 17:41| 環境
【漁民・市民ネット】開門確定判決の不履行に対する抗議声明
【漁民・市民ネット】開門確定判決の不履行に対する抗議声明
諫早湾潮受け堤防排水門の常時開放を求めた福岡高裁確定判決の履行期限を過ぎ、国が確定判決を履行しないという憲政史上例がない異常事態が現実となってしまった。法秩序を無視した国の傲慢な姿勢に対して、ここに強く抗議する。
判決確定からの3年間、農水省は、長崎県などの理解が得られないことを口実に開門準備をサボタージュする一方、開門差し止め訴訟において、開門に反対する原告弁護団や長崎地裁と「出来レース」を演じ、福岡高裁の判決とは相反する仮処分の決定が下されるように画策してきた。そして今、「二つの法的義務」に板挟みとなり苦悩しているフリをしながら、着々と開門断念へと進もうとしている。本来、国は、開門差し止めの訴訟に対しては、法秩序を守る立場からこれを門前払いにすることを主張して争うべきであったが、あろうことか確定判決が認めた漁業被害をも認めないという不遜な態度で、開門差し止めに協力してきた。
開門によって被害が出るという主張は、長年にわたる開門訴訟を通じて議論を戦わせてきたものであり、対策を施すことで農業と漁業は共存できるという結論で争いに終止符を打ったはずである。この結論は司法の場で決着したものであり、これを覆そうという長崎県などの脱法的言動は、民主主義に対する挑戦である。これを許した長崎地裁の決定も言語道断だが、何よりも今日の混乱の一番の責任は農水省にある。差し止め仮処分においても、国のサボタージュが決定理由になっているに過ぎず、開門を求めた確定判決とは何ら矛盾しない。要は、国が開門の準備を直ちに始めることである。長崎県の理解が法的義務に優先するなどということが罷り通るなら、民主主義社会は成り立たない。
有明海は、本当に瀕死の状態にあり、特に漁船漁業は生活が成り立たないほどに疲弊している。タイラギをはじめとする魚種が絶滅の危機にあり、生活苦による自殺者も後を絶たず、有明海再生には不可欠である諫早湾の開門は一刻の猶予も許されない。長崎県などが主張する「開門に伴う被害」は対策で克服することができる一方、有明海で今起こっている被害は諫早湾の開門なしには解消することができないのである。問題の解決を困難にしているのは、今日の混乱をもたらしたことへの反省と謝罪をしない国の不誠実な態度にある。内閣全体の責任として、確定判決を履行できなかったことを謝罪し、開門を一日も早く実現することを強く要求する。
2013年12月24日
有明海漁民・市民ネットワーク
諫早湾潮受け堤防排水門の常時開放を求めた福岡高裁確定判決の履行期限を過ぎ、国が確定判決を履行しないという憲政史上例がない異常事態が現実となってしまった。法秩序を無視した国の傲慢な姿勢に対して、ここに強く抗議する。
判決確定からの3年間、農水省は、長崎県などの理解が得られないことを口実に開門準備をサボタージュする一方、開門差し止め訴訟において、開門に反対する原告弁護団や長崎地裁と「出来レース」を演じ、福岡高裁の判決とは相反する仮処分の決定が下されるように画策してきた。そして今、「二つの法的義務」に板挟みとなり苦悩しているフリをしながら、着々と開門断念へと進もうとしている。本来、国は、開門差し止めの訴訟に対しては、法秩序を守る立場からこれを門前払いにすることを主張して争うべきであったが、あろうことか確定判決が認めた漁業被害をも認めないという不遜な態度で、開門差し止めに協力してきた。
開門によって被害が出るという主張は、長年にわたる開門訴訟を通じて議論を戦わせてきたものであり、対策を施すことで農業と漁業は共存できるという結論で争いに終止符を打ったはずである。この結論は司法の場で決着したものであり、これを覆そうという長崎県などの脱法的言動は、民主主義に対する挑戦である。これを許した長崎地裁の決定も言語道断だが、何よりも今日の混乱の一番の責任は農水省にある。差し止め仮処分においても、国のサボタージュが決定理由になっているに過ぎず、開門を求めた確定判決とは何ら矛盾しない。要は、国が開門の準備を直ちに始めることである。長崎県の理解が法的義務に優先するなどということが罷り通るなら、民主主義社会は成り立たない。
有明海は、本当に瀕死の状態にあり、特に漁船漁業は生活が成り立たないほどに疲弊している。タイラギをはじめとする魚種が絶滅の危機にあり、生活苦による自殺者も後を絶たず、有明海再生には不可欠である諫早湾の開門は一刻の猶予も許されない。長崎県などが主張する「開門に伴う被害」は対策で克服することができる一方、有明海で今起こっている被害は諫早湾の開門なしには解消することができないのである。問題の解決を困難にしているのは、今日の混乱をもたらしたことへの反省と謝罪をしない国の不誠実な態度にある。内閣全体の責任として、確定判決を履行できなかったことを謝罪し、開門を一日も早く実現することを強く要求する。
2013年12月24日
有明海漁民・市民ネットワーク
posted by 後藤富和 at 15:24| 有明海
【声明】間接強制の申立について
【声明】間接強制の申立について
2013年12月24日
よみがえれ!有明訴訟弁護団
本日,福岡高裁開門判決に基づき佐賀地裁に間接強制を申し立てた。
同判決は,3年の猶予期間内に準備工事を行った上で,5年間の潮受堤防南北排水門開放を命じるものであった。この5年間のうちに,いわゆる開門調査が実施されることを前提としている。本年12月20日をもって,猶予期間が経過したが,同判決の開門義務は履行されないままである。
すでに1997年4月の潮受堤防締切り以来,16年以上の月日が経過した。この間,有明海漁民は,不漁に苦しみ続けてきた。多くの漁民が,生業としてきた漁業をあきらめ,その結果,漁協の組合員数は激減し,漁業によって支えられてきた地域社会は疲弊した。多額の借金に苦しみながらみずから命を絶った漁民も少なくない。開門と開門調査は有明海漁民の悲願であり,福岡高裁開門判決は,有明海漁民にとって,かけがえのない希望の光である。国は,長期にわたって有明海異変の主犯である干拓事業を不問に付したエセ再生事業によって批判をかわそうとしてきたが,干拓事業を不問に付したままの場当たり的エセ再生事業に有明海再生の未来がないことは,現に継続する有明海漁業の深刻な実態が雄弁に物語っている。開門と関門調査なくして,真の有明海再生・宝の海復活はありえない。
しかるに国は,判決主文には従うが,主文の根拠となった裁判所の判断には従わないなどという不遜な態度に終始し,判決が指摘した潮受堤防締切りによる漁業被害の発生を否定し続けてきた。わたしたちが農・魚・防災共存の開門を粘り強く訴えてきたにもかかわらず,地元長崎の反対を口実に開門事前工事をサボタージュし続けてきた。最近では,いわゆる開門阻止仮処分を根拠に開門義務の不履行そのものを正当化しようとしている。開門阻止仮処分が福岡高裁開門確定判決と矛盾するものではないことは,わたしたちがつとに指摘してきたとおりである。国の無策とサボタージュは意図的と言っても過言ではない。
国が確定判決を守らないなどという三権分立と法治国家の原則を否定し去る憲政史上前代未聞の事態は,有明海のみならず,この国の民主主義の将来そのものを危うくするものであり,到底,看過できるものではない。
以上の次第で,本日,わたしたちは間接強制の申立を行った。
間接強制によって国が支払う金員については,漁民とも協議の上,有明海を再生し,宝の海を取り戻すための調査・研究・運動の基金として管理する所存である。
2013年12月24日
よみがえれ!有明訴訟弁護団
本日,福岡高裁開門判決に基づき佐賀地裁に間接強制を申し立てた。
同判決は,3年の猶予期間内に準備工事を行った上で,5年間の潮受堤防南北排水門開放を命じるものであった。この5年間のうちに,いわゆる開門調査が実施されることを前提としている。本年12月20日をもって,猶予期間が経過したが,同判決の開門義務は履行されないままである。
すでに1997年4月の潮受堤防締切り以来,16年以上の月日が経過した。この間,有明海漁民は,不漁に苦しみ続けてきた。多くの漁民が,生業としてきた漁業をあきらめ,その結果,漁協の組合員数は激減し,漁業によって支えられてきた地域社会は疲弊した。多額の借金に苦しみながらみずから命を絶った漁民も少なくない。開門と開門調査は有明海漁民の悲願であり,福岡高裁開門判決は,有明海漁民にとって,かけがえのない希望の光である。国は,長期にわたって有明海異変の主犯である干拓事業を不問に付したエセ再生事業によって批判をかわそうとしてきたが,干拓事業を不問に付したままの場当たり的エセ再生事業に有明海再生の未来がないことは,現に継続する有明海漁業の深刻な実態が雄弁に物語っている。開門と関門調査なくして,真の有明海再生・宝の海復活はありえない。
しかるに国は,判決主文には従うが,主文の根拠となった裁判所の判断には従わないなどという不遜な態度に終始し,判決が指摘した潮受堤防締切りによる漁業被害の発生を否定し続けてきた。わたしたちが農・魚・防災共存の開門を粘り強く訴えてきたにもかかわらず,地元長崎の反対を口実に開門事前工事をサボタージュし続けてきた。最近では,いわゆる開門阻止仮処分を根拠に開門義務の不履行そのものを正当化しようとしている。開門阻止仮処分が福岡高裁開門確定判決と矛盾するものではないことは,わたしたちがつとに指摘してきたとおりである。国の無策とサボタージュは意図的と言っても過言ではない。
国が確定判決を守らないなどという三権分立と法治国家の原則を否定し去る憲政史上前代未聞の事態は,有明海のみならず,この国の民主主義の将来そのものを危うくするものであり,到底,看過できるものではない。
以上の次第で,本日,わたしたちは間接強制の申立を行った。
間接強制によって国が支払う金員については,漁民とも協議の上,有明海を再生し,宝の海を取り戻すための調査・研究・運動の基金として管理する所存である。
posted by 後藤富和 at 14:46| 有明海
よみがえれ!有明訴訟・間接強制申立
有明海の再生に取り組む私達の同志である大串博志衆議院議員(民主党)。
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タイラギ潜水漁師の平方宣清さん。
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長崎県島原市の漁師吉田訓啓さん。「南総」以来の諫早湾干拓事業を巡る長く苦しい戦いを語っています。
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今の有明海が死の海になっていて、今年最後の漁がわずか魚15匹で終わったこと。
来年どうやって生活すれば良いのか、苦しさをにじませる長崎県の漁業者中田猶喜さん。
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佐賀のノリ養殖漁師の川崎賢朗さん。
長崎県諫早市小長井町の漁師松永秀則さん。
長崎県瑞穂漁協組合長の石田徳春さん。
熊本県横島漁協組合長の中尾さん。
熊本県河内漁協の木村さん。
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皆さん、宝の海有明海の再生、農漁共存の地域繁栄を訴えています。
木村さん「堪忍袋の緒が切れた!」
これから漁民達とともに佐賀地裁に間接強制を申し立てます。
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タイラギ潜水漁師の平方宣清さん。
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長崎県島原市の漁師吉田訓啓さん。「南総」以来の諫早湾干拓事業を巡る長く苦しい戦いを語っています。
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今の有明海が死の海になっていて、今年最後の漁がわずか魚15匹で終わったこと。
来年どうやって生活すれば良いのか、苦しさをにじませる長崎県の漁業者中田猶喜さん。
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佐賀のノリ養殖漁師の川崎賢朗さん。
長崎県諫早市小長井町の漁師松永秀則さん。
長崎県瑞穂漁協組合長の石田徳春さん。
熊本県横島漁協組合長の中尾さん。
熊本県河内漁協の木村さん。
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皆さん、宝の海有明海の再生、農漁共存の地域繁栄を訴えています。
木村さん「堪忍袋の緒が切れた!」
これから漁民達とともに佐賀地裁に間接強制を申し立てます。
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posted by 後藤富和 at 14:24| 有明海
【日弁連】諫早湾干拓事業の排水門の開放に関する会長談話
【日弁連】諫早湾干拓事業の排水門の開放に関する会長談話
福岡高等裁判所は、2010年12月6日、国に対し、諫早湾干拓事業(以下「本件事業」という。)で建設された潮受け堤防の南北各排水門について開放(以下「開門」という。)することを命じる判決を言い渡した。この判決においては、国が農業者等の利害関係者に被害が生じないような対策を行うために、判決確定から3年間の猶予期間が認められていた。しかし、国はその履行期限である2013年12月20日までに、その対策を怠ったため、開門することができなかった。
本件事業については、開門による被害を訴えた農業者らの申立てを受け、長崎地方裁判所が2013年11月12日に開門を差し止める仮処分決定を出しているが、かかる決定がなされたのは、国がその手続の中で、上記福岡高裁の判断の基礎となった、開門しないことによる漁業行使権侵害の事実を主張しなかったこと等による。そもそもこのような混乱した状況は、国が、自ら主張し、認められた最大の期間である3年間の猶予期間を有効に使わず、農業者等に対する被害対策を怠ったことにより生じたものであって、漁業と農業を共存させるという農林水産省の本来の職責を果たしていないからに他ならない。
当連合会は、諫早干潟の貴重で自然的な価値を評価するとともに、「宝の海」と呼ばれ、生物多様性に富んだ有明海に、本件事業後、「有明海異変」と呼ばれる環境の悪化が発生したことを踏まえて、本件事業に関し、これまで意見を述べ続けてきた。すなわち、1997年5月以降、2度にわたる意見書及び7度にわたる会長声明(会長談話)を発表して、排水門を開放し堤防内に海水を導入することや、中・長期開門調査の実施を求めてきた。さらに、福岡高裁判決に際して、ただちに開門するための準備に着手することも求めてきたところである。
当連合会は、国に対して、漁業と農業の共存を可能とするよう農業者に対する十分な対策を実施するなど、開門に向けてあらゆる手段を講じ、有明海再生のために第一歩を踏み出すことを強く求めるものである。
2013年(平成25年)12月24日
日本弁護士連合会
会長 山岸 憲司
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2013/131224.html
福岡高等裁判所は、2010年12月6日、国に対し、諫早湾干拓事業(以下「本件事業」という。)で建設された潮受け堤防の南北各排水門について開放(以下「開門」という。)することを命じる判決を言い渡した。この判決においては、国が農業者等の利害関係者に被害が生じないような対策を行うために、判決確定から3年間の猶予期間が認められていた。しかし、国はその履行期限である2013年12月20日までに、その対策を怠ったため、開門することができなかった。
本件事業については、開門による被害を訴えた農業者らの申立てを受け、長崎地方裁判所が2013年11月12日に開門を差し止める仮処分決定を出しているが、かかる決定がなされたのは、国がその手続の中で、上記福岡高裁の判断の基礎となった、開門しないことによる漁業行使権侵害の事実を主張しなかったこと等による。そもそもこのような混乱した状況は、国が、自ら主張し、認められた最大の期間である3年間の猶予期間を有効に使わず、農業者等に対する被害対策を怠ったことにより生じたものであって、漁業と農業を共存させるという農林水産省の本来の職責を果たしていないからに他ならない。
当連合会は、諫早干潟の貴重で自然的な価値を評価するとともに、「宝の海」と呼ばれ、生物多様性に富んだ有明海に、本件事業後、「有明海異変」と呼ばれる環境の悪化が発生したことを踏まえて、本件事業に関し、これまで意見を述べ続けてきた。すなわち、1997年5月以降、2度にわたる意見書及び7度にわたる会長声明(会長談話)を発表して、排水門を開放し堤防内に海水を導入することや、中・長期開門調査の実施を求めてきた。さらに、福岡高裁判決に際して、ただちに開門するための準備に着手することも求めてきたところである。
当連合会は、国に対して、漁業と農業の共存を可能とするよう農業者に対する十分な対策を実施するなど、開門に向けてあらゆる手段を講じ、有明海再生のために第一歩を踏み出すことを強く求めるものである。
2013年(平成25年)12月24日
日本弁護士連合会
会長 山岸 憲司
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2013/131224.html
posted by 後藤富和 at 13:21| 有明海
【日本魚類学会、日本生態学会、日本鳥学会 、日本ベントス学会】有明海奥部の貴重な生物相と生態系機能を保全する見地から諫早湾の潮受け堤防の排水門開放を求める要望書
有明海奥部の貴重な生物相と生態系機能を保全する見地から諫早湾の潮受け堤防の排水門開放を求める要望書
今から約17年前(1997年4月14日)、有明海の奥部に位置する諌早湾(約100 km2)において、湾奥部36 km2(このうち29 km2が大潮時に干出する干潟)を全長7 kmの潮受け堤防で完全に閉め切る「潮止め」が実施されました。これにより有明海の全干潟の12%(日本の全干潟の6%)が一度に失われました。この大規模干拓事業の目的は、当初は水田のための農地造成でしたが、後に、水田が畑作地に変更され、また、新たな目的として高潮対策などの「防災」が追加されました。
この事業の大きな問題の一つは、干拓によって失われる干潟生態系の重要性がほとんど無視された点にあります。これまでに生物学の基礎研究は、陸と海のはざまに位置する干潟の生態学的な重要性を明らかにしてきました。まず、干潟の生態系は、その高い生物生産力によって、豊富な水産資源を生み出すと同時に、陸から海に流入する栄養物質(窒素やリンなど)の多くを吸収、除去する機能(水質浄化機能)がたいへん大きいことがわかっています。また、そこは、魚介類の産卵・生育の場所としても重要であることがわかっています。さらに、有明海奥部の干潟とそれに続く浅海域は、絶滅が危惧される多くの生物種がまとまって生き残っているきわめてまれな場所であることも重要です。すなわち、諫早湾を含む有明海奥部は、東京湾をはじめとする日本中の内湾が失ってしまった本来の生物相とそれに支えられた高い生産力が最もよく残っている場所なのです。国際的な合意事項である生物多様性保全という観点からは、この海域は、日本の沿岸海域の中で最も保全が重要な「生物多様性のホットスポット」と言えます。
諫早湾干拓事業は、このような有明海奥部の貴重な生物相と生態系機能を大きく損ねてしまうことが当初から懸念されていました。実際に、諫早湾の閉め切り以降、有明海奥部では、大規模な赤潮が頻発するようになり、夏場の海底の貧酸素化も顕著になっています。少なくとも諫早湾内(潮受け堤防の外側)においては、諫早湾の閉め切りが潮流を著しく減衰させたことが明らかになっており、それが赤潮の頻発や海底の貧酸素化を促進していると考えられます。それらの知見に基づいて、生物学の研究者組織(日本魚類学会、日本生態学会、日本鳥学会、日本ベントス学会など)は、1997年から2012年にかけて、同事業の中止・中断、諌早湾の原状復帰、あるいは長期開門調査の早期実施などを求める要望書を合計6件、日本政府や地元自治体に提出してきました(添付資料のとおり)。しかし、これらの要望は無視され、事業が進み、今日に至っています。これまでの要望書の中で危惧された問題は、増々深刻なものになりつつあります。
2010年12月の福岡高等裁判所による確定判決は、諫早湾干拓事業と諫早湾内の漁業被害(大型底生二枚貝のタイラギを対象とした漁業等)の因果関係を認め、「諫早湾の潮受け堤防の排水門の5年間開放」を2013年12月20日までに実施するよう国に命じました。この確定判決は、現在の漁業者の危機的状況を救済するために諫早湾の環境復元を求めています。そのことは、長期的な視点に立って豊かな漁業を支える基礎としての生態系の保全を求めてきたこれまでの私たちの要望に合致するものです。
一方、2013年11月には、長崎地方裁判所が、干拓地に入植した営農者に対する影響などを考慮し、「排水門の開放」を差し止める仮処分を決定しました。しかし、この決定には、「排水門の開放」を差し止めた場合の有明海の環境悪化やそれに伴う漁業被害が全く考慮されていません。有明海の自然の再生を目標に据えた上で、有明海の漁業と干拓地の農業のあり方を総合的に議論する必要があります。
有明海奥部における環境悪化の進行は、この海域に残されている生物多様性とそれに支えられた漁業を崩壊させてしまう恐れがあります。たとえば、有明海奥部での漁獲対象物であるウミタケ、アゲマキ、ハイガイなどは、いずれも絶滅が危惧される種であり(日本ベントス学会 2012)、国内では、有明海奥部以外には大きな個体群はもはや存在しません。これらの種の絶滅の危機を回避し、漁業の基盤を維持するためには、一刻も早い諫早湾の環境復元とそれによる諫早湾の干潟生態系の再生が望まれます。
以上のことから、私たちは、日本政府に対して、次のことを要望します。
) 有明海奥部に残されている貴重な生物相と生態系機能を保全するために、福岡高裁の確定判決に従って、すみやかに「諫早湾の潮受け堤防の排水門の開放」を実施し、諫早湾の干潟生態系の再生を実現させること。
) 福岡高裁が命じた5年間の「排水門の開放」の間に、諫早湾干拓事業が有明海奥部の広い範囲に環境悪化と漁業不振をもたらしている可能性を検証するため、適正な調査を実施し、それに基づいて、諫早湾の長期的な自然再生を含む新たな有明海の環境保全策を検討すること。
以上。
2013年12月20日
日本魚類学会 会長 木村清志
日本生態学会 自然保護専門委員会 委員長 矢原徹一
日本鳥学会 鳥類保護委員会 委員長 大迫義人
日本ベントス学会 自然環境保全委員会 委員長 佐藤正典
今から約17年前(1997年4月14日)、有明海の奥部に位置する諌早湾(約100 km2)において、湾奥部36 km2(このうち29 km2が大潮時に干出する干潟)を全長7 kmの潮受け堤防で完全に閉め切る「潮止め」が実施されました。これにより有明海の全干潟の12%(日本の全干潟の6%)が一度に失われました。この大規模干拓事業の目的は、当初は水田のための農地造成でしたが、後に、水田が畑作地に変更され、また、新たな目的として高潮対策などの「防災」が追加されました。
この事業の大きな問題の一つは、干拓によって失われる干潟生態系の重要性がほとんど無視された点にあります。これまでに生物学の基礎研究は、陸と海のはざまに位置する干潟の生態学的な重要性を明らかにしてきました。まず、干潟の生態系は、その高い生物生産力によって、豊富な水産資源を生み出すと同時に、陸から海に流入する栄養物質(窒素やリンなど)の多くを吸収、除去する機能(水質浄化機能)がたいへん大きいことがわかっています。また、そこは、魚介類の産卵・生育の場所としても重要であることがわかっています。さらに、有明海奥部の干潟とそれに続く浅海域は、絶滅が危惧される多くの生物種がまとまって生き残っているきわめてまれな場所であることも重要です。すなわち、諫早湾を含む有明海奥部は、東京湾をはじめとする日本中の内湾が失ってしまった本来の生物相とそれに支えられた高い生産力が最もよく残っている場所なのです。国際的な合意事項である生物多様性保全という観点からは、この海域は、日本の沿岸海域の中で最も保全が重要な「生物多様性のホットスポット」と言えます。
諫早湾干拓事業は、このような有明海奥部の貴重な生物相と生態系機能を大きく損ねてしまうことが当初から懸念されていました。実際に、諫早湾の閉め切り以降、有明海奥部では、大規模な赤潮が頻発するようになり、夏場の海底の貧酸素化も顕著になっています。少なくとも諫早湾内(潮受け堤防の外側)においては、諫早湾の閉め切りが潮流を著しく減衰させたことが明らかになっており、それが赤潮の頻発や海底の貧酸素化を促進していると考えられます。それらの知見に基づいて、生物学の研究者組織(日本魚類学会、日本生態学会、日本鳥学会、日本ベントス学会など)は、1997年から2012年にかけて、同事業の中止・中断、諌早湾の原状復帰、あるいは長期開門調査の早期実施などを求める要望書を合計6件、日本政府や地元自治体に提出してきました(添付資料のとおり)。しかし、これらの要望は無視され、事業が進み、今日に至っています。これまでの要望書の中で危惧された問題は、増々深刻なものになりつつあります。
2010年12月の福岡高等裁判所による確定判決は、諫早湾干拓事業と諫早湾内の漁業被害(大型底生二枚貝のタイラギを対象とした漁業等)の因果関係を認め、「諫早湾の潮受け堤防の排水門の5年間開放」を2013年12月20日までに実施するよう国に命じました。この確定判決は、現在の漁業者の危機的状況を救済するために諫早湾の環境復元を求めています。そのことは、長期的な視点に立って豊かな漁業を支える基礎としての生態系の保全を求めてきたこれまでの私たちの要望に合致するものです。
一方、2013年11月には、長崎地方裁判所が、干拓地に入植した営農者に対する影響などを考慮し、「排水門の開放」を差し止める仮処分を決定しました。しかし、この決定には、「排水門の開放」を差し止めた場合の有明海の環境悪化やそれに伴う漁業被害が全く考慮されていません。有明海の自然の再生を目標に据えた上で、有明海の漁業と干拓地の農業のあり方を総合的に議論する必要があります。
有明海奥部における環境悪化の進行は、この海域に残されている生物多様性とそれに支えられた漁業を崩壊させてしまう恐れがあります。たとえば、有明海奥部での漁獲対象物であるウミタケ、アゲマキ、ハイガイなどは、いずれも絶滅が危惧される種であり(日本ベントス学会 2012)、国内では、有明海奥部以外には大きな個体群はもはや存在しません。これらの種の絶滅の危機を回避し、漁業の基盤を維持するためには、一刻も早い諫早湾の環境復元とそれによる諫早湾の干潟生態系の再生が望まれます。
以上のことから、私たちは、日本政府に対して、次のことを要望します。
) 有明海奥部に残されている貴重な生物相と生態系機能を保全するために、福岡高裁の確定判決に従って、すみやかに「諫早湾の潮受け堤防の排水門の開放」を実施し、諫早湾の干潟生態系の再生を実現させること。
) 福岡高裁が命じた5年間の「排水門の開放」の間に、諫早湾干拓事業が有明海奥部の広い範囲に環境悪化と漁業不振をもたらしている可能性を検証するため、適正な調査を実施し、それに基づいて、諫早湾の長期的な自然再生を含む新たな有明海の環境保全策を検討すること。
以上。
2013年12月20日
日本魚類学会 会長 木村清志
日本生態学会 自然保護専門委員会 委員長 矢原徹一
日本鳥学会 鳥類保護委員会 委員長 大迫義人
日本ベントス学会 自然環境保全委員会 委員長 佐藤正典
posted by 後藤富和 at 13:11| 有明海
【ラムネット、環境法律家連盟】諫早干拓・開門の不履行に対して強く抗議する
諫早干拓・開門の不履行に対して強く抗議する
我々は、内閣総理大臣および農林水産大臣が、福岡高裁の確定判決を遵守せず、国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防排水門の常時開放(開門)を12月20日の期限が過ぎたにもかかわらず実行しないことに対して、強く抗議する。
確定判決を国が守らないことは法秩序の崩壊であり、法治国家として前代未聞の異常事態である。民主主義国において、あってはならないことである。
我々は、国が確定判決に従って早急に開門の道筋をつくり、実際に開門を行って有明海の潮流・潮汐をとりもどし、自然環境の再生と漁業資源の回復、漁業者の生活再建、干拓地農業との共存を実現することを、強く要求する。
福岡高裁の確定判決は、多くの漁民の証言や科学者の研究結果にもとづいて、諫早湾干拓事業と有明海漁業被害の因果関係を認め、被害回復のために3年間の準備期間と5年間の水門の常時開放(開門)を命じたものである。
しかし、農水省は、3年の間に利害関係者の合意を得ることができず、開門準備工事も一切行わないという状況であった。これは、開門を阻みたいという農水省のサボタージュであり、確定判決に不誠実な対応をとり続けた結果であり、その責任は極めて重大である。
一方、長崎県知事は、県知事として県民の利害関係の調整をまったく行わず、開門阻止のみを強調して農水大臣や佐賀県知事との話し合いも拒否するなど、確定判決をないがしろにする態度をとり続けており、これでは知事の職責を果たすことは不可能である。
総理大臣および農水大臣は、国会では「確定判決を遵守する」と答弁しながら、農水官僚および長崎県という行政機関の「確定判決を遵守しない脱法行為」に対して、何ら対応せず、責任も取っていない。これでは、司法、立法、行政という国の根幹が崩壊しつつあると言わざるを得ない。
長崎地裁の開門を認めないという仮処分は、農水省が漁業被害を認めず、開門準備工事をサボタージュしたことが原因であり、準備工事により湛水被害の防止や農業用水の確保ができれば、仮処分問題は解決するはずである。
我々は、国が確定判決を遵守し、利害関係者の合意を得て早急に道筋をつけ、水門の常時開放(開門)を実行し、自然環境の再生と漁業資源の回復、漁業者の生活再建、干拓地農業との共存を実現することを、強く要求する。
2013年12月24日
NPO法人 ラムサール・ネットワーク日本
日本環境法律家連盟
我々は、内閣総理大臣および農林水産大臣が、福岡高裁の確定判決を遵守せず、国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防排水門の常時開放(開門)を12月20日の期限が過ぎたにもかかわらず実行しないことに対して、強く抗議する。
確定判決を国が守らないことは法秩序の崩壊であり、法治国家として前代未聞の異常事態である。民主主義国において、あってはならないことである。
我々は、国が確定判決に従って早急に開門の道筋をつくり、実際に開門を行って有明海の潮流・潮汐をとりもどし、自然環境の再生と漁業資源の回復、漁業者の生活再建、干拓地農業との共存を実現することを、強く要求する。
福岡高裁の確定判決は、多くの漁民の証言や科学者の研究結果にもとづいて、諫早湾干拓事業と有明海漁業被害の因果関係を認め、被害回復のために3年間の準備期間と5年間の水門の常時開放(開門)を命じたものである。
しかし、農水省は、3年の間に利害関係者の合意を得ることができず、開門準備工事も一切行わないという状況であった。これは、開門を阻みたいという農水省のサボタージュであり、確定判決に不誠実な対応をとり続けた結果であり、その責任は極めて重大である。
一方、長崎県知事は、県知事として県民の利害関係の調整をまったく行わず、開門阻止のみを強調して農水大臣や佐賀県知事との話し合いも拒否するなど、確定判決をないがしろにする態度をとり続けており、これでは知事の職責を果たすことは不可能である。
総理大臣および農水大臣は、国会では「確定判決を遵守する」と答弁しながら、農水官僚および長崎県という行政機関の「確定判決を遵守しない脱法行為」に対して、何ら対応せず、責任も取っていない。これでは、司法、立法、行政という国の根幹が崩壊しつつあると言わざるを得ない。
長崎地裁の開門を認めないという仮処分は、農水省が漁業被害を認めず、開門準備工事をサボタージュしたことが原因であり、準備工事により湛水被害の防止や農業用水の確保ができれば、仮処分問題は解決するはずである。
我々は、国が確定判決を遵守し、利害関係者の合意を得て早急に道筋をつけ、水門の常時開放(開門)を実行し、自然環境の再生と漁業資源の回復、漁業者の生活再建、干拓地農業との共存を実現することを、強く要求する。
2013年12月24日
NPO法人 ラムサール・ネットワーク日本
日本環境法律家連盟
posted by 後藤富和 at 13:05| 有明海
【公害弁連】諫早湾干拓開門義務不履行に関する声明
諫早湾干拓開門義務不履行に関する声明
2010年12月、福岡高等裁判所は、国営諫早湾干拓事業の潮受堤防南北各排水門を判決確定から3年以内に開放することを命じる判決を下した。国はこの判決を受け入れ、2013年12月20日までに潮受け堤防南北各排水門を開放する法的義務を負うに至った。
福岡高裁開門判決及び国の上告断念の決断は、長年の漁業被害に苦しむ有明海の漁業者はもちろん、諫早湾干拓事業への公金支出に反対してきた長崎県民、また、公共事業による環境破壊に苦しめられてきた全国の公害環境問題の被害者、全国公害弁護団連絡会議をはじめとする公害環境問題に取り組んできた団体らに歓迎をもって受け入れられた。われわれは、長年にわたる諫早湾干拓事業をめぐる諍いに終止符が打たれると期待した。
しかし、福岡高裁判決に基づく開門義務の履行期限である2013年12月20日を迎えたが、国は、開門を実施しなかった。
開門義務を履行できなかった原因は国にある。国は、福岡高裁判決を受け入れた後も、有明海の漁業被害を認めず、そのため、開門が持つ意義を長崎県や諫早湾干拓地及び周辺地域の営農者に理解させることができなかった。その上、国は、3年もの期間を与えられていながら、農業者らに対する被害防止対策を怠ってきた。その結果、開門によって農業に被害が出るかもしれないとの農業者らの不安感を払しょくできず、農業者と漁業者との対立を招くに至った。
国が、確定判決に基づく義務を履行しないというのは、三権分立を定めた憲法違反の行為であり、法治国家として断じて許されるものではない。
この間にも、有明海の漁業者は、漁業被害に苦しんでいる。有明海の再生に向けた潮受堤防南北各排水門の開放は急務である。
国は、確定判決に基づく義務を履行できなかった事実を真摯に反省するとともに、今も続いている諫早湾干拓事業による有明海の漁業被害を認め、一日も早い開門の実現に向けてあらゆる手段を講ずべきである。
2013年(平成25年)12月24日
全国公害弁護団連絡会議
2010年12月、福岡高等裁判所は、国営諫早湾干拓事業の潮受堤防南北各排水門を判決確定から3年以内に開放することを命じる判決を下した。国はこの判決を受け入れ、2013年12月20日までに潮受け堤防南北各排水門を開放する法的義務を負うに至った。
福岡高裁開門判決及び国の上告断念の決断は、長年の漁業被害に苦しむ有明海の漁業者はもちろん、諫早湾干拓事業への公金支出に反対してきた長崎県民、また、公共事業による環境破壊に苦しめられてきた全国の公害環境問題の被害者、全国公害弁護団連絡会議をはじめとする公害環境問題に取り組んできた団体らに歓迎をもって受け入れられた。われわれは、長年にわたる諫早湾干拓事業をめぐる諍いに終止符が打たれると期待した。
しかし、福岡高裁判決に基づく開門義務の履行期限である2013年12月20日を迎えたが、国は、開門を実施しなかった。
開門義務を履行できなかった原因は国にある。国は、福岡高裁判決を受け入れた後も、有明海の漁業被害を認めず、そのため、開門が持つ意義を長崎県や諫早湾干拓地及び周辺地域の営農者に理解させることができなかった。その上、国は、3年もの期間を与えられていながら、農業者らに対する被害防止対策を怠ってきた。その結果、開門によって農業に被害が出るかもしれないとの農業者らの不安感を払しょくできず、農業者と漁業者との対立を招くに至った。
国が、確定判決に基づく義務を履行しないというのは、三権分立を定めた憲法違反の行為であり、法治国家として断じて許されるものではない。
この間にも、有明海の漁業者は、漁業被害に苦しんでいる。有明海の再生に向けた潮受堤防南北各排水門の開放は急務である。
国は、確定判決に基づく義務を履行できなかった事実を真摯に反省するとともに、今も続いている諫早湾干拓事業による有明海の漁業被害を認め、一日も早い開門の実現に向けてあらゆる手段を講ずべきである。
2013年(平成25年)12月24日
全国公害弁護団連絡会議
posted by 後藤富和 at 12:56| 有明海