遺言の活用術

遺言は、ご自身の想いを込めつつ、
財産を円満に相続してもらえるように
サポートする大切なものです。

遺言が大切な理由

遺言でできること

遺言書の作成

遺言が大切な理由

遺言作成が必要な理由として以下3つがあります。

遺言が大切な理由をまとめた図 遺言が大切な理由をまとめた図

遺言の作成をおすすめしたい方

次のような方には遺言の作成をおすすめいたします。

  • 配偶者やご家族の生活の安定を願う方
  • 子どもがいないご夫婦の方
  • 築き上げた財産を社会のために役立てたい方
  • お世話になった方やかわいい孫に財産を譲りたい方
  • 財産が不動産にかたよっている方
  • 後継者に事業を円滑に承継させたい方

遺言でできること

遺産相続を円満に行う一つの方法として遺言があります。遺言によって、ご自身の財産をご自身の考えで分けるとともに、家族への想いをのこすことができます。

遺言書を作成する主な事例

遺言書の作成が必要なケースについて、具体的な事例を紹介いたします。

事例 01

亡くなった長男の妻にお世話になっているAさんの遺言

Aさんがご来店になり、「私は、妻と長男に先立たれ、お嫁さん(亡長男の妻)とまだ学生の孫娘二人と同居し、身の回りのことはお嫁さんに世話になっている。その感謝の気持ちとしてお嫁さんに自宅のほかに金融資産を多く配分した自筆証書遺言を作成した。この内容に問題がないか相談したい。」とのことでした。

自筆証書遺言の問題点

  • 二男・三男の遺留分を侵害している内容
  • 遺言執行者として亡長男の妻を指定
事例01 相続人関係図 事例01 相続人関係図
資産内容
居住用不動産 1億1,000万円
預貯金他 1億3,000万円
合計 2億4,000万円
財産の配分(自筆証書遺言の見直し、生前贈与の活用と公正証書遺言案)
相続人 二男 三男 亡長男の妻
法定相続割合 8,000万円 8,000万円 4,000万円 4,000万円 (相続人ではない)
遺留分 4,000万円 4,000万円 2,000万円 2,000万円
遺言配分(自筆証書) 1,000万円 1,000万円 0円 0円 2億2,000万円
教育資金贈与信託 1,000万円 1,000万円
遺言配分(公正証書) 4,000万円 4,000万円 1,000万円 1,000万円 1億2,000万円

公正証書に変更した理由

  • Aさんの心情は自筆証書遺言の内容により理解できますが、二男・三男の立場も考慮しなくてはなりません。この内容ですと、二男・三男は気分を害して遺留分侵害額請求が考えられ、争いの元を作ることが想定されます。
  • 遺言執行者としてお嫁さんを指定していますが、お嫁さんが遺言の執行を実際にできるかどうか疑問です。また、お嫁さんがAさんに遺言の作成を依頼したかのように思われる懸念もあります。いらぬ誤解を回避しなくてはなりません。
  • 付言事項で、感謝の気持ちと、二男・三男へ配慮した遺言の主旨・想いを明確にしました。
  • 学生の孫たちのために、1人1,000万円、合計2,000万円を「教育資金贈与信託」(注記)を活用し一括贈与しました。親子に喜ばれ、結果として相続税の軽減の対象になりました。

以上を勘案し、財産の配分の変更・遺言執行者の変更(亡長男の妻→信託銀行)を行い、公正証書遺言に変更しました。

  • 運用報酬として、3月・9月の各25日および信託期間満了日に、金銭信託5年ものの運用収益から予定配当額(予定配当率と信託金の元本により計算される額)等を差し引いた金額がかかります。
  • 本事例は三菱UFJ信託銀行がさまざまな事例を参考に創作したものであり、実際のものとは異なります。

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事例 02

お子さまがいらっしゃらないAさんの遺言

Aさんがご来店になり、ご相談は「私たち夫婦には子どもがなく両親も既に他界し、身内は、弟と妹二人である。自分に万一のことが起こった場合、苦楽を共にして私に尽くしてくれた妻が自分の相続手続きで苦労しないようにしておきたい。ついてはアドバイスしてほしい。」とのことでした。ご相談の結果、下記のような遺言を作成することになりました。

事例02 相続人関係図 事例02 相続人関係図
資産内容 遺言による財産分け 相続財産合計
自宅不動産 5,000万円
不動産・預貯金等
1億円
預貯金 5,000万円
預貯金等
500万円
上場株式 1,000万円
預貯金等
500万円
合計 1億1,000万円 (注記)弟・妹の遺留分 0円

遺言内容の概略

  • 妻には自宅不動産はもとより、預貯金等遺産の大半を相続させる内容としました。
  • 弟・妹にも財産の一部を相続をさせ、気持ちを示します。
  • 弟・妹も妻と同年代であり妻より先に死亡することも考えられることから、弟・妹が先に死亡していた場合は弟・妹に相続させるとしていた財産については予備的遺言で甥・姪に相続させることにしました。
  • 妻も「少しばかりの預貯金しかありませんが、もしもの時に備え相続手続きがスムーズに行くように」、夫と一緒に遺言を作成することになりました。

今後の検討事項

妻がAさんの財産を相続した場合、妻の面倒を見てもらう方、またはAさん夫婦のお墓を守ってもらう方が決まった時点で妻の遺言の変更をすることとしました。

  • 本事例は三菱UFJ信託銀行がさまざまな事例を参考に創作したものであり、実際のものとは異なります。

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事例 03

ご主人に先立たれたAさんの遺言

Aさんは、数年前にご主人を亡くし、現在自宅で一人暮らし。元気なうちはこのまま自宅に住み、支障が出てきた場合には、娘との同居か、または施設に入居すれば良いと、考えています。相続には、今まで関心がなかったが、最近、親しかった友人が亡くなったり、近所に住む二女が、自宅の相続について関心がありそうなので、自分も考えなければいけないのかと、ご相談にみえました。

事例 03相続人関係図
資産内容 遺言による財産分け 相続財産合計
自宅不動産 1億円
長女
不動産・預貯金等
6,000万円
預貯金 1,000万円
二女
不動産・預貯金等
6,000万円
株式(上場株式) 1,000万円
合計 1億2,000万円 (注記)子どもの遺留分 各々3,000万円

Aさんの家族の状況と相続に対する考え

  • 二人の娘は、結婚して幸せに生活しており、親としては心配していない。
  • 他県に嫁いだ長女も、近所に住んでいる二女も、一緒に住もうと言ってくれている。
  • 資産も重要だけれども、子どもたちの円満な関係がより重要。
  • 娘二人には、平等に相続させたいが、資産の多くが自宅であり、簡単ではなさそう。

遺言内容の概略

  • まずは、現時点の財産状況を念頭に遺言を作成しました。
  • 不公平感がないように、自宅を売却(換金)し、金融資産と合わせて二人で均等に分ける内容としました。
  • どちらかの娘の世話になったとき、または施設入居の際は、遺言を書き換えるつもりです。
  • 不動産売却に関する相談もできることもあり、信託銀行に任せることにしました。
  • 本事例は三菱UFJ信託銀行がさまざまな事例を参考に創作したものであり、実際のものとは異なります。

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事例 04

身体の不自由なお子さまがいらっしゃるAさんの遺言

担当者がAさんのご自宅を訪問した時に、「ご存じの通り、長男は障がいを持っており、自分と妻が亡くなった後の生活が心配だ。ほかの子どもも面倒を見てくれると思うが、家族をもっているし、負担をなるべく少なくしたい。何か良い方法はあるのか。」とご相談がありました。

事例04 相続人関係図
資産内容 遺言による財産分け 相続財産合計
自宅 8,000万円
自宅・金融資産
1億円
預貯金 1億円
長男
金融資産(パーソナルトラスト)(注記)1
3,000万円
株式(上場株式) 4,000万円
二男
金融資産
5,000万円
合計 2億2,000万円
長女
金融資産
4,000万円

遺言作成の考え方

  • 長男は、現在自宅で同居しているが、将来は施設等への入居が想定される。充分な資金をのこすために、すでに特定贈与信託(注記)2で3,000万円を贈与しているが、不足しないように、定時定額受取りや、臨時受取りが可能で、管理がしっかりしているパーソナルトラストとしてのこす。受益者代理人を、長男を将来にわたりお世話する二男にすることができるのも安心できる。(遺言によりパーソナルトラストを設定)
  • 妻は自身の親から相続した財産が8,000万円あり、充分生活が可能なので、自宅以外の金融資産は抑えた。

今後の検討事項

  • 結果として多くの資産を長男にのこす形になっており、他の子どもとのバランスについては妻が遺言を作成することで調整する。
  • お客さまご自身や大切なご家族に代わって、三菱UFJ信託銀行が最長30年にわたって財産の管理を行います。お客さまのご資金を元本保証の指定金銭信託5年もので安定的に運用を行います。また、お支払方法(定時定額払い・臨時払い)、期間などを自由に設計することができ、遺言による信託設定をすることもできます。 パーソナルトラスト(特徴・ポイント)
  • 特定障がい者の方の生活の安定に資する目的で、親族や篤志家など個人の方々が信託した財産を、信託銀行が運用・管理して特定障がい者の生活費や医療費に充てる資金を定期的にお支払いする制度です。特別障がい者が取得する信託受益権の価額のうち6,000万円までの金額(特別障がい者以外の特定障がい者の場合、3,000万円までの金額)に相当する部分については、贈与税が非課税となります。 特定贈与信託
  • 本事例は三菱UFJ信託銀行がさまざまな事例を参考に創作したものであり、実際のものとは異なります。

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事例 05

不動産を多く所有するAさんの遺言

従来から、担当者が遺言作成の必要性をアドバイスしていたが、まだ元気だから必要ないと仰っていたAさんが来店された。「遺言の重要性は認識していたが、なんとなく気が乗らなかった。先月、入院して、やはり相続について検討しようと考え直した。」とのお話があり、遺言を作成された。

事例05 相続人関係図
資産内容 遺言による財産分け 相続財産合計
自宅 1億2,000万円
  • 自宅1/2 アパート(3)
  • 金融資産3,000万円
1億5,500万円
アパート
  • 1億1,000万円
  • 9,500万円
  • 6,500万円
長女
  • 駐車場(1)1/2
  • 金融資産1,500万円
5,000万円
駐車場
  • 7,000万円
  • 3,000万円
二女
  • 駐車場(1)1/2
  • 金融資産1,500万円
5,000万円
預貯金 1億2,000万円
長男
  • 自宅1/2 アパート(1)(2)
  • 駐車場(2) 金融資産6,000万円
  • 債務4,000万円
差引
3億1,500万円
債務 4,000万円
差引合計 5億7,000万円

遺言内容の概略

  • 代々引き継いできた不動産は、同居している長男に全部をのこしたいという考えであったが、長女・二女も自身の大切な子どもであり、財産をのこしてあげたいとの想いから、一部の不動産を長女・二女にものこすこととし、遺留分についても配慮した。
  • 妻の生活は、のこす金融資産とアパートの収入に加えて、自己の資産もあり、充分に生活は安定するので心配していない。
  • 子どもたちが相続税納税に困らないように、それぞれ金融資産をのこす。
  • なお、長女・二女にものこす不動産については、売却しやすいよう駐車場を選んだ(古いアパートをのこすとなると、売却時に立ち退きの問題も生じかねず、共有状態が継続してしまうおそれもあるため)。

今後の検討事項

  • 妻も夫と同じ意向であるため、着実に自宅とアパートを長男にのこす内容の遺言を作成する。
  • 長女、二女に共有でのこす駐車場は、将来の共有状態を避けるため、遺言者の生前に売却し、金融資産でのこす。その際、売却金額相当の金融資産を長女、二女にのこすように遺言を書き換える。
  • 本事例は三菱UFJ信託銀行がさまざまな事例を参考に創作したものであり、実際のものとは異なります。

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法律に則った
遺言書の作成

遺言作成は、法律に則って行う必要があります。遺言書は、法的効力が認められていますので、遺言でできることや形式が厳格に決められています。特に自分で遺言を作成する自筆証書遺言は、書き方や訂正方法、内容に関しての記載振りなどチェックすべきポイントが多いため作成には留意が必要です。一方、公正証書遺言は公証人が作成しますので、懸念は少ないと考えられます。

遺言の形式

遺言は、遺言書という一定の書式を備えることにより、はじめて有効となります。一般に多く使われる方式として「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」の2種類があります。相続時のトラブルを防止し、遺言内容を確実に実現するために、おすすめしたいのは「公正証書遺言」です。

公正証書遺言 自筆証書遺言
保管制度(注記)2利用あり 保管制度(注記)2利用なし
作成・保管時 原則、本人が公証役場に出向く(公証人の出張制度あり) 本人が法務局に持参して保管(形式等を確認) どこにも出向く必要なし
自書 自書は不要(公証役場で遺言内容を口授、公証人が作成) 全文を自書
  • 自書によらない財産目録を添付可
全文を自書
  • 自書によらない財産目録を添付可
保管場所 公証役場 法務局 遺言者等が保管
証人 2人以上必要 不要 不要
手数料 必要 必要 不要
検認(注記)1 不要 不要 必要
  • 検認とは、相続人に対し遺言の存在およびその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続きです。自筆証書遺言の執行をするためには、遺言書に検認済証明書がつづられ、割印が押されていることが必要です。
  • 保管制度とは、法務局で自筆証書遺言を保管する制度です。全国の法務局のうち、法務大臣の指定する法務局が遺言書保管所として遺言書の保管に関する事務を行います。(2020年7月10日施行)

公正証書遺言のポイント

  • 内容が明確で、証拠力が高く、安全確実で無効になる心配がほとんどありません。
  • 偽造・紛失の心配がありません。
公正証書遺言の見本(2,588KB)

自筆証書遺言のポイント

  • いつでも、どこでも作成でき、だれにも知られずに作成できますが、形式の不備や不明確な内容になりがちで、後日トラブルが起きる可能性があります。
  • 法務局に保管していれば、偽造・紛失の心配はありませんが、自宅等で保管している場合、偽造・隠匿などの心配があります。
自筆証書遺言の見本(特定遺贈)(659KB) 自筆証書遺言の見本(包括遺贈)(611KB)

ご家族や大切な方への付言事項(メッセージ)の書き方はこちらの事例紹介をご参照ください。

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