矯正心理専門職区分
大阪少年鑑別所
◇ 法務技官(心理)とは
◇ 給与・諸手当
◇ 勤務時間・休暇
◇ 勤務地・宿舎
◇ 研修・昇進
◇ 福利・厚生
◇ 先輩職員からのメッセージ
法務技官(心理)は,法務省専門職員(人間科学)採用試験 矯正心理専門職区分により採用され,少年鑑別所や少年院,刑事施設(刑務所,少年刑務所及び拘置所)などに勤務する専門職員です。
心理学の専門的な知識・技術等をいかし,科学的で冷静な視点と人間的な温かい視点とを持ちながら,非行や犯罪の原因を分析し,対象者の立ち直りに向けた処遇指針の提示や,刑務所の改善指導プログラムの実施に携わっています。
◆だいやまーく 法務技官(心理)とは
1 少年鑑別所に勤務した場合
少年鑑別所は,主に家庭裁判所の観護措置決定によって送致された少年を収容し,医学,心理学,社会学,教育学等の専門知識に基づいて,資質及び環境の調査を行う施設です。
少年鑑別所では,少年に対して,面接や各種心理検査を行い,知能や性格等の資質上の特徴,非行に至った原因,今後の処遇上の指針を明らかにします。
また,審判決定により,少年院に送致された少年や保護観察処分になった少年にも,専門的なアセスメント機能を活用して継続的に関与します。
その他,地域の非行及び犯罪の防止に貢献するため,一般の方からの心理相談に応じたり,学校等の関係機関と連携した非行防止や青少年の健全育成のための取組みにも積極的に関与したりします。
2 刑事施設,少年院に勤務した場合
刑事施設では,受刑者の改善更生を図るため,面接や各種心理検査を行い,犯罪に至った原因,今後の処遇上の指針を明らかにします。
また,改善指導プログラムを実施したり,受刑者に対するカウンセリングを行ったりもします。
少年院では,個々の少年に関する矯正教育の計画の策定や各種プログラムの実施,処遇効果の検証等に携わります。
少年鑑別所における業務
刑事施設における業務
少年鑑別所に勤務する法務技官(心理)には,一般の国家公務員に適用される行政職俸給表(一)に比べ,12%程度給与水準の高い公安職俸給表(二)(令和2年度現在,東京都特別区内に勤務する場合の初任給の例は,248,400円)が適用されます。
このほかに,各種手当(扶養手当,住居手当,通勤手当,期末・勤勉手当,超過勤務手当等)が支給されます。
◆だいやまーく 勤務時間・休暇
1週当たりの勤務時間は,38時間45分(週休2日制)であり,1日7時間45分の勤務を行う場合と交替制勤務(昼間勤務と昼夜間勤務があります。)を行う場合があります。
休暇制度としては,年次休暇(年間20日間)のほかに病気休暇,特別休暇(夏季休暇,結婚・出産に伴う休暇等)及び介護休暇の制度が設けられています。
◆だいやまーく 勤務地・宿舎
勤務地等については,本人の希望を考慮して決定しており,原則として採用施設を所管する矯正管区の管轄地域内で異動します。
宿舎は,勤務庁の近隣に設けられており,公安職俸給表適用職員の特例により,宿舎費は原則として無料となります。
◆だいやまーく 研修・昇進
採用1年目に新規採用職員を対象とした基礎科研修,5年目に専門性を向上させるための応用科研修を矯正研修所で行います。
また,おおむね10年目には,更に高度な知識及び技能を習得させるための特別科研修が設けられています。
このほか,幹部職員となるための高等科研修や種々の専門研修,さらに,海外・国内留学の制度などが設けられています。
昇任については,能力主義の人事管理を行っており,採用後おおむね5年目に専門官に昇任し,その後は統括専門官(課長相当),首席専門官,施設長等に昇任する道も開かれています。
国家公務員は,国家公務員等共済組合に加入することとなり,組合員として,病気,負傷,出産等に関連した各種の給付を受けることができます。また,退職,高度障害,死亡した場合には,年金制度の適用を受けることができます。
その他,疾病の予防と人間ドック受検,臨時の出費等に対する資金の貸付け,貯金及び保険事業など,組合員とその家族の方々が健康で明るい豊かな生活ができるよう,様々な制度・事業があります。
◆だいやまーく 先輩職員からのメッセージ
(大阪少年鑑別所・2011年度採用)
(志望動機)
大学院で心理学を学ぶ中,少年鑑別所の法務技官(心理)の方から職業紹介があったことをきっかけに興味を持ち,心理の専門職として非行少年と正面から向き合えることに魅力を感じて,この仕事を志望しました。
(これまでの業務)
少年鑑別所で6年,刑事施設で3年の勤務経験があり,いずれの施設でも,その人が非行・犯罪をするに至った原因等をアセスメントすることが主な業務となっています。この仕事では,心理面接の中で自分自身の気持ちも揺さぶられ,簡単には受容・共感ができないと感じることもあります。しかしそれ以上に,彼らがもがきながら懸命に立ち直りを目指す姿を目の当たりにして,心打たれることも多くあります。また,彼らの抱える思いや生きづらさに寄り添いつつ,非行・犯罪の背景要因や心理的メカニズムを客観的に見つめ,より良い支援につなげられるよう指針を示すことに,専門家としての誇りとやりがいを感じています。
(今後の目標)
少年鑑別所では,地域一般の方や他機関を対象とした相談業務も積極的に行っており,これに対する社会の期待も高まっているように感じます。こうした非行・犯罪の防止に関する様々なニーズに応えられるよう,専門性の向上に努めていきたいと考えています。
(この仕事を選んだ理由)
大学院で臨床心理学を学ぶ中で,非行・犯罪心理学に触れる機会があり,犯罪に至る子どもや大人にはどのような傷付きがあるのか,再犯防止のためにどのような支援ができるのかということに興味を持ちました。同時に,非行・犯罪の現場で心理職として働ける矯正心理専門職の存在を知り,この仕事を選びました。
(現在の業務)
少年鑑別所で勤務した後,現在は刑事施設で,性犯罪再犯防止指導と呼ばれる改善指導の指導者をしています。性犯罪によって受刑している受講者とグループワークを重ねていく中で,時に受講者のこれまでの人生や,受講者の考え方,気持ちを受け止めたり,時にグループ内でこじれた人間関係を取り上げて学びにつなげたりしていきながら,出所後の再犯防止策と生活設計をともに考えていきます。長期間の指導を経て,受講者が犯罪に至る上での自分の特徴を理解し,変わっていこうとする姿を支援することができ,非常にやりがいを感じています。
(仕事をする上で意識していること)
犯罪に至る子どもや大人の支援をしていくためには,どのような傷付きがあり,何が生きづらさにつながっていたのかといったアセスメントをする力が不可欠ですので,日々専門性の向上に努めています。