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見解8

プルトニウムスポットについて

広告内容

フランスはガスの急増前に燃料を取り出す ペレットからのガス放出率急増域まで燃やす プルトニウムの濃度が高くなると核分裂が激しく発熱も高いプルトニウムのかたまり(スポット)が多くなり、制御棒の効きがさらに低下、ガスの放出率も高くなります。

ガス放出率の燃焼度依存(P.Blanpain et al TopFuel2001より) 燃焼度40(GWd/t)から急増。玄海は45(GWd/t)まで燃やす!

当社見解

ウラン燃料ペレットやMOX燃料ペレットからは、燃焼(核分裂)に伴いガス(気体状の核分裂生成物)が出てきますが、このガスの放出率は燃焼の進行(燃焼度が大きくなるにつれて)と出力の上昇により大きくなります。MOX燃料のガス放出率に関して、燃焼度 40,000 MWd/t(40 GWd/t) 程度で高いデータが報告されていますが、これは当該燃料の出力が高かったことによるもので、単に燃焼度の進行によるものではないこと、また、このような状況はMOX燃料ペレット特有のものではなく、ウラン燃料ペレットにも見られることが報告(注1)されています。

また、フランスでは、MOX燃料においても燃焼度約45,000MWd/t(45GWd/t)まで、ウラン燃料と変わりなく使用されていること、今後、MOX燃料をウラン燃料と同様に燃焼度52,000MWd/t(52GWd/t)まで使用する検討がなされていることが報告(注1)されています。

ドイツ、スイス、ベルギーでも、下表のとおり、玄海3号機と同等の100万kW以上の出力でMOX燃料の最高燃焼度 45,000 MWd/t(45GWd/t) 以上の実績をもつ発電所があり、問題なく運転されています。また、玄海3号機のプルサーマル計画では、MOX燃料の燃焼が進んでも放出されたガスによる内圧増加によって燃料被覆管が破損しないことが国によっても確認されています。

MOX燃料ペレットの中には、均一に混ざっていないプルトニウムの濃度が局所的に高い部分(これをプルトニウムスポットと呼びます)が存在します。プルトニウムスポットでは、他の部分より核分裂数が多くなるため、ガス放出率が高くなると考えられています。また、プルトニウムスポットでの局所的な出力増加により、出力が急激に増加した場合の燃料の壊れ方に影響を及ぼす可能性があります。そこで燃料棒の設計にあたっては、上記事象を踏まえMOX燃料ペレットが入る燃料棒に予め封入するヘリウムガス(注2)の量を調節したり、ペレットの製造には均質性の良い方法を採用するなどにより、MOX燃料が安全に使用できることが国によっても確認されています。

MOX燃料を使うと、ウラン燃料だけで発電する場合と比べてプルトニウムの量がやや多くなり、プルトニウムはウランよりも中性子を吸収しやすいので、制御棒の効きがわずかに悪くなります。しかし原子炉に入れるMOX燃料の数を制限したり、燃料を適切に配置することにより、制御棒が原子炉を停止させる能力については、必要とされる余裕分も含めて十分に確保できます。また、運転開始前には実際に制御棒の効き具合を測定し、十分余裕があることを確認する国の検査を受けた上で運転に入りますので問題はありません。

(注1)P.Blanpain et al., "MOX Fuel Experience: Current Status and Future Improvements" 2004 International Meeting on LWR Fuel Performance, Orlando, Florida, Sept. 2004

(注2)燃料棒は、1次冷却材により外側から圧力を受けますが、この影響を緩和する等のために製造時に燃料棒内にヘリウムガスを加圧封入しています。

表:海外のMOX燃料の最高燃焼度

発電所 出力(万kW) MOX燃料
装荷開始年
最高燃焼度
(実績)(MWd/t)
ベルギー ドール3 105.8 1995〜 49,000
ドイツ イザール2 145.5 1998〜 45,000
ブロックドルフ 144.0 1989〜 50,000
グローンデ 143.0 1988〜 50,000
フィリップスブルク2 142.4 1988〜 50,000
ネッカー2 136.5 1998〜 50,000
ウンターベーザー 135.0 1984〜 50,000
グンドレミンゲンB(BWR) 134.4 1996〜 55,000
スイス ゲスゲン 102.0 1997〜 52,000

グンドレミンゲンB以外の発電所はいずれもPWRである。

<出典>平成15年度核燃料サイクル関連技術調査報告書(財団法人エネルギー総合工学研究所)より抜粋

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