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関根康人

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関根 康人
(せきね やすひと)
生誕 1978年(45 - 46歳)
日本の旗 日本 東京都
研究分野 惑星科学アストロバイオロジー
研究機関 東京工業大学東京大学
出身校 東京大学理学部地球惑星物理学科
東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻(修士・博士)
博士課程
指導教員
松井孝典
主な受賞歴 日本惑星科学会最優秀研究者賞(2009年)
地球化学研究協会奨励賞(2012年)
文部科学大臣表彰若手科学者賞(2016年)
日本学術振興会賞(2022年)
井上学術賞(2023)
プロジェクト:人物伝
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関根 康人(せきね やすひと、1978年 - )は、日本の惑星科学者。東京工業大学地球生命研究所主任研究者・教授で、2022年4月より所長を務める[1] [2]

人物・来歴

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1978年11月、東京都台東区 浅草に生まれる[3] [4] 。1997年3月に東京都立白鷗高校を卒業し、同年4月に東京大学教養学部 理科II類に入学[4]

2001年3月に同大理学部地球惑星物理学科を卒業し、同年4月に同大大学院理学系研究科地球惑星科学専攻に進学、2006年3月に博士(理学)を取得[5] した[4] [6] 。この間、指導教官の松井孝典の薦めによりNASAエイムズ研究所にて土星の衛星タイタンの研究を行う[7] [8] [9]

2006年4月より東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻で特任助手、翌2007年4月より同大学院新領域創成科学研究科複雑理工学専攻で助教を務める[9] 。2011年7月からは同専攻にて講師になり、2014年10月からは同大学院理学系研究科地球惑星科学専攻の准教授に就任する[4] [6]

2018年6月に東京工業大学地球生命研究所に転じ主任研究者・教授を務める[2] [1] 。さらに、2022年4月からは廣瀬敬に代わって[10] 同所長に着任する[2] [10] 。また、金沢大学環日本海域環境研究センターの客員教授も務める[11]

研究・業績

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土星の衛星タイタンをはじめ氷で表面を覆われた惑星や衛星を中心に、太陽系の天体の大気や海洋の形成と進化やそこでの生命の存在の可能性を表層環境の化学に注目し研究する[12] [13] [14]

2011年、土星最大の衛星であるタイタンに存在する、窒素を主成分とする厚い大気の起源を明らかにした[15] 。約40億年前におきたとされる無数の天体衝突によって、タイタン地表面の氷に含まれていたアンモニアが分解して窒素大気を作ったという考えを、室内実験によって実証した。

2015年、カッシーニ探査機による土星の衛星エンセラダスの観測結果の解析から、エンセラダス表面を覆う氷の下に生命を育みうる熱水環境が現存することを、ナノシリカ粒子が形成される温度条件を再現する実験を通して共同研究者らとともに明らかにした[16] [17] [18] [19] 。さらに同年、エンセラダスの岩石の組成は地球のマントルよりも隕石(炭素質コンドライト)の組成に近い必要があることを共同研究者らとともに室内実験によって明らかにした[20] [21]

2019年、金沢大学環日本海域環境研究センターの福士圭介と共同で、火星探査車キュリオシティが着陸したゲール・クレーターに存在したかつての湖の水質を明らかにした[22] 。その水質がミネラルを豊富に含み、生命にとっても好適なものであることを、環境化学の手法によって初めて定量的に明らかにした[23]

2023年には、エンセラダスから噴き出す海水中に生命必須元素であるリン酸が高濃度含まれていることを発見した[24] 。高炭酸かつアルカリ性というエンセラダスの水環境でリン酸が濃集することを示し、同様の水環境が原始地球でも実現すれば、地球生命誕生の場としても有力であろうことを示唆した[25]

著作物

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本文に関係がある文献や書籍の一部

論文

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博士論文

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エッセイ

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単著

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  • 関根康人『土星の衛星タイタンに生命体がいる!:「地球外生命」を探す最新研究』小学館〈小学館新書〉、2013年。ISBN 4098251930 

共編著・分担執筆

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  • 井田茂田村元秀生駒大洋、関根康人 編『系外惑星の事典』朝倉書店、2016年。ISBN 4254150210 
  • 縣秀彦(編集) 編「どうやら、僕は知的生命がいてほしいと思ってないようです」『科学者18人にお尋ねします。宇宙には誰かいますか?』佐藤勝彦(監修)、関根康人ほか(述)、河出書房新社、2017年、224頁。ISBN 430925361X 

脚注

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出典

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  1. ^ a b 進化の幕開け:ELSIが挑む地球外生命の探求
  2. ^ a b c 関根 康人 < 東京工業大学地球生命研究所
  3. ^ We are from Earth.アストロバイオロジーのすゝめ < 三菱電機:DSPACE コラム
  4. ^ a b c d myself
  5. ^ Sekine 2006.
  6. ^ a b 論文一覧(KAKEN)
  7. ^ 「土星の衛星タイタンに生命体がいる!」|自然・生物|趣味|書籍|小学館
  8. ^ 関根康人 2013.
  9. ^ a b 関根康人 2007.
  10. ^ a b ELSIこれまでの10年:地球、生命と新しい日本の研究所のあり方
  11. ^ 研究領域部門|研究部門・メンバー|センターについて|金沢大学 環日本海域環境研究センター
  12. ^ study
  13. ^ 関根康人 | プロフィール | Book Bang -ブックバン-
  14. ^ ELSI一般講演会2022「地球深部からはるかな宇宙まで」によせられた質問に講演者が回答しました
  15. ^ Sekine et al. 2011.
  16. ^ Hsu et al. 2015.
  17. ^ 新領域:土星衛星エンセラダスの地下海に海底熱水活動!―生命生息可能環境を宇宙に発見- - ウェイバックマシン(2017年7月24日アーカイブ分)
  18. ^ 土星衛星エンセラダスの地下海に海底熱水活動! ―生命生息可能環境を宇宙に発見-<プレスリリース<海洋研究開発機構 | JAMSTEC
  19. ^ エンセラダスに生命の萌芽を見出す | Nature ダイジェスト | Nature Portfolio
  20. ^ Sekine et al. 2015.
  21. ^ 土星衛星エンセラダスの岩石成分は隕石似!? - プレスリリース - 東京大学 大学院理学系研究科・理学部
  22. ^ Fukushi et al. 2019.
  23. ^ "火星の水はミネラル豊富な塩味だった-太古の火星が生命生存に適した星だったことを水の水質復元から立証!- | 金沢大学". 2022年9月10日閲覧。
  24. ^ Postberg et al. 2023.
  25. ^ "土星衛星エンセラダスの海に生命必須元素リンが異常濃集 生命誕生の鍵を宇宙で突き止める". 東京工業大学. 2023年7月28日閲覧。

参考文献

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関連項目

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外部リンク

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Scholiaには関根康人 (Q63649703)に関するプロフィールがあります。

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