長谷川集平
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長谷川 集平(はせがわ しゅうへい、1955年 4月19日 - )は日本の絵本作家・シンガーソングライター。
来歴・人物
[編集 ]兵庫県 姫路市出身。兵庫県立姫路東高等学校卒業。武蔵野美術大学中退。大学から東京在住であったが、1991年から長崎市に移り住む。映画監督の浦山桐郎は叔父にあたる。
1976年、第3回創作絵本新人賞[1] を受賞した『はせがわくんきらいや』でデビュー。森永ヒ素ミルク中毒事件(長谷川自身もヒ素の入った粉ミルクを飲んだ)を扱いながら、日本人の生活や心理を大胆に切り取り、斬新な絵本作法で鮮烈なデビューを飾った。
初期の『とんぼとりの日々』『トリゴラス』『日曜日の歌』から、東日本大震災以降の『小さなよっつの雪だるま』『れおくんのへんなかお』『およぐひと』『アイタイ』『あなに』『天使がいっぱい』『むねがちくちく』『ファイアー』まで、常に絵本の可能性を問いながら、子どもからおとなまで幅広い年齢層の読者を増やしてきた。プロレス絵本『パイルドライバー』、野球絵本『ホームランを打ったことのない君に』など、大衆文化に対する独自のスタンスを持つ。『絵本づくりトレーニング』は実践的入門書である。
1977年に松本猛と絵本モンタージュ論を提唱。1980年代から池袋コミュニティ・カレッジ、岡山集平塾、長崎絵本セミナリヨをはじめ、各地で講座・講演を続ける。1997年9月、インターネット図書館「青空文庫」の呼びかけ人となる[2] 。2002年から2018年まで京都造形芸術大学客員教授を勤める。2016年からトクサ文庫の名前でAmazon Kindle版の電子書籍の販売を開始。
受賞歴
[編集 ]- 1976年 - 『はせがわくんきらいや』で、第3回創作絵本新人賞
- 1988年 - 『プレゼント』(絵:村上康成)で、ボローニャ国際児童図書展グラフィック賞
- 1990年 - 『見えない絵本』で、第20回赤い鳥文学賞
- 1992年 - 『石とダイヤモンド』『鉛筆デッサン小池さん』で、第14回路傍の石文学賞
- 2007年 - 『ホームランを打ったことのない君に』で、第12回日本絵本賞
- 2012年 - 第34回姫路市芸術文化賞
- 2015年 - 『きみは知らないほうがいい』(挿絵担当。作:岩瀬成子)で、第62回産経児童出版文化賞大賞
主な作品
[編集 ]絵本
[編集 ]- 『はせがわくんきらいや』(すばる書房) 1976年
- 『とんぼとりの日々』(すばる書房) 1977年
- 『トリゴラス』(文研出版) 1978年
- 『あのやまこえてやってきた』(すばる書房) 1979年
- 『青いドッグフーズ』(北宋社) 1980年
- 『たかし、たかし』(リブロポート) 1980年
- 『おさむ、ムクション』(リブロポート) 1981年
- 『日曜日の歌』(好学社) 1981年
- 『7月12日』(あかね書房) 1981年
- 『土手の上で』(リブロポート) 1982年
- 『夏のおわり』(理論社) 1982年
- 『かいじゅうのうろこ』(村上康成絵、ブックローン出版)1987年
- 『おんぼろヨット』(村上康成絵、ブックローン出版)1987年
- 『プレゼント』(村上康成絵、ブックローン出版)1987年
- 『アロくんとキーヨちゃん』(ブックローン出版) 1990年
- 『とんぼとり』(温羅書房) 1994年
- 『パイルドライバー』(温羅書房) 1995年
- 『たんぽぽのこと』(竹内敏晴共著、温羅書房) 1996年、のち改題『はなす』(復刊ドットコム) 2015年
- 『すいみんぶそく』(童心社) 1996年
- 『あしたは月よう日』(文研出版) 1997年
- 『ホームランを打ったことのない君に』(理論社) 2006年
- 『大きな大きな船』(ポプラ社) 2009年
- 『トリゴラスの逆襲』(文研出版) 2010年
- 『小さなよっつの雪だるま』(ポプラ社) 2011年
- 『れおくんのへんなかお』(理論社) 2012年
- 『およぐひと』(解放出版社) 2013年
- 『アイタイ』(解放出版社) 2014年
- 『あなに』(解放出版社) 2015年
- 『天使がいっぱい』(光村教育図書) 2015年
- 『むねがちくちく』(童心社) 2015年
- 『ファイアー』(理論社) 2020年
小説
[編集 ]- 『夢の隣』(冬樹社) 1982年
- 『夜の三角形』(ををうちやすを挿絵、理論社) 1984年
- 『見えない絵本』(太田大八挿絵、理論社) 1989年
- 『石とダイヤモンド』(ををうちやすを挿絵、講談社) 1990年
- 『鉛筆デッサン小池さん』(永島慎二挿絵、筑摩書房、プリマーブックス) 1991年
- 『光年のかなたデヴォ』(伊藤正道挿絵、理論社) 1993年
- 『デビルズドリーム』(前田秀信挿絵、理論社) 2006年
- 『泣くなツイ』(山本益子挿絵、文研出版) 2006年
- 『ベガーズバンケット』(シューヘー・ガレージ、トクサ文庫、Kindle版) 2017年
評論
[編集 ]- 『絵本宣言序走』 1978年
- 『絵本づくりトレーニング』(筑摩書房) 1988年
- 『こじこじ映画館』(平凡社) 1989年
- 『映画未満』(筑摩書房) 1990年
- 『絵本未満』(大和書房) 1990年
- 『音楽未満』(マガジンハウス) 1991年
- 『絵本づくりサブミッション』(筑摩書房) 1995年
- 『こんちりさんのりやく・ロザリオ キリシタンを解凍する試み』(トランスアート) 2000年
- 『長崎未満』(シューヘー・ガレージ、トクサ文庫、Kindle版) 2016年
- 『長崎定点観測記』(シューヘー・ガレージ、トクサ文庫、Kindle版) 2016年
- 『こじこじ年代記』(シューヘー・ガレージ、トクサ文庫、Kindle版) 2017年
- 『読了できない絵本たち』(シューヘー・ガレージ、トクサ文庫、Kindle版) 2017年
- 『道具道』(クン・チャン共著、シューヘー・ガレージ、トクサ文庫、Kindle版) 2019年
挿絵
[編集 ]- 『たくさんのお母さん』(今江祥智、あかね書房) 1978年
- 『もしもし こちらライオン』(上野瞭、理論社) 1978年
- 『ワルのぽけっと』(灰谷健次郎、理論社) 1979年
- 『おれがあいつであいつがおれで』(山中恒、旺文社) 1980年
- 『おれたちのはばたきを聞け』(堀直子、童心社) 1980年
- 『もしもし、こちらオオカミ』(上野瞭、小学館) 1980年
- 『ピラミッド帽子よ、さようなら』(乙骨淑子、理論社) 1981年
- 『とっちゃんこぞう』(舟崎克彦、ポプラ社) 1981年
- 『ゴンちゃんなんばしよるとや?』(飯田栄彦、学校図書) 1981年
- 『雪の日のりんご』(皿海達哉、金の星社) 1981年
- 『川とノリオ』(いぬいとみこ、理論社) 1982年
- 『つの笛がひびく』(堀直子、童心社) 1983年
- 『かぜのおくりもの』(飯田栄彦、サンリード) 1983年
- 『東京石器人戦争』(さねとうあきら、理論社) 1985年
- 『あたしたちの時間』(堀直子、童心社) 1988年
- 『ボクサー志願』(皿海達哉、偕成社) 1994年
- 『EE′症候群』(皿海達哉、小峰書店) 1998年
- 『小さな小さな海』(岩瀬成子、理論社) 2005年
- 『きみは知らないほうがいい』(岩瀬成子、文研出版) 2014年
- 『ぼくが弟にしたこと』(岩瀬成子、理論社) 2015年 など多数
CD
[編集 ]- 「シューヘー」 1992年
- 「チェロギタ・ロック」 1994年
- 「three-legged」 1995年
- 「ワカンナイド」 1996年
- 「My Generation」 2002年
脚注
[編集 ][脚注の使い方]
出典
[編集 ]関連項目
[編集 ]外部リンク
[編集 ]- シューヘー・ガレージ
- 長谷川集平 (@shuhei1955) - X(旧Twitter)
- 長谷川集平:作家別作品リスト - 青空文庫