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台北経済文化代表処

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ベルギーブリュッセルにある欧州連合・ベルギー事務所「駐欧盟兼駐比利時代表処 (中国語版英語版)」(2019年)

台北経済文化代表処(タイペイけいざいぶんかだいひょうしょ、臺北經濟文化代表處、Taipei Economic and Cultural Representative Office, TECRO)は、中華民国の在外代表部である。台北代表処(Taipei Representative Office, TRO)などの名称で設置されていることもある。

中華民国」を承認しない各国に駐在し、各国と台湾地域の非政府間関係かつ実務関係を処理する台湾側の対外窓口として機能している。

なお、「台北」の名は「一つの中国」問題への抵触を避ける形で便宜的に中心都市名を冠しているだけであり、台北市政府の機関ではない。

概説

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形式上は「関係協会」などを名乗る非政府組織の外国駐在事務所であるが、中華民国政府の対外関係を所掌する「政府機関」である「中華民国外交部」が所管しており、通常の二国間関係でいえば「代表処」は大使館、「弁事処」は総領事館、「分処」は領事館と符合する[1]

ただし、相手国から政府承認を得られていないため、外交関係に関するウィーン条約領事関係に関するウィーン条約に基づく外交特権領事特権は認められていないとみられ、国際法上非公式な代表部でしかない。

アメリカ合衆国では台湾関係法により例外的に一定の権利が認められている。また、日本では日中国交正常化前の中華人民共和国中日備忘録貿易弁事処東京連絡処と同様に固定資産税等の税金を全額免除したり[2] 、職員に対する一定の便宜を図っている。

2009年2月現在、世界各国122カ所に駐在し[3] 、貿易・経済・文化関係や査証の取り扱いなど領事館のような業務を行っている。

名称問題

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名称は国・地域によって異なるが、この記事では「代表処」と総称する。ほとんどの「代表処」は、「中華民国」(Republic of China)、「台湾」(Taiwan)ではなく、「台北」(Taipei)が付されている。相手国が中国(中華人民共和国)の「一つの中国」政策(台湾を一地方政府とみなし、中華民国の存在や「二つの中国」を否定する立場)に配慮しているためである。「経済」や「文化」といった用語が入るかどうかは国によって異なる(欧州は入っていない国が多い)。一部の国(ナイジェリアボリビアエクアドルなど)では「中華民国」「台湾」が入っているが、その場合は「代表処」ではなく「商務代表団」「商務弁事処(辦事處)」といった名称になっている。ただし、これらも中国からの圧力で「台北」に改称する例が増えている[4]

主要国の代表処

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ヒューストン台北経済文化弁事処

各国の代表処組織

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日本

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→詳細は「台北駐日経済文化代表処」を参照
台北駐日経済文化代表処
台北駐福岡経済文化弁事処

1972年9月、日本国と中華人民共和国が日本国政府と中華人民共和国政府の共同声明に調印し、日本と中華民国が国交を断絶。同年12月、亜東関係協会(現:台湾日本関係協会)と財団法人交流協会(現:日本台湾交流協会)との間の在外事務所相互設置に関する取り決めにより、翌1973年に設置された[5] 1992年、「亜東関係協会東京弁事処」から現在の名称に変更した。

日本における事実上の台湾大使館の役割を果たしており、中華民国総統により選任されている代表者の「駐日代表」は、事実上の駐日中華民国大使に相当する(ただし上述の通り、治外法権や外交特権はない)。台北駐日経済文化代表処のホームページにおいても、「民間の機構ではありますが、実質的には大使館や領事館の役割を果たしています。」と説明がなされている[6]

所在地は、東京都港区白金台5丁目20番2号。台湾政府の法人格が認められていないため、不動産登記は購入当時の代表者個人名義のままになっているとされる[7] 。査証部、経済部、文化部、広報部、僑務部、科学技術部、秘書部があり、広報部は、日本語広報・情報紙『台湾週報』を毎週刊行している。東京の「代表処」のほかに、大阪、福岡に「弁事処」、札幌、横浜、那覇に「分処」が設置されている。

民進党陳水扁政権下で「台湾正名運動」が広まったことに伴い、許世楷駐日代表が就任後まもなく、「台湾駐日経済文化代表処」に変更したい旨を表明していた。しかしその後も改称は実現せず、2013年3月現在も「台北駐日経済文化代表処」のままである。

日本側のカウンターパートは公益財団法人日本台湾交流協会。台北事務所は、台湾における事実上の日本大使館に近い機能を有している。

サウジアラビア

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脚注

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  1. ^ 木下郁夫『大使館国際関係史 : 在外公館の分布で読み解く世界情勢』(初)社会評論社。ISBN 9784784509737 
  2. ^ 北野弘久『「朝鮮総聯」の固定資産税問題』立命館法学2005年2・3号(300・301号)
  3. ^ http://japanese.rti.org.tw/Content/GetSingleNews.aspx?ContentID=73162
  4. ^ "在フィジー公館の名称から「中華民国」消える 中国が圧力/台湾". 中央社フォーカス台湾 . (2019年7月14日). オリジナルの2019年7月14日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20190714074257/https://japan.cna.com.tw/news/apol/201907140001.aspx  
  5. ^ "財団法人交流協会と亜東関係協会との間の在外事務所相互設置に関する取り決め". 政策研究大学院大学(GRIPS) . データベース「世界と日本」 (1972年12月26日). 2021年4月4日閲覧。
  6. ^ "駐日代表機関の紹介". 台北駐日経済文化代表処. 組織と業務 (2021年1月4日). 2021年4月4日閲覧。
  7. ^ 内田勝久『大丈夫か、日華関係』産経新聞出版、2006年、84ページ

関連項目

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外部リンク

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アジア
代表処
弁事処
分処
アフリカ
大使館
代表処
弁事処
アメリカ
大使館
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オセアニア
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廃止
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