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フォッサ

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曖昧さ回避 この項目では、哺乳類について説明しています。イタリアの都市については「フォッサ (イタリア) 」をご覧ください。
フォッサ
フォッサ
フォッサ Cryptoprocta ferox
保全状況評価 [1] [2] [3]
VULNERABLE
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
: フォッサ属
Cryptoprocta Bennett, 1833 [4]
: フォッサ C. ferox
学名
Cryptoprocta ferox
Bennett, 1833[3] [4] [5]
和名
フォッサ[5] [6] [7] [8]
英名
Fossa [3] [4] [5] [7] [8]

分布域

フォッサ(学名:Cryptoprocta ferox)は、マダガスカルマングース科フォッサ属に分類される哺乳類。本種のみでフォッサ属を構成する(単型)[5]

分布

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マダガスカル [3] [4] [5] [8]

形態

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体長61 - 80センチメートル[7] 。尾長65 - 90センチメートル[7] 。肩高37センチメートル[5] [7] 体重オス6 - 12キログラム、メス5 - 7キログラム[7] 。マダガスカルに分布する食肉目では最大種[7] [8] 。体形は長い[5] [7] 。頭部はやや短い[5] 。頭部の形状は角張る[7] 。全身は短く柔らかい体毛が密生する[7] 。背面は赤褐色や暗褐色、腹面はクリーム色[7]

眼は大型[5] [8] 。眼は顔の正面に位置する[7] [8] 。耳介は丸みを帯びる[5] [7] [8] 。口髭の長さは、頭長とほぼ同程度に達する[5] [7] 。歯列が門歯が上下6本、犬歯が上下2本、小臼歯が上下6 - 8本、大臼歯が上下2本の計32 - 36本の歯を持つ[5] 裂肉歯が発達する[7] [8] 。四肢は短い[5] [7] 。足裏にはほぼ体毛がなく、樹上での生活に適していると考えられている[5] 。指趾には小型の爪があり、爪を収納する鞘がないものの自由に出し入れができる[5] [7] [8] 。指趾には水掻きがある[7] [8] 。胸部には臭腺が発達する[5] 。肛門周辺の臭腺(肛門腺)が発達し[7] [8] 、肛門が隠れる[5] 。属名Cryptoproctaは古代ギリシャ語で「隠れた肛門」の意[5] 染色体の数は42[5]

出産直後の幼獣は体重100 - 150グラム[7] 。体色は白や灰色[5] 。オスは陰茎骨があり[8] 陰茎は長く亀頭表面に刺が並ぶ[5] 。乳首の数は6個で、脇の下や胸部・腹部に左右に1つずつある[5] 陰核は大型で、陰核骨がある[5] 子宮は左右に完全に分かれる(重複子宮)[5]

分類

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古くは形態からネコ科に分類されていたこともある[5] [8]

生態

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標高2,600メートル以下の熱帯雨林サバンナなどに生息する[7] 。一方で標高1,500メートル以上でみられることはまれとされる[3] 。樹上棲だが[5] [8] 、地表でも活動する[7] 夜行性だが[8] 、昼間に活動することもある[7] 。木の股で休むが、洞窟で休むこともある[7] 。単独で生活する[5] 。足裏全体を接地して移動する(蹠行性)[8]

キツネザル類齧歯類テンレック類などの哺乳類、鳥類爬虫類カエル昆虫などを食べる[5] 。獲物を前肢で捕らえ[8] 、後頭部や喉に噛みついて仕留める[7] 。キツネザル類などの大型の獲物を、2頭で協力して捕らえることもある[7]

繁殖様式は胎生。9 - 11月に交尾を行う[7] 。妊娠期間は90日[5] 。シロアリの蟻塚などの中で出産する[5] [7] 。1回に2頭(まれに3 - 4頭)の幼獣を産む[7] 。幼獣は生後16 - 25日で開眼する[8] 。授乳期間は約4か月[8] [7] 。飼育下では3 - 4年で性成熟した例がある[7] 。寿命は20年[5] [7]

人間との関係

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和名や英名はマダガスカルでの呼称に由来する[5]

生息地では食用とされることもあり[5] 、部位によっては伝統的に薬用になると信じられている[3]

民家やテント・家禽小屋に侵入し、家禽を襲うこともある[7]

森林伐採や農地開発による生息地の破壊、狩猟、害獣としての駆除などにより生息数は減少している[3] 。1977年にワシントン条約附属書IIに掲載されている[2]

飼育施設

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日本では2010年恩賜上野動物園に初めて来園し、以降つがいで飼育展示していたが、2017年5月に雌が死去[9] 2024年3月に雄が死亡し、国内で飼育されているフォッサはいなくなった[10]

画像

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出典

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  1. ^ Appendices I, II and III<https://cites.org/eng>(Accessed 01/08/2018)
  2. ^ a b UNEP (2018). Cryptoprocta ferox. The Species+ Website. Nairobi, Kenya. Compiled by UNEP-WCMC, Cambridge, UK. Available at: www.speciesplus.net. (Accessed 01/08/2018)
  3. ^ a b c d e f g Hawkins, F. 2016. Cryptoprocta ferox. The IUCN Red List of Threatened Species 2016: e.T5760A45197189. doi:10.2305/IUCN.UK.2016-1.RLTS.T5760A45197189.en, Downloaded on 01 August 2018.
  4. ^ a b c d W. Christopher Wozencraft, "Order Carnivora". Mammal Species of the World, (3rd ed.), Volume 1, Don E. Wilson & DeeAnn M. Reeder (ed.), Johns Hopkins University Press, 2005, Pages 532-628.
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag 祖谷勝紀・伊東員義 「ジャコウネコ科の分類」『世界の動物 分類と飼育2 (食肉目)』今泉吉典監修、東京動物園協会、1991年、78-118頁。
  6. ^ 川田伸一郎, 岩佐真宏, 福井大, 新宅勇太, 天野雅男, 下稲葉さやか, 樽創, 姉崎智子, 横畑泰志 「世界哺乳類標準和名目録」『哺乳類科学』58巻 別冊、日本哺乳類学会、2018年、1-53頁。
  7. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag 小原秀雄 「フォッサ」『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ8 太平洋、インド洋』小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著、講談社2001年、161-162頁。
  8. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s Chiris Wemmer 「ジャコウネコとジェネット」「フォッサ」古屋義男訳『動物大百科 1 食肉類』今泉吉典監修 D.W.マクドナルド編、平凡社1986年、152-159,161頁。
  9. ^ "フォッサの「アンバー」とカナダヤマアラシ「ドリ」の死"。東京都ズーネット(2017年7月3日)。2017年7月25日時点のアーカイブ。
  10. ^ "フォッサの「ベザ」が死亡しました"。東京ズーネット(2024年3月25日)。2024年3月25日時点のアーカイブ。

関連項目

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ウィキメディア・コモンズには、フォッサ に関連するメディアがあります。
ウィキスピーシーズにフォッサ に関する情報があります。

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