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ネララビン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ネララビン
IUPAC命名法による物質名
  • (2R,3S,4S,5R)-2-(2-amino-6-methoxy-purin-9-yl)-5-(hydroxymethyl)oxolane-3,4-diol
臨床データ
販売名 アラノンジー
Drugs.com monograph
ライセンス EMA:リンク US FDA:リンク
胎児危険度分類
  • US: D
    法的規制
    • JP: 劇薬、処方箋医薬品
    • US: -only
    投与経路 経静脈投与
    薬物動態データ
    生物学的利用能 n/a
    血漿タンパク結合 <25%
    代謝 By adenosine deaminase, to 9-β-D-arabinofuranosylguanine
    半減期 30 minutes (nelarabine)
    3 hours (ara-G)
    排泄 Renal
    識別
    CAS番号
    121032-29-9  チェック
    ATCコード L01BB07 (WHO )
    PubChem CID: 3011155
    IUPHAR/BPS 7090
    DrugBank DB01280  チェック
    ChemSpider 2280207  チェック
    UNII 60158CV180  チェック
    KEGG D05134  ×ばつ">×ばつ
    ChEMBL CHEMBL1201112  ×ばつ">×ばつ
    化学的データ
    化学式 C 11H 15N 5O 5
    分子量 297.268 g/mol
    • n2c1c(nc(nc1OC)N)n(c2)[C@@H]3O[C@@H]([C@@H](O)[C@@H]3O)CO
    • InChI=1S/C11H15N5O5/c1-20-9-5-8(14-11(12)15-9)16(3-13-5)10-7(19)6(18)4(2-17)21-10/h3-4,6-7,10,17-19H,2H2,1H3,(H2,12,14,15)/t4-,6-,7+,10-/m1/s1 チェック
    • Key:IXOXBSCIXZEQEQ-UHTZMRCNSA-N チェック
    テンプレートを表示

    ネララビン (nelarabine) は、 T細胞性急性リンパ性白血病およびT細胞リンパ芽球性リンパ腫の治療に用いられる化学療法薬である。開発コード506U78として知られていた。薬剤名はアラノンジー[1]

    ネララビンは、アラビノシルグアニン・ヌクレオチド三リン酸(araGTP)のプロドラッグであり、 プリン ヌクレオシド類似体の一種であり、これはDNA合成の阻害および細胞毒性を引き起こす[2] 。前臨床試験はT細胞がネララビンに特に感受性があることを示した。2005年10月に、少なくとも2つの化学療法レジメンによる治療に反応しなかった、またはその後に再発した急性リンパ芽球性白血病およびT細胞リンパ芽球性リンパ腫についてFDAにより承認された[3] 。それは後に2005年10月に欧州連合で承認された。

    ネララビンは日本ではアラノンジー、米国でArranon Gとして、EUではAtrianceとしてノバルティスより販売されている[4] [リンク切れ ]

    効能効果

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    再発または難治性の下記疾患については、以下のものが挙げられる。

    • T細胞急性リンパ性白血病
    • T細胞リンパ芽球性リンパ腫

    作用機序

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    ネララビンはアデノシンデアミナーゼによって速やかにara-Gに脱メチル化された後、デオキシグアノシンキナーゼ及びデオキシシチジンキナーゼによって細胞内で5'-一リン酸化体にリン酸化される。5'-一リン酸化体は再度細胞内で三リン酸化体のara-GTPにリン酸化される[5] 。白血病芽球内にara-GTPが蓄積すると、デオキシリボ核酸(DNA)にara-GTPが優先的に取り込まれる。DNAに組み込まれたara-GTPのためにDNA伸長・合成が阻害されて、最終的に細胞死が誘導される[6]

    ネララビンはヒトT細胞性白血病細胞株に対して強い細胞障害活性を示したが、ヒトB細胞株に対する細胞障害活性は弱かった。

    副作用

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    重篤な副作用については、以下のものが挙げられる。

    • 神経系障害[1]
      • 傾眠、感覚性及び運動性ニューロパシー、感覚減退、てんかん様発作
    • 感染症[1]
      • 致死的な日和見感染のおそれ
    • 肝障害[7]
      • 劇症肝炎、肝機能障害、黄疸[1]
    • 横紋筋融解症 [1]

    脚注

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    1. ^ a b c d e アラノンジー KEGG
    2. ^ "Nelarabine". Guide to Pharmacology. IUPHAR/BPS. 21 August 2015閲覧。
    3. ^ Cohen, M. H.; Johnson, J. R.; Justice, R; Pazdur, R (2008). "FDA drug approval summary: Nelarabine (Arranon) for the treatment of T-cell lymphoblastic leukemia/lymphoma". The Oncologist 13 (6): 709–14. doi:10.1634/theoncologist.2006-0017. PMID 18586926. 
    4. ^ http://www.novartisoncology.com/products/atriance.jsp
    5. ^ Lambe,C.U.et al., Cancer Res.1995;55(15);3352.
    6. ^ Rodriguez,C.O.Jr.et al., Cancer Res.1999:59(19);4937.
    7. ^ 飯野昌樹、「ネララビン投与後著明な肝障害を来したT-cell lymphoblastic lymphoma」 臨床血液 2009年 50巻 1号 p.49-51, doi:10.11406/rinketsu.50.49

    関連項目

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    外部リンク

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