ナクベ
ナクベ(Nakbe)は、グアテマラのペテン県北部、ミラドール盆地にある古代マヤの遺跡。
遺跡
[編集 ]ナクベはエル・ミラドールの約12キロメートル南東に位置し、エル・ミラドールとはサクベで結ばれている[1] 。
ナクベという名前は1962年に遺跡を訪れたイアン・グレアムによって命名された。「サクベのそば」という意味だという[2] 。
紀元前1000-800年に定住が始まり、紀元前800-400年に早くも石造建造物が発達した[1] 。
遺跡は東西2つのグループに分かれ、両者の間はサクベで結ばれている[1] 。
西のグループにある構造物1は48メートルの高さがあり、先古典期後期の紀元前300-200年ごろに完成した[3] 。巨大な仮面が発見され、とくに幅11メートル・高さ5メートルの彩色された鳥の仮面は「鳥の主神」(マイケル・D・コウはヴクブ・カキシュと呼ぶ)を表している[4] [5] 。
紀元前500-200年ごろの石碑では頭飾りとヒスイの耳飾りをつけた2人の人物が向きあって立っている。しかし碑文は存在しない[1] [5] 。
ナクベはマヤ低地で最初に発達した都市だったが、後にこの地域の中心地はエル・ミラドールに移った。1世紀以降ミラドール盆地の諸都市は衰退した[6] 。
その後はナクベでモニュメントが作られることはなかったが、古典期にも人は住み続けた。Dorie Reents-Budetらの化学的分析によると古典期後期カラクムルの「コデックス様式」と呼ばれる土器は、実際にはカラクムルではなくミラドール盆地、とくにナクベで作られた[7] 。
調査
[編集 ]ナクベは1930年代に航空写真によって発見され、イアン・グレアムが最初に調査した。1980年代後半にカリフォルニア大学ロサンゼルス校のリチャード・D・ハンセンとグアテマラ考古学歴史研究所による発掘が行われ、後にミラドール盆地プロジェクトに発展した[1] 。
脚注
[編集 ]参考文献
[編集 ]- Brown, Clifford T.; Witschey, Walter R.T. (2016). "Nakbé". In Walter R. T. Witschey. Encyclopedia of the Ancient Maya. Rowman & Littlefield. pp. 240-241. ISBN 0759122865
- Coe, Michael D. (1999) [1966]. The Maya (6th ed.). Thames and Hudson (日本語訳:『古代マヤ文明』創元社、2003年)
- Graham, Ian (2010). The Road to Ruins. University of Mexico Press. ISBN 9780826347541
- Hansen, Richard D. (2002). "The Architectural Development of an Early Maya Structure at Nakbé, Petén, Guatemala". FAMSI. http://www.famsi.org/reports/95113/95113Hansen01.pdf .
- Martin, Simon; Grube, Nikolai (2000). Chronicle of the Maya Kings and Queens. Thames & Hudson. ISBN 0500051038 (日本語訳:『古代マヤ王歴代誌』創元社2002年)
外部リンク
[編集 ]- Mirador Basin Project , http://www.miradorbasin.com/ (ミラドール盆地プロジェクト)