トヨ (食品)
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トヨ(Toyo)はフィリピンのソイソース。日本の醤油に比べると、色が濃く塩味が強い[1] 。
フィリピンにおける2008年の調査では約31%の家庭で1日1回消費されている[1] 。シルバースワン (英語版)やダトゥプティ (英語版)、マルカピーナなどの大手メーカー品が人気があり、60mlほどの小型容器から1ガロン(3.8L)入りの大型容器まで販売されている[1] 。
製法
[編集 ]伝統的な製法においては、丸大豆を一晩浸水させたのち、1時間蒸し上げる[2] 。発酵のためのカビを含むコメを混ぜ、炒った小麦粉をかけて竹製のザルに広げる[2] 。この状態で3日間、約30°Cでカビを繁殖させ、Aspergillus oryzaeが優勢となる[2] 。
これを容器に移して濃度18%の食塩水を注ぎ、1か月から1年ほど二次発酵を行う[2] 。この間に、乳酸菌であるLactobacillus delbrueckiiやPediococcus halophilus、酵母であるSaccharomycopsis rouxiiやZygosaccharomyces sojaeなどが活発に増殖してpH値が低下する[2] 。近年では日本の醤油作りの手法も取り入れられ、さらっとした性状となっている[3] 。
用途
[編集 ]フィリピン料理では煮込み料理にトヨはよく使用され、特にアドボでは7割近くのレシピでトヨを使っている[1] 。また、タパに使う肉の味付けや、パタティム (英語版)の煮込み、カラマンシーなどと合わせてつけダレであるサウサワン (英語版)などにも用いられている[1] 。
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アドボ
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タパ
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パタティム
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サウサワン
脚注
[編集 ]参考文献
[編集 ]- Priscilla C. SANCHEZ「Microorganisms and Technology of Philippine Fermented Foods」『日本乳酸菌学会誌』第10巻第1号、日本乳酸菌学会、1999年、19-28頁、doi:10.4109/jslab1997.10.19。
- 福留奈美「フィリピン、タイ、ベトナムにおけるソイソースの利用」『FOOD CULTURE』第25号、キッコーマン国際食文化研究センター、2015年、14-21頁。