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はまぎり (護衛艦)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
はまぎり
基本情報
建造所 日立造船舞鶴工場
運用者  海上自衛隊
艦種 汎用護衛艦(DD)
級名 あさぎり型護衛艦
母港 大湊
所属 護衛艦隊第15護衛隊
艦歴
発注 1985年
起工 1987年 1月20日
進水 1988年 6月4日
就役 1991年 1月31日
要目
基準排水量 3,550 トン
満載排水量 4,950 トン
全長 137m
最大幅 14.6m
深さ 8.8m
吃水 4.5m
機関 COGAG方式
主機 川崎ロールス・ロイス スペイSM1Aガスタービン ×ばつ 4基
出力 54,000PS
推進器 スクリュープロペラ ×ばつ 2軸
最大速力 30ノット
乗員 220名
兵装 62口径76mm単装速射砲 ×ばつ 1門
Mk.15 Mod2 高性能20mm機関砲(CIWS) ×ばつ 2基
ハープーン SSM4連装発射筒 ×ばつ 2基
GMLS-3型A シースパロー 短SAM8連装発射機 ×ばつ 1基
74式アスロック8連装発射機 1基
68式3連装短魚雷 発射管 ×ばつ 2基
搭載機 HSS-2B/SH-60Jヘリコプター ×ばつ 1機
C4ISTAR OYQ-7B 戦術情報処理装置
OYQ-101 対潜情報処理装置
SFCS-6C 水中攻撃指揮装置
レーダー OPS-24 対空
OPS-28C 水上
OPS-20 航海用
81式射撃指揮装置2型-23/2型-12G
ソナー OQS-4A
OQR-1 曳航式
電子戦
対抗手段
NOLR-8 ESM
OLT-3C ECM
Mk.137 デコイ発射機 ×ばつ 2基
その他 AN/SLQ-25 曳航式デコイ
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はまぎり(ローマ字:JS Hamagiri, DD-155)は、海上自衛隊護衛艦あさぎり型護衛艦の5番艦。艦名は「浜に立つ霧」即ち「浜霧」に由来する。なお、艦艇名としては旧海軍通して初の命名である。なお本艦以降、あさぎり型護衛艦の対空レーダーは、艦艇用としては世界初のアクティブフェイズドアレイレーダーであるOPS-24となった。

本記事は、本艦の艦暦について主に取り扱っているため、性能や装備等の概要についてはあさぎり型護衛艦を参照されたい。

艦歴

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「はまぎり」は、中期業務見積りに基づく昭和60年度計画3,500トン型護衛艦2226号艦として、日立造船舞鶴工場で1987年1月20日に起工され、1988年6月4日に進水、1990年1月31日に就役し、第1護衛隊群隷下に新編された第48護衛隊に「さわゆき」とともに編入され、横須賀に配備された。

1991年 7月1日から7月31日まで、護衛艦「しらね」、「ゆうぎり」、「あまぎり」とともにフィリピン方面海上実習に参加する。

1992年8月28日午後7時頃、房総半島南東約550Kmの太平洋上で夜間洋上給油中に護衛艦「あまぎり」と衝突事故を起こしている[1] 。相手艦の「あまぎり」の右舷後部に艦首が衝突、「あまぎり」は浸水傾斜等、海上自衛隊史上最悪の被害を受けるが死傷者はなく、その後、修理を経て戦列に復帰している。

1994年、護衛艦「くらま」、「あまぎり」とともに環太平洋合同演習(RIMPAC)に参加。5月31日に横須賀基地出港、6月23日から7月6日に演習参加、8月24日に横須賀基地に帰投。

同年12月20日から12月23日、護衛艦「あまぎり」とともに東京に寄港した韓国海軍の補給艦「天地 (チョンジ)」等からなる練習艦隊と交歓。

1995年1月から7月に石川島播磨重工業東京第1工場で行われた定期検査においてシースパロー短SAM機力装填装置を装備。

1996年 3月16日第4護衛隊群第41護衛隊に編入され、定係港が大湊となり、同地に転籍。

1997年 3月24日、第4護衛隊群第48護衛隊に編入。同日付、隊番号の改正により第48護衛隊が第8護衛隊に改称。

同年6月9日から9月3日の間、護衛艦「はるな」、「みょうこう」及びP-3C 5機とともに米国派遣訓練に参加。

1998年 3月20日第3護衛隊群第7護衛隊に編入。

2000年 9月1日から11日までロシア ペトロパブロフスク・カムチャツキー沖で実施された日露捜索・救難共同訓練に護衛艦「ひえい」とともに参加。

同年10月4日、護衛艦「せとぎり」とともに小樽港に寄港したオーストラリア海軍フリゲート「キャンベラ」、「ダーウィン」のホストシップとして派遣された。

2002年 2月22日、護衛艦「あまぎり」等とともに東南アジア方面外洋練習航海部隊を編成し、第35期一般幹部候補生課程修了者約90名を乗せて江田内を出港する。マニラスラバヤ勝連に寄港し、3月31日に江田内に帰投。

同年、環太平洋合同演習(RIMPAC)に参加。

2004年遠洋練習航海に参加。

2008年 3月26日、護衛隊改編により第4護衛隊群第4護衛隊に編入。

同年4月9日、護衛艦「きりしま」とともに東京に入港したフランス海軍揚陸艦「ミストラル」と交歓。

2009年 10月6日、大湊を出港、途中横須賀において、護衛艦「たかなみ」と共に第3次派遣海賊対処行動水上部隊を編成、同月13日ソマリア沖アデン湾へ向けて横須賀を出航、11月7日から翌年2月20日まで34回計283隻の船舶を護衛し、2010年 3月18日に帰国した[2]

2011年 8月1日、編成替えにより護衛艦隊直轄第15護衛隊に編入。

2013年 4月7日第15次派遣海賊対処行動水上部隊として護衛艦「あけぼの」と共にソマリア沖へ向けて出航[3] 、任務を終了し、同年9月27日、大湊に帰港した[4]

2014年 10月26日及び28日、ロシア ウラジオストック港内及びウラジオストック沖で実施される日露捜索・救難共同訓練に参加した[5]

2017年 11月20日から25日までの間、ロシア連邦海軍 駆逐艦アドミラル・ヴィノグラドフ」などと共にウラジオストック港及び同周辺海域で実施される日露捜索・救難共同訓練に参加する[6]

2023年 5月29日自衛艦旗である「旭日旗」を掲げ、韓国南東部の釜山海軍基地に入港した[7] 。今回の入港は5月31日に済州島周辺海域において行われる多国間PSI訓練「Eastern Endeavor 23」への参加に合わせたもので、本訓練には防衛省自衛隊のほか、外務省警察庁海上保安庁及び米豪韓の海軍・沿岸警備隊・海洋警察の艦船及び航空機が参加して、海上阻止実動訓練を実施した[8] [9]

現在は、護衛艦隊第15護衛隊に所属し定係港は大湊である。

歴代艦長

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歴代艦長(特記ない限り2等海佐)
氏名 在任期間 出身校・期 前職 後職 備考
01 富永憲一郎 1990年1月31日 - 1991年8月4日 防大10期 はまぎり艤装員長 海上自衛隊第1術科学校
教官 兼 研究部員
02 川原和仁 1991年8月5日 - 1993年3月23日 防大14期 みねぐも艦長 第1海上訓練指導隊
03 石川雅敏 1993年3月24日 - 1994年8月29日 防大17期 むらくも艦長 護衛艦隊司令部幕僚
04 田代耕一 1994年8月30日 - 1996年9月16日 防大15期 まきぐも艦長 運用開発隊運用開発第1科長
05 中田高芳 1996年9月17日 - 1997年9月9日 防大18期 大湊地方総監部防衛部第3幕僚室長 はたかぜ艦長 1997年1月1日
1等海佐昇任
06 徳本和成 1997年9月10日 - 1999年9月19日 日大
25期幹候
第4海上訓練指導隊訓練科長 呉地方総監部防衛部第3幕僚室長
07 廣 文仁 1999年9月20日 - 2001年3月21日 防大20期 佐世保地方総監部防衛部第3幕僚室長 自衛艦隊司令部幕僚
08 新開仁司 2001年3月22日 - 2002年8月19日 防大22期 自衛隊地方連絡部募集課長 護衛艦隊司令部幕僚
09 茭口俊介 2002年8月20日 - 2003年8月19日 防大27期 統合幕僚会議事務局第3幕僚室
10 豊住 太 2003年8月20日 - 2004年9月30日 防大29期 第1護衛隊群司令部幕僚 指揮通信開発隊システム第2科長
11 染田良弘 2004年10月1日 - 2006年5月7日 防大29期 海上幕僚監部人事教育部教育課 護衛艦隊司令部幕僚
12 関口雄輝 2006年5月8日 - 2007年7月1日 防大33期 海上幕僚監部人事教育部厚生課
13 佐藤 誠 2007年7月2日 - 2008年9月15日 防大27期 護衛艦隊司令部幕僚
14 斎藤 貴 2008年9月16日 - 2010年8月11日 防大32期 はたかぜ砲雷長兼副長 海上自衛隊幹部候補生学校
第1学生隊長
15 伊保之央 2010年8月12日 - 2011年7月31日 防大31期 第3ミサイル艇隊司令 海上自衛隊第1術科学校
16 齋藤浩司 2011年8月1日 - 2012年7月31日 防大34期 海上幕僚監部防衛部運用支援課 海上自衛隊幹部学校付
17 佐藤哲朗 2012年8月1日 - 2013年10月3日 防大39期 きりしま砲雷長 兼 副長 海上幕僚監部防衛部装備体系課
18 岳本宏太郎 2013年10月4日 - 2014年8月4日 指揮通信開発隊企画科長 しらせ運用長
19 倉光啓介 2014年8月5日 - 2015年8月2日 防大41期 第1護衛隊群司令部 統合幕僚監部防衛計画部計画課
20 竹嶋広明 2015年8月3日 - 2016年8月8日 防大41期 第3護衛隊群司令部幕僚 海上自衛隊幹部学校付 2016年1月1日
1等海佐昇任
21 鈴木隆弘 2016年8月9日 - 2017年7月31日 防大37期 海上幕僚監部防衛部装備体系課 艦艇開発隊第1科長
22 成田直人 2017年8月1日 - 2018年11月1日 海上幕僚監部防衛部防衛課 はたかぜ艦長
23 渡邉義彦 2018年11月2日 - 2019年2月24日 大湊海上訓練指導隊砲雷科長 横須賀海上訓練指導隊教育科長
24 横手正剛 2019年2月25日 - 2020年8月2日 42期幹候 横須賀海上訓練指導隊教育科長
25 藤井信樹 2020年8月3日 - 2021年11月30日 ましゅう運用長 兼 副長 護衛艦隊司令部
26 上谷隆久 2021年12月1日 - 2023.4.0 海上幕僚監部防衛部装備体系課
27 古賀直樹 2023.4.0 - 2024.2.0 さみだれ艦長
28 小澤 誠 2024.2.0 -

ギャラリー

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脚注

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  1. ^ 毎日新聞(1992年8月29日朝刊)
  2. ^ 朝雲新聞 海賊対処3次隊が帰国 Archived 2010年4月2日, at the Wayback Machine.2010年3月25日
  3. ^ 派遣海賊対処行動水上部隊の交代について (PDF)
  4. ^ アデン湾における派遣海賊対処行動に従事した艦艇の入港について (PDF)
  5. ^ 日露捜索・救難共同訓練の実施について (PDF)
  6. ^ 海上自衛隊艦艇の訪露及び日露捜索・救難共同訓練等の実施について (PDF)
  7. ^ "海自艦、旭日旗掲げ釜山入港 尹政権「国際慣例」重視―韓国". jiji.com . (2023年5月29日). https://www.jiji.com/jc/article?k=2023052900522&g=int 2023年5月29日閲覧。 
  8. ^ 多国間「拡散に対する安全保障構想(PSI)」訓練「Eastern Endeavor 23」への参加について 統合幕僚監部(令和5年5月24日)
  9. ^ "多国間「拡散に対する安全保障構想(PSI)」訓練「Eastern Endeavor 23」への参加)について". 海上自衛隊 自衛艦隊 オフィシャルサイト (2023年6月15日). 2023年6月15日閲覧。

参考文献

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  • 石橋孝夫『海上自衛隊全艦船 1952-2002』(並木書房、2002年)
  • 世界の艦船 増刊第66集 海上自衛隊全艦艇史』(海人社、2004年)
  • 『世界の艦船』第750号(海人社、2011年11月号)

外部リンク

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