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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
(Ȑから転送)
Rr Rr | |
ラテン文字 | |
---|---|
|
Rは、ラテン文字(アルファベット)の18番目の文字。小文字は r 。ギリシア文字のΡ(ロー)に由来し、キリル文字のР(エル)と同系の文字である。
字形
[編集 ]- 大文字は、縦棒の上部右に右半円を付け、線中央から右下に斜線を付加した形である。フラクトゥールは{\displaystyle {\mathfrak {R}}}。
- 小文字は、縦棒と上部右に接する左上四半円ないし上半円である。ρ(ロー)の円の下半分を略した形といえるかもしれない。または、大文字Rの下半分ないし左下部分と見ることもできる。フラクトゥールは{\displaystyle {\mathfrak {r}}}。手書き書体では、縦棒を先に書き、折り返して半円を書く。筆記体では、縦棒の上部に前の字からの接続線が左下から、次の字への接続線が半円の右端から右上に続く。
- このとき、前からの接続線が縦棒に緩やかに半円を描いて続いていれば、本来の半円は円弧を描かず、鋭く山形に曲がることがある。
- 別の小文字筆記体では、左下から上がって、頂点で鋭く山形に右下に方向を変え(このとき逆時計回りに非常に小さな円を描くことがある)、右下に少し下がってから真下やや左向きに進路を変え、そのまま右に弧を描きながらベースラインに達し、右上に抜ける。
呼称
[編集 ]音価
[編集 ]この文字が表す音素は、歯茎ふるえ音(/r/)ないしその類似音である(R音)。言語によってさまざまであるが、舌を上歯茎にしっかり付けて発音するLと異なる音であるところで共通する。しばしばべらんめいのようないわゆる巻き舌(舌を数回硬口蓋にはじかせる)となる。軽い巻き舌で硬口蓋に1度だけはじかせると、日本語のら行の子音に似る。英語では、舌を硬口蓋に付けることなく接近させる。フランス語のパリ方言では、舌を硬口蓋に付けずに舌先を下げ、奥のほうで摩擦する。
- アメリカ英語では母音字の後ろにあるrを発音するが、イギリス英語では発音しないか黙字(スコットランドやイングランドの3分の1くらいの地域では発音されている)となっている。
- ドイツ語の多くの無強勢音節末のr, 複音節語における語末の er は、ゆっくり発音するような特別な場合をのぞき [ɐ] となる。
- フランス語では語尾が -er で終わる単語の大半で語末の r を黙字とする。ただし、後続の単語が母音で始まっていれば、リエゾンが起こり発音する。
- 中国語のピンインでは、音節頭位では有声そり舌摩擦音(声母"日")である。これは日本人には「リ」とも「ジ」とも聞こえるような音で、ウェード式では"j"と書かれる。また、"er"(韻母"児")と書かれたときはそり舌の曖昧母音で、声調によっては主母音はアに近くなる。また"児"が接尾辞として用いられたときは、児化を起こす。
- 歯茎ふるえ音
- イギリス英語:歯茎接近音
- アメリカ英語、中国語:そり舌接近音
- ドイツ語:口蓋垂ふるえ音
- フランス語:有声口蓋垂摩擦音
- 日本語、朝鮮語:歯茎はじき音
- スペイン語:語頭や n, l の後の"r"、語中の"rr"は歯茎ふるえ音、それ以外は歯茎はじき音という風に弁別する。
多くの言語で、他の子音、特に破裂音に続いて現れたときは、一気に発音され、その間で音節を区切ることはしない。
歯茎ふるえ音 [r]
聴く
イギリス英語のいくつかの方言、強調されたスピーチ、標準的なオランダ語、フィンランド語、ガリシア語、ドイツ語、いくつかの方言でハンガリー語、アイスランド語、イタリア語、チェコ語、リトアニア語、ラトビア語、ラテン語、ノルウェー語、ポーランド語、カタルーニャ語、ポルトガル語(伝統的なもの)、ルーマニア語、スコットランド語、スペイン語、アラビア語、そしてアルバニア語"rr"、スウェーデン語、ウェールズ語
口蓋垂ふるえ音 [ʀ]
聴く
公式な場でのドイツ語;いくつかのオランダ語方言 (ブラバント、そしてリンブルフなど、オランダのいくつかの都市)、南部スウェーデンでのスウェーデン語、西部及び南部地域でのノルウェー語、一部のアラビア語方言
歴史
[編集 ]ギリシャ文字のΡ(ロー)に由来する。ギリシア文字Π(ピー、パイ)が、右足を曲げ、P(ピー)のようになって、Ρ(ロー)に似てきたため、区別するために線を付加したものである。
R の意味
[編集 ]主に大文字
[編集 ]- 右 (Right)。
- 数学分野
- ∠R または R は直角 (Right angle) を表す。
- R または R は、実数 (real number) 全体の成す集合を表す。
- R は、複素数の実部 (real part)。Re を使うことも多い。
- 右導来関手
- R行列 (英語版)
- 計算複雑性理論における複雑性クラスのひとつ(R (計算複雑性理論))
- 二十七を意味する数字。三十六進法など、二十八進法以上(参照: 位取り記数法#Nが十を超過)において二十七(十進法の27)を一桁で表すために用いられる。ただし、アルファベットの I と数字の 1 、およびアルファベットの O と数字の 0 が混同し易いために、アルファベットの I と O を用いないことがあり、この場合、J が十八、K が十九、...、N が二十二、P が二十三、...、R が二十五を意味する。
- 自然科学分野
- 元号「令和(Reiwa)」の略記。
- R言語
- 通貨単位
- 鉄道のサインシステムにおいて、東京臨海高速鉄道りんかい線 (Rinkai)、西日本旅客鉄道(JR西日本)阪和線、神戸新交通六甲アイランド線 (Rokkō)、西日本旅客鉄道(JR西日本)山陽線(広島駅 - 岩国駅間)(Red) の路線記号として用いられる。
- 道路・鉄道用語で、軌道の曲率半径。
- 自動車のトランスミッションの後退 (Reverse) 位置。
- 自動車のグレード名で、レーシング (Racing) などを意味する語として用いられる。
- 国道の略字。国道1号線ならば、 R1。(Route)
- レギュラーサイズの略字。(Regular)
- 映画のレイティングシステムのR指定。(Restricted)
- 接眼レンズの1種類でラムスデン式接眼鏡。
- 建物の階数表示で、屋上 (Roof)。
- 海図の記号で底質が岩。
- 電子媒体のRecordable(追記可能)の略。CD-R、DVD-Rなど。
- 標準数のR系列(R10、R20など。「R」の由来については不詳)。標準数#JIS Z 8601の標準数を参照。
- Round
- 電子部品などの規格値の表示で、誤読を防ぐため小数点の代わりに用いる。「R」の由来については不詳。
- 競馬で競走番号(レース番号)を表す記号。「東京11R」など。 (Race)
- フランツ・リストの作品目録番号のひとつ、ラーベ番号。
- 野球記録における得点 (Run)
- リレー ×ばつ100mR」など。
- チェスの棋譜などでルーク (Rook) を表す。
- メルセデス・ベンツ・Rクラス。
- 盤名
- NTTドコモの携帯電話の型番で、日本無線製の端末を表す略号。(JRC)
主に小文字
[編集 ]- 数学、図面などで半径 (radius) を表すのによく用いられる。
- 回転数 (revolution) を表す。rpm は一分間あたりの回転数。
- r SI接頭語 ロント (ronto)(10−27)
- R SI接頭語ロナ (ronna)(1027)
- 地域通貨 アースデイマネーの単位
Rをもとにした記号
[編集 ]符号位置
[編集 ]大文字 | Unicode | JIS X 0213 | 文字参照 | 小文字 | Unicode | JIS X 0213 | 文字参照 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
R | U+0052
|
1-3-50
|
R R
|
r | U+0072
|
1-3-82
|
r r
|
|
R | U+FF32
|
1-3-50
|
R R
|
r | U+FF52
|
1-3-82
|
r r
|
全角 |
Ⓡ | U+24C7
|
‐
|
Ⓡ Ⓡ
|
ⓡ | U+24E1
|
1-12-43
|
ⓡ ⓡ
|
丸囲み |
🄡 | U+1F121
|
‐
|
🄡 🄡
|
⒭ | U+24AD
|
‐
|
⒭ ⒭
|
括弧付き |
𝐑 | U+1D411
|
‐
|
𝐑 𝐑
|
𝐫 | U+1D42B
|
‐
|
𝐫 𝐫
|
太字 |
他の表現法
[編集 ]その他
[編集 ]大文字Rには、以下のような特徴があるため、上下逆・左右逆・反転の有無が容易に識別できる。このため、プリンターやコピー機などの給紙方法の例示としてよく使われている[1] 。
脚注
[編集 ][脚注の使い方]
- ^ "よくあるご質問 -FAQ- Q.原稿をヨコ方向で両面印刷すると裏面が上下に反転し印字される場合の対処方法について知りたい。". リコー . 2020年8月18日閲覧。