営団7000系電車
営団7000系電車 | |
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7000系6次車(第34編成) (2008年3月4日、秋津駅にて撮影) | |
基本情報 | |
製造所 |
日本車輌製造・東急車輛製造・ 川崎重工業・近畿車輛 |
主要諸元 | |
編成 | 10両または8両 |
軌間 | 1,067 |
電気方式 |
直流1,500V (架空電車線方式) |
設計最高速度 | 100 |
起動加速度 | 3.3 |
減速度(常用) | 3.5 |
減速度(非常) | 4.5 |
編成定員 |
10両編成1,424(座席522)人 8両編成1,136(座席414)人 車いすスペース設置車を含む定員 |
車両定員 |
先頭車136(座席48)人 中間車144(座席54または51)人 |
全長 | 20,000 |
全幅 | 2,800 |
全高 | 4,145 |
台車 |
Sミンデン式台車FS-388形 SUミンデン式台車FS-388A形またはFS-515形 |
主電動機 |
直流直巻電動機 150kW 更新車かご形三相誘導電動機 160kWまたは165kW |
駆動方式 | WN平行カルダン |
歯車比 | 98:15 (6.53) |
制御装置 |
AVFチョッパ制御 更新車IGBT-VVVFインバータ |
制動装置 | ATC連動電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用) |
保安装置 |
CS-ATC・東武形・西武形ATS 副都心線用改造車のみATO |
備考 | 上記データには副都心線用改造車を含む。なお、チョッパ制御車は今後改造または廃車予定。 |
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営団7000系電車(えいだん7000けいでんしゃ)は、東京地下鉄(旧・帝都高速度交通営団)の通勤形電車。1974年(昭和49年)に登場した。同年から1989年(平成元年)までに10両編成34本、計340両が製造された。製造メーカーは日本車輌製造・東急車輛製造・川崎重工業・近畿車輛である。
概要・外観
本系列は1971年(昭和46年)に量産が開始された千代田線用の6000系車両がその後の営団における標準車両として位置付けられたため、また検査業務を行う綾瀬工場での保守作業の共通化のため、車体・台車・機器など同系列とほぼ同じで製造された。
車体は20m両開き4扉のアルミニウム合金製で、外観・側面の見付けも同系列に準拠している。1両あたりの車両重量は同系列よりも約1t重く、外見上の違いはラインカラーは有楽町線用のゴールドに見合う色として黄色の帯を配している。また、西武鉄道への乗り入れ時に優等列車に使用されることを考慮して前面貫通扉上部に列車種別表示窓を設置し、側面表示器については種別表示用と行先表示用をそれぞれ1両あたり車端部に2か所(7100形と7000形は1か所)設置し、種別表示用は準備工事とした。このほか、前面車両番号表記は前面貫通扉の中央に表記している。
しかし、西武有楽町線の工事が大幅に遅れたため、新桜台〜練馬間が開通する以前に行先表示器をLED式にする改修が行われ、これに合わせて種別の併記が可能になり[1] 、開通後は残った西武乗り入れが不可能な字幕式の編成は前述の編成との区別のためLED式への改修と同時に西武型ATSを設置し、1999年(平成11年)までに全編成が西武乗り入れ対応車になった。このため、列車種別窓は一度も使用されたことがなく、側面表示器も行先表示用のみを使用している[2] 。
営団時代は前面貫通扉部と各側面幕板部に1か所営団の団章(シンボルマーク)が取り付けてあった。その後、東京地下鉄(東京メトロ)の移行時にいずれも営団団章を剥がし、東京メトロマークに交換した。移行日までは側面は営団団章をその上から貼り付け、前面と新たに貼り付けた側面乗務員室扉と客用ドア間は白のシールで隠していた。ただし、第20編成のみは前面にさらに営団マークを貼付させて2004年(平成16年)3月21日に運転された営団赤塚駅・営団成増駅の改称に伴う臨時列車に使用された。本系列の車両番号表記・当初の行先方向幕や営団団章は紺色である。
前面下部にはアンチクライマーがある。先頭部の連結器は密着式である。当初、第20編成までの5両編成は綾瀬検車区への回送時に5両編成を2本連結する必要があったことから先頭車に55芯のジャンパ連結器が設けられていた。しかし、その後の10両化後は不要となるために全車が撤去された。
第20編成までは当初5両編成(7100形-7700形-7800形-7900形-7000形で組成)で落成したが、1983年(昭和58年)6月24日の池袋〜営団成増(現・地下鉄成増)延伸開業時に5両の中間車を追加で新造し、10両編成に増結された。この時に組み込まれた中間車5両は7200形〜7600形に該当しているが、先に落成した半蔵門線用の8000系の仕様を取り入れている。このため、外観上客用ドアのドアガラスの大きさや側窓の仕様が異なり、更新された現在も容易に見分けがつく。車両間には後に転落防止幌(灰色で1枚ものの形状)が装備されるようになった。
なお、同年10月1日に西武有楽町線小竹向原〜新桜台間が部分開業したが、西武鉄道では車両の新造を行わずに減価償却費や保守費用などを支払って本系列の1編成を借用(編成は特定せず)していた。実際に西武鉄道が有楽町線乗り入れ対応の車両(6000系)を製造したのは1992年(平成4年)からであり、1994年(平成6年)12月7日の西武有楽町線新桜台〜練馬間開業から同線に乗り入れている。
集電装置・冷房装置など
パンタグラフは剛体架線に対応した菱形のPT43を7300形・7700形・7900形に2基搭載しているが、2008年現在、10両編成車は7700形と7900形のA線寄りの各1基は使用されず、1編成あたり4基使用している。なお、当初の5次車までは7100形にも1基設置してあったが、1997年〜2003年頃にかけて全車撤去した。
冷房装置はいずれも集中式で、能力48.9kW(42,000kcal/h)出力である(車内の仕様や更新車は後述)。搭載時期によって外観キセ形状や編成で2台ある電源機器が異なる。搭載時期の早い第21編成以降(新製冷房車含む)はキセ形状が角形で、電源は130kW出力のDC-DCコンバータである。搭載時期の遅い第01〜20編成は装置キセ形状が丸みを帯びており、電源は120kVA出力の静止形インバータ(SIV)である。また、この形状の冷房を搭載する先頭車はその設置位置がやや中間車寄りである。
当初の1・2次車は非冷房車であり、屋根上にベンチレーターが設置してあった。3次車からは冷房搭載準備車とされ、屋根上に集中式冷房装置が取り付けられるように準備されており、当初の開口部は板で塞がれ、ベンチレーターが2台あった。
その後の1988年(昭和63年)に落成した5次車から新製時より冷房装置を搭載した。また、同年より冷房化が容易な構造である第21編成以降の3次編成車以降から在来車の冷房化工事が開始され、こちらは1991年(平成2年)年までに完了した。
非冷房車と冷房準備車の合わせた第01〜20編成はそれより遅く、1991年(平成3年)〜1994年(平成6年)に冷房化が施工された。また、冷房化工事真っ最中の1991年夏には冷房化率を上げるため冷房準備車を多く含む7100形〜7500形の新木場方5両のみ冷房車とした「半分冷房車編成」が存在していた。
車内内装
当初の内装は6000系2次車までの仕様をベースとしているが、3次車からは8000系の設計思想を取り入れている。なお、ここで述べる内装の仕様は基本的に落成時におけるものであり、その後の改良点などは後述の更新工事の項を参照のこと。
客室内装は1・2次車においては6000系をベースとしており、側面や妻方向は暗いベージュ色、袖仕切りは木目調とし、天井は白色系の化粧板を使用している。床材は灰色の単色である。座席モケットは赤色とし、1人分の掛け幅は430mmである。シルバーシート(現・優先席)は青色。この掛け幅は後の6次車まで同様である。なお、3次車では赤色で区分柄入りとしている。また、袖仕切りの形状を変更し 床と接せずに座席付近の高さまで短縮されたほか、蹴込み形状を斜めに変更した。
4次車以降では側面・妻面など化粧板をアイボリー系に、袖仕切りは薄い黄色系に変更された。床材は茶色と黄土色の2色で、濃淡フットライン入りとした。座席モケットは茶色系で、区分柄入りのものである。この配色は最終の6次車にまで引き継がれた。
側窓は1・2次車では上段下降・下段上昇式の2段式であり、上下寸法は小さい。3次車では大きさを拡大し、一段下降式の窓とした。客用ドアは車内側も化粧板仕上げであり、1・2次車のドアガラスはやや小さく、6000系初期車と同じ大きさである。3次車においては8000系2次車と同じくやや拡大されたものとなった。
車内天井の冷風の送風は、1・2次車は冷房化時に後付けで冷房用ダクトが取り付けられ、当初からある扇風機を併用するスポット方式としている。3次車以降は平天井構造で当初より冷房ダクト・吹き出し口と補助送風機としてラインデリアが設置された。
当初5両編成で製造された1・2次車の貫通路は貫通路は基本的に大形断面の広幅貫通路だが、7800形の和光市方に貫通扉が設置され、2+3両に仕切れるようにされていた。3次車以降は原則として狭幅となったが、同車のうち1・2次車と連結される部分のみが広幅となっていた。
車内のつり革は三角形であり、落成時は座席前のみに設置してあったが、後年に客用ドア上部線路方向にも増設した。なお、枕木方向には7人掛けドア間の上部に3本の横棒が設置してある。優先席付近のものは2005年(平成17年)12月頃にオレンジ色のものに取り替えられた。
乗務員室
乗務員室内は緑色の配色、運転台計器盤などは紺色の配色である。主幹制御器は縦軸回転式2ハンドル(デッドマン装置なし)で、ブレーキハンドルは取り外し式である。速度計は120km/hまでの表示であり、2008年時点では白地のものになっている。運転台計器盤には速度計と表示灯類があり、圧力計とブレーキ指示計がマスコンハンドルとブレーキハンドルの間に水平方向に設置されている。第21編成以降は乗務員室後ろの第1客室扉までの空間がやや広くなった。
乗務員室と客室の仕切りには、客室から見て左端に小窓、右端に乗務員室扉窓がある。遮光幕は小窓部分のみある。
走行機器など
制御装置は、6000系の電機子チョッパ制御を発展させたAVF(自動可変界磁式)チョッパを採用している。同系列に残っていた界磁抵抗器を廃したフルチョッパ制御であり、界磁制御多用に伴って全界磁定格速度を下げた。また、低速での加速性能向上化や同系列よりも回生ブレーキの作用範囲が広いために電力消費量も減少した。
素子は逆導通サイリスタが使用されている。素子の冷却には1・2次車ではブロアによる強制風冷方式を採用したが、3次車以降ではフロン沸騰冷却方式が採用されて低騒音化、保守性の向上が図られている。制御装置のメーカーはいずれも三菱電機または日立製作所である。
この装置は、本系列での採用を前に1973年(昭和48年)3月に6000系第1次試作車へ艤装して実車試験を実施した。この結果が良好だったために本系列へ採用されたほか、その後の8000系においても同様の装置が採用された。
歯車比は6000系と同じ1:6.53である。当初の1基当たりの主電動機出力は150kWで、6000系第1〜34編成の145kWよりやや強化されている。後年のVVVFインバータ改造車では主電動機出力を変更しているが、後述部を参照のこと。
台車は6000系とほぼ同じ片板バネ式軸箱支持のS形ミンデン式台車FS-388形を使用した。基礎ブレーキは両抱き式踏面ブレーキとした。その後の2次車ではU形ゴムのSUミンデン式台車FS-388A形に変更された。さらに3次車からは同形で基礎ブレーキを片押し踏面式としたFS-515形台車に変更された。
名目上の起動加速度は3.3km/h/s、常用減速度は3.5km/h/s、非常減速度4.5km/h/sで、減速度は6000系の常用3.7、非常4.7よりやや低くなっている。これは06系や07系でも同様だが、運転台のブレーキ設定器はノッチが刻んであり、その常用段数は有楽町線車両が7段、千代田線車両が8段であり、1段あたりの減速力は本系列の方が高い。
運用
車両の所属は和光検車区である。
- 有楽町線...10両編成のみ運用される。
- 副都心線...8両編成[3] と10両編成のうち、同線の運行に対応した編成が運用される。
- 東武鉄道 東上線...定期列車としては10両編成が森林公園まで[4] 、8両編成が志木までそれぞれ直通する。なお、2008年 6月14日のダイヤ改正以前は森林公園までの定期乗り入れはなく、走行キロ数調整のための精算運転の際に乗り入れるのみであった。
- 西武鉄道 西武有楽町線・池袋線...10両編成は飯能まで、8両編成は小手指まで[5] それぞれ直通し、池袋線内は準急・快速となる列車もある[3] 。また、まれに西武車の運用である「14M」の代替運用に回されることもある[6] 。
- 西武狭山線...西武ドームでの野球またはイベント開催時のみの運用で、定期入線は行っていない。直通運用の間合いで狭山線内の折り返し運用に使用されることもある。
2012年度には、副都心線渋谷駅経由で東京急行電鉄 東横線・横浜高速鉄道 みなとみらい線 元町・中華街まで相互乗り入れを行う予定である。
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第1編成の1+3次車(2006年9月30日、新木場検車区にて撮影)
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1次車の側面(2006年撮影)
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3次車の第26編成(2006年8月10日、新木場〜辰巳間にて撮影)
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5次車の第29編成(2007年11月10日撮影)
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車両番号位置の異なる第28編成(2005年6月12日、新木場〜辰巳間にて撮影)
編成
←新木場・渋谷 和光市・川越市・飯能→
7100(CT1) - 7200(T2) - 7300(M1) - 7400(M2) - 7500(Tc) - 7600(Tc') - 7700(M1) - 7800(M2) - 7900(M1) - 7000(CM2)
7100(CT1) - 7300(M1) - 7400(M2) - 7500(Tc) - 7200(Tc') - 7900(M1) - 7800(M2) - 7000(CM2)
- 10両編成では7500形と7600形に、8両編成では7500形と7200形に中間運転台を設置する[7] 。
- 5M5T改造編成の7000形はCT2に改造されている。
- M車は全車主電動機4基搭載
編成の概要
- □しろいしかく1次車(第01〜19編成):1974年(昭和49年)竣工。当初の池袋〜銀座一丁目間開業用として新製。4社で製造。車体は千代田線の6000系第02〜21編成とほぼ同じで、2段窓でドアの窓面積が小さく、室内貫通路がキノコ型になっているのが特徴である。
- ■しかく2次車(第20編成):1980年(昭和55年)竣工。川重製。上記の1次車とほぼ同じ。新富町延伸時の増備編成。
- ■しかく3次車(第01〜20編成の中間増備車および第21〜26編成):1983年(昭和58年)竣工。1・2次車を10両化するための中間車(7200-7300-7400-7500-7600)と最初から10両の編成を新製した。客室側の窓を1段下降式に変更し、冷房準備工事を行って登場した。貫通扉をすべての連結面に設置する[8] 。日車製が多いが4社で製造。全車が3次車で構成する第21〜26編成は車内放送スピーカーの音質が悪い。営団成増(現・地下鉄成増)延伸時の増備編成。
- ■しかく4次車(第27編成):1987年(昭和62年)竣工。最後の冷房準備車。室内の配色が変更されている。日車製。和光市延伸時の増備編成。以降、新製時から東武東上線直通機器を搭載している。
- ■しかく5次車(第28〜32編成):1988年(昭和63年)竣工。新製時より冷房装置を搭載。このうち第28編成が営団初の新造冷房車。4社で製造。同編成のみ他の編成と比べて前面の車両番号表記位置がやや下にある。新木場延伸時の増備編成。
- ■しかく6次車(第33・34編成):1989年(平成元年)竣工。前面方向幕へのローマ字表記の追加や新製時より自動放送装置と車内案内表示器・ドアチャイムを搭載する。また、車外案内用に車外スピーカーを搭載する。これは翌1990年に落成した6000系第35編成や8000系第10編成も同様である。また、7100形のパンタグラフは新製時から省略されたほか、冷房効果を高めるため3次車以降で各車2基搭載していた屋上換気扇を廃止した。側扉窓は外部からの支持に変更され、室内側は平滑化された。このうち7034号車はバケットシートの試験車として落成した。東急車輛製。
なお、1次車のうち制御装置の更新を施工していない第08・11・17編成および3次車のうち編成単位で落成した第21〜26編成全車両は副都心線対応更新工事対象外となり、廃車になる予定である。また、副都心線開業直前の時点で改造予定車および廃車予定の車両は、同線に入線しないことから2008年 6月より先頭車前面と中間車側面の3・8号車にYマークを貼付して区別している。
7000系の一部は7000形を1号車に号車変更(この場合、新木場より7100形が10号車になる)した編成が存在する。主に"Y"ステッカ編成が号車変更されている。
改修工事
東京地下鉄では、6000系以降の車両に関しては車齢40年程度まで継続使用する方針であり、本系列についても営団時代の1990年代後半から様々なリニューアル工事を実施している。
本系列においては、1994年度より第09編成の1・2次車を最初に内装のリニューアルを中心とした車体更新工事「B修繕」[9] の施工が開始された。その後の制御装置の更新も含めていずれも新木場CRで施行されている。その後は行先表示器が全車LED式となり、1・2次車の側窓がすべて2段窓から1段下降窓に改修されている。
内装リニューアル工事
第01〜20編成は、1995年(平成7年)頃から1999年(平成11年)にかけて車内更新工事を施工した。1・2次車の内装については化粧板を白色系ベース品に交換、袖仕切りは薄いピンク系色に貼り替え[10] 。床材を茶色と黄土色のツートンカラー品に貼り替えを実施。側窓は開口幅は変わらないが、一段下降式窓に更新した。座席モケットの交換(赤色→茶色)や荷棚の金網を格子状のものへ交換、客用ドアを交換してドアガラスは3次車とほぼ同じ大きさのものとした。また、連結面の貫通扉増設も実施した。
併せて行先表示器をLED式明朝体(側面のみ英字併記)に変更、自動放送装置新設、ラインカラーを前頭部を除きフィルム式に交換[11] を実施した。1996年頃からは2号車と9号車に車椅子スペースの設置が始まった。車内案内表示器は2004年頃より設置が開始された。
編成中の3次車についは当初、車齢が若いためにB修繕は実施せず、C修繕工事[12] のみで、ツートンカラーの床材への貼り替えやラインカラーのみ貼り替えが施行された。その後、第17編成で試験的に3次車の内装リニューアルを実施[13] し、第11編成を嚆矢として3次車についてもVVVFインバータ制御化と同時に内装リニューアルが行われるようになった。また、C修繕工事は第21〜26編成にも施行され、床材やラインカラーが更新された。
VVVF制御化改造工事
1996年度からは第06編成を最初にIGBT 素子によるVVVFインバータ制御への更新が開始されている。このうち2003年度までは3レベル(一部2レベル)方式で、主電動機出力が160kW・制御方式が1C2M4群方式であった。MT比は6M4Tと変わらない。当初、内装リニューアルを施行した編成はチョッパ制御装置を更新せずに出場したが、途中から内装と制御装置、同時の更新となった。前者は後年に制御装置の更新を施工している。
また、第08・11・17編成では1次車の強制風冷式チョッパ装置を前述のVVVF化で余剰となった3次車のフロン沸騰冷却式チョッパ装置への換装が施行された。
2004年度からは05系13次車に準じた2レベルで純電気ブレーキ対応、ベクトル制御による1C4M2群/1群制御方式に変更されている。また、7000形を電装解除してMT比が5M5Tに変更された。これは初期にB修繕のみ施工し、制御装置の更新を行わなかった第01・04・05・10・18編成に施工された。
さらに1次車の貫通路については幅を狭いものに改造され、朝の通勤ラッシュ時などの安全性向上や女性専用車両の導入による仕切りの役割を果たし、火災の拡大を防いでいる[14] 。これらのタイプは貫通扉が一方の車両(和光市寄り)にしか設置されておらず、05系と同様に車端部に窓がないため、容易に見分けが付く。純電気ブレーキ対応主電動機を装備する更新編成はいずれも全車貫通路は狭幅とされている。
2000年代に入ってからは、リニューアル(B修やVVVFインバータ化)時以外でも座席のモケット張り替えが行われている。新製時は茶色または赤色だったが、現在は濃いピンク色のものに交換が進んでいる。この他、2005年(平成17年)春頃に1・2次車の扇風機の羽根が面積の小さいものに交換され、風量を減少させている。 また、更新された時期によっていろいろな装備の差異が見られる(以下は現状とは違う可能性もある)。なお、以下の一覧には後述の副都心線対応工事を施工した編成も含まれている。
- 車内自動案内放送搭載:第01〜20・27・28・30・31・32・33・34編成
- 車内案内LED表示器(千鳥配置)+ドアチャイム搭載:第01・03・04・05・09・10・11・13・15・16・18・19・20・27・28・30・31・32編成
- 下線は2段式
- 座席のモケットをピンク色に交換:第01・03〜06・09・11・13・14・18・19・21〜23・27〜30・33〜34編成および第10編成の一部
- 車内案内LED表示器(すべてのドア)+ドアチャイム搭載:第33・34編成
- チョッパ制御装置を3次車タイプに更新:第08・11・17編成
- VVVFインバータ制御化改造(三菱電機製):第01〜03・06・07・09・10・18・27・28・30編成 (02,06,07:3レベルIGBT)
- VVVFインバータ制御化改造(日立製作所製):第04・05・12〜16・19・20・31・32編成 (12,14 : 3レベルIGBT)
- 下線は純電気ブレーキ対応の5M5T編成(第27・30編成は4M4T編成)・主電動機出力165kW。
- 6M4TのVVVFインバータ車の主電動機出力は160kW。チョッパ車は150kW。
- 初期の三菱電機製VVVF車の中で第2編成の7402のみソフトウェア更新前の音が残っている。
- 中間増備車も更新済み:第01・04・05・09〜11・13・15・17・18
- 広幅貫通路の幅の縮小化:第01〜05・09・10・13・15・16・18・19・20編成
- 備考
- 第02編成の妻部の貫通扉は更新車のみドア窓が大型化されている。また、第16・20編成の一部でも施行している。
- 第17・20編成は3次車の化粧板と扉の色が異なっていた。前者は化粧板が更新されているが、2〜6号車の扉は更新されていない。後者はその逆で、2〜6号車の扉と床面が更新されており、LED案内表示器も搭載しているが、ほかは更新されていない状態であった。その後、第20編成については副都心線対応工事施工の際に化粧板も更新されている。
- 第09・13編成は1次車のシート脇化粧板の色が他編成と異なり、白色のものになっている。これらの車両は7〜8号車間の貫通扉の窓の大きさが小さく、化粧板も未更新である。また、初期に更新されたものであるためか車体の帯がシール式ではなかったが、その後副都心線対応工事施工に伴う帯色変更の際にシール式とされた。
- 第01・05編成は3次車の床敷き物をピンク色のものに張り替えているが、07系のものと色調が異なる。また、第1編成は3次車の貫通扉の色が白色系とは異なる微妙にクリーム色がかった和風テイストの壁紙でリニューアルされている。
- ドアの窓ガラス支持用の金属枠が6000系タイプである。
旅客案内設備
一部の編成には1段表示式の車内案内表示器を設置している。また、後述する副都心線対応工事施工済みの編成には2段表示式のものが設置されている。これらは乗り入れ先の東武東上線・西武線内でも表示し、直通先でも東京地下鉄からの各種案内が表示される。西武線内では西武車両に準じた案内が行われるが、西武6000系などとは違ってLED表示器の1行あたりの最大表示文字数が12文字ではなく11文字となっているため、西武車両ではスクロールしない部分(例:[この電車は 新木場 ゆき]、[ つぎは 新 桜 台 ]など)が常にスクロールして表示される。また、準急や快速などの運用の場合はスクロールせずに表示される。また、2段式の場合は上段に停車中の駅・行先、下段に次駅・開くドア案内が表示される。東上線内では1段式では停車中は停車中の駅名表示があるほか、到着前には「Soon○しろまる○しろまる」という表示が見られる。2段式では上段に行先が、下段には東武車両に準じた次駅案内・停車中の駅案内が行われる[15]
また、半数以上の編成で自動放送装置を搭載している。直通先の自動放送にも対応しており、東武東上線内が9000系および9050系修繕車と50000系・50070系などと仕様を合わした女声[16] 、西武有楽町線・池袋線内の自動放送も6000系などと仕様を合わせた女声であり、東上線・西武線ともに副都心線開業と同時に直通先でも英語放送を行うようになった。詳細は「営団05系電車#民営化以後の自動放送の移り変わり」を参照。
副都心線改造に併せて更新した編成
副都心線対応工事と併せて2007年度以降にB修繕工事を施行した4次車以降(第27編成以降)では更新内容が変化している。編成では7600形と7700形を廃車として8両編成化を実施した。
車内では化粧板や袖仕切りの交換などは色調を変更したほか、床材は灰色の単色品へ変更した。8両編成では2号車と7号車に車椅子スペースが設置された。客用ドアは8000系B修繕車と同じ大窓タイプ(単板ガラス)に交換した。なお、荷棚の変更は省略された。運転台などのワンマン運転設備は下記の記述も参照。
併せて行った制御装置の更新は、第28・31・32編成では初期車の8両化により廃車となった中間車の制御装置・主電動機などを再用してVVVF化が施行された(主電動機出力160kW・1C2M4群制御)。また、第27・29・30編成では新規品の制御装置・主電動機を使用してVVVF化を行っている(ベクトル制御による純電気ブレーキ対応・主電動機出力165kW・1C4M2群制御)。なお、第33・34編成もこのタイプとなる予定である。
このほかに、冷房装置を大容量の58.0kW(50,000kcal/h)に載せ換え、車外スピーカー内蔵形に変更した。補助電源装置はDCコンバータを撤去し、IGBT素子による240kVA出力の静止形インバータ(SIV)に更新した。
乗務員室内の改修工事など
乗務員室内は更新時までは落成時より大きな変化はなく、東上線用の列車無線送受話器や乗り入れ用の表示が追加された程度である。
前述したB修繕工事時には簡易故障表示器をユニバーサル表示器へ更新、運転士操作器(乗務員間連絡用インターホン)を筒形→マイク式に変更した。このほか、誘導無線装置の更新も施行している。また、表示器のLED化時には7000形に設置している行先表示設定器をダイヤル式から行先が押しボタン式・種別と運行番号はデジタルスイッチ式の機械に変更した。
1997年(平成9年)からは、西武線への対応に併せて西武用列車無線送受話器、行路表差しと一体とした西武用列車番号設定器の新設や東武ATS・西武ATSの個別表示灯新設を施行した。
2000年頃には東武鉄道の列車無線更新に伴い、運転台上へ東武用列車番号設定器を新設、さらに3台あった列車無線/誘導無線送受話器を3社対応で1台の送受話器に集約化を実施した。その後は速度計は2針式で、新CS-ATC対応のものに交換が実施されている。
事故
2005年 8月に池袋〜要町間で第10編成が走行中客用ドアが開くという事故が発生した。この編成はしばらくの間営業運用に就けず、運用離脱中にVVVFインバータ制御への改造やLED式の案内装置の設置を行い、2007年春に事故調査報告書[17] が出され、同年5月から運用に復帰した。なお、この事故に関してはドアの開いた直接の原因は不明とされている。事故を起こした第10編成は運用再開後、副都心線運用対応の改造のために再び運用離脱して、2008年 6月14日より運用を再開している。
副都心線対応への改造工事
2007年度より、2008年 6月14日に開業した副都心線への対応工事の施行が開始された。これは同線においてATOによるワンマン運転の導入のほか、各駅にホームドアを設置しているためである。また、同線では8両編成も運用されるため、一部編成は中間車2両を抜いた8両編成への短縮工事も併せて行われている。最終的には10000系をさらに11本(110両)増備して31本(310両)となる予定で、それに合わせて有楽町線・副都心線兼用車両として10両編成10本(100両)[18] と副都心線専用車両として8両編成15本(120両)の計25本(220両)構成となり、残りの10両編成9本は廃車させる予定である(変更の可能性あり)。
2008年7月時点では8両編成化された第3・9・13・15・16・19・20・27・28・29・30・31・32編成が副都心線専用、10両編成の第1・10編成の兼用編成が10000系に準じたラインカラーに変更され、同線と有楽町線で運用している。
乗務員室では運転台ユニットを10000系に準じたものへ交換し、主幹制御器のデッドマン装置付きのT形ワンハンドルマスコン化が行われた。また、乗務員支援用に車両情報管理装置(TIS)を設置し、運転台に表示器を新設した。従来は別々であった行先表示や案内機器・空調装置の設定機能もTISに集約した。
運転台上部にはホーム監視用のモニター画面を設置し、視認性向上のためフロントガラスの遮光フィルム貼り付け範囲を拡大した。車掌スイッチは電気保持式(リレー式)化、西武線内における3/4締切回路や、乗務員室仕切扉に電磁鎖錠システムの追加を実施した。
車外では前面の行先表示をドットの細かいものへ、側面は高輝度で交互表示対応品に交換した。前面表示は左から運行番号、種別、行先を、側面表示は種別、行先と号車を交互に表示する。警笛は空気式とトロンボーン笛を併用するものへ交換した。機器面では保安装置にATO装置の設置やホームドアとの連動機能などの追加を実施した。副都心線用改造車のうち第27編成以降ではクーラーキセに車外スピーカーが内蔵しているが、それ以前の車両は搭載していない。
客室においては2段表示式のLED式車内案内表示器を千鳥配置で設置[19] 、自動放送装置の改良を実施した。これは南北線の9000系と同じくワンマン運転用のメニュー機能があり、乗客へのマナー放送、異常時における乗客への案内放送・表示機能が付加されている。さらにドアチャイムの音色も都営地下鉄などと同じタイプに変更された[20] 。なお、ドアエンジンについてはそのままである。また、非常通報器は乗務員と相互通話の可能な対話式への変更が実施されている。
また、前記したように中間車(番号の百位が6、7)が廃車されたこともあり8両編成(番号の百位が1、3、4、5、2、9、8、0の順)である。また、先頭部に8CARSステッカーが貼り付けられている。なお、改造済み編成は副都心線開業まで運用に就いていなかった。現在、第33編成が8両編成への改造を施工しており、今後も全15本が順次改造される予定である。なお、7月時点で未施工の編成は6次車の第34編成である。
なお、この工事によって運用を離脱している編成の代替運用には10000系が使われている。同系列も現在、本系列の8両編成車が不足しているためか、一部編成(1次車)が8両に短縮して運用している。
副都心線の開業直前には、非改造編成について先頭車前面の細窓上部と中間車側面の3・8号車に有楽町線のみ運行の意味を表す「Y」と表記されたステッカーを貼付している。
ちなみに、副都心線開業以前にも有楽町線の8両運用は存在しなかったが、副都心線開業後も有楽町線全線での8両運用はない。
関連商品
Nゲージ 鉄道模型として、グリーンマックスから「営団6000(7000/8000)系」という製品名で組み立てキットが販売されている。
参考文献
脚注
- ^ しかし、種別窓がない6000系や8000系では字幕式でも「準急 本厚木」「多摩急行 唐木田」(以上6000系)、「急行 中央林間」(8000系、現在は全車LED式に改修済み)のように種別を併記している。
- ^ 種別表示器は落成時点からアルミ板で塞がれている。
- ^ a b 8両編成は副都心線では各駅停車のみに使用され、急行や通勤急行には使用されない。また、直通先でも大部分が各駅停車として運行され、8両編成の優等運用は平日夜の副都心線からの準急小手指行(副都心線内各駅停車)の1本のみである。
- ^ ただし、大部分の運用は川越市までである。
- ^ ただし、大部分の運用は清瀬までである。
- ^ 2007年 11月頃からは10000系でも運転されている。
- ^ 車両工場での検査の時に中間で5両/4両ずつに分割するため、それぞれが自走できるようにするための運転台
- ^ 第01〜20編成の1・2次車に隣接する連結面は従来通り貫通扉のないキノコ型貫通路である。
- ^ 20年程度経年した車両に施行する大掛かりな更新工事のこと
- ^ 実際には袖仕切りは貼り替えではなく、化粧シートを貼り付けるだけ
- ^ 当初は板材に焼き付け塗装したものを車体に取り付け
- ^ 10年程度経年した車両に施行する簡易な更新工事のこと。
- ^ 第17編成は客用ドア部・連結面貫通扉の化粧板のみリニューアルされていない。
- ^ 平成18年度安全報告書(PDF)
- ^ 同様の現象は東武伊勢崎線内での半蔵門線08系にも見られる。
- ^ 当初は07系とともに東武9050系(登場時)などと仕様を合わせた男声であった。10000系も登場当初は男声であったが、本系列と07系・東武9050系が「東武東上線をご利用くださいまして〜」と案内していたのに対し、10000系では「東武鉄道をご利用くださいまして〜」と案内するなど若干の違いがあった。その後、東武9050系は副都心線直通改造に合わせて、7000系と10000系は副都心線開業と同時にそれぞれ現在の女声のものに更新された。
- ^ 鉄道重大インシデント調査報告書(PDF)
- ^ このうち5本は組み替え実施予定。
- ^ リニューアル工事で1段式のものが設置された編成は交換された。
- ^ ただし、同局とは異なり、開時・閉時や山側・海側での音の区別はしていない。