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筑波山地域ジオパーク

筑波山地域ジオパークは、筑波山を中心とした地域でつくば市、石岡市、笠間市、桜川市、土浦市、かすみがうら市の6市にまたがる。 ジオパークとは、Geo(地球、大地)とPark(公園)を組み合わせた造語で、大地の公園といわれる。 大地の遺産ともいうべき、地層や岩など地質を見ることに加え、その大地が生んだ産業や文化に触れあうことを目的としている。 大地の遺産の魅力を知ることで、教育、環境保全、観光に役立てる。
ジオパークには、見どころとなる場所を「ジオサイト」として指定。また、ジオサイトをつなげたり、地域の文化や産業などと結びつけてストーリーだてて紹介する 「ジオストーリー」が柱。筑波山域ジオパークでは26のジオサイトと7つのジオストーリーを構築している。 加えて「筑波・鶏足山塊ゾーン」「霞ヶ浦ゾーン」「山と湖をつなぐ平野ゾーン」に分けられている。
日本ジオパーク認定に向けては、地元自治体などが連携して筑波山地域ジオパーク推進協議会を設立、 2012(平成24)年8月から本格的に準備を開始した。 2016(平成28)年4月、申請書を日本ジオパーク委員会に提出、同年5月には公開プレゼンテーションを行った。 同じく同年8月には日本ジオパーク委員会が現地視察を実施していた。同年9月9日に開催された日本ジオパーク委員会で 最終的な審査が行われ、日本ジオパークへの加盟が決定、日本国内41番目のジオパークとなった。 なお、2014(平成26)年にも一度申請したが、この時は審査の結果、認定見送りとなっていた。 2025(令和7)年1月27日、第53回日本ジオパーク委員会で再認定された。
筑波山
筑波山地域ジオパークのシンボルでもあるつくば市側から見た筑波山
筑波山さんちょう眺望
筑波山女体山山頂の斑レイ岩と眺望

ジオサイト

筑波山域ジオパークに設定された26のジオサイトを紹介。地質的なものだけでなく、地域の歴史や伝統などさまざまな面から紹介する。
高峯・富谷山
高峯は山桜で知られる。麓には国の名勝「桜川」がある。西の吉野山、東の桜川ともいわれる桜の名所。 現在は「磯部桜川公園」として整備され、山桜の一部は国の天然記念物ともなっている。また隣接して磯部稲村神社がある。 富谷山中腹には、富谷観音が祀られている。かつての参道が南側の山の斜面を富谷観音まで直線で伸びている。 現在は車道が新旧2つある。富谷山ふれあい公園が整備されており、展望所や展望塔からは筑波山など筑波山塊の山々を見ることができる。
高峯
高峯
磯部稲村神社 磯部稲村神社要石
磯部稲村神社(左)、磯部稲村神社の要石(右)
富谷山 高峯富谷山ジオサイト解説板
富谷山(左)、展望塔にある高峯・富谷山ジオサイト解説板(右)
富谷観音 富谷山ふれあい公園展望
富谷観音(左)、富谷山ふれあい公園からの眺望(右)
加波山・足尾山
加波山、足尾山は筑波山の北側に連なる山。加波山山頂付近には加波山神社、加波山神社本宮、加波山神社親宮、足尾山山頂には足尾神社が祀られる信仰の山でもある。 西側のふもとの街、桜川市真壁町は石の街として知られる。加波山などから産出する良質の花崗岩「真壁石」は、石材として迎賓館などの日本を代表する近代建築に使われたほか、 筑波研究学園都市の建物などにも使われている。
加波山登山道
多くの岩が露出した山頂近くの加波山登山道
加波山 足尾山
加波山(左)、足尾山(右)
羽鳥
筑波山北側の穏やかな斜面に広がる。真壁地区と筑波山山頂を結ぶ羽鳥道が地区の中央を通る。 羽鳥道沿いを流れる男女川(みなのがわ)には、上流から土石流で流されてき多くの岩を見ることができる。 羽鳥道そばにある歌姫神社付近は、古代の「歌垣(うたがき、かがい)」が行われていた場所とされる。 羽鳥道と並行して裏筑波観光道路がある。
男の川岩 男の川地層
男女川の支流、男の川の岩(左)、男の川で見られる川岸の地層(右)
女の川岩 羽鳥ジオサイト解説板
男女川の支流、女の川の岩(左)、筑波高原キャンプ場にある羽鳥ジオサイト解説板(右)
酒寄・椎尾
筑波山西側の穏やかな斜面が広がる地域は、斑れい岩と花崗岩の堆積物がつくる水はけのよい土地で、斜面の日当たりのよさ、さらには気温の逆転層にあたる斜面温暖帯にあたり みかん栽培が盛んで「温州みかん栽培の北限地」とされる。
椎尾山には筑波山四面薬師のひとつ薬王院がある。筑波山の登山の薬王院コースの登山口ともなっている。境内周辺にはスダジイの巨樹が多くある。
薬王院岩 酒寄・椎尾解説板
薬王院境内の岩(左)、つくし湖畔駐車場にある酒寄・椎尾ジオサイト解説板(右)
薬王院参道石 薬王院参道石表面
薬王院参道脇にころがる花崗岩(左)、その花崗岩の表面(右)
筑波山頂
男体山と女体山の2つの峰が特徴の筑波山の山頂と周辺には多くの巨岩、奇岩がある。それらはすべて地下深くでマグマが固まって出来た深成岩の一種である斑れい岩でできている。 ガマ石、弁慶七戻り、北斗岩、大仏岩などの奇岩、女体山山頂に見える岩もすべて斑れい岩である。
また、山頂付近のブナ林は、約2万年前の氷河期の生き残りと考えられており、山頂付近にのみ島状に残る。
筑波山神社は筑波山を御神体として祀る。男体山山頂に筑波男大神(イザナギノミコト)、女体山山頂に筑波女大神(イザナミノミコト)の夫婦二神を祀った本殿がそれぞれある。 中腹には拝殿がある。また、筑波山が登場する多くの万葉集歌碑がある。
筑波山頂 筑波山頂筑波南麓解説板
筑波山頂の岩(左)、筑波山神社前ロータリー脇にある筑波山頂及び筑波南麓ジオサイトの解説板(右)
大仏岩 北斗岩
登山道、白雲橋コースの途中にある奇岩、大仏岩(左)、同じく北斗岩(右)
ガマ石 女体山頂登山道
女体山と男体山の途中にある、筑波山で最も著名な奇岩のひとつ、ガマ石(左)、 筑波山女体山頂近くの登山道(右)
出船入船 胎内くぐり
登山道、白雲橋コースの途中にある奇岩、出船入船(左)、同じく母の胎内くぐり(右)
つつじヶ丘高原岩
登山道、おたつ石コースのつつじヶ丘高原付近で露出する岩
筑波山南麓
筑波山南麓にある筑波山梅林や筑波ふれあいの里には斑れい岩の巨礫などからなる山麓緩斜面堆積物がある。 これは、過去の土石流がもたらしたもので、筑波ふれあいの里にある 夫女ケ石はその代表的なものの一つ。この周辺では、古代に歌垣(かがい)が行われていた場所とされる。
南麓には筑波山神社の拝殿がある。また明治の廃仏毀釈まで現在の神社拝殿の場所にありその後復興した筑波山大御堂。 巨石信仰を伝える飯名神社、月水石神社などがある。
筑波山梅林の岩
筑波山梅林の岩
筑波山神社
筑波山神社拝殿
平沢・宝篋山
平沢の採石場跡には片麻岩が見られる。 片麻岩は近くにある平沢官衙遺跡の礎石に使われているほか、同じく近くにある古墳の石室などにも利用されており、古くからの人に利用されてきた歴史を持つ。 また、宝篋山とその周辺には宝篋印塔や五輪塔、板碑などの石造物が多くみられる。
宝篋山 宝篋山二つ岩
宝篋山を南側から(左)、宝篋山登山道の極楽寺コースの二つ岩(右)
平沢宝篋山解説板小田 平沢宝篋山解説板平沢
宝篋山の小田駐車場にある平沢・宝篋山ジオサイト解説板(左)、同じく平沢官衙遺跡歴史ひろばにある平沢・宝篋山ジオサイト解説板(右)
宝篋山岩層 宝篋山ニコニコ岩ワニ岩
宝篋山登山道の極楽寺コースに見える石の層(左)、同じく極楽寺コースのニコニコ岩とワニ岩(右)
宝篋山常願寺天狗岩 宝篋山常願寺地層
宝篋山登山道の常願寺コースにある天狗岩(左)、同じく常願寺コース入口付近の地層(右)
山ノ荘
筑波山の南東に位置する山ノ荘地区は、小野小町伝説が残る。北側には筑波山塊の山々が連なり、石岡市の八郷地区とは朝日峠、そして朝日トンネルで結ばれている。 朝日峠からはつくば市から土浦市方面の眺望がよく、霞ヶ浦もよく見える。霧の日には幻想的な雲海の風景が広がる。 また、10月の第1日曜日開催される土浦全国花火競技大会も見ることができる。
北側の山のひとつ朝望山には、筑波山四面薬師のひとつ東城寺がある。
朝日峠展望公園眺望 山ノ荘解説板
朝日峠展望公園頂上からの眺め(左)、山ノ荘ジオサイト解説板(右)
雪入・三ツ石
かすみがうら市の旧千代田町地区西側にある雪入山などの山々を中心とする。雪入ふれあいの里、三ツ石森林公園などが整備されており、ここから望む霞ヶ浦方面の眺望は素晴らしい。 また、雪入山の南側パラボラ山から下記の閑居山・権現山ジオサイトまで連続したハイキングコースがある。 麓には観光農園があり、いちご狩りなどが人気。
雪入山 雪入・三ツ石解説板
雪入山(左)、雪入ふれあいの里入口にある雪入・三ツ石ジオサイト解説板(右)
閑居山・権現山
閑居山、権現山は上記の雪入・三ツ石ジオサイトの北側にある。山々は連なっており権現山が最北となり、その北側には恋瀬川が流れる。
閑居山中腹には、摩崖仏がある。
閑居山摩崖仏
閑居山の摩崖仏
龍神山・波付岩
龍神山は、石岡市の石岡地区と八郷地区の境界にある。もともとは山頂がひとつだったが、砕石採取場があるため山容が大きく変わり南と北の2つの頂を持つようになった。 山麓には、常陸風土記の丘はじめキャンプ場などがある。
龍神山には男龍、女龍の龍が住むとの伝説がある。また染谷地区、村上地区と2つの佐志能神社が祀られている。 染谷佐志能神社は南側の峰の中腹にあり、社殿脇に屏風岩と呼ばれる巨岩がある。
龍神山
龍神山
佐志能神社岩
染谷佐志能神社社殿脇の屏風岩と呼ばれる巨岩
峰寺山・十三塚
筑波山塊の北東側にある。峰寺山中腹には西光院がある。東の清水寺とも呼ばれる懸造りの本堂が特徴。自然石の馬頭観音が本尊という。 八郷盆地を一望できる。 十三塚は峰寺山の南側、筑波山の東麓に位置し、十三塚果樹団地がある。柿やぶどう、梨、いちごなどがある。 茨城県フラワーパーク、やさと温泉「ゆりの郷」などの施設もある。 廃校した小学校を活用した体験型観光施設、朝日里山学校があり田舎体験ができる。
峰寺山
峰寺山、山腹の中央付近に見える屋根が西光院
朝日里山学校 峰寺山・十三塚解説板
朝日里山学校(左)、やさと温泉「ゆりの郷」にある峰寺山・十三塚ジオサイト解説板(右)
八郷盆地
筑波山の北東側にある盆地。盆地西側を筑波山から北側に連なる山々、南側を筑波山から東に連なる山々、北側から北東側を吾国山、愛宕山などの山々、 南東側を朝日峠から連なる山々で囲まれている。また、盆地の中央部を恋瀬川とその支流が流れる。
恋瀬川
恋瀬川、石岡市柿岡の百目鬼橋から上流の搾入部を見る
八郷盆地 八郷盆地解説板
筑波山山頂から八郷盆地を見る。中央奥が龍神山、中央やや奥が柿岡富士(左)、 石岡市役所八郷支所にある八郷盆地ジオサイトの解説板(右)
吾国山・愛宕山
愛宕山から難台山、吾国山にかけては笠間・吾国愛宕県立自然公園に指定されており、主に山の稜線を通るハイキングコースが整備されている。 ハイキングコース沿いには、屏風岩や団子石などの巨岩もある。
難台山屏風岩 吾国山愛宕山解説板
難台山の屏風岩(左)、愛宕山駐車場にある吾国山・愛宕山ジオサイトの解説板(右)
斑状花崗岩 団子石
中央で割れた斑状花崗岩の巨岩(左)、団子石(右)
笠間盆地
笠間盆地で焼き物に適した粘土が採れることから笠間焼が誕生した。粘土は笠間盆地周辺の山々の花崗岩の風化や浸食によるものという。
大黒石
佐白山中にある巨石、大黒石
稲田・福原
稲田地区からは稲田石という良質の花崗岩が採掘される。約6千万年前に誕生したと考えられている。 稲田地区の稲田石が産出される東西約10km、南北約5kmは、稲田沢といい、通称「石切山脈」と呼ばれる。 日本橋や最高裁判所などにも石材として使われている。 これら稲田石の採掘の歴史などを紹介した石の百年館がJR水戸線の稲田駅前にある。
稲田地区には、石切山脈の稲田石採石場跡を見学することができる。これは稲田石が産出する山を地下65mまで採掘した跡。 稲田石の岩盤が露出し絶景を見せている。また、現在は水深35mほど水が溜まっており、地図にない湖として知られる。
周囲には式内社の稲田神社、親鸞聖人が関東布教の拠点とした西念寺などがある。
石の百年館 稲田福原解説板
石の百年館(左)、JR水戸線の稲田駅前かつ石の百年館前にある稲田・福原ジオサイトの解説板(右)
石切山脈
石切山脈
高浜・石岡
高浜は霞ヶ浦に注ぐ恋瀬川の河口に発展した街。霞ヶ浦の水運で栄えた。東日本2位の大きさを誇る前方後円墳、舟塚山古墳など古くから人が住んでいた歴史を感じさせる。 また霞ヶ浦から昇る朝日、そして霞ヶ浦ごしに筑波山方向に沈む夕日が美しい。
石岡は、常陸国の国府が置かれていた場所。国分寺や常陸国総社宮などがある。
高浜入 高浜・石岡解説板
高浜入、中央付近が恋瀬川の河口(左)、JR高浜駅にある高浜・石岡ジオサイト解説板(右)
歩崎
歩崎は、霞ヶ浦に突き出たかすみがうら市旧出島村の東の端に位置する。歩崎には歩崎観音が祀られている。 霞ヶ浦随一の景勝地とされ、茨城百景や茨城の自然100選にも選ばれている。歩崎観音の参道階段は切通しで、両側に貴重な地層を見ることができる。 歩崎観音周辺は、歩崎公園として整備されており、郷土資料館や水族館などがある。
歩崎観音地層
歩崎観音の参道に露呈する地層
崎浜・川尻
崎浜、川尻地区はかすみがうら市旧出島村で南側を霞ヶ浦に面している。 カキ化石床と呼ばれる約12万年前のカキの化石を大量に含む地層を見ることができる。
崎浜地層
崎浜地区の道路沿いに露呈した貝殻を大量に含む地層
田村・沖宿
霞ヶ浦沿岸の平坦な低湿地帯。霞ヶ浦が海だったころに形成された洲浜という。 低湿地を利用したレンコン栽培が盛んで国内第1位の生産地となっている。 また、霞ヶ浦を見下ろす台地上に茨城県霞ケ浦環境科学センターがあり、霞ヶ浦につての地形や地質などの紹介もある。
沖宿 田村沖宿解説板
沖宿周辺の低湿地に広がるハス田(左)、田村・沖宿ジオサイト解説板(右)
土浦
土浦は桜川河口の三角州に発展した街。土浦城の別名「亀城」は、水面に浮かぶように見える城が亀のように見えたことからという。 かつては多くの水路が街中を通っており、そこを物を運ぶ船が往来していた。現在でも道路の交差点に橋の親柱があるなど当時の名残りをとどめる。
土浦城跡
土浦城跡、堀と本丸跡
上高津
国指定史跡「上高津貝塚」がある。縄文時代中期から晩期の馬蹄形に広がる貝塚。貝層の主体はヤマトシジミで、鹿や猪、鴨の骨や魚骨、土器などが出土している。 貝塚を中心に上高津貝塚ふるさと歴史の広場として整備されている。
上高津貝塚ふるさと歴史の広場貝層 上高津解説板
上高津貝塚ふるさと歴史の広場にある実際の貝塚の貝層展示施設(左)、 同じく上高津貝塚ふるさと歴史の広場にある上高津ジオサイト解説板(右)
上高津貝塚ふるさと歴史の広場貝塚展示施設 上高津貝塚ふるさと歴史の広場
上高津貝塚ふるさと歴史の広場の貝塚貝層展示施設外観(左)、同じく広場(右)
花室川
花室川は、つくば市東部から土浦市南西部を流れ霞ヶ浦に流入する川。つくば市(旧桜村)の花室川河床からナウマンゾウの化石が発見されたことで知られる。 化石が発見された地層は約3万5000年から2万5000年前という。
花室川
つくば市大角豆、つくば市上広岡付近の花室川
桜川中流
桜川の中流域でみられる広大な低地は、約2万4000年前まで筑波山の西麓を流れていた古鬼怒川が形成したもので、日光連山周辺からの泥岩、安山岩などの礫が分布する。
桜川中流北条堰下
多くの礫が見られる桜川中流の河川敷
桜川中流看板 桜川中流
桜川中流ジオサイトの解説板(左)、つくば市大曾根、つくば市若森付近の水田、向かって右手に桜川が流れる(右)
上郷
小貝川の氾濫原や旧河道が残る。氾濫原は多くが水田として利用されている。氾濫原と台地の境には地層が見られる場所が多くある。 また、水がしみだしている場所なども多くある。
旧河道跡につくられた川口公園では、シオカラトンボやトウキョウダルマガエルなどを観察できる。
金村別雷神社は氾濫原にある神社。
上郷河道跡
つくば市上郷、小貝川の河道跡
川口公園 上郷解説板
川口公園(左)、川口公園にある上郷ジオサイト解説板(右)
六斗
六斗は、牛久沼北部、東谷田川の左岸に位置する。牛久沼(東谷田川)が見下ろせる台地と、東谷田川沿いは低湿地となっており水田が広がる。 台地上にはキャンプ場があり、自然と触れ合える場所となっている。また六斗地区から小茎地区にまたがる「おぐろくの森」にはウオーキングロードが整備されている。 このほか、小茎地区の東側には高崎自然の森があり、ウオーキングロードで結ばれている。
六斗
六斗付近、東谷田川沿いの水田
加波山をはじめ、筑波連山の山々からは、花崗岩(御影石)の良質の石材が産出、麓では石材業が盛んに行われている。 産出される地域によって、同じ花崗岩でも微妙に違いがあり、呼び名も違う。
真壁石
真壁石は、桜川市の真壁地区、加波山の西麓から産出される花崗岩。 建設現場で資材として使われている。真壁石のうち、特に石目の小さい花崗岩を「真壁小目」といい、迎賓館や皇居の縁石など、多くの建造物で使用されている。 つくば市のつくばセンタービルでも使用されている。小目より目が大きいものを「真壁中目」という。また、御影石を加工した「真壁石燈籠」は国の伝統工芸品に指定されている。
稲田石
笠間市の稲田地区から産出される白くきめの細かさが特徴の黒雲母花崗岩。正式には稲田白御影石(いなだしろみかげいし)。 都電の敷石に使われ、現在は銀座3丁目周辺の大通りの歩道の敷石に再利用されている。
稲田石の採掘は1889(明治22)年ごろからとされる。その後1897(明治30)年から本格的な採掘が開始され、翌年の稲田駅開設で、鉄道による運搬が開始され、生産、加工が拡大した。 石切山脈と呼ばれる東西10km、南北5kmの広大な場所から産出している。
羽黒石
桜川市の主に羽黒地区から産出する花崗岩。羽黒青糠目石(はぐろあおぬかめいし)。その名の通り青色系の花崗岩で、糠のように目が細かい。 国産の最高級品として知られ、墓石などに使われるだけでなく、彫刻材としても使用される。
筑波石
筑波山などで産出する斑レイ岩。大正時代、明治神宮内苑造成で庭石に使われたことで知られる。 筑波山の登山道などで見られる石と同じ。切り出して使うのではなく、自然石としてすでにあるものを使用し、庭石など主に日本庭園で使われることが多い。 経年変化でいわゆる"味"が出てくるところに人気がある。
筑波石
造園用に保管されている筑波石
世界のヘリテージストーン
筑波山麓ジオパークの地質遺産「筑波山塊の花崗岩」が国際地質科学連合(IUGS)から世界を代表する55のヘリテージストーン (天然石材遺産)の一つに認定された。認定日は2024(令和6)年7月6日付。日本のみならず東アジア地域初の認定。
認定された石材は産地により「真壁石」(桜川市真壁地区)や「稲田石」(笠間市稲田地区)と呼ばれ、 日本を代表する近代建築で使用されている。国宝の迎賓館赤坂離宮(東京都港区)や国指定重要文化財の日本銀行本館(東京都中央区)、 またつくば市内ではつくばセンター広場で使われている。
国際地質科学連合のヘリテージストーンは、国際的に価値が高く、人類との関わりが古い天然石を認定している。 それらの産地や、地質学的特徴をはじめ、石材としての特性、人類の文化的活用の歴史を後世に残すことを目的としている。
つくばジオミュージアム
「筑波山地域ジオパーク」の活動拠点となる体験型展示施設。 旧筑波東中学校の跡地に建設された複合施設、筑波山ゲートパークのメイン施設のひとつとして2023(令和5)年11月3日オープンした。
教室を利用し「ジオ探求ベース」「大地のつながりシアター」「文化財ギャラリー」「発見発信ラボ」と「休憩ラウンジ」で構成される。 ジオ探求ベースは、筑波山地域にある「大地のめぐみ」を遊びながら学べる。 大地のつながりシアターは、映像とグラフィックを使って地域の魅力や大地のつながりを紹介する。 文化財ギャラリーは、地形や地質、歴史と文化との関わりを学べるよう、市内で出土した石器や土器、石造物が展示されている。 発見発信ラボは、ジオパーク活動に関する展示や書籍などの資料を使っての研究やワークショップなどの開催を行う。 休憩ラウンジには、施設周辺マップはじめ、全国のジオパークの情報発信が行われる。
開館時間は午前9時から午後4時30分。休館日は毎週火曜日。入館料は無料。無料駐車場有。
つくば市北条4160。つくばジオミュージアムの地図
つくばジオミュージアム入口 つくばジオミュージアム文化財ギャラリー
つくばジオミュージアム入口(左)、 同じくつくばジオミュージアム、文化財ギャラリー(右)
つくばジオミュージアム発見発信ラボ つくばジオミュージアムシアター
つくばジオミュージアム、発見発信ラボ(左)、 同じくつくばジオミュージアム、大地のつながりシアター(右)
地質標本館
ジオサイトなどにはなっていないが、筑波山地域ジオパーク関連でお奨めの場所が産業技術総合研究所の地質標本館。 日本で唯一の地学専門博物館で、産業技術総合研究所地質調査総合センター(旧地質調査所)の調査研究成果を発信する施設。 鉱物や化石などが多く展示されており、鉱物資源と社会のかかわり、地球環境の理解と保全なども解説している。
通常展示は4つの展示室で行われ、第1展示室のテーマは地球の歴史。地質図、生物の進化などから地球の歴史を紹介。 第2展示室のテーマは、生活と鉱物資源。鉱物資源や海洋、湖の地球環境の関わりについて説明している。 第3展示室のテーマは、生活と地質現象。火山や温泉、地熱、活断層、地震などについての展示が行われている。 第4展示室は標本展示室で、岩石、鉱物、化石の標本がある。 こういった通常の展示に加え、筑波山地域ジオパークに関連して、地質標本館館内ジオツアーなどのイベントも行われている。
入館無料。開館時間は午前9時30分から午後4時30分まで。月曜日(祝日の場合は翌日)及び年末年始(12月28日から1月3日)休館。臨時休館有。 産総研つくばセンター中央から入る。車の場合、守衛所があるので停車し入館受付する。指定駐車場有(無料)。
つくば市東1−1−1。地質標本館の地図
地質標本館 地質標本館ジオパーク岩石
地質標本館外観(左)、地質標本館の筑波山域ジオパーク関係地域で産出される岩石の展示(右)
地質標本館筑波山パネル 地質標本館筑波山地域ジオパークパネル
地質標本館の筑波山の地質についてのパネル展示(左)、同じく筑波山地域ジオパーク関連のパネル展示(右)
地質標本館加波山花崗岩 地質標本館稲田産ペグマタイト 地質標本館黒雲母天紋片岩
地質標本館に展示されているペグマタイトを伴う加波山花崗岩(左)、同じく笠間市の稲田産ペグマタイト(中)、 同じく土浦市東城寺の霞ヶ浦用水トンネルから産出の黒雲母天紋片岩(右)
ミュージアムパーク茨城県自然博物館
菅生沼の自然を生かした場所に1994(平成6)年にオープン。 「過去に学び、現在を識り、未来を測る」が基本理念の自然系博物館。 地元、茨城県の自然に関する展示のほか、茨城県の自然に関する調査研究 も行われており、多くの報告書も出ている。
開館時間は午前9時30分から午後5時(入館は午後4時30分まで)。 休館日は毎週月曜日(祝日の場合は翌日以降)と12月28日から1月1日の年末年始。 入館料は、一般610円(企画展開催時850円)、高校生380円(同520円)、 小・中学生110円(同170円)、満70歳以上300円(同420円)。
坂東市大崎700。 ミュージアムパーク茨城県自然博物館の地図
筑波山岩立体模型 茨城地質展示
筑波山の地質の立体模型(左)、茨城の地質の展示(右)
筑波山地質展示 花室川ナウマンゾウ
筑波山の地質展示(左)、 つくば市などの花室川で発見されたナウマンゾウの化石(右)
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