掌蹠膿疱症は、手のひらや足の裏に左右対称性に水疱や膿疱を形成し、やがて1週間で乾燥し、黄褐色の痂皮となります。水疱や膿疱は2-4週間隔で繰り返し発生し、かゆみを伴います。一見、みずむしの様に見えますが、指の間に出ないのが特徴です。
掌蹠膿疱症の扁摘効果を紹介します。経過観察期間は3ヶ月から12年,平均21カ月間行いました.扁桃摘出術を行った181例の治療効果は,皮疹が全く消える「消失」が最も多く78例で43%でした。消失、著効、有効を加えた有効群は147例で81.2%でした。扁桃摘出術を受けなかった77例では有効群は52例で67.6%でした(グラフ)。扁桃摘出術を受けなかった群での治療効果は比較的良い結果が出ましたが、手術を受けなかった例は軽症例が多く、外用薬、経口薬などを用いているのに対して、手術例は重症例が多く、しかも術後はほとんど薬を使用していないことを考えあわせると、扁摘群と非扁摘群の差はさらに大きいものと言えます。
IgA腎症とは上気道炎に伴い、血尿を繰り返す疾患です。確定診断は腎生検が必要です。IgA腎症の扁摘効果を紹介します。経過観察期間は5年から19年、扁摘群で平均9.8年、非扁摘群で8.8年間行いました.治療効果は4群に分けて判定しました。
結果はグラフに示します。扁摘群では寛解率28.2%、腎機能保持率(寛解群と腎機能保持群を加えた率)は90.1%、腎生存率(腎不全群を除いた率)は95.8%でした。非扁摘群では寛解率11.9%、腎機能保持率は76.2%、腎生存率は83.8%でした。腎生検による病理組織の結果にもよりますが、IgA腎症に対する決定的な治療法のない現在、扁桃摘出は効果のある治療法といえます。