まなじりに夜霧流れて千灯会
原田富美子
朝
199811
今宵また夜霧のかくす恋いくつ
渡辺純
京鹿子
199904
白檜曾の樹氷をなせり夜霧の灯
阿部ひろし
酸漿
199910
大阿蘇の夜霧の闇の深さかな
松永唯道
円虹
199912
夜霧てふ巨大な闇に捉はるる
稲岡長
ホトトギス
200001
汽車に乗る前のくちづけ夜霧濃し
小澤克己
遠嶺
200012
遠汽笛夜霧まとひて帰り来し
田巻和子
遠嶺
200101
やがて四囲夜霧の砦なりしかな
佐土井智津子
ホトトギス
200104
夜霧降り星のかけらもなかりけり
浅利恵子
ホトトギス
200203
遠鵜舟篝はかなくして夜霧
蔵持柚
銀化
200207
橋に来て夜霧濃くなる水の音
船越美喜
京鹿子
200302
平曲や浜の夜霧の深かりし
大島翠木
槐
200302
牛車道轍をかくす青夜霧
和田照海
京鹿子
200303
富士蔵す夜霧虚ろな大きさよ
稲岡長
ホトトギス
200312
ヘッドライト灯し夜霧の深さかな
栗原公子
沖
200412
老優の訃あり夜霧の尾灯美し
坂ようこ
沖
200412
夜霧さへ昔語りを深めけり
古川洋三
遠嶺
200511
夜霧の町嘗て恋せし人と逢ふ
久保栞
濱
200601
白鯨と夜霧の街で待合せ
佐藤喜孝
あを
200701
詩ごころ消えて夜霧の鎭むころ
荻野千枝
京鹿子
200704
ぶるるると夜霧をはじき犬走る
中村則夫
やぶれ傘
200901
七彩にかはるコースター夜霧かな
神宮安見子
炎環
200911
朝霧の橋を夜霧に帰りけり
鈴木俊孝
末黒野
201101
悠久の比叡の夜霧鐘を打つ
浜口高子
火星
201111
水飲むがごとく夜霧に身を晒す
西川織子
馬醉木
201201
待ち惚けされて夜霧のターミナル
高橋泰子
峰
201201
阿夫利嶺の夜霧巻きくる能舞台
小林愛子
辻楽師
201206
夜霧拭くタオル一枚分の濃さ
甕秀麿
鴫
201302
大吟醸香りに混ざる夜霧かな
岡野安雅
かさね
201311
山あひに沈む一村夜霧濃し
塩路隆子
璦
201312
要らざりし一語か夜霧こころにも
渕上千津
沖
201711
濤音に人声まぎる夜霧かな
玉田瑞穂
万象
201801
夢二現れさうな夜霧の記念館
稲畑廣太郎
ホトトギス
201809
退屈の底に夜霧の落ちてくる
江島照美
槐
201902
おはら節流る夜霧の町並に
延川五十昭
六花
201912
出港す夜霧に丸き灯をつれて
間島あきら
風土
202112
2022年11月5日
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