門火焚く利尻の海霧に一家族
柴田良二
雨月
199901
一瞬の海霧が消し去る烏賊釣火
水原春郎
馬醉木
199908
海猫鳴くや海霧濃き岬行くときに
堤正俊
春耕
199908
海霧ごめの断崖負へる番屋の灯
岩崎きゑ子
馬醉木
199912
まつ毛濡れ海霧に船待つ新教師
工藤義夫
馬醉木
200008
玉を解く芭蕉や海霧の深みつつ
工藤義夫
馬醉木
200008
覚めてゐし親牛仔牛海霧の夜
皆川盤水
春耕
200008
原生花園めぐるや海霧につつまれて
中村房子
馬醉木
200010
まだ霽れぬ海霧に釧路の町暮るる
黒川悦子
円虹
200010
消えてまた海霧に瞬く浮標の灯
岩崎きゑ子
馬醉木
200011
海霧濃しや燈ともしてゐる沖の船
大竹節二
春耕
200107
海霧冷えて今は遠くの国後に
遠藤和彦
遠嶺
200107
玫瑰や海霧迫り来る遭難碑
水原春郎
馬酔木
200109
海霧雫して戻りたる大漁船
藤村美津子
春耕
200109
半島に遠音別岳海霧迫る
小澤克己
遠嶺
200110
沈黙の翳濃き大樹海霧へ向く
戸村よねこ
遠嶺
200110
夏の海轍のめのめと海霧ながれ
阿辺一葉
海程
200110
捨てそだつ鴎はかもめ海霧の中
黒田貴勢
京鹿子
200111
海図なき島は忽ち海霧に消ゆ
鈴鹿仁
京鹿子
200207
膨らみて魚網に憩ふ海霧鴎
村瀬初実
春耕
200207
一湾の海霧をつきぬけ群鴎
藤井基史
帆船
200210
海霧湧きて断崖空に解け込みぬ
岩崎皓子
雲の峰
200210
海霧流る夜の明け初めし熊野灘
中川晴美
雲の峰
200211
海霧動き摩周湖将に現れむとす
岡田暮煙
朝
200211
海霧動き原電百灯動きけり
塩見育代
苑
200303
逆立ちや海霧の黄金色なして
中島陽華
槐
200304
海霧ふかき航やディナーの予約席
塩路隆子
花衣
200307
海霧深き船をこばみし遠流の地
三好智子
沖
200309
海霧深し天下の険の崖下る
岡田有峰
築港
200309
海霧湧くや孤島崩るるかに消ゆる
浜田南風
苑
200310
海霧流れ顔まだ見せぬ安房の山
梅村すみを
沖
200310
海霧覆ひ水平線の見えずなる
小澤友江
築港
200310
駅の名の星置・星見海霧霽るる
斎藤節子
馬醉木
200312
海霧や船団を組む十二隻
伊藤とら
雲の峰
200312
券売機札を拒める海霧の駅
山元志津香
八千草
200401
海霧予報忙し海洋気象台
稲畑廣太郎
ホトトギス
200407
泣きながら積みたる石か海霧の嵩
今瀬剛一
対岸
200407
海霧ごめに艦影憩ふ遠嶺富士
渕上千津
沖
200408
干蛸の踊りどほしに海霧流れ
永田二三子
酸漿
200412
海霧湧くや京葉線の弧のうちに
佐々木よし子
沖
200502
海霧晴れ間昭和新山迫り来る
岩崎靖子
濱
200508
あけがたの団地を海霧の埋めたる
長沼三津失
朝
200508
吹き上ぐる海霧が洗へる牛の艶
手島靖一
馬醉木
200509
踏みたたむ帆に海霧が来てたかる
鷹羽狩行
狩
200509
海霧の夜の根室に船のビール干す
蓮尾あきら
風土
200509
突堤の海霧にわが身をただよはす
長沼三津夫
朝
200510
海霧の中拾ひあげたる小石かな
本多俊子
槐
200511
夜と朝のはざまの家並海霧膨る
安原ときこ
遠嶺
200511
海霧うすれ港夜景の煌めけり
平野伸子
馬醉木
200601
「地の群れ」の叫びは凪ぎて海霧深し
能村研三
沖
200608
六月の海霧深き信長忌
神蔵器
風土
200608
海霧寒く朝の団地を埋めけり
長沼三津夫
朝
200608
海霧引いて満艦飾の男なり
小形さとる
槐
200610
ロシア人多き根室に海霧込むる
長尾和子
濱
200610
海霧ごめに見え隠れする打瀬船
長尾和子
濱
200611
海霧深し岬の鉄柵握りしめ
糸井芳子
朝
200612
海霧幾重母の佃煮黴て着く
澤田緑生
馬醉木
200701
哨戒機一機戻らず海霧急襲
澤田緑生
馬醉木
200701
供奉船の二百海霧より現はるる
青山悠
空
200702
海霧の中その奥深したなごころ
本多俊子
槐
200703
海霧に黒百合濡るる礼文島
阿部悦子
酸漿
200707
竜飛岬より海霧の奈落へ下りけり
伊藤稔代
苑
200710
肩巾ほど開けて商ふ海霧の町
落合絹代
風土
200710
海霧かくす宗谷岬の地を踏みし
堤陽子
遠嶺
200711
海霧に町の声聞く囚人島
柳川晋
槐
200711
海霧が動く市場に胴間声
大川冨美子
ぐろっけ
200712
海霧寒の小樽の沖は日本海
岸田爾子
苑
200801
海霧襖小樽そのまま夜の街
岸田爾子
苑
200803
あかつきや海霧のかくして太平洋
藤井圀彦
狩
200809
沖よりの海霧の深きに灯る街
梶川智恵子
沖
200809
海霧ふかし指呼の千島を奪ひけり
梶川智恵子
沖
200810
海霧の街狼魚の眼の光る
森竹昭夫
遠嶺
200811
海霧流す風あり白帆傾けり
岸田爾子
苑
200902
船霊に柏手を打つ海霧霽るる
鈴木伸一
沖
200908
海霧深し箱館通寶銭座跡
小梅順
炎環
200908
海霧を来て祝福の椅子に座す
小澤克己
遠嶺
200909
海霧日高行き着くところ駿馬の碑
佐瀬晶子
ろんど
200909
海霧のなか濁世も浄土夢菩薩
岸田爾子
苑
200910
海霧深き夜時代屋の飾窓
小山徳夫
遠嶺
200910
言霊をつつむ海霧の深さかな
本多俊子
槐
200910
煌めきの港の今日は海霧に貸す
須田千鶴子
炎環
200911
子らの声洩れ来る海霧の小学校
山内なつみ
万象
200911
海霧深し灯台の灯の息づきて
秋山信行
やぶれ傘
200911
船具屋を閉ざす貼紙海霧深む
五領田幸子
馬醉木
200912
停泊の明かり流るる海霧の湾
丸井巴水
京鹿子
201007
海霧の霽れしフィヨルド旅惜む
井口淳子
璦
201009
玫瑰やたちまち海霧に消ゆる海
根橋宏次
やぶれ傘
201009
海霧の霧れしフィヨルド旅惜しむ
井口淳子
苑
201010
海霧深し媛の入水の湾の口
松本三千夫
末黒野
201011
海霧濡れの朝の街道秋桜
田中臥石
末黒野
201101
「蚊焼」てふ隠れ集落海霧深く
能村研三
沖
201107
独歩詩碑海霧と遊んでゐるやうな
松井志津子
沖
201108
海霧覆ふ丹後半島望み得ず
近藤豊子
雨月
201109
海霧這い来たる無言にて町をあと
あかさか鷹乃
ろんど
201110
湿原の海霧に旅愁をたたみけり
上家弘子
ろんど
201112
葬儀ミサ聖堂に海霧迫り来る
荒井千佐代
空
201209
船笛の行き交ふ海霧の深みかな
北川英子
沖
201209
海霧に幣舞橋は汽笛のみ
三井尚美
ぐろっけ
201210
木道を海霧が隠せり活火山
福島せいぎ
万象
201210
海霧の径何も見えざる大いさよ
本多俊子
槐
201302
2023年11月8日
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