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フェミニスト・コミュニティ・アクティヴィズムとしてのジンとその実践

Zines and the Practices Around Them as Feminist Community Activism

村上 潔(MURAKAMI Kiyoshi)
2021年02月18日(Thursday)13:30-15:30
[2020年度立命館大学国際言語文化研究所リレー講座:1日目第2幕]
《書いて配って世界を変える――Zine・ミニコミ・フェミニズム》
The lecture in the lecture event "Writing, Distributing and Changing the World: Zine, 'Minicomi' and Feminism" as a part of relay lecture of International Institute of Language and Culture Studies, Ritsumeikan University of the 2020 Academic Year

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last update: 20210307

【Index】 しかく企画 しかく講演にあたって しかく講演の前に しかく講演内容 しかく参考/関連 しかくディスカッションの補足 しかく質問への回答 しかく企画を終えて

しかく企画

しかく[2020年度立命館大学国際言語文化研究所リレー講座:1日目第2幕]
《書いて配って世界を変える――Zine・ミニコミ・フェミニズム》
日時:2021年2月18日(木)13:30〜15:30
会場:オンライン(Zoom)
参加費:無料(要事前予約)
主催:立命館大学国際言語文化研究所
★Info → http://www.ritsumei.ac.jp/research/iilcs/event/symposium.html/ / 【PDF】

◇[講演1]ZINE という選択肢――個人と個人をつなぐ小さなメディア
野中 モモ(翻訳者・文筆業(フリー))
◇[講演2]フェミニスト・コミュニティ・アクティヴィズムとしてのジンとその実践
村上 潔(立命館大学衣笠総合研究機構生存学研究所)
◇[講演3]フェミニズム以前のフェミニストたち――1950-60年代岩手女子青年たちの生活記録誌を読む
柳原 恵(立命館大学産業社会学部)

しかく講演者プロフィール用に送付した文章
だいやまーく村上 潔(むらかみ・きよし)
1976年、横浜市生まれ。立命館大学大学院先端総合学術研究科一貫制博士課程修了。立命館大学衣笠総合研究機構(生存学研究所)客員研究員。専門は、現代女性思想・運動史。著書に『主婦と労働のもつれ――その争点と運動』(洛北出版、2012年)など。論文に、「アナーカ・フェミニズムにおけるジン――ジンが教育/スペースであること」(『現代思想』48-4、2020年)など。現在の主たる研究テーマは、フェミニスト・ジン・シーン、アナーカ・フェミニズム、女性+ノンバイナリーのコミュニティによる反ジェントリフィケーション運動、など。
くろまるWebページ → http://www.arsvi.com/w/mk02.htm

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しかく講演にあたって:村上潔(2021年02月02日)

本講演では、近年の世界的な動向から、ジンがフェミニスト・コミュニティ・アクティヴィズム[Feminist Community Activism]の(主要な)一要素として位置づけられることを確認し、ジンをめぐる実践の多様な可能性を指摘する。また、歴史的な連続性という視座に立ち、人種/性/身体/階級/植民地主義といった問題に対し個人もしくはコミュニティの自律的出版活動は、?@いかなるアクションを起こし続けてきたのか、?Aそれらはなぜフェミニズム実践として評価しうる(/すべきな)のか、そして?B現在の激動する世界状況において(も、なお)いかなる変革的推進力を有しているのか、といった点について提言を行なう。そこでは必然的に、日本のジン・シーンがもつ課題も浮き彫りとなってくるだろう。そのうえで、私たちは過去の/現在の/周辺分野のどのような運動/営みにアクセスし、学び、継承し、共闘していくべきであるのかについて、他の講演者・参加者の方々と議論していきたい。

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しかく講演の前に――前提の共有のために

だいやまーく村上潔 20191107 「ジン[Zine]についての簡潔な解説【第7稿】」

だいやまーく村上潔 20191216−(随時更新) 「ジン[Zine(s)]――その世界の多様性と可能性」

だいやまーく村上潔 2021(近刊) 「ジンというメディア=運動とフェミニズムの実践――作るだけではないその多様な可能性」,田中東子編『ガールズ・メディア・スタディーズ』,北樹出版 【告知1】【告知2】

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しかく講演内容

*時間の都合で講演中口頭では触れられなかった内容も含まれます。

はじめに――個人的な話を少し

だいやまーくジンとの出会い
◇=野中モモさん/〈Lilmag〉との出会い
◇大垣有香 2005 『riot grrrlというムーブメント――「自分らしさ」のポリティックス』,遊動社パンフレット 3[Zine]
*2000年12月に執筆した卒業論文をジンとして刊行したもの(現在入手できるのは新装版)
だいやまーく接続するもの
◇ポスト・ライオットガールのフェミニストDIY(エレクトロニック)ミュージック・シーン
〔cf. →Link
◇京都のウーマンリブ運動の資料整理
〔cf. →Link

さて本題――

しかく最近の提言やトピックをいくつかピックアップ
◇ZINES(@fanzines):「ジン[Zines]は、まさにその本来的性質からして、各々の主題に関係なく、政治的な出版物だ。自主制作出版とは、本質的に、長い歴史と多くの物語をもつ抵抗の伝統のなかに位置づく、個人的な反抗的行為である。」くろまる
◇Grrrl Zine Fair(@grrrlzinefair):「ジン[Zines]はいつだって、本質的に政治的なメディアとして存在してきた。それは、何百年もの間人権活動家たちによって活用されてきたパンフレットやリーフレットと、同じ道筋をたどっているのだ。」くろまる/「ジン[Zines]は、マージナライズ〔周縁化〕された人々の現実を映し出す。そして、彼ら彼女らの声を響かせるためのスペースを創出するだけでなく、聞かれるべき言葉をもつ演壇上の人々とコミュニティとを引き合わせる役割を担う。」くろまる
◇〈Free Word〉:「ジン[Zines]はいつだって、抑圧された状態における小さな起爆剤・破裂・細かな亀裂であってきた。それは、権力の構造を再現することなく知を普及させるとはどういうことかを、私たちに教えてくれた。」くろまる
◇Heather Kennedy:「私の推測では、ジンの大半は社会正義に関する、もしくは政治的な要素をもつ。」/「ジンは、より疎外された集団の人々が自らの考えを主張する場だ。」/「少なくとも1990年代以降においては、ジンは、社会正義を追求する運動の最前線に位置してきた。」くろまる/「ジンは真に信頼できるもの。私には、ジンはインターネットより信頼できると感じられる。なぜならジンは、人々に、自分が何者か、自分にとって何が大切かということを、何ら偽ることのないやりかたで共有する場を提供しているから。」くろまる
◇「パージン[Perzine=Personal Zine]は重要だと思う。かき消されがちな声を広めること、異なる歴史や知識を共有・記録すること、そして関係を築くことを促進する力をもっているから。」(Midwest Perzine Fest)くろまる
◇「一般にジンは、そして特にパージン[perzines]は、以下のことを言う一つの手段だ。「ねえ、私はメインストリームのメディア、公式の歴史書、文学の体系からこぼれ落ちたみたい。それでも私は私の物語を語ることができる」。」くろまる「個人的なレベルでは、パージン[perzines]を書くことは、他にはけ口をもたなかった物事を理解する、もしくは少なくともそれについて語ることに、そして同じような経験をしてきた他者とつながるのに役立つ。」くろまる(Midwest Perzine Fest)
◇「他の有色人種女性のパージン[perzines]を読むことで、私は10代後半の最もつらい時期を乗り切った。私たちは生きてきた経験を集団で共有することで、資本主義・家父長制・白人至上主義のもと人々を分断している壁を破壊することができる。」(Midwest Perzine Fest)くろまる
◇「先住民フェミニストの活動実践としてのジン[Zine]制作ワークショップ。先住民の声と経験を共有する空間構築に取り組むコレクティヴ〈Indigenous Honeys〉[...]が主催。3月9日、ニューヨークの〈バーナード・カレッジ図書館〉@barnlib にて。」くろまる
◇《Zines Right Now》:"New York Queer Zine Fair presents an online panel discussion about what it means to make zines in the year 2020, a time of increasing visible social inequality and state violence, global pandemic, and a deepening descent into the virtual world."くろまる
◇《Zine Workshop: How can we make Activism more inclusive?》(Norwich and Norfolk Millennium Library)くろまる

しかくリアルタイムのトピック
だいやまーくQuaranzine[クウォランジン *造語:"Quarantine"+"Zine"]
◇パージン[Perzine]への回帰/オンラインでの共同作業
◇孤独・不安と向き合う/紐帯の確認
だいやまーくBLM[Black Lives Matter]+アボリショニズム[Abolitionism]
◇抗議現場/支援の場での活用
だいやまーく中絶の権利[Abortion Rights]をめぐる運動
◇女性身体[Female Body]の焦点化
だいやまーくインターセクショナリティ[Intersectionality]
◇WOC/QTPOC/Queer Muslim/Working Class Queer ......
だいやまーくデコロナイズ(脱植民地化[Decolonize/Decolonise])
◇《Decolonise Fest》(ロンドン)
◇インディジナス[Indigenous]・ジン

しかく何が/なぜ「新しい」とされるのか?――そこで見過ごされるものは何か
だいやまーく商業メディア・アカデミズム
◇いつだって都合よく"新たに"・"再発見"・"再評価"されてしまう(!)ジン・カルチャー〔cf. →Link
だいやまーく消費主義
だいやまーく能力主義
だいやまーくエイジズム[Agism]
だいやまーく白人中産階級中心主義
◇アジア・中南米・アラブ・アフリカ......ほか周縁世界のジンの軽視

しかくジンが(普遍的に)もつ問題喚起の力
だいやまーく人種[Race]
だいやまーく身体/性[Sex/Gender]
・生殖/再生産[Reproduction]
・中絶
・性的暴行
・トランス/クィア
・体型
だいやまーくメンタルヘルス/障害[Disability]
だいやまーく階級[Class]
だいやまーく植民地主義
だいやまーく環境
+
だいやまーく見えない多様な抑圧――の問題化

しかく歴史――と陥穽
だいやまーく第2・3波フェミニズム
◇埋もれがちなローカルな/無名の人々の営みの歴史:掘り起こす意識
◇Riot Grrrl ×ばつ Queercore
だいやまーくPOC・WOCの不可視性――の問題化
◇cf. 〈POC Zine Project〉
だいやまーく移民・セックスワーカー・障害者......
◇支援の対象としてだけでなくその主体性を認識すること

しかく抵抗・解放
だいやまーくラディカリズム[Radicalism]
だいやまーく直接行動[Direct Action]
だいやまーく運動のなかでの差別・排除・抑圧 ←★ここ特に大事!(フェミニスト・ジンの特質であり存在意義)

しかく実践・模索
だいやまーくアクセシビリティ[Accessibility]
だいやまーくセーファー・スペース[Safer Space]
だいやまーくフェミニズムの運動のなかで醸成されてきた方法論(Consciousness-Raisingなど)

しかくジンである必然性
だいやまーく身体性
◇触れる/手渡す/声に出して読む→聴く
だいやまーく親密性
◇手紙/日記
◇単なる「つながり」を超えて
だいやまーく自律性
◇個人の/コミュニティ単位の
だいやまーくマージナル[Marginal]であること/あり続けること
だいやまーくサポーティヴ[Supportive]な関係性があること

しかく教育
だいやまーく「教育現場での活用」を越えて
◇非「指導」的環境
だいやまーくジンそのものが教育であること
◇自律的な学びの連鎖
だいやまーくジンによって喚起されるコミュニティの教育的機能
◇コミュニティにおける関係性(男性>女性/学歴の高低......)の再編

しかくフェミニスト・コミュニティ・アクションとしてのジン
だいやまーく労働・生活・運動・支援・相互ケア......の場
◇――と切り離されておらず一体であること
だいやまーくサード・スペース[Third Space]
◇ジンならびにジンを取り巻く環境=サード・スペース
◇正義(Social Justice)・癒やし・回復・愉しみ......
◇こたつ/キッチンテーブル/公園のベンチ――ジンが生み出され読まれる空間(最小単位):主体性の/闘争の砦であり・複層的なコミュニティのベースであり・見えない導線のハブ
だいやまーく「ジンとは、闘争の武器であり、闘争への導線であり、そしてそれ自体が闘争のフィールドである。[Zines are weapons of struggle, lead-ins to struggle, and fields of struggle in themselves.]」(村上潔)
だいやまーくコミュニティ構築の実践として
◇物理的距離を越えて
◇既存の(地域的・社会的)コミュニティの批判的発展のために:運動内の差別・抑圧・家父長制的関係の解消へ
だいやまーくジンそのものとコミュニティのクィア化・脱植民地化[Decolonization]
◇それ自体フェミニスト・アクティヴィティとしての実践
◇+階級・障害...... →アクセシビリティ[Accessibility]
だいやまーくコミュニティ・アクティヴィズムを複合的に再編
◇ローカルなコミュニティとサード・スペースとしてのコミュニティの連動
◇フェミニスト・パースペクティヴによって運営・実践
だいやまーく生存と解放と連帯と共闘――に向けて
◇自律性[Autonomy]と連帯[Solidarity]:同時に高め・確保していく
◇防衛[Defense]と拡張[Expansion]:広範なネットワークの強化
◇生存維持[Subsistence](ケア・ハウジング......)と一体化したものへ

文献

◇Arroyo-Ramirez, Elvia; Chou, Rose L.; Freedman, Jenna; Fujita, Simone; Orozco, Cynthia Mari, 2018, "The Reach of a Long-Arm Stapler: Calling in Microaggressions in the LIS Field through Zine Work", Library Trends, 67(1): 107-130.
◇Bojar, Karen; Naples, Nancy A., 200206, "Teaching Feminist Activism Experientially", Nancy A. Naples and Karen Bojar eds., Teaching Feminist Activism: Strategies from the Field, New York: Routledge, 1-6.
◇Buchanan, Rebekah, 2019, "Zines, Art Activism and the Female Body: What We Learn from Riot Grrrls", p/art/icipate: Kultur aktiv gestalten #10, October 2, 2019, (https://www.p-art-icipate.net/zines-art-activism-and-the-female-body-what-we-learn-from-riot-grrrls/).
◇Creasap, Kimberly, 2014, "Zine-Making as Feminist Pedagogy", Feminist Teacher, 24(3): 155-168, (https://doi.org/10.5406/femteacher.24.3.0155).
◇Dark Star Collective ed., [2002] 2012, Quiet Rumours: An Anarcha-Feminist Reader, Third Edition, Oakland: AK Press.
◇Dobush, Grace, 2020, "Quaranzines: Pandemic Inspires Analog Zine Projects", Craft Industry Alliance November 2, 2020, (https://craftindustryalliance.org/quaranzines-pandemic-inspires-analog-zine-projects/).
◇Duncombe, Stephen, [1997] 2017, Notes from Underground: Zines and the Politics of Alternative Culture, Third Edition, Portland: Microcosm Publishing.
◇Erdogan, Elif[エリフ・エルドアン], 2020, "Against the Mainstream: Feminist Zines in Japan", Voice Up Japan, June 29, 2020, (https://voiceupjapan.org/2020/10/03/feminist-zine-japan/).=20201003 大島アイシェ遥訳,「主流に抗う――日本のフェミニスト・ジン」,『Voice Up Japan(日本語版)』
*村上潔による《Morning Zine Circle》ならびに日本のフェミニスト・ジン・シーンに関するコメントを掲載
◇Khandwala, Anoushka, 2021, "How the Radical History of Self-Publishing Paved the Way for Artists Today", Elephant, January 22, 2021, (https://elephant.art/how-the-radical-history-of-self-publishing-paved-the-way-for-artists-today-22012021/).
◇Licona, Adela C., 2012, Zines in Third Space: Radical Cooperation and Borderlands Rhetoric, New York: State University of New York Press.
◇Lion, Veronica, 2014, "When Anarcha-Queer-Feminism Meets Grrrl Culture: Riot Grrrl as an Example for Anarcha-Queer-Feminist Practices," (https://www.academia.edu/28999477/When_anarcha-queer-feminism_meets_grrrl_culture_Riot_Grrrl_as_an_example_for_anarcha-queer-feminist_practices).
◇Lynch, Olivia, 2018, "Riot Lite: How Grrrl Power Sold Out", Medium, November 13, 2018, (https://medium.com/@livliv_99243/riot-lite-how-grrrl-power-sold-out-a4f51713da92).
◇Maher, Kathleen, 1996, "Straight Talking: Feminist Community Activism", Ailbhe Smyth ed., Feminism, Politics, Community, Dublin: WERRC, 28-32.
◇May, 2020, "The Reach of a Long-Arm Stapler: An interview with Elvia Arroyo-Ramirez", Johns Hopkins University Press Blog, June 30, 2020, (https://www.press.jhu.edu/news/blog/reach-long-arm-stapler-interview-elvia-arroyo-ramirez).
◇Murphy, Mikako, 2020, "Quaranzine Review: Communal Care", Barnard Zine Library, December 15, 2020, (https://zines.barnard.edu/news/quaranzine-review-communal-care).
Naples, Nancy A., 199711, "Women's Community Activism and Feminist Activist Research", Nancy A. Naples ed., Community Activism and Feminist Politics: Organizing Across Race, Class, and Gender (Perspectives on Gender), New York: Routledge, 1-27.
◇Naples, Nancy A., 200202, "Changing the Terms: Community Activism, Globalization, and the Dilemmas of Transnational Feminist Praxis", Nancy A. Naples and Manisha Desai eds., Women's Activism and Globalization: Linking Local Struggles and Transnational Politics, New York: Routledge, 3-14.
◇Piepmeier, Alison, 2009, Girl Zines: Making Media, Doing Feminism, New York: New York University Press.=2011,野中モモ訳『ガール・ジン――「フェミニズムする」少女たちの参加型メディア』太田出版
◇Pongo Pygmaeus 2007 Anarcha-Feminism[Zine]
◇Rebelsister, 2017, "Zelfgemaakte Alternatieve Mdia als Activisme: De Rol van Zines in Feminisme"[="Homemade Alternative Media as Activism: The Role of Zines in Feminism"], De Tweede Sekse Voorbij, Juni 19, 2017, (https://tweedesekse.wordpress.com/2017/06/19/zines-als-activisme-de-rol-van-alternatieve-media-in-feminisme/).
◇Reinert, Miranda, 2020, "On Discussion of Diy and Discussion of Discussion of Diy and...", something old, something new, July 12, 2020, (https://somethingold.substack.com/p/on-discussion-of-diy-and-discussion/).
◇Rentschler, Carrie, 2019, "Making Culture and Doing Feminism", Tasha Oren and Andrea L. Press eds., The Routledge Handbook of Contemporary Feminism , Routledge, 127-147.
◇Rosenberg, Rachel, 2020, "Quaranzines Are Popular and Libraries Are Noticing", Book Riot, July 20, 2020, (https://bookriot.com/quaranzines-and-libraries/).
◇Yalzadeh, Ida, 2021, "Celebrate zines", Anti-Racism Daily, February 10, 2021, (https://www.antiracismdaily.com/archives/celebrate-zines-anti-racism-daily).
◇Yeung, Helen, 2018, "Radical, Raw and Real: Asian Diaspora Activism through Zine-making," Hainamana, November 14, 2018, (http://www.hainamana.com/radical-raw-and-real-asian-diaspora-activism-through-zine-making/).
◇栄井香代子・竹村正人・村上潔 20070331 『「平成18年度京都市男女共同参画講座受講生参考資料(女性解放運動関係)収集調査」報告書』,NPO法人京都人権啓発センター・ネットからすま(提出先:京都市女性協会),28p.(A4版)[付:資料目録(22p.)]
◇西山敦子(DIRTY)×ばつ村上潔 20160331 「ジンを「わたしたち」のものとして生かすために――フェミニスト・ジンへのアプローチとその潜在的可能性」(特集3:フェミニスト・ジンの現在),立命館大学生存学研究センター編『生存学 Vol.9』生活書院,196-226.
◇野中モモ 20190406 「声を出す練習――日本のZINEの(再)発見」,『すばる』41(5): 187-194
◇野中モモ 20200330 『野中モモの「ZINE」――小さなわたしのメディアを作る』,晶文社
◇野中モモ(聞き手:住本麻子) 20200808 「[野中モモ氏に聞く、『野中モモの「ZINE」』]商業誌でもSNSでもない、ZINEだけが持つもの――みんながより幸せになるための出版活動のありかたを探る」『図書新聞』3459(2020年08月08日): 8
◇村上潔 20140505 「[連載]京都の女性運動と「文化」(全3回)第1回:序論――女のスペース〈シャンバラ〉の活動から」,Webマガジン『AMeeT』(一般財団法人ニッシャ印刷文化振興財団)2014年5月5日更新
◇村上潔 20140708 「[連載]京都の女性運動と「文化」(全3回)第2回――〈シャンバラ〉以後、1980年代のリブ運動」,Webマガジン『AMeeT』(一般財団法人ニッシャ印刷文化振興財団)2014年7月8日更新
◇村上潔 20140926 「[連載]京都の女性運動と「文化」(全3回)第3回――1990年代、リブとして生き続けることの模索」,Webマガジン『AMeeT』(一般財団法人ニッシャ印刷文化振興財団)2014年9月26日更新
◇村上潔 20160331 「解題:いまフェミニスト・ジンについて考えること」(特集3:フェミニスト・ジンの現在),立命館大学生存学研究センター編『生存学 Vol.9』生活書院,188-194.
◇村上潔 20180126 「[連載]都市空間と自律的文化へのアプローチ――マンチェスター・ジン・シーン・レポート(全4回)第1回:サルフォード・ジン・ライブラリー」,Webマガジン『AMeeT』(一般財団法人ニッシャ印刷文化振興財団)2018年1月26日更新
◇村上潔 20180307 「[連載]都市空間と自律的文化へのアプローチ――マンチェスター・ジン・シーン・レポート(全4回)第2回:ワークショップ《メイク・スタッフ》が示す可能性」,Webマガジン『AMeeT』(一般財団法人ニッシャ印刷文化振興財団)2018年3月7日更新
◇村上潔 20180331 「[連載]都市空間と自律的文化へのアプローチ――マンチェスター・ジン・シーン・レポート(全4回)第3回:創造の「スペース」としての《ジン・クラブ》」,Webマガジン『AMeeT』(一般財団法人ニッシャ印刷文化振興財団)2018年3月31日更新
◇村上潔 20180419 「[連載]都市空間と自律的文化へのアプローチ――マンチェスター・ジン・シーン・レポート(全4回)第4回:ソーシャル・スペース〈パルチザン〉から見るジンとスペースの潜在力」,Webマガジン『AMeeT』(一般財団法人ニッシャ印刷文化振興財団)2018年4月19日更新
*cf. ◇村上潔 20180129− 「[連載]都市空間と自律的文化へのアプローチ――マンチェスター・ジン・シーン・レポート(全4回):関連情報」
◇村上潔 20190425 「アナーカ・フェミニズム」,『現代思想』47(6): 170-173
*2019年5月臨時増刊号《総特集=現代思想43のキーワード》
◇村上潔 20200130 「ジン(Zine)」,社会文化学会編[2020:69;116-117]*
*社会文化学会編 20200130 『学生と市民のための社会文化研究ハンドブック』,晃洋書房,140p. ISBN-10: 4771032793 ISBN-13: 978-4771032798 1500+ [amazon]/[kinokuniya]
◇村上潔 20200227 「アナーカ・フェミニズムにおけるジン――ジンが教育/スペースであること」,『現代思想』48(4): 160-168
*2020年3月臨時増刊号《総特集=フェミニズムの現在》
◇村上潔 20200301−(随時更新) "Zines on Sexual Assaults and Supporting Survivors (Including the Problem of 'Consent')"[性的暴行ならびにそのサヴァイヴァー支援に関するジン――性的同意の問題も包括して] *事項ページ
◇村上潔 20200324 「DIYの文化シーンとアクセシビリティ――その精神・実践・意義」,Webマガジン『AMeeT』(一般財団法人ニッシャ印刷文化振興財団)2020年3月24日更新
◇村上潔 2021(近刊) 「ジンというメディア=運動とフェミニズムの実践――作るだけではないその多様な可能性」,田中東子編『ガールズ・メディア・スタディーズ』,北樹出版 【告知1】【告知2】

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しかく参考/関連 *上に既出の情報は省く

◇村上潔 2021年01月23日 「[報告]「運動」と「学習」の幸福な連動は可能か――地域女性史の実践のなかで」 [報告者/パネリスト]
《[シリーズ:ミニコミに学ぶ IV]地域に生きた女性たちの「フェミニズム」――「全国女性史研究交流のつどい」報告集全12回を読む》第2部:"地域女性史"の再発見+第3部:ディスカッション
◇滝川マリ・冬木花衣・ぶんた(聞き手:村上潔) 20070731 「[インタビュー]八〇年代京都におけるリブ運動の模索――〈とおからじ舎〉へ、そして、それから。」,『PACE』03: 36-49 【Web掲載:20200927】
◇2020年07月22日 [Panel]"Zine Libraries and Zine Librarianship"
パネリスト:Rhonda Kauffman(Chair)・Kiyoshi Murakami[村上潔]・Marya Errin Jones・Ziba Perez Zehdar
UTC 02:00〜03:00(日本時間=22日11:00〜12:00) オンライン開催(Zoom)
*〈Zine Librarians unConference〉の活動の一環として開催されたワンデーイベント《International Zine Library Day 2020》(7月21日UTC 20:00〜22日UTC 04:00)内の企画
◇20200220 「図書館員・アーキビストの人たちはワークショップを開いてコンピレーションのメンタルヘルス・ジンを作成」
◇20191221 「今回の選挙〔イギリス総選挙〕結果によって深刻な影響を受けるであろう人々に対して、何か少しでも援助をしたいと思っているすべての人に」シェアされるよう作られたミニ・ジン」
◇20191218 「ロンドンのジン・コレクティブ〈daikon*〉は人命を奪うイギリスの国境管理体制と闘うすべての人々に連帯を示す」
◇20191217 「10月に無料のコミュニティ・ランチを提供していた〈Glasgow Zine Library @GlasgowZineLib〉が[...]」
◇Campau, Neil, 201207, "DIY", Neil Campau (185668232 et al. eds.), Building: A DIY Guide to Creating Spaces, Hosting Events and Fostering Radical Communities, 1st Edition (July 2012), DoDIY.org, 2-3.=20191202 村上潔訳,「DIY」
◇行司千絵(記者) 20191107 「市井の人がつづる、政治・性差別・子育て... 小冊子Zine[ジン]ご存知ですか――思い共有 ゆるやかなつながりへ」,『京都新聞』朝刊8〔暮らし〕面
*村上潔を含む〈Morning Zine Circle〉のメンバー3名への取材記事。ジン・カルチャーの特質、〈Morning Zine Circle〉の活動とその意義、ならびに《NIJO Zine Fest #03》に関する紹介。
◇20191014 「〈Glasgow Zine Library @GlasgowZineLib〉では[...]コミュニティ・ミールとしてカレーを無料で提供する」
◇村上潔 20191001 「〈Morning Zine Circle〉の紹介」
◇20190929 "I feel uncomfortable with the term 'Zine Market'"
◇20190921 「《サンタクルーズ・ジンフェスト》では、地域のジンスタたちの、抵抗/コミュニティ/政治的・個人的闘争に関する作品が並ぶ」
◇Knight, Rosie, 2018, "How Zine Libraries Are Highlighting Marginalized Voices", BuzzFeed News, December 30, 2018, (https://www.buzzfeednews.com/article/rosieoknight/zines-libraries-marginalized-voices).=20190829 村上潔訳,「ジン・ライブラリーはいかにして周縁化された声を強調しているのか」*非公開/教育利用
◇Murakami, Kiyoshi, 20190709, "Zines and Me: Q&A with Alex @fanzines"
◇20190603 「《オリンピア・ジンフェスト[Olympia Zine Fest]》における非主流コミュニティの声を優先させ・増幅させる取り組み」
×ばつ村上潔(司会:堅田香緒里) 20190531 「[トークセッション]オリンピックとジェントリフィケーション――ジェンダー・文化・アクティヴィズムの観点から」,『支援』9: 151-181
◇村上潔 2019年05月26日 「[Lecture & Workshop]セーファースペースとしてのジン・コミュニティをつくる」 [ゲスト講師/ファシリテーター]
14:00〜17:00 於:ナゴヤ駅西 サンサロ*サロン
◇20190305 「先住民フェミニストの活動実践としてのジン[Zine]制作ワークショップ」
◇20190305 「国際会議(《Zine Librarians unConference》)に参加を希望している黒人・先住民・有色人種の人たちに対し旅費を助成する取り組み」
◇村上潔 2018年12月06日 「[Lecture & Workshop]ジン・カルチャーの世界を知ろう!」 [ゲスト講師/ファシリテーター]
13:45〜15:45 於:立命館宇治中学校・高等学校
*《WOWプログラム》(エクストラ授業)の一環で/中学1年生の有志12名(女子)を対象に開催
◇2018年09月22日 《East Nine Zine Circle》第2回 [ゲストファシリテーター:村上潔]
14:00-16:00 於:Books×ばつCoffee Sol. 【村上潔「アジアのジンシーンとつながること――に関する言及のメモ」】 【主催者による開催報告】
×ばつ村上潔(司会:堅田香緒里) 2018年09月12日 「[『支援』トークセッション:2018秋]オリンピックとジェントリフィケーション――ジェンダー・文化・アクティヴィズムの観点から」 [ゲストスピーカー]
16:00〜19:00 於:カフェ・ラバンデリア(Café★Lavandería)
◇2018年07月28日 《East Nine Zine Circle》第1回 [ゲストファシリテーター:村上潔]
13:00〜15:00 於:Books×ばつCoffee Sol. 【チラシ画像】 【配布資料?@】(→くろまるPDF) 【配布資料?A】(→くろまるJPG) 【配布ジン】(→くろまるPDF) 【作成ジン】(→くろまるPDF) 【主催者による開催報告】
◇村上潔 2018年06月26日 「[講義]ジン・カルチャーとわたし――出会い・関わりとその周辺にあるもの」 [ゲスト講師]
10:40〜12:10 滋賀県立大学人間文化学部2018年度前期科目「社会運動論」(担当:大野光明)第12回
◇Casio, Holly, 2017, "The Economy of Zines," Cool Schmool, March 9, 2017, (https://coolschmool.com/news/economy-of-zines).=20180620 村上潔訳,「ジンの経済」
◇ばるぼら・野中モモ編 20171101 『日本のZINEについて知ってることすべて――同人誌、ミニコミ、リトルプレス 自主制作出版史1960〜2010年代』,誠文堂新光社
◇余座潤美(Cafe Phalam オーナー)×ばつ村上潔(Morning Zine Circle ファシリテーター) 2017年10月28日 「[Talk]食とZineとフェミニズムと――ここで何を伝えようとしているのか」 [対談]
17:00〜17:30 於:Cafe Phalam(カフェパラン) 【配布資料(PDF)】(作成:村上潔)
*《NIJO Zine² Fest》内の企画
◇行司千絵(記者) 20171021 「顔見える相手と思い交換――市民がつづる小冊子「ジン」 28日に中京で展示:海外でイベント盛ん、京でも」,『京都新聞』朝刊17〔暮らし〕面
*村上潔と余座潤美(〈カフェパラン〉オーナー)へのインタビューからなる《NIJO Zine² Fest》の事前取材記事
◇村上潔 2017年05月20日 「[Zine Talk]イギリスにおけるジン・フェスト/ジン・ライブラリー/ジン関連プロジェクトの概要」 [トークゲスト]
16:00〜16:30 於:三島市民生涯学習センター 5F 手芸室
*《Quiet Hills Zine Festival》内の企画
◇村上潔 2017年04月23日 「[Talk]ジンとフェミニズムの古くて新しい関係」 [トークゲスト]
17:00〜19:00 於:art space tetra
*《Garden #07 For Zine》内の企画
◇Grrrl Zines A-Go-Go, n.d., "Zine Workshop Guide + Resources: Tips and tricks on how you can start a zine workshop group yourself", (http://www.grrrlzines.net/workshopguide.htm).=20170418 村上潔訳,「ジン・ワークショップ・ガイド+リソース――あなたが自分でジン・ワークショップ・グループを始めるためのヒントとコツ」
◇村上潔 2017年04月13日 「[Lecture]Zine制作ワークショップ運営にあたって注意すべきいくつかの事柄」 [ゲスト講師]
13:10〜14:40 於:同志社大学今出川キャンパス クラーク記念館CL25教室
*同志社大学経済学部山森亮ゼミ&〈Kyoto Basic Income Weekend 実行委員会〉合同企画
◇神戸市外国語大学2017年度前期科目《ジェンダー論入門》「女性がつくる自律的文化シーン――メディア・空間・アクティヴィズム」(担当:村上潔)
◇村上潔 2017年02月04日 「[Talk]ZINE・ラジオ・都市空間――DIY文化の「場」」 [トークゲスト]
20:15〜20:45 於:LOSER
*《LOSER OSAKA ZINE FAIR 2017 #1》(2017年02月04日-26)オープニングレセプションパーティ内の企画
◇村上潔 2017年01月29日 「[Lecture & Workshop]アクティヴィズムとZINE――マージナルな立場からの発信とその共有」 [ゲスト講師/ファシリテーター]
14:00〜16:00 於:京都YWCA
*《丹後もちフェス2017》のワークショップ企画
◇村上潔 2016年11月20日 「[Lecture & Workshop]ZINEを通して学ぶこと・できること――思いをシェアする/運動を知る/文化をつくる」 [ゲスト講師/ファシリテーター]
14:00〜17:00 於:ナゴヤ駅西 サンサロ*サロン
◇行司千絵(記者) 20161012 「自身の思いつづる「ZINE」――歴史的背景や意義探る:中京で14日」,『京都新聞』朝刊23〔地域〕面
*《Morning Zine Circle》始動に際しての取材記事 cf. [記事への反応]
◇Murakami, Kiyoshi, 2016, "Report: ASIAN ZINESTER ASYLUM (September 13, 2016 / Shinjuku, Tokyo)", arsvi.com, September 23, 2016, (http://www.arsvi.com/2010/20160923mk.htm).
◇村上潔 20160730 "Teaching about Zines" (Kobe; Zine; B7; 8p.) [補足説明]
◇Hanna, Kathleen, 1991, "The Riot Grrrl Manifesto", Bikini Kill 2 (Girl Power): 44.=20160612 村上潔訳,「ライオット・ガール・マニフェスト」 *改訂:20180609/20201106
◇神戸市外国語大学2016年度前期科目《ジェンダー論入門》"Grrrl/Queer/Feminist Zines"(担当:村上潔)
◇毎月第2金曜日(2016年10月14日−) 《Morning Zine Circle》 [企画/ファシリテーター:村上潔]
10:00〜11:00 於:Cafe Phalam(カフェパラン)
×ばつ村上潔 20150331 「(座談会)母への抑圧/母からの創造――クリエイティブ母の条件」(特集2:クリエイティブ母),立命館大学生存学研究センター編『生存学 Vol.8』,生活書院,214-243.
◇村上潔 20150331 「特集解説:なぜいま「クリエイティブ母」なのか」(特集2:クリエイティブ母),立命館大学生存学研究センター編『生存学 Vol.8』,生活書院,208-212.
◇2015年01月18日 《ZINE CIRCLE #2》 [企画/主催:村上潔]
13:00〜17:00 於:甘夏ハウス
《[第76回西荻ブックマーク]女子と作文・主婦と労働》
2014年01月26日 於:今野スタジオマーレ[西荻窪]
出演:近代ナリコ・村上潔
‐ 村上潔「対談にあたって」
‐ 村上潔「「女子と作文・主婦と労働」文献案内」

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しかくディスカッションの補足

だいやまーく柳原さんの報告に関係して
◇活動の主体が――
"大文字の運動(生活記録運動)+固定的組織(青年団)の「内側」における活動であること":ジン・カルチャーとの相反性
×ばつ
"そうした運動・組織においてマージナルな(マージナライズされた)存在であること":ジン・カルチャーとの親和性
――という両義性:評価の難しさ(+おもしろさ)
◇共同作業+成果の共有を通じたシスターフッドの構築:その各活動の範囲と横の連携の実態は
◇「戦後民主主義」へのスタンス:"前提であり追求するもの"(生活記録運動)×ばつ"欺瞞として対峙するもの"(リブ以降のラディカルなフェミニズム)

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しかく質問への回答

*企画の時間内には対応できなかった質問に回答します(質問の文面は原文ママ)。

だいやまーくじんが ちょくせつ こうどうで うまく いくというのは、 どういう ぐたいれいが ありますか?(おもに、むらかみ さんへ)

「うまくいく」というのがどういう状態をイメージされているのかはわかりませんが......、そのうえで。
たとえば、英語・スペイン語で共有されているものとして、以下。
NYC Protest Safety: A Comprehensive Guide of Techniques to Help Keep You Safe Before, During, and After a Protest (2020)
ぱっと見てすぐわかるように、漫画で表現されたものも多いです(たとえば→【こちら】)。
こんな感じで現場で共有されます(→【こちら】)。
直接行動と直結したジン(の存在形態)に関する、日本語で読める情報としては、中山(2019)があります。
◇中山亜弓 20191023 「デモのなかで生まれる香港のポリティカル・ジン」,『マガジン航』,2019年10月23日更新
それ以外の情報は、【こちら】の「だいやまーく抵抗/支援の現場で必要とされるもの」項を参照してください。

だいやまーく村上さんのお話のなかで、ZINEは運動の中での差別・排除・抑圧に対して力をもつ、と話されていましたが、より具体的には、どのような力をもつのでしょうか?

「運動の中での差別・排除・抑圧」には、直接的な性差別・人種差別・障害者差別・トランスフォビア・各種ハラスメントといったものだけでなく、アクセシビリティの欠如(による排除)といった間接的なものも含まれます。
私たちはジン(の制作・配布・共有)を通して、
◇そうした事態を未然に抑止するための啓発
◇実際に起こったことの告発
◇被害を受けた当事者に対するサポート
◇出来事の問題化(原因究明・要因分析)と経過報告ならびに再発防止に向けた議論
を行なうことができます。
ジンに関する取り組み(ジンフェスト、ワークショップ、サークルなど)における、差別・排除・抑圧を防止する実践としては、村上(2019)(2020)ならびに【こちら】の「だいやまーくアクセシビリティ[Accessibility]」項を参照してください。

だいやまーく1.ジンスタを自認している方々は、どのようにヒエラルキーなく交換会のようなイベントを組織しているのでしょうか。2.漫画の同人誌カルチャーのように、テーマやジャンルで異なるコミュニティがあるのでしょうか。

▼1
まず、村上(2018a)(2018b)の2つのレポートは参考になると思います。
加えて、ロンドンの、
2017年7月の〈テート・ブリテン〉・〈ビショップスゲート・インスティテュート〉によるZineに関するワークショップ
の事例も。
また、メジャーな公的施設で開催される企画であっても、マイノリティ当事者主導の組織が主催することで、インクルーシヴでサポーティヴな環境を築くことができるでしょう(→【参考】)。
ワークショップを開催する際の具体的な進行方法と注意点、ファシリテーターの心構えは、村上(2017a)、Grrrl Zines A-Go-Go(n.d.=2017)、ならびにジーナ・マレルさんの2017年のツイート(→【こちら】)を参照してください。
*付記:ファシリテーションの進行表の一例が【こちら(PDF)】/セーファースペース・ポリシーの一例が【こちら(JPG)】
なお、イベントではなく、「場」の運営の方面でいえば、マサチューセッツ州サマービルにある〈ペーパーカット・ジン・ライブラリー〉は、ボランティアの「非階層的な合意に基づくモデルによって運営されている」図書館であると紹介されています(→【こちら】)。もちろんこれはここに限ったことではなく、(図書館の属性によって多少質的な差異はあっても)基本的にジン・ライブラリー――その他、ジンに関する活動の拠点となるDIYスペース――はそのような理念・特性で成り立っています(マンチェスターにある〈サルフォード・ジン・ライブラリー〉の例が→【こちら】)。
あとは、一つ上の質問の回答も関連して役立つと思います。
▼2
ジンのテーマは驚くほど多岐にわたります。たとえば、ディスアビリティ・ジン、メンタルヘルス・ジン、クィア・ジン、レズビアン・ジン、ファット・ジン......、くわしくは【こちら】をご覧ください。
ジャンルでは、パージン[Perzine=Personal Zine]、クウォランジン[Quaranzine]、コミック・ジン、フォト・ジンなどがあり、それぞれに特化したジンフェストなどがあります。
クィア・ジンフェスト/フェア、フェミニスト・ジンフェスト/フェア、ガール[Grrrl]・ジンフェア、アナキスト・ジンフェア、といった括りで開催されるイベントも多数あり、加えて、ラディカル・ブックフェア、アナキスト・ブックフェアといったイベントにおいてもジンが占める割合はそれなりに高いです。
村上(2017b)をご覧いただくと、イギリスだけをとってみても、各都市に多様なコレクティヴやイベントが存在していることがわかると思います。

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しかく企画を終えて:村上潔(2021年02月19日)

だいやまーくディスカッションの際、何かの話の流れで、「第4波フェミニズムとジン・カルチャーには距離がある」旨をチャット欄に書き込みましたが、このへん、時間があればもう少し詳しく説明・議論したかったところです。私の見立てとしては、ジンスタ――とりわけフェミニスト・アクティヴィストのジンスタ――は、ハッシュタグやSNSでの流行といったものは容易に権力・資本に「回収」されるということを認識していて、警戒しているはずです。そう、過去の「ガール・パワー[Girl Power]」の例を知っているから。また、ジンスタは(一般的に考えて)、?@液晶画面のなかではなく、より「直接的」な地平での関係性の構築を、?A正体不明の仮想的・擬態的なアイコンの集合とではなく、表情や体温を感じられる「本人」(それがたとえ仮名であっても)との親密な関係性の構築を、求めています。以上のことから、現在メディアでもてはやされている「新しい」フェミニズムの傾向に対しては、概ね懐疑的であり、多少なりとも警戒心をもっていることが想定されます。日本における(数少ない)アナーカ・フェミニズムのジンの一つ、『呪詛』の第3号の表紙には、「売れている本を読むこと、|トレンドの議論を追うこと――|それだけがフェミニズムじゃない。|ひとりひとりの地味で地道な実生活。」というコピーが載せられています。これはまさに示唆的な(意義ある)「反応」の一つだと思います。
だいやまーく時間の制約上、具体的なジンの事例紹介はできませんでした。アナーカ・フェミニズムのジンについては、村上(2019)村上(2020)を、それ以外のフェミニスト・ジンについては、西山・村上(2016)Erdogan(2020)〔*日本語版〕を参照してください。また、近年の日本のジンならびにジン・シーン全般については、野中モモさんのご著書(野中 2020)を参照してください。
だいやまーくこの3人で、(日本/海外、戦前/戦後を問わず)女性運動/フェミニスト文化における(DIY)出版活動の意義と課題について、もっと自由にいろいろと話してみたらおもしろいだろうなあ......と思いました。(上の「ディスカッションの補足」に書いたように)議論したい点もいくつもあるし。いつかそんな機会が訪れることを期待しています。ありがとうございました。

しかく反応



*作成:村上 潔(MURAKAMI Kiyoshi)
UP: 20210202 REV: 20210205, 07, 08, 12, 15, 18, 19, 20, 22, 23, 26, 0307
女性学(women's studies)フェミニズム (feminism)/家族/性...全文掲載
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